スプロケとクランク歯数の選択について、用途別に解説してほしい【質問いただきました】

アンカーの完成車でスプロケとクランク歯数を選択できる件について、質問を頂きましたので回答いたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アンカーを購入予定ですが、クランクとスプロケを選択できるようになっています。
クランクは52-36、50-34のどちらか、スプロケは12-25、11-28、14-28から選択できます。

この中で用途別にどの組み合わせがどんな人に向いているのか、教えてください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



回答いたします。

歯数の意味

クランクとスプロケの歯数ですが、要は【一枚の板に、何個の歯がついてるか】を指しています。

私のクランクはアルテグラですが、歯数は50-34です。
外側の板(アウター)には50個の歯が付いており、内側の板(インナー)には34個の歯が付いています。

ここで大切なことですが、フロントについては
・数字が大きい ⇒ 重たいギア
・数字が小さい ⇒ 軽いギア

こうなります。
まずはこれを覚えてください。

スプロケの歯数ですが、私のスプロケは105の11-28です。

一番直径が小さいギアには11個の歯が付いており、一番直径が大きいギアには28個の歯が付いています。

ここで大切なことですが、リアについては
・数字が大きい ⇒ 軽いギア(ローギア)
・数字が小さい ⇒ 重たいギア(トップギア)

こうなります。

数字と重さの関係がフロントとは逆になります。

なのでフロントが50-34、リアが11-28を使っている場合、

・一番重たいギアの組み合わせ ⇒ F50 × R11
・一番軽いギアの組み合わせ  ⇒ F34 × R28

こうなります。

ギア比という考え方がありますが、ギア比の計算はこうなります。

フロント歯数 ÷ リア歯数

この数字が何を意味するかというと、クランクが一回転する間に後輪が何回転するかを表す数字です。
フロント50×リア11のギア比は4.55となりますが、クランクが一回転する間に後輪が4.55回転するという意味です。
この数字が大きいほど重いギアですし、数字が小さいと軽いギアを表しています。

用途別に考える

恐らくですが質問者さんは、【ロングライド向きなのはコレ!】とか【レース向きなのはコレ!】みたいな回答を望んでいるのではないかと勝手ながら想像します(間違っていたらゴメンナサイ)。
なんですが、ロングライド向きなのはコレ!などと一般化できません。

久々に難しい質問が来たなという印象なのですが、要は足の強さにあっていて使いやすい組み合わせを選ぶというだけなので、ロングライドでも人により選ぶものは違います。
レースでも同様です。

ケイデンスという考え方から見ていく

ロードバイクではケイデンスという数字を重視します。
ケイデンスとは【1分間にペダル(クランク)が何回転するか】という数字です。

ロードバイクでは、理想的なケイデンスとして90rpmくらいが効率がいいと言われます。
ロードバイクでペダリングをするという動作は、二つの側面があります。
一つは、筋力を使うということ。
もう一つは心肺機能を使うということです。

低いケイデンスで重たいギアを回しているという行為は、筋力が優位なわけです。
力でゴリゴリ踏みまくるというイメージでしょうか。

逆に高いケイデンスで軽いギアを回すというのは、筋力よりも心肺機能が優位なわけです。

どっちかに偏りすぎても、ロードバイクでは長距離を走るのが難しいです。
なので【ケイデンス90をずっと維持できるくらいのギアを選ぶ】ということが、筋力と心肺機能の両方に偏りすぎずにバランスがいいと言われます。

ちなみにですが、ママチャリのケイデンスって60rpmとかそれくらいです。
なのでロードバイクに乗っている人は、ママチャリの1.5倍くらいの速さでペダルを回しています。
これが初心者には結構難易度が高く、最初のうちはケイデンス90というのがかなり難しいです。
下手なペダリングだと、お尻がポンポン跳ねてしまったりします。

ロードバイク初心者にありがちな間違いですが、一番重たいギアに入れて力で踏みまくるということです。
一番重たいギアは、プロ選手でもそんなに使いません。

で、前置きが長くなりましたが、フロントが52-26、50-34の2パターン、リアが12-25、11-28、14-28の3パターンなので、組み合わせとしては6パターンあります。

ケイデンス90、タイヤは25cと仮定して、それぞれの速度(km/h)を見てみます。

クランク52-36、スプロケ12-25

12 13 14 15 16 17 18 19 21 23 25
52 49.2 45.5 42.2 39.4 36.9 34.8 32.9 31.1 28.2 25.7 23.6
36 34.1 31.5 29.2 27.3 25.6 24.1 22.7 21.5 19.4 17.8 16.4

クランク52-36、スプロケ11-28

11 12 13 14 15 17 19 21 23 25 28
52 53.8 49.2 45.5 42.2 39.4 34.8 31.1 28.2 25.7 23.6 21.1
36 37.2 34.1 31.5 29.2 27.3 24.1 21.5 19.4 17.8 16.4 14.7




クランク52-36、スプロケ14-28

14 15 16 17 18 19 20 21 23 25 28
52 42.2 39.4 36.9 34.8 32.9 31.1 29.6 28.2 25.7 23.6 21.1
36 29.2 27.3 25.6 24.1 22.7 21.5 20.5 19.4 17.8 16.4 14.7

クランク50-34、スプロケ12-25

12 13 14 15 16 17 18 19 21 23 25
50 47.4 43.8 40.6 37.9 35.6 33.4 31.6 29.9 27.1 24.7 22.7
34 32.2 29.8 27.6 25.8 24.2 22.7 21.5 20.3 18.4 16.8 15.5

クランク50-34、スプロケ11-28

11 12 13 14 15 17 19 21 23 25 28
50 51.7 47.4 43.8 40.6 37.9 33.4 29.9 27.1 24.7 22.7 20.3
34 35.1 32.2 29.8 27.6 25.8 22.7 20.3 18.4 16.8 15.5 13.8

クランク50-34、スプロケ14-28

14 15 16 17 18 19 20 21 23 25 28
50 40.6 37.9 35.6 33.4 31.6 29.9 28.4 27.1 24.7 22.7 20.3
34 27.6 25.8 24.2 22.7 21.5 20.3 19.3 18.4 16.8 15.5 13.8

これを見てどう思うかですが、【速く走りたい俺は、52-36と11-28だな】と思うなら大間違いです。
一番重い52×11の組み合わせなんて、一般人は長い下り坂でしか使いません。
平坦でこんな重いギアを使える人を、一般人で見たことがありません。

クランク歯数の選び方

このケースでは二つのクランクが選べるようですが、一般人なら50-34で十分だと思います。

というのも、ほとんどの方は【重いギアが足りない】ということにはなりません。
そういう風に感じる人がほとんどおらず、むしろ逆に【もうちょい軽いほうが登りが助かる】と感じることが多いためです。

ロードバイクにはレースモデルとロングライドモデル(エンデュランスモデル)がありますが、一般論としてはレースモデルには52-36が付いていることがあり、ロングライドモデルでは50-34が付いていることが多いです。
ただし、必ずしもそうではありません。

今確認しましたが、レースモデルのFELT F75でも50-34ですし、レースモデルのビアンキのセンプレプロ105でも50-34です。
初心者なら50-34のほうが使い勝手がいいかなと思います。

そもそもなんですが、フロントが52と50では、そこまで速度の差が出るわけでもありません。

11 12 13 14 15 17 19 21 23 25 28
50 51.7 47.4 43.8 40.6 37.9 33.4 29.9 27.1 24.7 22.7 20.3
52 53.8 49.2 45.5 42.2 39.4 34.8 31.1 28.2 25.7 23.6 21.1

これを見て勘違いする人がいると困るので書きますが、確かに【ケイデンス90】で回した場合には、52-36のほうがスピードは出ます。
ただしギア自体は重くなっているわけで、同じケイデンス90で回せるとは限りません。
だから必ずしも52-36が速いという安易な結論にはならないので注意です。

初心者の場合、ヒルクライムなどでギアが重くて困ることのほうが圧倒的に多いと思いますので、初心者は50-34をオススメします。

スプロケ歯数の選び方

3つのスプロケを出していますが、まずはちょっと特殊な14-28から。

シマノ CS-6800 11S 14-28T ICS680011428
SHIMANO(シマノ)
売り上げランキング: 52,072

最初に書きましたが、リアのスプロケは数字が小さいほど重たいギアです。
他のスプロケはトップギア(重いギア)が11とか12なのに、それよりも軽い14Tから始まるスプロケです。

この【トップ14T】のスプロケですが、これは本来はジュニア用なのでジュニアカセットと言われるものです。
高校生以下は身体がまだ未成熟なので、レースに出るときはこの重たいギアを排除したジュニアカセットを付けていないと失格になります。

つまりこの14-28ですが、高校生以下がレースに出るために存在するスプロケです。

もちろん、大人が使っても構いませんし、大人でも【重すぎるギアは使い道がないから】という理由でジュニアカセットを使っている人もいます。
これのメリットですが、11-28よりも【隣のギアとの歯数差が少ない】ため、重すぎるギアを使わない人には使い勝手がいいということです。

<11-28>

11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28

<14-28>

14-15-16-17-18-19-20-21-23-25-28

11-28では2T差になっているところも、14-28なら1T差だったりします。

しかしながら、ジュニアカセットはちょっと特殊です。
重いギアがないため、高校生以下でレースに出るのでなければ、初心者の一台目でこれを選ぶのはやめたほうがいいでしょう。

次に11-28と12-25の比較です。

近年はリアに軽いギアを使うのが流行りというか主流なので、一般的なのは11-28のほうです。

11-28ならば重いギアから軽いギアまで、まんべんなくあるという印象です。

12-25ですが、一昔前はこっちのほうが主流でした。

シマノ CS-5800 11S 12-25T 23456789135 CS-5800
SHIMANO(シマノ)
売り上げランキング: 5,699

このスプロケの特徴ですが、12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25という構成なので、ほとんどのところで隣のギアとの差が1T差しかありません。

要はシフターをカチッとしたときに、2T差だと重くなりすぎたり軽くなりすぎたりして、その中間が欲しい!という要望に応えているのが12-25だと考えればいいです。
ですが、一番軽いギアが25Tなので、初心者だと坂できついと思います。
どちらかというと上級者向きと言っていいかもしれません。

用途というより、レベルで選ぶ

最初に書きましたが、恐らくは【レースならこれ!】とか【ロングライドならこれ!】みたいな回答を期待しているのではないかと推測します。
なのですが、この質問をしてくるということはロードバイク一台目だと思いますが、どのギアを使うとどんな重さで、これくらいの坂だとどんなギアじゃないと登れないなどの自分の実力すらわからないと思います。
そりゃそうですよね。
ロードバイクに乗ったことがない人には絶対にわかりませんし、最初はみんな初心者だからそれが当たり前です。

なので初心者が使い勝手がいいギア構成で選ぶのがいいと思います。

そうすると答えは、フロントは【50-34】、リアは【11-28】がベストな選択だと思います。

もし脚力が強いとか自信があるのでしたら、フロントは【52-36】でもいいです。
ですがオススメはフロント50-34、リアは11-28。

クランクの歯数とかスプロケの歯数は、何年も乗っているうちに自分のベストが見つかるものです。
最初から一発回答を求めようとする方が間違っていて、脚力が強いという自信があっても、ジョギングする脚力とロードバイクで求められる脚力は違います。

なので初心者さんの一発目のロードバイクは、ありきたりなギア構成を選ぶのが正解です。

もしこの質問が2台目以降のバイク選びだったとしたら、ギア構成くらいは自分で選べないと話になりません。
一台目のロードバイクは、とりあえずありきたりなギア構成で始めて、乗っているうちに不満があれば変えるという方向性にしたほうがいいでしょう。

ギア構成は、用途よりもレベルで選ぶ方がいいです。

初心者の場合、フロントは軽めの50-34、リアは重いのから軽いのまで幅広く対応した11-28がいいでしょう。




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

Scroll Up