ホイールを客観的に評価すること。

先日頂いたメールなのですが、ホイールの評価についての質問でした。
いろいろと考えさせられるきっかけにもなったので、ご紹介いたします。



メールの内容

メールでの問い合わせ内容ですが、以下の通りです。

ホイールのインプレ・紹介等でカタログスペック上の比較でなく、ケイデンスや心拍数での優劣はつけられないものなのでしょうか?
例)同ケイデンス、同時間、同コースでのパワーメーター、心拍数の比較

色々なブログ拝見させて頂いておりますが、こういった比較は見たことがありません。
考えられる理由として、
1.この方法では比較できない
2.心拍計などの道具不足
3.めんどくさい
1がの可能性が大きい気がしますが、理由がわかりません
差し支えありませんでしたらご回答願います。

この方とは数回メールのやり取りをさせていただきましたが、ホイールの客観的評価は果たして可能なのでしょうか?

ホイールの客観的評価は可能??

これについてですが、例えば同じコースを使い、複数のホイールを用意してパワーメーターとか心拍計などを用いて計測すること自体は可能でしょう。

ただしそこから得られる数字というのが、私が思うにさほど客観性があるわけでもないような気がします。

ここで客観性という言葉の意味を見てみましょう。

客観的であること。だれもがそうだと納得できる、そのものの性質。

とりあえず同じコースを使い、違うホイールでパワーメーターや心拍数などの計測をすれば、数字自体は得られます。
ただし、その数字にどれくらいの客観性があるかというと、私は特に意味がない数字と感じてしまいます。

一番の大きな理由ですが、こういう実験をする場合、条件を同じにして行う必要があります。
心拍数というのは、そもそも様々な条件で容易に変化する数値なので、あまり当てにならないでしょう。
精神状態でも容易に変わります。

要は同じコースを使ったとしても、刻一刻と変化する風向き、風速という面で条件を一定にして測ること自体が困難ですし、筋肉の状態も同じであるということを再現することも難しいです。
なので参考値くらいの数字は出せるかもしれませんが、そこから得られた数値は客観性がある数値というよりは主観的な数値という枠を超えない気がします。

厳密に実験をやろうとしたら、ものすごく莫大な費用が掛かりそうな気がしますし、個人レベルではまず無理でしょう。
そういった理由から、誰もチャレンジしないのではないでしょうか。

単にめんどくさいからという面も当然あるでしょうけど。

絶対性能?相対性能?

ホイールのインプレをするときに、絶対的な性能を確かめるということは困難です。
普段使っているホイールと比べてどうなのか?という相対評価しかできません。

またホイールを使う上で、好みというのも大きな要素です。
好みという表現が一番難しいのですが、速いホイール=必ずベストなチョイス、とはならないことは皆さんが感じていることなのではないでしょうか?
速いけど硬くて疲れるとか、軽いけどペダリングのリズムと合わない、など。

こういう部分は、数値化しようとしても困難であって、フィーリングの問題です。
なので最終的には、フィーリングが合うか合わないかの話になってきます。

私は今、キシリウムエリートSという2012年ころのホイールを使っています。
今のキシリウムエリートがUST(チューブレス)で、先代のキシリウムエリートがワイドリムクリンチャーで、さらにその前のナローリムクリンチャーです。

このホイールを買う前に、某ショップで【有料でホイールを一日レンタル】というサービスをやっていました。
この時に、最初はキシリウムエリートを100キロくらい試乗し、翌週にキシリウムSLS(現行モデルのキシリウムプロ)で同じコースを試乗しました。

タイム自体はほぼ変わらない(というよりもタイムアタックはしてない)のですが、その時感じたのは
・加速力はキシリウムSLSが上
・巡行中は違いがわかんない
・登りはわずかにキシリウムSLSが上
・振動吸収性はキシリウムエリートが上

こんな印象でした。
恐らくですが、両者でいろんな数字を計測したら、キシリウムSLSのほうがいいでしょう。
それでもキシリウムエリートを選びました。

理由はキシリウムSLSだとやや硬い印象があったからです。

こちらは現行モデルのキシリウムエリートUST。

Mavic【マビック】Ksyrium Elite UST Clincher Tubeless Road Wheelset 2018

こういう点ですが、フィーリングの問題です。
恐らくは数字には表れない部分でしょう。
ですが、ホイール選びでは、フィーリングも大切だと思っています。

結局は乗ってみない限りはわからない

フレームでもホイールでもそうですが、最終的には自分で乗ってみて確認しない限りはわかりません。
ホイールの評価というのは、人それぞれ違います。

そういう意味でも、そもそも数値化しようとすることが必ずしもいいことだとも思いません。
一つの参考にはなると思いますが、個人レベルでいろいろ計測しても、その数字を信用する人も少ないでしょうし。

ある一つのホイールがあったとして、ある人は最高と言い、ある人はダメと言ったりします。
これの理由ですが、まず第一に【その人が基準にしているホイールが違うから】ということが挙げられます。

例えばですが、中華カーボンホイールのICANについて、様々な意見をメールにて頂いていますが、結構評価が分かれています。

とにかく最高。買ってよかった。

とにかく回らないホイール。売り払いました。

なぜこういう相反する意見が出てくるかですが、何と比べているかということが重要です。
前者では完成車付属の鉄下駄が評価基準であり、後者は確かゾンダとかだった気がします。
比較対象が何かによって、評価は変わります。
(決してICANがダメだとは思いませんので誤解ないよう)

ホイールの数値化ですが、客観的なデータとして出すなら、剛性の評価くらいなのではないでしょうか?
剛性自体は機械で計測すれば、誰が実験しても同じ数値が出ます。(もちろんスポークテンションなどがきちんと出ている前提で)
人間が乗ってみての試験による数値は、ちょっとしたことで数値が変化する可能性があり、あくまでも参考程度の数値しか出ないでしょう。

このような事情から、個人レベルでのインプレはもちろんのこと、雑誌レベルでのインプレでも【感想程度】の話しか書いていないのではないでしょうか?

この質問者さんとのやり取りで、こういうものがありました。

【ギア一枚分軽くなった】などよりも、パワーメーターなどで数値化されたほうがわかりやすい

これについてはその通りです。
そもそもですが【ギア一枚分軽くなった】という表現があったときに、その差が1Tなのと2Tなのと3Tなのでは全く意味合いが違うはずです。
8sの11-34Tを使っている人の【ギア一枚分】と、11sの11-25Tの【ギア一枚分】では差があるのは明白。

何かしらの方法で、ホイールを客観的に数値化して評価できればいいのでしょうけど、今のところ客観的と思われるような方法が思いつきません。
何かの雑誌でホイールの横剛性を計測しているものがありましたが、横剛性が高いと書かれたホイールが、乗ってみるとヌルいということも違うサイトで書かれていたりしますし。

個人的には、ホイールの試乗ができるショップが増えてくれるとうれしいなと思っています。
メーカーが協力しないとできないサービスなので難しいところですが、私がキシリウムエリートを買ったときは、MAVICホイールについては試乗できました。
最後の最後は、自分で乗って確かめるしかないんですよね・・・
それがホイール選びとかフレーム選びの難しい点かなと思います。

Campagnolo – Bora Ultra (ボーラウルトラ) 35 クリンチャーロードホイールセット




シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

Scroll Up