結局、この本はなんだったんだと思う話。

昨年買ったこの本ですが、

今も手元にあるのですが、この本が書いていることって、なんだか製品と主張に一貫性がないなと疑問に思うところがありまして。



※ここのホイールを使っている方、ホイール自体を批判しているわけではないのでご容赦ください。

この本の主張

本音のホイール論と謳ったこの本ですが、アマゾンのレビューでも辛辣な意見が並んでいますよね。
これについて、私が過去に書いたインプレ??でも内容についてはかなり疑問視していました。

【ロードバイク本音のホイール論】を読んで感じたこと。シマノの元ホイール開発者が執筆。

吉本さんの章はまあいいとして、元シマノの開発者さんが書いた章については、正直内容が乏しい上に内容がおかしいと当時から思っていました。
元シマノの開発者さんは、今年になってニューホイールを出していますが、ニューホイールのスペックを見ると、なおさらこの本の書いている内容とおかしな点が見つかるわけで。

この本では、このような主張がありました。
<ホイールで大切なのは空力と剛性>
著者の意見として、ホイールで大切なのは空力と剛性だと考えている。

<軽さだけに着目してはいけない>

リムが軽いことは物理学的にはあまりない。
フィーリング的な効果しかない。
軽すぎるリムは要注意。
重いリムほどリム剛性は高い。(同一材料で同じ寸法であれば)
体重62キロの人が1キロのウェアを着て、7キロのバイクに乗り、前後のリムを100gずつ軽量化した場合、軽量化の効果は0.6%しかない。

<安いホイールは馬鹿にできない>

ホイールの中で【リムが支配的】。
リムの剛性が高いほどホイールの剛性が高い。
安い重量級ホイールはリムが重く、リム剛性が高いのでホイール剛性が高いから良く進む。
50万のホイールよりも2万円のホイールのほうが進む。

<Jベンドスポークでも十分>

Jベンドスポークのデメリットは【折れやすい】という点だけ。
ストレートスポークに対応したハブは高価になる。
ゴキソだってJベンドスポーク。
リムの剛性に問題がなければ、ストレートスポークにする必要はない。
スポークテンションが高いと、ホイールの剛性は落ちる。

<アルミスポークに意味はない>

Fulcrum – Racing Zero (レーシングゼロ) LG クリンチャーホイールセット
アルミスポークとステンレススポークは剛性はほぼ変わらない。
アルミスポークが剛性が高いと言われるのは、スポーク自体が太いから。
アルミスポークで太くなれば空力が落ちる。
工学的にアルミスポークには意味がない。

こういう主張を見て、【そうなんだ】と思う人もいれば、【いや、おかしいでしょ】と思う人もいるでしょう。
感じ方は人それぞれですが、最近特に思うこととしては、本やネットに書かれていることが必ずしも正しいとは限らないという現実です。

ちょっと前にあったWELQ問題なんかその最たる例で、大手サイトでも健康情報について明確なウソを垂れ流していましたよね。

旧SACRAホイールと新SACRAホイール


SACRA KYLE5 クリンチャー シマノ/スラム用 前後セット

旧SACRAホイールは、リムが重いし、Jベンドスポークでした。
今年出してきた新SACRAホイールは、ストレートスポークでリムが大幅に軽量化されたのがウリのようです。

リムが重いほうが剛性が高くてよく進むんじゃなかったのかなぁ・・・
ストレートスポーク対応のハブは高価になるし、Jベンドでも十分だったんじゃないのかなぁ・・・

軽量化されてもリム剛性は変わらない、といった記述もどこかで見ましたが、同じ材料で同じ寸法なら、重いほうがリム剛性は高いというのは著書でも書いていることです。
カーボンのグレードを変えている可能性もあるため、ここらへんの真相はわかりませんが。

本で書いていた主張がブレている気がするんですよね。
もちろんですが、考え方は進化して変わった可能性もありますし、ユーザー的にはどうであれ最終的な製品がいいものならそれでいいのですが、多くの完組メーカーはストレートスポークのホイールを作り、リムも軽量化に励んでいる(アルミリムの切削など)のに、本で書いていた主張は真逆でした。
それを1年で覆してきたあたりで、結局は自分の旧ホイールの宣伝をしたいだけの本だったんじゃないかと思ってしまうわけです。

まあ、最終的な製品が進化しているならユーザー的にはそれでいいのでしょうけど、どうもね・・・



ステンレススポークとアルミスポーク

分かりやすいところで言うと、マヴィックのキシリウムエリートとキシリウムプロの関係性じゃないかと思っています。

旧製品ですが、キシリウムエリートSとキシリウムSLSというホイールがありました。
これの特徴ですが、リムはどちらも共通、スポークはキシリウムエリートSではステンレス、キシリウムSLSではアルミスポーク(ジクラルスポーク)、ハブは後者のほうがちょっとグレードが高いという仕様。

凄くおおざっぱに言うと、違いはスポーク素材です。

ずいぶん前にどちらも借りて、それぞれ100キロくらい乗り比べしていますが、明確にアルミスポークのキシリウムSLSのほうが【硬い】んですね。
あくまでも体感上の話ですし、スポークの太さが違うから剛性が違うと言われてしまうとスポークの太さの違いまでは正直知りません。
ですが空力の違いは少なくともわかりませんでした。

体感上の話なので何ら科学的なデータはありませんが、わざわざマヴィックが作り分けして製品化しているのには意味があるわけで、キシリウムエリートとキシリウムプロの違いはほとんどの人が乗ればわかると思うんですよね。

こういった主張も、結局はJベンドスポークだから、またそもそもスポークを開発することができないからそういう主張だったのではないかと思ったりするわけです。
Jベンドでアルミスポークだと、恐らくですが首が折れやすいのではないでしょうか?

安いホイールはよく進む

安いホイールはリムが重く、リム剛性が高い=ホイール剛性が高いからよく進む、という主張でしたが、これも多くの人は経験的におかしいと知っているわけです。

完成車付属の鉄下駄は2.2キロくらいあったりしますが、リムは凄まじく重いものが多いです。
それをゾンダだとかシャマルだとかに変えると、リム重量がかなり軽量化されますが、どっちが良く進むかは皆さんが経験的に知っているでしょう。
結局、自社の【リムが重いホイール】を肯定したかっただけなんじゃないかと思ってしまうわけです。

某所でも指摘されていますが、リム剛性がそのまんまホイール剛性になるわけでもありません。
実際、ここの旧ホイールはリムが重くリム剛性が高い割に、ホイールの横剛性が低いという話もありましたし。

画像はシマノの最廉価のRS010ですが、正直キシリウムエリートとは比較にならないほど進まないホイールです。

いろんな考え方があると思いますが

かなり批判的なことを書いてしまいましたが、私自身、SACRAの新ホイールはなかなか良さそうなんじゃないかと実は思っていまして、もうちょい安いなら買いたいと思ったりもします。(高すぎると思うのは私だけ??)

SACRA KYLE5 クリンチャー シマノ/スラム用 前後セット

ただしインプレもほとんどないですし、インプレしている人はメーカーからホイールの提供を受けて書いている人だったりするので信用できませんし、人柱になるしかないという怖さに勝てないので難しいところですが。

ユーザー的には、何はともあれ性能面で進化しているなら、それでいいという見方もできます。
ただどうも本の主張と製品がブレている気がするのが気になるところでして。

どこのメーカーでも、販売戦略としていろいろあるのはわかります。
マヴィックだって【キシリウム125】という限定ホイールを数年前に出しましたが、マヴィック商法を知っている人なら【どうせ来年、名前は買えて同じもの出すんでしょ??】と分かってしまうわけです。

シマノだって、なんだかよくわかんない戦略が目立ちます。
例えば旧アルテグラホイールのWH-6800は、WH-RS500と変わりました。
リムハイトが1mm上がり、重量も9g増えた、ということでほぼ同じホイールだろうと予想していましたが、実態は全く同じホイールだそうです。
リムハイトが1mm違うのは、計測する基準が変わったこと、重量差は製品誤差のようです。

シマノWH-RS500は果たして『買い』なのか?旧アルテグラグレードのホイールだが。

9000デュラ時代はC24、C35,C50だったのが、R9100デュラになりC24、C40、C60となったのでリムハイトが上がったと思われがちですが、クリンチャーに付いてはリムハイトは全く変わっていません。
C40のリムハイトは35mmですし、C60のリムハイトは50mm。

実態としては全くと言っていいほど同じもののようです。

R9100-C40(クリンチャー)のリム幅について。C17?ワイドリム?

近年のシマノ商法は、迷走している気がします。
最初から【あれね、同じものなんすよ】って言ってくれていたほうがユーザーからの反発もないとないと思うのですが・・・

どこのメーカーでも様々な宣伝をしているわけですが、真実を見抜く目が必要な時代になってきたように感じています。
ネット社会で情報量は増えていますが、どれが本当に価値がある情報なのか、自分で選別するしかないんですね。

有名人を起用して宣伝するという手法は昔からありますが、その人がプライベートで乗っているのは全然違う車種だったりしますからね。
何を信用していいのか、自分で選ぶしかないのでしょう。

シマノにしてもマヴィックにしても、こういう商法が嫌だと思って敬遠する人もいるかもしれませんし。

本で主張していたことが1年程度でひっくり返るというのがどうにもよくわからないのですが、シマノの元開発者が語る【ホイールの真実】という触れ込みで本を買った身としては、せっかくお金出して買ったのになぁと残念に思うわけです。
うちのホイールは某社のホイールよりここが劣っているけど、値段から見たらコスパがいいよ!みたいな主張だったらまだわかりますが、ホイールの真実と謳って自社のホイールを正当化したかっただけなんじゃないのと、本を買った立場からすると残念なんですよね。

まあ、新型のKYLEは結構良さそうなんじゃないかと思うところもあるので、もうちょい安ければ買いますが、スペックからすると値段が高い気がします。

大手メーカーのホイールが高い理由ですが、設計費、開発費、テスト費用が上乗せされているからです。
大手メーカーだと、いくつかの試作品を作ってテストして改良して・・・と続きます。
そしてプロ選手や専属ライダーにかなりの距離を乗らせて耐久性のテストや、製品の性能のテストを行い、問題があれば修正するといったプロセスがかさむわけです。

カーボンリムの場合、金型が高いので金型の費用も入ってきますよね。
いくつかのリムの試作品を作る可能性もあるので、そうあなれば金型もそれだけかかります。

例えばですが、定価30万くらいの大手メーカーのカーボンホイールだって、一本作るための純粋な材料費と製作費、人件費だけでみたら、たぶんですが数万円しかかかっていないと思うんです。
でもかなりの費用をかけて設計や開発、テストを繰り返して製品化しているので、純粋な材料代や人件費だけで定価を決めるわけもありません。

それが個人に近いようなメーカーになった場合、そこまで大掛かりにテストや開発費などがかかっているわけではないはずなのですよね・・・
それを考えると、KYLEはちょっと割高に思えてしまうのです。

ちなみにこの本ですが、欲しい人いたらあげます。
プレゼント企画の商品にしましょうかね。




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