ロードバイクにおける【リーチ】の重要性。ジオメトリは難しいでござるの巻。

近年、ほとんどのロードバイクがスローピングフレームになっています。
スローピングフレームでサイズ選びをするとき、水平トップチューブ長で選ぶ手法が一般的です。

私もずっと水平トップチューブ長で選ぶ方法を取ってきましたが、ここ最近は少し考え方が変わってきてまして。



リーチの重要性

リーチというのは、BBからヘッドチューブ上端までの水平距離です。
図でいうところの【X】に該当します。

リーチという概念が出てきたのは比較的最近でして、いまだにリーチをジオメトリに載せていないメーカーもあります。

さてリーチがなぜ重要なのかです。
サドルからハンドルまでの距離のうち、BB~ヘッドチューブ上端までをリーチと呼びます。
逆にBB~サドルまでの距離については名前がありませんが、ここでは混同を避けるため【BB-サドル間距離】とでも言いましょうか。
もちろん、水平距離です。

同じ人が二つのサイズに跨った場合、適正値を出すと【BB-サドル間距離】は同じになります。
サドルの位置決めの際、サドル高と前後位置について調整が行われますが、ペダルの位置に対してサドルの前後位置を決めるため、シートチューブの角度によらず、同じ人なら【BB-サドル間距離】は同じです。

シートチューブ角(G)はフレームサイズによって変わります。
シートチューブ角が小さい(=シートチューブが寝ている)フレームと、シートチューブ角が大きい(=シートチューブが立っている)フレームの二つがあったとしたら、寝ているフレームだとサドルの適正位置は前に来るはずです。
あくまでもサドルの前後位置は、ペダルに対して決まるからです。

なので【BB-サドル間距離】というのは、どのフレームを選んでも同じ人が乗る限りは同じと言えます。

そしてシートチューブ角が立ってくると、その分トップチューブが前に押し出される感じになります。
なので水平トップチューブ長が短くても、リーチが長いという逆転現象も起こりうるわけです。

水平トップチューブ長の弱点

水平トップチューブ長(B1)というのは、スローピングフレームにおける仮想の数字です。
先ほど挙げたシートチューブが寝ているフレームの場合、必然的に水平トップチューブ長が長くなってしまいます。
だってシートチューブが寝ている分、遠くに行ってしまいますからね。

シートチューブが立っているフレームだと、水平トップチューブ長は短くなります。

あくまでも水平トップチューブ長というのは仮想の数字なので、実態に合わない部分も出てきます。
上で挙げたように、サドルの前後位置はペダルに対して決まってくるので、シートチューブが寝ているフレームならサドルは前方に来ますし、シートチューブが立っているフレームならサドル位置は後ろに来るはずです。

水平トップチューブ長はこういった事情から、必ずしもフレームの大きさを適正に表しているとは言い難い部分があったわけです。

水平トップチューブ長とリーチが合わない事例

これはよーく見ていくと、実はいくつかあります。

まずビアンキのFENICEのサイズ50と53を見てみましょう。

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水平トップチューブ長 シート角 リーチ スタックハイト
50 525mm 74.3° 384mm 503mm
53 535mm 74° 382mm 529mm

サイズ50と53では、水平トップチューブ長は10mmの違いがあります。
もちろん、短いのはサイズ50です。

ですがリーチで見ると、長さが逆転しています。
サイズ50のほうが2mm長いわけです。

次に、リドレーのフェニックスSLを見てみましょう。

2016 RIDLEY リドレーフルカーボンロードバイク完成車 FENIX SL フェニックス SL 【ロードバイク】【自転車】【ドロップ ハンドル】

水平トップチューブ長 シート角 リーチ スタックハイト
XXS 498mm 75° 379mm 507mm
XS 505mm 74° 374mm 527mm

こちらのフェニックスSLでも、水平トップチューブ長とリーチが逆転するという現象が起こります。

ちなみにここで挙げている項目でスタックハイトというのがありますが、スタックハイトというのはBBからヘッドチューブ上端までの水平距離です。
こちらの図だと【Y】になりますね。

これは単純にハンドルの高さを表すものとみていいのですが、スタックハイトは単純にハンドル高さを表しているわけでもないところに注意です。
当たり前ですが、実用上はコラムスペーサーで変わります。

同じように、リーチもハンドルまでの距離を表しているというほど単純なものでもありません。
実際はステム長やハンドルのリーチでも変わります。

ただしそこまで言い出すとキリがないので、あくまでもフレーム基準で見るとリーチやスタックハイトというのも重要な指標になるわけです。

メリダのスクルトゥーラでも同じように逆転現象が起きています。

《在庫あり》MERIDA(メリダ) 2019年モデル SCULTURA700 (スカルチュラ700)[アルミフレーム][ロードバイク・ロードレーサー]

水平トップチューブ長 シート角 リーチ スタックハイト
44 515mm 75° 376mm 519mm
47 520mm 74.5° 373mm 529mm

このような水平トップチューブ長とリーチの逆転は結構多いようで、特に小さいサイズで起こりやすいようです。
シート角が変わるフレームサイズあたりは起こり得ます。

ただしリーチが小さいほうが身長が低い人向け、と単純化できない事情もあります。
フレームサイズが大きくなるとシートチューブ長は大きくなりますので、リーチが短いからと言って大きいサイズを選ぶとシートポストが出ないこともありますよね。
またスタックハイトもおかしくなるので、原則としては水平トップチューブ長でまずは選び、そこからリーチやスタックハイトも考慮して検討するというところでしょうか。

メリダのライド80の場合、一番大きなサイズでも逆転現象が起こっています。

MERIDA メリダ 2019年モデル RIDE 80 ライド80 ロードバイク

水平トップチューブ長 シート角 リーチ スタックハイト
44 518mm 75° 374mm 536mm
47 518mm 75° 372mm 546mm
50 530mm 74.5° 375mm 559mm
52 540mm 74° 377mm 570mm
54 550mm 73.5° 375mm 591mm

サイズ50と54でリーチが同じ数値となりますが、当たり前ですが適応身長はだいぶ差があります。
なのでリーチだけでみてもおかしくなるわけです。

身長だけでも決まらない

スタックハイトが小さいということはより前傾姿勢になる可能性もありますので、柔軟性がないと乗れないですよね。
また、同じ身長でも手足の長さは人によって大きく変わります。

私が調べた範囲では、リーチと適応身長のような簡単な図式は見当たりませんでした。
リーチという概念はまだ新しいからということもあるかもしれませんが、単純に身長だけで語れないのがリーチという数字ではないでしょうか?

一台目のロードバイク選びの場合、ショップで見てもらったほうが確実です。
最近は計測機器を使ってのフィッティングサービスをするところもありますが、計測機器がないから時代遅れというわけでもありません。
身長からおおまかな適正サイズを出し、欲しい車種があれば実車に跨ってみて見てみる。
固定ローラーを使ってペダリングを見て、ショップ店員さんが判断するショップもありますよね。

欲しい車種の実車がなければ、似たようなジオメトリの車種に跨って見てみるなど、ショップごとにサイズ選びの方針はあります。

リーチとかスタックハイトが活きてくるのは、2台目以降のロードバイク選びではないでしょうか?
1台目に対して、もう少し大きくてもいいかなとか、サイズ感がほぼ変わらないようにしたいなとか、そういう時に目安となるのはリーチだったりスタックハイトだったりするわけです。

ある程度はステムで調整が利くものではありますが、リーチとかスタックハイトで見ていくと、なかなか面白い結果が得られるものです。




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