鉄下駄ホイールって何だろう?鉄下駄は消耗度が大きい?どのランクのホイールを買うべき?

ロードバイク界でよくある用語で、鉄下駄という表現があります。
これはクソ重いホイールだと言うことを表わす用語でして、何グラム以上が鉄下駄という定義はありません。

まあ、正確にはホイールは鉄ではなくアルミなんじゃないかと思いますが(スポークはスチールが多いですが)、まあそこはどうでもいいので置いときましょう。



鉄下駄ホイールの定義

鉄下駄ホイールといったときに、とにかく重いホイールのことを指しているわけですが、何グラム以上が鉄下駄という定義はありません。
完成車に付属する、無名のブランドのホイールの場合、それこそ前後で2200gとかザラです。
このランクはまさに鉄下駄と言って過言ではないでしょう。

シマノ最廉価グレードのホイールで、WH-R501というホイールがありますが、これは前後で1900gあります。
11速対応だとWH-RS010というホイールもありますが、前後で1890g。
このあたりはほぼ変わらないレベルで鉄下駄認定でいいと思っています。

そういった鉄下駄ホイールを100g軽量化するだけでも走りが全然違う!!と書いているサイトは多いです。
これについてですが、私は半分そのとおりだと思いますが、半分嘘だとも思っています。

鉄下駄からのホイール交換

ホイールが軽くなると走りが全然違うよ!というのは、半分そのとおりで、半分嘘です。
軽量化されても走りが重く感じることもありますし、軽量化しても違いがわからないケースも実は多々あります。

ホイールの性能として見ていくときに、漕ぎ出し、加速性、巡航性など様々な性能があります。
例えばですが、漕ぎ出しの軽さというのは、ほぼリム重量に比例していると思っています。
リムが軽いほど漕ぎ出し時のスッと前に出る感じはよいわけです。

加速性については難しいところですが、リム重量が軽く、なおかつホイールの駆動剛性が高いほうが加速感は高いです。

巡航性という表現は難しいところですが、ある程度の速度から失速しにくいと言う意味で言うならば、リムが重くてリムハイトが高いほうが失速はしづらいです。
この辺は物理ですね。

登りについてはなかなか難しいですが、高い位置に上げていくという面では総重量が軽くてホイール剛性が高いほうが有利でしょう。
登りでは強いトルクがかかりますが、ホイールの剛性が低いと、とにかくグニャグニャして進まないような感覚になります。

さて、ここまで書いてお気づきかもしれませんが、ホイールの総重量についてはそれほど大きな要素ではないのです。
リム重量とか剛性が大切なんですが、多くのホイールはリム重量は公開されていませんし、剛性についてのデータもありません。
それをどのように考えていくのかという話です。



ケーススタディ

ここからは実際に相談を受けたケースとか、実例を出して説明します。

R501⇒シロッコ?


Campagnolo – Scirocco (シロッコ) C17 ロードホイールセット

先日受けた質問ですが、シマノR501からカンパニョーロのシロッコ、もしくはゾンダにしたいという相談です。
質問者さんは見た目と値段からシロッコに気持ちが傾いているようで、主な使用目的は街乗り、快適性の向上とのこと。

ここでスペック上の比較をして見ましょう。

R501 シロッコ ゾンダ
総重量 1900g 1596g
リムハイト 24mm 35mm F25,R30mm
リム重量 F590g程度 500g以上 F470g程度
スポーク数 F20,R24 F16,R21 F16,R21

シロッコの重量については不明な点が多く、ウイグルでは1654gとなっていますが、メーカーサイトでは1775gとなっています。
ほかのサイトでもその中間が多かったりするのですが、正直よくわかりません。

リム重量が軽くなると漕ぎ出しや加速性が上がります。
リムハイトが上がると、スポークが短くなるためホイールの縦剛性は上がる傾向にありますが、駆動剛性については何ともいえません。

R501のリムが、24mmとローハイトなのにクソ重い理由ですが、単に肉厚なリムだからです。
RS010もそうですが、無意味に肉厚なリムを使っているので、必然的に重くなります。

シロッコのリム重量については正直よくわかりませんが、同じカンパニョーロのゾンダのリムを考えた場合、どう考えても500gは余裕で超えてくるでしょう。
リムハイトが高くなればリム重量は重くなって当然ですし、上位モデルのゾンダのようなリムの切削技術も使ってないでしょうから、R501ほどではないにしても、リムが重いということについてはまず間違いない事実です。

R501を使っていてシロッコかゾンダで迷う場合、個人的にはシロッコを買う理由としてはあまりないように思います。
シロッコがメーカーサイトの重量どおり1775gだとしたら、リム重量も結構重いはずです。
シロッコのほうがスポーク数が少ない分と、スポークが短くなる(=リムハイトが高い)ことによる軽量化がある程度ですので、平坦での空力がシロッコにすればよくなる可能性はあるかなくらいと、縦剛性がシロッコのほうが高いくらいなので、【100g以上軽量化されたから全然違う!】というほどにはならないと思います。

このあたりは感じ方の違いもあるので、人によっては劇的に違うと感じるのかもしれませんが、差はあってもわずか、人によってはあまり違いがわからないくらいにしかならない可能性があるということです。

街乗りメインであればストップ&ゴーが増えると思いますので、快適性重視であればゾンダのほうが適しているでしょうし、違いがわかりやすいかと。
ただしロードバイクの楽しみ方は人それぞれで、シロッコのルックスにホレて買うという人も結構多いです。
それはそれでアリだと思いますし、私の持論として見た目で気に入るものほど大事にすると思っていますので、重いシロッコを使いこなせるように練習に励むという考え方もできます。
なのでホイールのどの要素を最優先に考えるのか、軽さ?加速性?見た目?など、どこに重きを置くかは人それぞれです。

レーシング3とレーシングゼロ


Fulcrum – Racing Zero (レーシングゼロ) LG クリンチャーホイールセット

これも結構多い相談ですが、レーシング3とレーシングゼロで迷っているという話です。
似たような件でキシリウムエリートとキシリウムプロで迷っているという話もありますが、これも本質的にはほぼ同じ話です。

まずはスペックから見ていきましょう。

レーシング3 レーシングゼロ
重量 1560g 1518g
リムハイト F25mm,R30mm F26mm,R30mm
リム重量 F470g程度? F440g程度?
スポーク数 F16,R21 F16,R21
スポーク素材 スチール アルミ
定価(税別) 85500 137000

リム重量についてはナローリム時代のリム重量からの推定です。

レーシング3とレーシングゼロは、カタログスペックだけ見ると総重量の差は42gしかありません。
価格差は5万円ちょっと。
たった42gの差のために5万円ちょっとか・・・と考える人もいるようですが、この二つのホイールの性能差は、そんなところではありません。

レーシングゼロではアルミスポークを使っていますが、これによりホイールの剛性がかなり上がっています。
駆動剛性はレーゼロとレーシング3では結構な差があります。

アルミスポークは意味がないと書いているサイトもありますが、乗り比べればわかる差があります。

初心者さんは重量で比較することが多いと思いますが、この二つではかなりの差があると思ったほうがいいです。

Fulcrum Racing 3 Wheelset

キシリウムエリートとキシリウムプロ


上と似たような事例で、キシリウムエリートとキシリウムプロがあります。
この二つ、リム自体は全く同じで、大きな違いはスポークです。
キシリウムエリートはスチールスポーク、キシリウムプロはアルミスポークです。

キシリウムエリート キシリウムプロ
重量 1520g 1410g
リムハイト F22mm,R25mm F22mm,R25mm
リム重量 F410g程度? F410g程度?
スポーク数 F18,R20 F18,R20
スポーク素材 スチール アルミ
ハブラチェット FTS-L (二つ爪) インスタントドライブ
定価(税別) 95000 140000

こちらではレーシング3とレーシングゼロのときよりも重量差がありますが、一番の違いはスポーク素材です。
90gの軽量化に5万円弱・・・と見てしまうとキシリウムプロはコスパが悪いと勘違いしてしまいますが、重量ではなくスポーク素材の違いにより剛性差があるので、走りとしては結構違います。

ただ、レーシング3とレーシングゼロと場合でもそうですが、どっちがいいかは人それぞれです。
アルミスポークで剛性が高くなると、脚に来てツライと感じる人もいますので、用途と脚力次第かなと。

また、既にキシリウムエリートを持っている人がキシリウムプロに買い換える価値があるかというと、これについても考え方次第です。
スポーク素材の違いから乗り味は違いますが、同じアルミローハイトであることには変わりないので、似たようなホイールの延長線上ともいえます。
それなら、違う方向性のホイールを買い、コースによって使い分けても面白いわけで。

Mavic【マビック】Ksyrium Elite UST Clincher Tubeless Road Wheelset 2018

大手メーカーのカーボンディープ or SACRA


Campagnolo – Bora Ultra (ボーラウルトラ) 35 クリンチャーホイールセット (2018)

最近は空力がいいと実験データを出しているSACRAホイールですが、コレも難しいところでして、空力がいいから速いというほど単純な問題でもありません。
それこそ剛性がどうなのか、強度はどうなのかということでも速さは変わります。

メーカー側が【剛性が高いんです!】といってもあまり信用しないほうが良くて、個人的には様々な理由からこういうものは大手メーカーのホイールのほうがいろいろ安心かなと思います。

というのも、大手メーカーは、かなりの時間をかけてテストライダーが走行試験しているので、強度についても問題ないことがほとんどですし、走行試験で出たテストライダーの意見を元に修正も出来ます。
小規模メーカーでは大手メーカーのような十分な時間をかけた走行試験はできませんので、長期間使った場合にどうなのかというのはわかりません。

SACRAの著書でも【大手メーカーのホイールは安心できる。走行試験を重ねてテストしているし】みたいに書かれていますし、地雷を踏みたくないなら大手ホイールメーカーのほうが安心であることは確かです。

いわゆる中華カーボンホイールについても、安いものには安いだけの理由があるので、あまりオススメはしていません。
大手メーカーは、開発のための設計に時間をかけ、いくつもの試作品を作ります。
そしてテスト走行にかなりの時間をかけますが、こういった開発費用が高くつくので、製品価格も高いわけです。

中華カーボンだといくつもの試作品を作って試すわけでもなければ、テスト走行もほぼしませんから、開発・設計費用としてはかなり安いわけです。

鉄下駄から買い換えるなら


Campagnolo – Zonda (ゾンダ) C17 ホイールセット

鉄下駄からホイールをグレードアップさせるなら、いつも書いていますが最低でもゾンダ以上をオススメしています。
これも何度も書いていますが、正直なところでいうと、鉄下駄⇒ゾンダでも走ってみて違いがよくわからないという人もいます。
ただしゾンダだとその割合が少なくなり、シャマルとかレーシングゼロになると鉄下駄との違いがわからないという人はほぼいなくなります。

ゾンダ以下だと違いがわからない率が上がるので、人によっては【せっかくお金出したのに、違いがよくわからない】となるのもむなしいですしね。

ただしホイール買い換えて違いがわからないと思った場合でも、とりあえずはそのホイールで1000キロ以上走ってみてください。
その後鉄下駄に戻すと、いかに鉄下駄がクソ重いのか、体感できる人がほとんどです。

軽くしても違いが感じ取れなくても、戻すと明確に違いを感じることもあります。
この場合、体感は出来ていなくても効果としては出ていたとも言えます。

単に重量を見てホイールを比較する、というのは、正直なところあまり意味が無いです。
数年前から【重量はデュラエースC24より軽い。お値段は5万円くらい】というホイールがいくつか出ていますが、確かに持つと軽いんです。
走ると重ったるく感じたりします。

コレの原因は、軽量化しても剛性が低いので、実走ではホイールがグニャグニャしながら進んでいるような感じだからです。
鉄下駄は体力を消耗するのですが、脱鉄下駄として何を選ぶのかも重要です。
単に重量だけ見て選ぼうとすると失敗することもあるので、難しいところです。




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