自転車ナビラインがさほど役に立ってない理由。

先日書いた記事で、元々は国道16号の自転車道に関係してですが、

相模原市、国道16号の自転車道。車道を走ると違反ってホント!?

自転車道、自転車専用通行帯、自転車ナビラインとは一体何なのか、説明させて頂きました。

自転車道、自転車通行専用帯、自転車ナビラインの違いってわかりますか?

自転車道と自転車専用通行帯は、道路交通法で定められている正規の自転車の通行帯になります。
自転車ナビラインというのは、法律に定めがないマークに過ぎないのですが、どうも誤解も多いのが自転車ナビラインです。



自転車ナビラインの目的

その前に、自転車道、自転車専用通行帯、自転車ナビラインの説明をお読みいただければ。

相模原市、国道16号の自転車道。車道を走ると違反ってホント!?

自転車道は縁石や柵で仕切ることを要求されていて、自転車専用通行帯は、自転車専用車線としてラインで区別することが条件です。
これが自転車道。縁石で区切ってありますね。

これが自転車専用通行帯。ラインで区切ってますね。

これが自転車ナビラインです。単なるマークです。

自転車道 自転車専用通行帯 自転車ナビライン
法的根拠 道交法2条、63条 道交法20条 マークの規定はない
整備 縁石や柵などの工作物 ラインとペイント ペイント
車やオートバイの通行 不可能 不可だが、現実としてはラインの区別のみなので通行がありうる OK、ただし車からすると自転車が邪魔で走りづらい
自転車の通行 やむを得ない場合を除き、自転車道がある道路は自転車道を通行しないといけない やむを得ない場合を除き、自転車専用通行帯がある場合はそこを通行する マーク上を走らないといけないという規制はないが、道交法上、自転車は左端を走ることを要求されている
整備費用 高額 中程度 安め

で、自転車専用通行帯では、その車線は車やオートバイなどが走ることは禁止されています。
というのも自転車専用の車線という扱いだからです。
バス専用車線ってたまに見かけますが、あれの自転車版みたいなもん。

自転車専用車線として、最低1.5m幅の車線を作らないといけないので、構造上作ることができない道路もたくさんあります。

道路の構造上、自転車道も自転車専用通行帯も作れないところで、苦肉の策で誕生したのが自転車ナビラインです。
ここに自転車専用通行帯を作ろうとすると、一車線潰さないと無理でしょうけど、そんなことすれば車が渋滞を起こしかねません。

これは自転車専用車線でもなく、車専用車線でもありません。
共用車線であり、単に左側通行してねということをマーキングしただけのもの、つまりは目安に過ぎません。

で、この自転車ナビラインを警視庁が特に推進しているわけですが、警視庁のHPによると

自転車ナビマーク・自転車ナビラインの表示する意味

自転車が通行すべき部分及び進行すべき方向を明示するものです。
自転車は、矢印の向きに進行してください(逆行はできません)。
自転車ナビマーク・自転車ナビラインは、法令の定めのない表示であり、この表示自体に新たな交通方法を指定する意味はありません(通行方法については法定又は道路標識等の交通規制に従うこととなります)。

このように、単なるマーク、目安に過ぎません。
要はこのようなマーキングをすることで、自転車は左端を通行しないといけないことや、逆走がNGであることを周知しているにすぎないわけです。
マークがあろうとなかろうと、自転車は道路交通法に基づいて、左側通行であることには何ら変わりません。

自転車ナビラインへの誤解


自転車ナビラインがあることで、一部誤解も生じています。

例えば

・自転車ナビラインがある道路では、自転車が優先される

⇒そんなことは全くありません。普通どおりに、車も自転車もお互い気をつけて走ってください。

・自転車ナビラインの上しか走れないから、路上駐車されている車があると走行不能になる

⇒そんなことは全くありません。そのマークには何ら法的制約はありませんので、路上駐車の車があったら、きちんと後方確認して安全に追い越ししてください。

・自転車ナビラインがない車道は、自転車は車道を走ってはいけないので歩道を走る

⇒そんなことは全くありません。自転車の通行が禁止されている道路以外は、普通に車道を走って問題ありません。

・自転車ナビラインがある道路では、自転車が歩道を走ることができない

⇒歩道側に【自転車通行可】の標識があるなら歩道も走行できます。また車道を走ることで危険性があると客観的に認められる場合には自転車通行可の標識がなくても歩道走行できます。
ただし、どちらにしても徐行することを求められます。

・自転車ナビラインがない道路では、自転車は好きな方向を走ってもいいので逆走も可である

⇒そんなことはありません。自転車ナビラインの有無に関わらず、道路交通法に基づいて、左側通行しないといけません。

周知不足もあり、イマイチ浸透しない上に、誤解も生んでいるのがこの自転車ナビラインです。

で、とんでもないサイトまであるのですが、例えば【自転車ナビラインは法的根拠と拘束力がない】と書いてあるサイトまであります。
これは重大な間違いでして、左側通行とか逆走禁止という、既存の道路交通法の規定を具現化して標識的な役割を持たせたのが自転車ナビラインなので、当然ですが左側通行を守らないと違反ですし、逆走すれば違反です。
自転車ナビラインの有無に関わらず、自転車の左端通行はしなければなりませんし、逆走は違反です。
違反の全てが取り締まりされるわけでもないように、必ず違反だから捕まるわけではないですが、自転車ナビラインはあってもなくても法的根拠と拘束力はあります。

自転車ナビラインにない法的な問題は、どの道路に、どのように描くかという統一性がないだけの話であって、それ以外は道路交通法にある既存の規則を具現化しようとしただけの話なのです。
自転車ナビラインを法制化すべきと書いてあるサイトがありましたが、書いている内容のほとんどが間違いです。
そもそも、自転車ナビラインを法制化って何をしたいのか知りませんが、例えば【自転車ナビラインがある道路ではマークの方向にしか走れない】ということを法制化してしまうと、その逆も成り立ってしまいます。
逆というのは、自転車ナビラインがない道路では好きな方向に走ってもいいとなってしまいますね。

マークを統一したいだけの法制化ならまだ意味がわかりますが、既存のマークでも見れば誰でも理解できるでしょうし、そもそも警視庁のHPに書いてあるように、既存の法律に従うだけのマークです。

そのサイトには他にも、自転車専用通行帯は、通行帯の外側を走ることができないなどと書いてありましたが、いったい何の法律を根拠にこんな嘘を書くのか、不思議です。
自転車専用通行帯は、追い越し時、やむを得ない状況ではその通行帯の右側の車線を走行できると道路交通法第20条に書いてあるんですが・・・

第二十条
3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。

前二項というのはこちら。

 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。

だいたいにして、自転車専用通行帯しか通ってはいけない、なんて馬鹿げた法律を作るわけがないことくらい、一般常識で考えればわかるでしょうに。
そんな法律になってたら、自転車専用通行帯が工事中なら、それ以降は誰も進めないとか意味不明な状態になります。

法律ってそこそこうまく出来ていて、そういうあらゆる事態を想定して作っているので、第20条の3にもあるように、追い越しするときとかやむを得ないときは、自転車専用通行帯を通らなくてもいいわけです。

間違った解釈を元に持論を進めるから、このような間違った考え方が生まれます。
正直バカなんじゃないかと思うくらいですが、こういうサイトって自分で書いていて気が付かないんですかね?
どうせまとめサイトとか他人の記事などを読んで間違った解釈を鵜呑みにしているんでしょうけど、本当にそうなのかは法自体を読まないとわかりません。
時々私は、【ネット上の情報は必ずしも正しいとは限らない】と書きますが、私も今裁判していていろいろ調べる機会が多いですが、痛感します。
弁護士さんだって、とんでも理論を発表する人もいますし、大学教授だってそうです。
名誉ある肩書があるというだけで信用されがちですが、実態はそうではありません。

よくネット上では【幅寄せは暴行罪】とか言われます。
暴行罪は刑法208条に定められた罪ですが、例えばこのような動画。

この程度で暴行罪だと騒ぐ方がいるのですが、絶対無理です。
というのも刑法38条には【罪を犯す意思がない行為は、罰しない】とあるのですが、つまりはわざとやったなら犯罪ですが、故意じゃないなら犯罪にはなりません。
単に運転が下手で、追い越ししたつもりが近かったという場合は故意ではないので、嫌がらせ目的で幅寄せしたと認められるレベルじゃないと無理ですよね。

これは幅寄せではなく煽りですが、

こんなに何度も何度も反対車線に飛び出しているのは、わざとだろうとわかるわけです。
反復性がありますから。

これは幅寄せですが、何度もやってますよね。

これは誰が見てもわざと、つまり故意でしょう。

幅寄せは暴行罪!という言葉が独り歩きして、こんな案件でも暴行罪だと言い張る人がいますが、こんなんで暴行罪にはならないでしょう。
過失傷害罪といって、過失により怪我をさせた場合に罪になるものもありますが、過失暴行罪というのはありませんし。

ネット上の情報なんて、結構いい加減です。

成果は逆走防止程度


自転車ナビラインですが、明確に方向性が描かれているので、逆走自転車を防止する機能はある程度果たせているように感じます。
逆走自転車、特にママチャリの場合ですが、実は3つのパターンがあります。

・逆走が違反だと分かっていても、反対側に行くのが面倒だから逆走する
・逆走が違反だと分かっているけど、どうせ捕まることはないから逆走する
・そもそも逆走が違反だと知らない

自転車ナビラインで、このように方向性が描かれていると、

逆走が違反だと知らない人には、かなり効果的です。

逆走が違反だと知っていながらも逆走する人にも、一定の視覚的効果はあるそうです。
ダメなんだよという無言の圧力とでもいいましょうか。

で、いわゆる幹線道路のような車通りが多い道路で、そもそも車道を逆走する自転車ってほぼいないと思います。
ゼロではありませんが。
逆走自転車が発生するのは、歩道と車道の区別がないような狭い道が多いわけです。

このような歩道もしっかりあるような道路だと、

そもそも車道を逆走する自転車がほぼ発生しません。
スポーツサイクルなら逆走する人はほぼいませんし、逆走というとママチャリが多いわけですが、歩道がしっかりあるなら、ママチャリの方がは歩道走ってます。
それがいいか悪いかはまた別問題ですが。

で、何がいいたいかというと、確かに逆走自転車を防ぐであろう一定の効果はあると思うんですが、この道路で逆走は起こる可能性は低いだろうと思われるようなところまで自転車ナビラインを書いたりなど、単なる税金の無駄使いじゃね?と思うところが多いからです。
本来、自転車ナビルートのマークがあってもなくても、どちらにせよ逆走は違反です。
むしろこういうマークがあるところとないところがあると、【無いところ=逆走可能】という間違った概念すら生みかねませんし。
しかも変な誤解を生んで、自転車ナビラインがある場合は車よりも自転車が優先だと思っている人すらいますし、自転車ナビラインに法的根拠と拘束力がないという間違った主張をする人まで出てくるわけで。

自転車ナビラインで法的にないのは、統一した基準がないと言うことくらいです。
どこに、どのように描くかの基準が道路交通法にないだけで、それ以外、例えば左端を自転車は走れとか、逆走するなとかは全部道路交通法で定められています。
そういう既存の規則を単にマーク化しただけのものですので、罰則と言う意味では法的な拘束力は当然あるのです。

警視庁も

この表示自体に新たな交通方法を指定する意味はありません(通行方法については法定又は道路標識等の交通規制に従うこととなります

と書いているわけで、既存の法律を分かりやすくしただけのマーキングです。

結局のところ、警察や自治体などの自己満足的な意味にしか感じないというか、【自転車ナビラインを作ることで、安全性確保のために頑張ってます!】という自己満足程度なんじゃないのとしか思ってません。
車道に設けられた自転車ナビルート、ロードバイクみたいに速度出る自転車ならいいですが、ママチャリの人とかかなり怖いと思いますし。
何のためにあんなもん作るのかわかりません。
誤解も産んでいる事情から見て、ないよりは有ったほうがいい、とも必ずしも言い切れないですし。

自転車ナビラインがあってもなくても、逆走すれば違反には変わりないわけで、それを取締りするかどうかはまた別問題です。
全ての法令違反が取り締まりの対象になるとは限らないように、自転車の違反であっても全てが取締りの対象となるほど、警察も暇ではありません。

ちょっと違うケースですが、前にノーブレーキの自転車だと騒いでいた方がいまして、

ブレーキレバーが無くても、違法じゃない自転車があることを知ってますか?

いろいろ話を伺って、たぶんブレーキはあるけどブレーキレバーがない自転車じゃないの?という結論に落ち着いたことがありますが、正直なところコースターブレーキについては自転車乗りでも知らない人がいるでしょう。
警察でもコースターブレーキを知らない警官はたくさんいると思いますし、それにより取り締まり対象になった人もいるようです。

コースターブレーキはマイナーなので知らない人もいるでしょうけど、それ以外の一般交通法規については、自転車乗りよりも警察官のほうが詳しいことが多いです。
しかし、その違反の全てを取り締まるほど、警官も暇ではありません。

先日の国道16号相模原の件も、私も不勉強でしたが、あれはあの道路の設立の経緯から調べないとわかりません。
いい勉強になりました。

ロードバイクが走りやすい環境になるために

こんな言い方すると元も子もないのですが、そもそも今までって、そんなにロードバイクって走りづらい状況だったのか?ということです。
個人的には狭い道は通らないようにしたりなど気をつけていますが、走りづらいところを走らないようにすればそれで十分だと思ったりしてます。

行政側の自転車事業を見ていると、その対象となっているのがママチャリなのは明白です。
ママチャリが歩道を走り、歩行者に危険な目に遭わせている現状からすると、一定の施策は必要だと思いますが、自転車ナビラインについてはそんなに効果が上がっているようにも思えませんし、無駄な税金投入するくらいなら無くてもいい気がします。

強いてロードバイクへの施策とするならば、いわゆるサイクリングロードを歩車分離するか、タイのスカイレーンのような自転車専用の走りやすいコースを増やすかでしょうか?

空港周回コースなので逆走不可、濃い色のレーンは速い人用などとうまく出来ています。
1周20キロ以上あるようですし。

当サイトの読者様でタイ在住の方がいますが、オープン当初よりも人が増えて、事故も発生していると言ってました。
しかし、カフェがあったり、ビアンキショップがあったりなど、食事も出来るし備品も買える訳で、便利そうな施設です。
シャワールームも作られる予定だそうですが、全く実現してないそうですがw

タイは国王が自転車好きという関係で、このような設備も作りやすいのだと思いますが、日本では天皇が自転車好きであっても、象徴に過ぎない天皇がこんなもん作らせるわけにはいかないですしね笑

まあ現実的に相当お金がかかるような話ですので、無理でしょうけど。
既存の一般道の中で、ロードバイクが走りやすいような構造を求めようとするから無理が生じるのだと思うので、どうしてもロードバイク天国を作りたいのであれば一般道とは別に考えたほうがいいのではないでしょうか?
一般道については、既存の仕組みの中で安全に走るように努力するしかないわけで、道路構造を変えるのは無理でしょう。

一応、CSCという施設もあるにはありますが・・・

自転車ナビラインは、逆走を減少させる程度の効果しかなく、どれだけの費用を掛けているのか知りませんが、こんなもんにお金掛ける必要性があるのかについては激しく疑問です。
費用対効果という言葉がありますが、どれだけの費用をかけていて、どれだけのリターン(事故減少)があったのか、是非データを知りたいところです。

自転車道にしても【広くして走りやすくすべきだ】という意見もありましたが、

自転車道、自転車通行専用帯、自転車ナビラインの違いってわかりますか?

その意見もその希望もよくわかるんですが、一般道に設置された自転車道って、あくまでも事故を防ぐために設置されているわけで、だからこそ国土交通省の設計速度は10~15キロなんですね。
走りやすいように作っているわけでもないことを理解しないと、この問題はいつまで経っても有意義な議論にはならない気がします。

ロード乗り視線で見れば、自転車道を拡張して走りやすい環境を!なんでしょうけど、非サイクリスト視線、行政の視線で言うと、安全性確保のための生活道路くらいの認識なわけです。
私もロード乗りなので拡張すべきという意見の意図はよくわかりますが、それをいくら唱えても、問題がそこではないので解決しないのではないでしょうか?

間違っても、今度発売される新型のベルのGENTZ、自転車道で歩行者に向けて鳴らしたりもしないでください。
せっかくのいい商品なのに、開発者の考え方があくまでも歩行者をどかすという方向性のようなので、非常に残念です。




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コメント

  1. はにわ より:

    自転車ナビラインが引かれていることで、自動車の運転手側に「自転車は車道を走るもの」という認識を与えることができるのかなと思いました。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      そういう効果もあるとは思います。
      ドライバーでも、自転車は車道ということを知らない方もいますので。

      しかしながら、その程度のことで多額の税金投入してまで作る理由があるのかはやや怪しい気がします。