LOOK、MERIDA、TIME、GIANT、TREKなどのカーボンフレーム製造工程を探る。高い理由はいったいどこ?

カーボンフレームって高いというイメージがあると思いますが、そもそもなぜカーボンフレームが高いのか、その理由については知らないという人も多いと思います。
単純にグレードが高いカーボンだから高い!というほど単純な問題でもありません。

LOOK,MERIDA,GIANT,TIME,TREKの製造工程

カーボンフレームの製造工程については、正直なところ各社ほぼ同じです。
強いて言うならTIMEについてはRTM工法という他社では採用していない方法なので別ですが、それ以外はほぼ同じといっていいでしょう。

まずはLOOKの工場から。

LOOKの場合、自社工場をチュニジアに持っています。
全てのカーボンフレームをチュニジアで製造しているわけではなく、795はチュニジアの自社工場で、785と765は台湾工場のようです。
ただし、台湾工場と言っても、LOOK社員が台湾工場に常駐して品質管理しているようです。

見てもらえばわかると思いますが、基本的にハンドメイドに頼る部分が多く、人件費がかかるというのがカーボンフレームの特徴です。
これだけ細かく裁断したカーボンシートを貼り付けていくのは、手作業ということですね。

続いて、世界第一位のブランドと呼ばれるジャイアント。

続いて、世界第二位ブランドと呼ばれるMERIDA。

基本的に手作業が多いということは全て共通です。
カーボン繊維をエポキシ樹脂に浸してカーボンシートを作り、芯材に巻きつけて、金型に入れて加熱する。
パンを作っているかのようだ、とも言われますが、まあ、ある意味似ています。
圧をかけながら加熱することで、エポキシ樹脂に含まれる気泡と余分なエポキシ樹脂を排除していくのですが、ここの過熱で気泡をしっかり追い出すことでフレーム強度が増し、余分なエポキシ樹脂を追い出すことで軽量に仕上がるということです。

ある程度オートメーション化されている部分もあり、カーボンシートを切り取るところだったり、フレーム化されたカーボンフレームに穴を開けていくところなどはオートメーションのようです。

TIMEはちょっと特殊で、RTM工法を採用しています。

カーボンシートを芯材に巻きつけるというのではなく、カーボンの原糸を筒状に編んでいきます。
編んでいったカーボン原糸の中に芯材を入れて、金型に入れてからエポキシ樹脂に浸す工法で、Resin Transfer Moldingの頭文字を取りRTMです。

なお、レジンという言葉が出てきてますが、レジンとエポキシ樹脂はほぼ同じものと考えてよいです。
レジン=樹脂という意味ですので。

TIMEのフレームはクラックなどが起こりにくいと言われますが、この独特の製法によるところが大きいようです。
見てもらえばわかると思いますが、基本的にはハンドメイドに頼る部分が大きいという点については、LOOK、MERIDA、GIANTなどと共通ですが、RTM工法のほうが時間がかかる=人件費がかかるということですね。

<ポイント1>
カーボンフレーム製造工程の多くはハンドメイドである。
(人件費がかかる)

TIMEはフランスの自社工場で製造してましたが、今年から自社工場をスロバキアに移しています。
TIMEファンにとっては、メイドインフランスかどうかというところは大きな要素のようですが。

あとTREK。

トレックはOCLVカーボンと謳っていますが、カーボンフレームに加熱する段階でできる気泡を追い出すための特殊な製法を持っているとされています。

ほかにもRIDREYの工場でも、他社と似たような感じですし。

コルナゴはラグ構造のカーボンフレームが多いので、やや違う点もありますが、基本的にしている工程はほぼ同じです。

カーボンフレームの高い、安い

一般的にですが、グレードが高いカーボン素材を使えば製品価格は上がります。
これはカーボンシート自体の値段と言っていいでしょう。

あとカーボンフレームの製造で高価なのは、金型自体です。
一個数百万とか言われますが、モノによっては100万以下でも金型を作ることも出来るそうです。
恐らくこのあたりはどこの国で金型を作るかなども関係するでしょう。

<ポイント2>
カーボンフレームの製造は、金型が高い

先ほどLOOKの映像でもありましたが、400枚を超えるカーボンシートを貼り付けていくわけですので、

この枚数が多いほど時間はかかってますね。
300枚と400枚、どっちが貼り付けるのに時間がかかるかは誰にもわかるでしょう。

<ポイント3>
カーボンシートの枚数が多いほど時間はかかっている

たぶんですが、ピナレロのオンダフォークみたいな形状って、かなり細かくカーボンシートの積層を行うのではないかと予想するのですが(特に曲がっている部分など)、どうなんでしょうかね?
先ほども挙げたTIMEのRTM工法だったり、トレックのOCLVカーボンの製法など、特殊な製法を使えばその分が時間と費用がかかります。

<ポイント4>
製法により時間と費用がかかることがある

ペダリングテストで耐久性を検査してますが、このテストで不合格連発だと、BB部の設計を変える、BB付近のカーボンシートの積層を変えるなど、設計上の練り直しが必要です。
そもそも、様々な解析を行ってフレーム形状を決めて、そこからどれくらいの枚数・形状のカーボンシートを切断し貼り付けるか、などなど設計開発費もかかります。

<ポイント5>
設計開発費や耐久性試験などお金がかかるが、それにより消費者に安心して使える製品を提供している

あとは実際に消費者に渡るまでの流通コストですね。
メーカーによっては、例えば台湾でOEMでカーボンフレームを製造し、本国で塗装して、そこから検品して、各国の代理店に渡り、各国のショップで販売するという工程ですね。
移動すればその分お金はかかります。
輸送料金もそうですが、中間業者がいればお金がかかりますし。

キャニオンなんかは、中間業者を排除しているので安いですよね。
このあたりの事情は、カーボンフレームでなくても同じです。

<ポイント6>
流通コストはバカにできないが、カーボンフレームに限った話ではない

様々な事情で製品価格は上がります。

ここまでを踏まえて

ここまで挙げてきたカーボンフレームの価格に関わるポイントです。
・カーボンフレーム製造工程の多くはハンドメイドである。
(人件費がかかる)
・カーボンフレームの製造は、金型が高い
・カーボンシートの枚数が多いほど時間はかかっている
・製法により時間と費用がかかることがある
・設計開発費や耐久性試験などお金がかかるが、それにより消費者に安心して使える製品を提供している
・流通コストはバカにできないが、カーボンフレームに限った話ではない

で、例えばですが、裏市場でカーボンフレームの金型を激安で仕入れてきて、人件費が安い国で、テキトーな人材を使って(人件費節減)、カーボンシートの枚数を少なめにして、テキトーに焼いて、耐久性試験をせずに、ア〇ババかなんかに直接出品すれば、かなりコストダウンですよね。
粗悪な中華カーボンのイメージ図です。
費用がかかる金型を安く出来、人件費を押さえ、耐久性試験などは行わず、流通コスト節減ですから、そりゃ5万円とかでカーボンフレームが買えます。

ヨネックスのカーボンフレームは、日本製であることにこだわってます。
日本は人件費が高いので、日本で作れば製品価格は急上昇します。
しかし、それがヨネックスが求める品質なので、ヨネックスカーボンフレームがかなり評価を得ている理由は、製品の精度が高いからでしょう。
タイムについても同じようなことがいえます。

たぶんですが、カーボンのグレードがどうとかはそこまで製品価格に影響するものでもないのかなと。
ピナレロが高い理由に付いても書いてますが、

ピナレロが高い理由は、本当に【ブランド料】なのか?

ピナレロの場合、まずフレームサイズが多いです。
この時点で金型の費用がかかりますので、それが製品価格に反映されます。
安いと言われるメーカーは、フレームサイズを3サイズとか4サイズに絞ってますよね。
それだと、本来はフレームサイズがあってない人も出るはずですが、あとはステムなどで何とかしろと言う考えでしょうか。

安いメーカーと高いメーカーとかよく言われますが、よく台湾ブランドについては

いろんな人
いろんな人
コスパがいい

と言われますよね。
ある意味ではその通りなんですが、タイムとかヨネックスみたいにこだわりがあり品質が高いものを求めると、どうしても高価になります。
ただそういうのがコスパが悪いと称するのはちょっと違うと思ってまして、品質から見たらむしろ妥当な値段です。
ブランド料だとか言われるブランドも、必ずしもそうではないと思ってます。

同じカーボン素材を使っても、品質次第で製品価格が変わるわけで、安いブランド=コスパがいい、と即座に判断するのはちょっと危険ではないでしょうか。

気泡がしっかり抜けるような圧をかける特殊製法なら、見た目は同じでも強度は上がっているわけですし。
中華カーボンだって、見た目だけで言ったら別に大手のカーボンフレームと遜色ありません。
しかし、よく言われるのは

いろんな人
いろんな人
乗っている最中に割れました

大手では起こりえないような事態が発生します。

この世界、どうも安くていいカーボン素材を使っていればコスパがいいといわれることが多いですが、それが本当にコスパがいいといえるのか、限りなく疑問です。

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