京都市で自転車事故が減っている理由を推測してみる。

先日書いた、サイクリストに掲載された疋田氏の記事についての話ですが、

京都市の自転車ナビラインと自転車事故数の減少について。数字を見て考えること。

正直なところで言いまして、あの記事は自転車ナビラインの効果を誇張し過ぎです。
実際、ツイッター上ではこういう意見も出ています。

自転車ナビラインが全く効果がないとは言いませんが、正直なところ疋田氏の主張は誇張し過ぎです。
その上で、自転車事故が減少している理由について考えてみます。

京都のデータより

まずこちらは平成30年のデータですが、京都府内における自転車事故の件数と、全ての交通事故の件数についてです。

※データは京都府警のHPより。

全ての交通事故についても年々減少しており、自転車事故についても同様のカーブを描いて減少しています。
自転車事故が交通事故の中で占める割合も、だいたい20~21%程度で推移しています。

おおよそ5件に一件が自転車事故ということになりますね。

その自転車事故は、7割が京都市内で発生しています。

そして自転車事故の【相手】がなんなのか?ということです。
こちらでは、自転車事故の相手は8割が【自動車】となっています。

事故発生の状況ですが、大半は【出会い頭】となっていて、次いで多いのは【左折・右折時】。

自転車事故のほとんどは交差点で起きているということです。

交差点と交差点付近で7割発生ということですね。

これらの事実からすると、交差点、つまりは車道においての自転車事故が多いのだろうということでいいかと。
そして前回も出したデータですが、

京都市の自転車ナビラインと自転車事故数の減少について。数字を見て考えること。

京都市はほかの自治体に比べて車道を走る自転車の割合が低いとなっています。

車道走行率車道順走率
整備前整備後増減整備前整備後増減
京都市17.0%20.4%+3.4%94.2%95.8%+1.8%
大阪市43.0%52.0%+9%78.6%87.6%+9.0%
新潟市29.0%33.0%+4%79.5%87.0%+7.5%

このように、京都市については自転車ナビラインを整備する前後で、自転車が車道を走る率が低いのが特徴です。
自転車ナビラインを整備しても17.0⇒20.4%と微増。
その代わり、車道を走る自転車は、逆走がかなり少ないというデータになっています。
順走率が94.2⇒95.8%と自転車ナビラインを整備後に微増。

ただし、いわゆる生活道路については、自転車ナビラインを整備しても、ほぼ変わらなかったというデータも出ています。

逆走は全く減らず、交差点での一時停止率と減速率はむしろ悪化。

疋田氏はインフラ整備でこのように述べています。

細かい街路に入ると自転車マークを見ないところがないくらいになっている。するとどうだ。まずは自転車が左側通行を守るようになった。これまでは左右デタラメに走っていたのが、矢羽根通りに左側通行。これで(おそらく)出合い頭の事故が減った。

https://cyclist.sanspo.com/504828

先ほど挙げた生活道路でのデータは2016年(平成28年)のものですが、自転車ナビラインを整備しても逆走は変わってないというデータが出ています。
もしかしたらそこから数年経ち、ナビライン遵守の自転車が増えた可能性はありますが、データにないものは推測に過ぎないので、今の段階ではデータはありません。
細かい街路、というのは生活道路を指すでしょうから、左側通行を守るようになったというデータはありません。

データから見ると、
・自転車事故のほとんどは、相手が【車】。
・自転車事故のほとんどは、交差点で起きている
・自転車事故で最も多いのは【出会い頭】
・自転車ナビライン整備後、車道を走る自転車は微増で20.4%に、順走率も微増で95.8%に。
・生活道路については、自転車ナビラインを整備しても効果が出ていない

このようになっています。
車道を走る自転車が増えているにもかかわらず、自転車事故は減少しています。
さて、ではなぜ自転車事故は減るのでしょうか?

自動車分担率の減少?

交通分担率という数字がありまして、要はどの手段で移動しているかの指標です。
京都市では、バス利用者と鉄道利用者が全国平均よりも増えています。

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平成12年比になってしまいますが、自動車の分担率も減少してますが、平成22年あたりからは微減くらいでしょうか。
自転車事故の最も多い相手である車が減れば、必然的に自転車事故件数も減少となりそうです。
ただし、これだけでは交通事故件数の減少、自転車事故数の減少を裏付けるには不十分かと。

車の利用を控えようとする動きもありますし、

【歩く街、京都】という運動をしていることからも、

自動車乗り用を控える傾向があり、車が減った結果として自転車事故減少につながっている側面のほうが大きいのではないでしょうか?
少なくとも、自転車ナビラインは生活道路では全く効果が出ていないというデータもありますし、まだ自動車分担率のほうが数字として出ている気がしますが、平成22年以降は自動車分担率が大きく変動しているとも言い難いので、これだけとも言えなそうです。

高齢者の免許返納も着実に進んでいます。

交通事故の25%程度は高齢者ドライバーが起こしていることとなっているので、全国的にも免許返納の動きは進んでいます。
高齢者がドンドン増える社会ですので、返納が進んでもむしろ割合的には高齢ドライバーが起こす事故の割合は増えているのですが、事故件数自体は減少しているのがわかります。

これらのデータから見て、一番大きいのは、交通事故の減少数と、自転車事故の減少数が同じようなカーブで減少していることかと。

それに加え、鉄道やバスなどの公共交通機関の利用率の向上、歩く街京都の政策、高齢者の免許返納事業など様々な要因で車の交通量事態が減っているので、交通事故全体数の減少、さらに約8割が【対 車】だった自転車事故も減少とつながっている可能性が高いのではないかと推測します。

自転車ナビライン整備が無能だとは思いませんが

自転車ナビラインに自体が全くの無能だとは思いません。
少なくとも、整備前後で車道走行率が3.4%向上し、車道順走率が1.6%向上しているというデータも出ていますから。

しかし、サイクリストの記事で疋田氏が述べているような、

細かい街路に入ると自転車マークを見ないところがないくらいになっている。するとどうだ。まずは自転車が左側通行を守るようになった。これまでは左右デタラメに走っていたのが、矢羽根通りに左側通行。

https://cyclist.sanspo.com/50482

これについては出ているデータとは反しています。
ただし、データ自体は2016年のものなので、それから改善された可能性もありますが。

自転車ナビラインの整備が、時個数軽減に役に立った可能性は当然あるのですが、あくまでも様々な施策のうちの一つであって、これにより事故が大幅に減少したと見ることは、ほかのデータから見ても不適切です。
様々な施策の中の一つの要素と見るべきで、自転車ナビラインを過大評価しすぎているのが疋田氏の記事ではないかと。

これらは公表されているデータから読み取れる、最も合理的な解釈だと思いますが、ほかにも何かデータをお持ちの方がいましたら、是非お願いいたします。

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