ちょっと前にウーバーイーツとバストラブルの件があったのですが、
同じ方が、またバスの追い越し時にトラブル(?)になったようです。
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バスとのトラブル?
詳しくはこちらを見てもらったほうが早いかと。
【バス動画2】
まただよ。、この後はご想像通り、引き千切り転がされ死にました。(バンバンバン)#危険運転#幅寄せ#交通事故#車間距離保持義務違反 pic.twitter.com/jrcuyiBwCb— Uber EATS 観察キット(🐔) (@UberEATS24) February 16, 2020
ハッシュタグで車間距離保持義務違反と付けているので、この方は道交法の車間距離保持義務の違反があったと考えているようです。
2度目ということもあり、この方に対する叩きもネット上では見かけます。
その上で、これは法的にどういう違反があるのか、一つ一つ検討してみたいと思います。
道交法の違反があったか?
バスの追い越し違反?
ネット上では、バスの追い越し方法に違反があったのではないか?とされています。
二重追い越しではないか?ということなんですが、そもそも路上駐停車している車の前に出ることは、追越しには該当しません。
なので二重追越しということはありません。
また二重追越しですが、軽車両(自転車)に対しては対象外です。
(追越しを禁止する場合)
第二十九条 後車は、前車が他の自動車又はトロリーバスを追い越そうとしているときは、追越しを始めてはならない。
なのでバスが二重追い越しだったということは一切ありません。
追いつかれた車両の義務?
自転車のほうが、追いつかれた車両の義務に違反しているのではないか?という意見も見られます。
これも実は成立しません。
(他の車両に追いつかれた車両の義務)
第二十七条 車両(道路運送法第九条第一項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号に規定する路線定期運行又は同法第三条第二号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。
ここで【政令に定める最高速度】という表現がありますが、政令と言うのは道路交通法施行令です。
道路交通法施行令では以下のように最高速度を定めています。
(最高速度)
第十一条 法第二十二条第一項の政令で定める最高速度(以下この条、次条及び第二十七条において「最高速度」という。)のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道(第二十七条の二に規定する本線車道を除く。次条第三項において同じ。)以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては六十キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。
このように、自転車については最高速度が定められていないため、道交法27条の追いつかれた車両の義務と言うのは、自転車に対しては適用外となります。
なので追いつかれた車両の義務は成立しません。
左寄り走行の違反?
自転車は車両通行帯が無い道路(片側一車線)では、左寄り走行の義務があります。
(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。
自転車が一台目を追越しした後も、左に戻らず、二台目の追越しまでずっと中央寄りで走っています。
なので厳密に言えば、追越し後に左に戻ってないという見方も成り立つ可能性があります。
ただこれ、後ろのバスとの関係性も不明で、中央よりを走ること(左に戻らないこと)でバスの進路を妨害していたのかもしれませんし、二台目の車を追い越すときにはどの道右寄りに来るわけで、これで違反を取ることはかなり難しいかと。
車間距離保持義務違反?
この方は前回のバスとのトラブルのときも、車間距離保持義務違反を主張されていました。
車間距離保持義務違反ですが、
(車間距離の保持)
第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
これは追突を想定した前後での車間距離に関する規定であって、追越し、追い抜き時の側方距離と言うのは、道路交通法に定めがありません。
判例では、一定の側方車間距離をとることが必要だとしたものはあったはずですが、それはそれを取らずに誘引事故を起こした場合の話なので、このケースには無理があるかと。
誘引事故と言うのは、確かですが、オートバイかなんかに対して妨害目的で長い距離を並走するように、車が至近距離にいた結果、オートバイが接触ナシに転倒したとかそういう事案だった気がします。
これは違反なのか?
この動画、バス、もしくは自転車のどちらかに違反があったのかと言うと、たぶんどちらもナシではないでしょうか?
そもそもですが、バスが追越ししてきた時点で、安全確保のために停止してやり過ごすことも出来ると思われます。
死にたいなら路上駐車の車とバスの間に突入するでしょうけど、自ら突入する理由が無い。
この動画、ここで途切れているので、このあと何があったのかはわかりません。
ここから先でトラブルがあったのかどうか、それ次第で話は変わると思うのですが、こんな短期間で二度もこういうことに遭っていること自体が普通ではない気がします。
ただこの動画を見る限り、バス、もしくは自転車に明確な法令違反があったのかと聞かれると、かなり微妙な気が。
安全運転するという意識なのであれば、このような至近距離で追い抜きを開始されたときに、路上駐車している車とバスの間に突入せずに、普通に減速ないし停止すれば安全なので、ロード乗りの皆さんは【無理をしない】、【自分の安全は自分で守る】ことが大切かなと思います。
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