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ロードバイクとショートクランク理論。

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近年、ショートクランクという概念が出てきて、適正といわれる長さよりも短いクランクを使うプロ選手も出てきました。
チームスカイはクランク長非公開ですが、ショートクランクを使っているのでは?という噂も多々あります。

 

そもそもクランク長が長い、短いということが、どのような効果を生み出すのかについては、まだ解明されたとは言えません。

適正クランク長とショートクランクの定義

長年言われてきた目安ですが、適正クランク長として

 

身長の10分の1程度

などと言われてきました。
身長170センチであれば、適正クランク長は170mmということになりますね。

 

ただこの公式ですが、何か理論があって決まっているのかというと、私が知る限りでは理論的な背景があるわけではないようです。
何となくの目安だったのではないかと思ってます。

 

ロードバイク関係って意外と理論的背景が不明なことって多く、例えばよくあるサドル高の出し方。
股下に係数を掛けて算出する方法がありますが、そもそも係数自体が何かの根拠を持つわけでもなく、文献によっても係数がバラバラ・・・

 

しかもクランク長などは全く考慮されていないことにも違和感を感じる人が多いのではないでしょうか?
でも、こういう係数で出す方式にはちゃんと逃げ道も用意されていて、

 

いろんな人
いろんな人
係数を掛けて出た数字はあくまでも目安なので、そこから微調整して決まります!

 

まあ、その通りなんでしょうけど、目安だけなら単に跨ってみてでも出てくるわけで、いったい何のために算出した数字なのか?という疑問が出てくるわけです。

 

なお、この記事においてショートクランクの定義を決める必要があります。

ショートクランクとは、一般に適正とされてきた長さよりも、短いクランク長である

このように暫定的に決めます。

ショートクランクとケイデンス、パワー

まず、よく言われているショートクランクの理論について確認します。
図式化してみました(ちょっと極端ですが)。

青が適正とされたクランク長、オレンジがショートクランクだと思っていただければ。

 

巷で言われることとしては、

・クランク長が短くなる ⇒ ケイデンスが上がる

 

・クランク長が長くなる ⇒ テコの原理で大きなパワーを出せる

このように言われてきました。
つまり、クルクル回す派ならショートクランク、パワー重視(トルク重視)ならロングクランク。

 

図を見てもらえばわかりますが、クランク長が長いほうが、ペダル(足)が移動する距離は長くなります。
これは当たり前の原理ですね。

 

青が170mmクランク、オレンジが165mmクランクだとすると、円周は2πrで求めることが出来ますので、

 

・170mmクランクの円周 = 2 × 3.14 × 170 = 1067.6mm

 

・165mmクランクの円周 = 2 × 3.14 × 165 = 1036.2mm

 

170mmクランクの場合、165mmクランクに比べて足の移動距離は31.4mm長いということになります。

 

もしどちらのクランクも同じケイデンス90rpmで回すとするならば、当然ですが長いクランクのほうが速く回していることになります。
同じケイデンスならば、165mmクランクに比べて、170mmクランクだと1.03倍ほど速く足を回していると言うことになりますね。

 

<追記>
パワー計算で、当初、以下のサイトで紹介されていた計算式を引用したのですが、

クランク長の違いによる”てこ”のパワー差を計算してみる【ショートクランクの話①】 – 壊れた大人のマインドノート

 

読者様の指摘頂いたのですが、テコの原理で説明するなら、この計算式は誤りでした。

 

正しくはこちらに詳しく書きましたが、

ショートクランクとパワーの関係性。ショートクランク化で必要とされるパワーはどれくらい?
ちょっと前に書いた、ショートクランク理論の話なんですが、 この記事で、ほかのサイトに掲載されていた計算式を引用したのですが、ご意見を頂きました。 いつも拝見させて頂いております。 少し前の記事なのですがショートクランク理論で書かれているペダ...

 

同じチェーンリングを使うなら、チェーンリングの大きさに関係なく、クランク長の比のみによってパワーが変わるが正解です。

例えば、クランク長170mmとクランク長165mmで、【同じチェーンリングで】比較します。
チェーンリング上に同じ力を発生させるには、短いほうの165mmクランクでは、170/165倍の力(約1.03倍)の力が必要となります。
つまり170mmクランクに比べて、165mmクランクでは、チェーンリング状に同じ力を発生させるのに、3%程度強く踏む必要があります。

(追記終了)

 

もし仮に、同じ速度で足を動かしているとすると、当然ですがショートクランクのほうがケイデンスは上がります。
しかしショートクランクのほうがテコの原理からすればパワーを使うことも分かっていますので、【同じ速度で足を回す】ということについてはよりパワーを消費すると言ってもいいでしょう。

ペダリングで使われる筋肉

ペダリングで使われる筋肉については、こちらがより正確かなと思われます。

引用:https://www.welovecycling.com/wide/2016/05/06/kind-muscles-used-pedal-stroke/

 

ペダリングを図式化すると、こういうイメージです。

時間 股関節 膝関節
A 11時~2時くらい 屈曲 伸展
B 2時~5時くらい 伸展 伸展
C 5時~7時くらい 伸展 屈曲
D 7時~11時くらい 屈曲 屈曲

ここでいう、屈曲とか伸展というのは、関節位置というよりも関節が動く方向を意味します。
股関節が伸展位から屈曲方向に動くことを、ここでは【屈曲】位置づけています。

 

これが一般に言われるペダリング中の筋肉の作用です。
ビッグマッスル、大きなパワーを生み出すのは、股関節伸展筋とした作用するお尻の筋肉(主に大殿筋)と、ももの裏(ハムストリングス)ということになります。

ショートクランクにおけるペダリングの違い

ショートクランクとロングクランクで、どのような違いがあるのかということを考察していきます。
どうでもいいですが、タイプミスしたら【所得ランク】と出てきましたw
ショートクランクの発声法が悪いと、所得ランクの話をしていると誤解されかねないので十分ご注意を。
きちんと伸ばすところは伸ばしたほうがいいですね。

 

既にショートクランクだとパワーが落ちる、しかし足の移動距離は少ないことは示しました。

上死点での違い

まず、170mmクランクと165mmクランクの場合ですが、一般的にはサドル高は、クランクがシートチューブに沿った一番遠い位置で決めます。

もしここからクランク長が5mm短くなるということであれば、当然ですがサドル高さもシートチューブに沿って5mm上がります。

170mmクランクの軌道を青、165mmクランクの軌道を緑だとします(比率がおかしいのは気にしないこと)。

下死点でサドル高をあわせているなら、先ほども書いたように、5mmクランク長が短くなると、その分サドル高は上がります。
そして上死点ではクランク長が5mm短いわけなので、170mmクランクのときに比べて、165mmクランクだと10mm分上死点を下げる効果が出ているわけです。

これは下死点でサドル高を合わせる場合の話で、ショートクランク化してもサドル高を変えないという前提で行くならば、上死点は5mm下がるだけの効果になります。
一般的には下死点でサドル高を合わせると思うので、クランク長を5mm短くする効果は、上死点でのペダル位置は10mm下がるということになるでしょう。

 

これにより、上死点でスムーズに通過できる可能性が出てきます。

至適筋長

筋肉には至適筋長といって、関節がどの位置にあるときに最もパワーを発揮しやすいか?というものがあります。
至適筋長は、【最大張力を発揮するために一番いい筋節の長さ】と定義されます。

 

例えば肘を曲げると言う動作は上腕2頭筋の作用ですが、肘の関節位置が伸展位(まっすぐ伸びた状態)なのか、軽く曲げた状態なのかで発揮されるパワーに差が出ることは知られていて、肘で言うならば屈曲角度90度~100度くらいのときに最大筋力が発揮されるとしています。

 

ペダリングで見ていく場合、股関節を伸展していくときが最もパワーを発揮する(0時以降6時未満)とすると、股関節伸展筋の観察で言うと、このような文献があります。

股関節屈曲30~50度においてハムストリングは大殿筋の二倍程度の強い伸展トルクを発揮する。本研究では膝関節は軽度屈曲位であり、股関節屈曲運動はSLRに近い動きになる。このためハムストリングスは屈曲60度以上で筋膜などが伸張され、非弾性要素によるトルクが増加する。一方、股関節伸展位ではハムストリングスの伸展トルクが急激に低下するのに対して、大殿筋は関節角度によるトルク変化が比較的小さく、相対的に大殿筋の発揮トルクが大きくなった。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf

この実験では膝関節を軽く曲げた状態で固定しているので、ペダリングの動きとは違うのであまり参考にはならないのですが、ハムストリングスは筋膜が伸ばされた状態のほうがトルクが発揮されやすいとあります。
ハムストリングスが伸ばされる状態は、股関節屈曲位かつ膝関節伸展位なので、クランク長の違いでどのように変化が出るのか?というところはなかなか難しそうな気がします。

 

例えば、クランク長いほうが、上死点付近で股関節はより屈曲し、膝関節はより屈曲しています。
クランク長を短くすると股関節の屈曲はやや抑えられ、膝関節の屈曲もやや抑えられるのですが、どっちのほうが力が発揮しやすい状態といえるのかについては、いろいろ文献を探してもよくわかりませんでした。

 

ハムストリングスは二関節筋というのもポイントで、股関節の伸展と膝関節の屈曲を起こす筋肉です。

 

至適筋長として、クランクが短いほうがパワーを出しやすい可能性について調べてみましたが、これといってそれを証明するものは見つかりませんでした。

 

あと、下死点でサドル高をあわせていると言う条件であれば、見方を変えると上死点付近ではサドル高が通常よりも上がっていると見なすこともできます。
サドル高を通常使っているサドル高の95%、97.5%、100%、102.5%、105%の 5条件において、酸素摂取量、心拍、筋放電量を計測したという実験がありますが、サドル高が上がるにつれて酸素摂取量と心拍が増大し、60rpm下では大殿筋とひふく筋の筋放電量が増大したとするものもあります。

実験の結果 ケイデンス条件に関わらず サドル高が酸素摂取量および心拍数に
及ぼす影響には、有意な主効果が観察され (p< 0.001)、サドル高の上昇にしたが
って酸素摂取量および心拍数は増加した。

60rpm条件では大瞥筋および排腹筋の放電量がサドル高の増加とともに有意に増
大する傾向を示し (p< 0.001)、90rpm条件においては大殿筋の放電量にサドル高
の増加に伴う有意な増加 (p< 0.001) が観察された。

https://www.juntendo.ac.jp/hss/sp/albums/abm.php?f=abm00007520.pdf&n=2011-M-671.pdf

これは下死点であってもサドル高が高いのでそのまんま見ることは不適切ですが、大殿筋は股関節を伸展させル動き、ペダリングで言うと0時~5時くらいまでを意味しているので、その状況ではパワーが増大したと見なすことも出来なくはないわけです。
ただしショートクランクとは前提条件が全く違うので、参考にもなりませんが。

上死点でのスムーズな動き

これは経験的にも分かると思いますが、ショートクランク化で上死点が下がる、つまり股関節の屈曲角度が減少するので、スムーズに回しやすくなるという効果はあると思います。

 

これがいわゆる、【ショートクランクにするとケイデンスが上がる】とされる理由に繋がる可能性はあります。

ショートクランクは効果的なのか?

噂によると、チームスカイはショートクランクと普通のクランクでいろいろとデータを取っている、という話も聞きますが、とにかく非公開なので、ショートクランクなのかどうかすらわからないとされています。

 

ただその上でですが、股関節が最大屈曲に近いレベルまで持ち上げるような、上死点が上がり過ぎるようだと、ペダリングのスムーズさは落ちるでしょうし、恐らくですが至適筋長という観点でも、好ましくない可能性はあります。
ショートクランクが有効かどうかというのは、単に上死点でのスムーズさの追求なのではないかと思うのですが、極端に短いクランク長にすれば上死点ではスムーズでしょうけど、パワー自体は落ちるので、そのバランスかと。

 

一方、テコの原理も無視できないほど大きな要素になっているので、長いクランクだから必ずしもダメというほど単純でもない気がするのですが、これらについては実際にデータを取ってみないと恐らくは不明です。
個人差もあるかもしれません。

 

私は身長が180センチありますが、クランク長は一貫して170mmを使っています。
一度ショップの方にも、172.5mmでもいいんじゃない?と言われたのですが、たまたま最初に乗ったビアンキに付属してきたのが170mmだった関係で、LOOKに乗り換えたときもわざわざ170mmクランクに交換しています。

 

一般に言われる適正クランク長よりは、ちょっと短いのかなと。

 

試乗車に乗ったりするときは、だいたいはいつも使っているクランクより長いことが多いです。

 

で、クランクの適正な長さはどれくらいなのか?についてですが、根本的なところで言うと、身長の10分の1説については根拠らしきものもなく、言い方は悪いですがやや胡散臭い気がします。

 

もしクランク長を決める指標があるとしたら、むしろ膝下の長さなんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか?

下腿が長い人だと、このように股関節屈曲の角度が深くなります。

大腿骨の長さと、下腿の長さは人それぞれ違う上に、民族差もあるようなのですが(比率)、信頼に値するような文献が見つかりませんでした。
あるショップでは大腿骨の長さを測ってクランク長を決めているみたいなことが書かれてますが、そういうところに着目しているショップもあるんですね。
まあ、より正確には上死点での股関節の屈曲角度と膝の屈曲角度で見るのが良さそうな気がします。
人間それぞれからだの柔軟性、股関節の柔軟性は違うので、その人の最大の股関節屈曲角度に対して、上死点でどれくらいのパーセンテージの屈曲角度なのか?というところで見ていけば、上死点でスムーズに回せるかの指標が出るかもしれません。

 

実際にところ、今現在ではショートクランクがなぜ有効なのか?と聞かれると、諸説あるでしょうけど正確に説明できる要素はありません。
その上で、アマチュアサイクリストは自分で試してみてのフィーリングで決めるか、パワーメーターなどがあればそういうのでデータを取るしかないですね。

 

こちらがシマノクランクのラインアップです。

160 162.5 165 167.5 170 172.5 175 177.5 180
デュラR9100
アルテR8000
105R7000
ティアグラ4700
ソラR3000
クラリスR2000

この件で有力な資料などお持ちの方がいましたら、是非ご提供ください。

 




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