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BBハイト、BB下がりが走行性能に与える影響。ジオメトリを読み解く。

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恐らく初心者の方にとって、ジオメトリほど難解なものはないと思います。
いろんな数字が書いてあっても、その意味を理解することは初心者さんにはほぼ不可能に近いのが実情ですし、既にロードバイクに乗っている人にとっても、ジオメトリについて読み取るのが難しい人もいると思います。

 

ジオメトリというと、水平トップ長を見る人が多いでしょうし、最近だとリーチやスタックでしょうか。
https://roadbike-navi.xyz/archives/7332/

 

そんな中、ややマイナー感があるBBハイト、BB下がりについて今回は考察してみます。

BBハイト、BB下がり

BBハイトという場合、地面からBBまでの距離、BB下がり(BBドロップ)の場合は、以下のように定義されます。。

前後のハブ中心を線で引き、そこからBBまでの垂線がBB下がり(BBドロップ)です。
つまりBB下がりが大きいという時は、BB位置がより下がっているという意味になります。

 

よく言われることとしては、BB下がりが大きい、小さいでこのようになります。

BB下がりが大きい BB下がりが小さい
重心 下がる 上がる
安定性 安定性が大きくなる 安定性は小さくなる
ペダリング ダイレクト感はやや薄れる ダイレクト感は増す
足付き よくなる 悪くなる
ペダルの地面への引っ掛け 起こりやすい 起こりにくい

足付きとかはロードバイクの性能としてはさほど重要視すべき点ではないので、簡単に言えばBB下がりが大きい=安定性重視、BB下がりが小さい=機敏性重視とでも言いましょうか。
もちろんこれだけでフレームの性能全てが決まるわけではないので、あくまでもBB下がりだけに注目した場合です。

なのでレーシング系フレームなら、BB下がりを小さめに、エンデュランス系フレームならBB下がりを大きく取る、という方向性はありまして、LOOKのバイクで見ると、こうなります。

車種名 タイプ BB下がり
795 BLADE RS レーシング 65mm
785 Huez RS レーシング 65mm
765 OPTIMUM エンデュランス 68mm

ここについてはフレームサイズでBB下がりを変えている車種もありますし、共通の車種もあります。
LOOKは共通ですね。
ジャイアントで見ていくと、レーシング系とエンデュランス系ではやはり数字が異なっています。

車種名 タイプ BBハイト
TCR ADVANCED SL DISC レーシング XSのみ70mm、それ以外は67.5mm
DEFY ADVANCED PRO DISC エンデュランス XS~Mは75mm、MLのみ70mm

一般的にサドル高はペダル位置、もしくはBB位置を基準にしますので、BB下がりが大きい(=BBが下にくる)場合は、サドル位置もそれに合わせて下がります。
なので地上高は下がるので、重心が下になるということですね。

 

一般的に、ピストバイクはBB下がりが小さく(BB位置が上)60mm程度になっていたりするのですが、ロードバイクの場合は70mm程度が主流でしょうか。
ピストバイクの場合、バンクでペダルを擦ったら大変なことになりますし、やや高めです。

BBハイトとチェーンステイ長

BB下がりによって、チェーンステイ長も変わりうるところです。
例えば、ちょっと無理がある図ですが、オレンジがBB下がりが小さい(=BB位置が上がる)とします。

理屈的には、リアハブの位置が同じだと仮定すると、オレンジのほうが少しだけチェーンステイ長が短くなります。
チェーンステイ長が短くなれば、その分リア三角の剛性が上がるので、加速性重視とも言えなくはありません。
ただ、カーボンフレーム全盛の時代、このあたりの剛性コントロールについては、カーボンのグレードだとか、積層、ボリュームの出し方など様々な要素で剛性は変化するので、必ずしもチェーンステイ長が短くなった=剛性が上がったとも言えないかもしれません。

 

参考までにLOOKの各バイクのBB下がりとチェーンステイ長を。(リムブレーキ)

タイプ BB下がり チェーンステイ長
795 BLADE RS レーシング 65mm 405mm
785 Huez RS レーシング 65mm 405mm
765 OPTIMUM エンデュランス 68mm 410mm

ディスクブレーキ車の場合、タイヤクリアランスを広げていることも多く、ディスク車のほうがチェーンステイ長が長めのことが多いです。
これはシート角も関係しますし、ディスク車はスルーアクスルの件でフレーム剛性が上がり過ぎるともいえるので、フレーム剛性をやや落とすためにチェーンステイ長を長く取る可能性もあります。

BB下がりとシートアングル

BB下がりが小さくなる=重心が高くなるわけですが、実際にはBB下がりの違いだけでは重心の高さは分かりません。
ペダル位置という意味での重心であれば、BB下がりが大きく関わりますが、サドル位置で言うと、シート角も大きく関わります。

サドルの高さはシートチューブに沿った長さなので、シート角が寝ているとの立っているのでは、サドルの地上高は変わります。

 

一般的傾向で言うと、レーシング系フレームのほうがシート角は立っている、エンデュランス系フレームは寝ている傾向です。

体感的感覚として

前に乗っていたビアンキのIMPULSO(サイズ55)と、今乗っているLOOK765(サイズM)ですが、いろいろ比較するとこうなります。

ビアンキ IMPULSO LOOK 765
BB下がり 68mm 68mm
シート角 73.5度 73度
チェーンステイ長 410mm 410mm

どちらも同じホイールを使ってますが、最初LOOK765に乗り換えたときの第一印象として、

管理人
管理人
なんか重心が高い気がする

 

サドル高さは同じですし、クランク長も同じ。
シート角はIMPULSOのほうが立っているので、サドルの地上高としてはIMPULSOのほうが高いはずなんですが。
なぜか感覚としては、765のほうが重心が高く感じます。

 

これの理由を考えると、単にフレームが軽くなったお陰で、相対的には重心が上がったからなのかなと思ところです。
まあ、所詮は体感なので、何ら根拠を伴うものではありませんが。

 

なので体感とジオメトリの数字が必ずしも一致するとも限りません。
最初、ジオメトリを確認せずに体感の結果では、765のほうがBB下がりが大きいんだと思ったくらいです。
下りでの安定感も、IMPULSOのほうが安定感があるように感じたりするのですが、気のせいかもしれないし、気のせいではないのかもしれません。

 

BB下がりですが、主に関わるのは安定性、重心だと考えます。
どれくらいがベストなのかは人それぞれ好みの問題だと思いますが、同じような価格帯のバイク、似たような方向性のバイクを比較しても、BB下がりを大き目にしているメーカーと、小さめにしているメーカーもあります。
そういう観点で見ても、どっちを買うかの比較に役立つかもしれません。

 




コメント

  1. 多木哲也 より:

    「自転車の重心が低い方が安定している」というのは、間違いではないでしょうか?
    確かに自動車などバンクさせられない乗り物では「低重心=安定」ですが、自転車など重心が高いほどバンクさせてバランスが取りやすいです(逆に機敏なハンドル操作は難しくなります)。
    「トールバイク」で検索した二階建て自転車の動画でも、サドルに座るまでは苦労していますが一旦サドルに座ってさえしまえば初めて乗る自転車の割に安定しているように見受けられます。また、「竹馬では高い方がバランスが取りやすい」という実体験もあります。
    いかがでしょうか?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      おっしゃりたいことの意味はわかります。
      例えば超低重心と言えるリカンベントバイクは、驚くほど低速安定性が悪いですし。

      ただ、体感的なところで言うと、以下のことも間違いではありません。
      ・荷物を積載するツーリング車の場合、低い位置に荷物を積載したほうが安定性は高い(=重心が相対的に低くなる)
      ・超軽量バイクに乗ると、ヒラヒラした不安定感を感じる(重心が相対的に高くなる)

      また、子供乗せのママチャリの場合、近年はどんどん低重心化が進んでいます。
      ただしこういう自転車の場合、ホイールベースをかなり長く取っているものが増えています。

      BB位置が高いロードと、低いロードでは10mm程度の差がありますが、多くの人は乗った感想として、重心が低く安定感がある、と評します。

      これらを考えていくと、本来自転車の安定性については単に高さの問題ではなくて、ジオメトリ全体でコントロールしているのだろうと思われますが、詳しいことについてはわかりません。

      重心が高いほうが安定性が高いというのは、左右への動揺に対して、リカバリする能力が高くなるからだと認識していますが、これは高さ以外の全ての条件が同じだと言う仮定の下、高いか低いかによる評価だと思います。
      その他の要素も含まれうるので、本来は単に高い低いだけで語るものではないですが、ロードバイクに関して言うならば、BB位置が低いもののほうが【安定性が高い】と感じる人のほうが多いようです。

      • 多木哲也 より:

        自分の体重とバイク(荷物を含む)の重量比の問題ですかねぇ。
        直接的に重心移動させる身体は高い位置にある方がバランスを取りやすく、間接的に重心移動することになるバイクの重心は低い方がバランスを取りやすいんだと思いました。

        • roadbikenavi より:

          コメントありがとうございます。

          重量比率の問題はあると思います。
          あと、高ければ無限大に安定性が増すというのもちょっと違うのではないかと思うのですが、これ以上はちょっとわかりません。

  2. AK より:

    私はジオメトリの中でBBドロップを特に重視していて値が異なる三つのフレームを持っているのですが、BBの高さがそのまま重心の高さに比例していると感じます。

    所持しているのは66mm(ディスク)、70mm(リム)、76mm(ディスク)ですが現在はリムは乗っていなくて66mmと76mmを乗るので76mmを長く乗ったあとに10mmも違う66mmを乗ると慣れるまですごくヒラヒラしていて真っ直ぐ走るのが難しく感じます。(もちろんそれ以外の要素もあると思いますが)

    最近はディスクブレーキだと重心が下がるという記事を見ますが、BBドロップの影響のほうがはるかに大きく感じるので、ブレーキ位置はそれほど関係ないのではと思っています。最近のフレームがBB下がりを大きく取るのが流行なのがディスクブレーキの重心と混ざって評価されているような感じを受けます。

    それと大切なことなのですがBBハイトではなくBBドロップ(またはオフセット)だと思うので修正したほうが良いのではないでしょうか。「BB位置の地上からの高さ」と「BB位置の車軸から下がり分」とでは意味が正反対です。

    地上高を表すBBハイトはメーカーによってはBBドロップとともに別途記載している場合がありますが、これがあまり一般的でないのは取り付けたタイヤ幅(高さ)や空気圧によって値が変わってしまうからだと考えられます。BBドロップだと純粋に車軸からの下がり分のオフセット値で定量的に表せるから意味があるんだと理解しています。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      まずご指摘の件、BBハイトの意味を混同していました。
      ずっと前後輪のハブとBB位置の距離のことをBBハイトだと思ってまして(すみません)。

      ほかの方から指摘を頂いている件も関係するのですが、BB下がりが小さい(=重心が上がる)ほうが力学的には安定性が高まるという話もあり、もうちょっとこの件は調べないと、と思っていたところでした。
      しかしおっしゃるように、BB下がりが小さい(=重心が高い)ほうがヒラヒラすると体感する人のほうが多いように感じるので、どうなんでしょうね。

      ご指摘ありがとうございます。
      とんでもない間違いでした。

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