ロングクランク理論。ショートクランクとは対照的な考えかもしれませんが。

何度か書いてきた、ショートクランクの話。

近年、ショートクランクという概念が出てきて、適正といわれる長さよりも短いクランクを使うプロ選手も出てきました。 チームスカイはクランク長非...
先日書いたショートクランクの話なんですが、 正直言いますと、クランク長の決定には、いろんな要素が関わると思ってます。 例...

クランク長の決め方については、従来の定説ですとこうなります。

身長の10分の1

これについて調べても、特に何か根拠があるわけでもなさそうなのですが、数年前から、チームスカイが短いクランク(ショートクランク)を使っているのではないか?ということで、適正と言われてきた数字よりも短いクランクに注目が集まってます。

そんな中、その逆でロングクランクを推奨しているケースもあります。

ロングクランク理論

ややこしいので、ロングクランクの定義を先に。

従来の定説である、【身長の10分の1】よりも長いクランク長

とりあえず暫定的にこう決めます。

ロングクランクを推奨しているのは、恐らくやまめ乗りの方くらいなのかなと思うのですが、やまめのブログを見ると、やはり従来の定説よりもはるかに長いクランクを使っているようです。

171cmのワタクシ、クランクの長さは175mmを使っております。

159.5cmのおちえさん、クランクの長さは172.5mmです。

https://www.yamamekobo.com/blog/?p=496

特筆すべきは、身長約160センチの女性が、クランク長172.5mmということです。
ちなみに私、身長180センチですが、クランク長は170mmです。
私より身長が20センチ近く低いのに、私よりも長いクランク長ですね。

やまめ乗りについては、生体力学的には合理的だと思っているのですが、本や動画を見ただけで真似しても、どうもうまいこと行きませんでした。
平坦に関しては良かったのですが、登りではむしろ足が回らない感じでして、恐らくは何か間違っている(←私が)でしょう。
本やネットだけでやると、全てを理解することは無理です。

やまめ乗りの場合、自転車の重心がどこにあるのか?ということと、自分の重心を合わせるというイメージなんだと思うのですが、本読んでネットで動画見ただけで全て理解するのは難しいところ。

クランクの長さは、身長で決まるものではないと、ワタクシは感じています。

https://www.yamamekobo.com/blog/?p=496

このようにも書いています。

ちなみにですが、プロロードレーサーの新城幸也選手は、身長170センチで、クランク長は172.5mmのようです。
ただしプロ選手が皆、【適正】と呼ばれたものより長いクランクを使っているのかというと、そういうわけでもありません。
サガン選手は、身長184センチで、クランク長は172.5mmのようですから、適正から見るとかなり短いクランクといえますし。

クランク長の意味

やまめのブログの筆者さんも、このように書いています。

ワタクシ、クランクの長さは脚の回転数で決めるものだと思っております。

短いクランクは、速く回すのに向いています。

長いクランクは、ゆっくりした回転に向いています。

https://www.yamamekobo.com/blog/?p=496

これは定説ですが、ショートクランクはケイデンス重視型、ロングクランクはトルク重視型であると。

これはショートクランクの話でも書いたことですが、

近年、ショートクランクという概念が出てきて、適正といわれる長さよりも短いクランクを使うプロ選手も出てきました。 チームスカイはクランク長非...

クランク長が長いか、短いかによって、ペダルが描く円周長は変わります。

165mmと170mmで比べると、31.4mm円周長が異なるわけです。

・170mmクランクの円周 = 2 × 3.14 × 170 = 1067.6mm

・165mmクランクの円周 = 2 × 3.14 × 165 = 1036.2mm

【もし】、どちらのクランク長でも、同じ速度で足を回転させているなら、クランク長が短いほうがケイデンスは上がります。
【もし】、どちらのクランク長でも、ケイデンスが同じなら、長いクランクのほうがより前に進みます。

前の記事でも引用したように、テコの原理で、長いクランクのほうがパワーは出るといえます。

こういう事実から見ても、

ショートクランクはケイデンス重視型、ロングクランクはトルク重視型

これ自体は、まあそうだろうと思うわけです。

長いクランク長の問題点

長過ぎるクランク長の問題点は、上死点で股関節が窮屈であることではないかと思うわけです。

クランク長が長くなれば、上死点での股関節屈曲角度は上昇する。
そのため、長いクランクについては、根本的に股関節の柔軟性が高くないと、不可能だろうと思います。
身長160センチ弱で172.5mmクランク、上死点が苦しくない股関節の柔軟性がないと、かなり厳しいように思いますし。

パワーを活かせるという点では、長いクランクにはメリットがあると思い案洲。
やまめ乗りの場合、踏むのではなくて、前荷重にすることでクランクは勝手に回り出すという話だと思うのですが、身長とクランク長は関係ないと言っている点も興味深いところではあります。

これ、私も限定的にはその通りではないかと思ってまして、限定的にというのは、身長ではなくて股関節の最大可動域と下腿の長さに依存するのではないかと考えています。


黄色のほうが下腿(膝から足まで)が長いので、その分膝の位置が上になります。
つまり、より股関節の屈曲角度が上がります。
下腿の長さはある程度身長に依存する面もあるので、【限定的に】という表現にしていますが、同じ身長でも、民族差で下腿の長さは違うようです。
あくまでも統計的な数字ですが。

ショートクランクとロングクランク、どっちがいいの?

ショートクランクとロングクランクと、従来の定説に基づくクランク長。
どれがいいの??と聞かれると、もうこればかりは人それぞれとしか言いようがありません。

これに関わる要素としては、
・乗り方の嗜好(ケイデンス重視、トルク重視)
・股関節の柔軟性
・下腿などの長さ
・その他

女性のロードバイク選びでも書きましたが、

ここ何回か、身長が低い女性のロードバイク選びについて書いていますが、 記事の中でも多少触れていますが、...

低身長女子がロードバイクを買おうとした場合に、フレームサイズ出困ることについてはいろいろ書きましたが、従来の定説である【身長の10分の1理論】からみても、長過ぎるクランク長がついてきます。
これの原因は

そもそもシマノのクランク長は、105を除き165mmが最短
(105だけ160mmアリ)

こういう状態なんで、そもそも選ぶ選択肢すらありません。

160162.5165167.5170172.5175177.5180
デュラR9100
アルテR8000
105R7000
ティアグラ4700
ソラR3000
クラリスR2000

いくつか、フレーームサイズが小さい完成車を調べてみても、105完成車であっても、最短の160mmクランクが付いてくるとも限りませんし。

車種名クランク長車種名クランク長
TREK エモンダALR記載なしスペシャライズド DOLCE165mm
LIV LANGMA SL165mmピナレロ PRIMA記載なし
LAPIERRE AUDACIO 300 W記載なしWILIER MONTEGRAPPA TEAM記載なし
SCOTT SPEADSTER記載なしKOHDAA BLOOM FARNA105160mm
corratec DOLOMITI記載なしMERIDA SCULTURA400(38,41)165mm
FELT FR30165mmCINELLI EXPERIENCE記載なし
CANNONDALE CAAD13記載なしLOOK765170mm
ANCHOR RL6W(390)105完成車のみ160mm、それ以外は165mmCHAPTER2フレームセットのみ
ANCHOR RL6W(420)165mmPINARELLO RAZHA記載なし

クランク長について、メーカーサイトで記載がないことも多いです。
実際に問い合わせてみると、噂では【全部のサイズで170mmです】と回答してくるメーカーもあるとか、ないとか。
仕入れる側としては、同じクランク長で統一したほうがコスト的にも在庫管理的にもラクでしょうけど。

女性用ロードバイクだと、そもそも従来の定説ですら満たすことは困難です。
ただし、あくまでも一般論として、男性よりも女性のほうが身体の柔軟性は高いので、上死点で股関節が窮屈すぎるということが起きにくいのかもしれませんし、単にそういうもんだと我慢している人もいるかもしれないし、やまめの方のように、長いクランクのほうが適していると思って使っているケースもあるかもしれません。

長いクランクと短いクランク、従来の定説のクランク長、どれがいいのかについては今のところ明確な理論はないようです。
なかなか気軽にいろんなクランク長を試すということも無いでしょうけど、自分の身体の柔軟性を知った上で考えていくしかないのかなと思ってます。