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クロモリフレーム唯一無二の特徴は、オーダーできるところ。パイプの違いで乗り味も変わる。

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クロモリフレームについて、読者様から質問を受けてました。
正直なところクロモリフレームはあまり興味がないと言ったら大変失礼なんですが、主要なパイプメーカーの名前とか、溶接処理の方法だとか、ラグの有無だとかは知ってます。
このあたりをまとめたサイトってないんですよね。

 

私自身、クロモリで乗ったことがあるのは、アンカーのネオコットだけです。
持つと重いけど、意外と登れる子なんだなと思った記憶しかありません。

クロモリは重いのか?

測定重量だけでいうなら、間違いなく重いでしょう。
カーボンとは比較にならないですし、エントリーグレードのアルミフレームと比べてもやや微妙な重さ。

 

ただし、いいクロモリフレームって、持つと重いのに走ると軽いと言われます。

 

例えば私が乗るLOOK765(カーボン)は、未塗装重量で1100gです。
カーボンフレームとしてはむしろ重いほうかもしれません。

 

一方クロモリフレームってフレーム重量が2000gとかになるものもあるし、軽くても1400gとか普通に行きます。
重量だけで見ると重いけど、なぜか走りが軽いという現象は普通にあることです。

 

フレーム重量と走りの軽さは比例するとは限らない。
この理由が何なのか??というと、ジオメトリも関係するでしょうし、クロモリだとパイプの選択なども関係するでしょうし。
どこをしならせて、どこをしなりにくくするのか?というところが関係しているのかもしれません。

 

アンカーのネオコットも、フレームセット(フレーム+フォーク)で2700gとなっているので、重量だけを見たら何の魅力も感じないのが本音ですが、走ってみると2700gとは思えませんし。
カーボンフレームから見ても1キロ以上重いのに、なぜかクロモリのほうが走りが軽いという逆転現象も起こりうるわけです。

クロモリチューブメーカーと種類

クロモリのチューブは、主に以下のメーカーがあります。

 

・カイセイ
・レイノルズ
・コロンバス
・デダチャイ
・タンゲ
・ECO

 

どのチューブメーカーの、どのチューブを使うのかによって、まずフレームの性質が変わるわけです。
簡単にまとめました。

メーカー チューブ名 特徴
カイセイ 017 厚い箇所0.7mm 薄い箇所0.4mm
019 ロードで標準的なチューブ。厚い箇所0.8mm 薄い箇所0.5mm
022 厚い箇所0.9mm 薄い箇所0.6mm
024 厚い箇所1.0mm 薄い箇所0.7mm
4130R クロムモリブデン鋼。軽量でしなやか。厚い箇所0.7mm 薄い箇所0.5mm
8630R クロムモリブデン鋼にニッケル添加。4130とともに最軽量。4130よりも硬め。厚い箇所0.7mm 薄い箇所0.5mm
Ultima R 焼入れ加工を入れた超軽量で肉薄チューブ。競輪など競技用
レイノルズ 525 もっともベーシックなチューブ。UTS(最大抗張力):700-900 Mpa, Density(密度) 7.78gm/cc
725 525に熱処理を加え強度と剛性を向上。UTS(最大抗張力):1080-1280 Mpa, Density(密度) 7.78gm/cc
631 Air Hardened(接合加熱後の冷却でチューブの強度が増す)性質。(最大抗張力):800-900 Mpa, Density(密度) 7.78gm/cc
853 631び熱処理を加えて強度と剛性をアップ。UTS(最大抗張力):1250-1400 Mpa, Density(密度) 7.78gm/cc。最も肉薄で硬いチューブ
コロンバス CROMOR やや肉厚なチューブでカイセイ022、タンゲNo2相当。オーダー車よりもメーカー量産車に使われる
LIFE ニオビウム添加した軽量バテッドチューブ
SPRINT ニオビウム添加で、LIFEよりも軽量
ZONA スタンダード
SL 軽量で70年代にはよく使われた
SLX NEW 軽量なSLXの復刻版で、軽量、高剛性、高耐久性
タンゲ PRESTIGE No1に熱処理を加えて硬度を高めたチューブ。
No1 カイセイ019に相当する軽量チューブ
No2 No1の下位グレードで、70年代にはよく使われたチューブ

これらのチューブでも、前三角用はあるけど後ろ三角用のチューブがないモデルなどあるので、組み合わせて使うようです。
このように、どのチューブを使うかでフレームの乗り味も変わるわけですし、クロモリといってもかなり薄いチューブもあり、体重が重い人には向かないチューブなどもあります。
ランドナーなどツーリング車では、厚めのチューブを使うようですし、恐らく最近出てきているグラベルロードのクロモリフレームも、肉厚なチューブを使っているのだろうと思われます。

ラグ?ラグレス?

チューブとチューブをつなぐのに、ラグを使うか、ラグを使わず直接溶接をするのかに分けられます。
ラグを使わないほうが軽量に仕上がるのですが、ラグ自体の美しさを重視する人もいるので、デザイン性にも関わるところです。
ラグだと、フレームの設計度に制約が掛かるとも言えますが。

 

こちらは、トマジーニのラグ。

トップチューブ、シートチューブ、シートステーの交点に段差がありますが、ここがラグで接続されている部分。
ていうか、トマジーニ、カッコよすぎる。

溶接

チューブとチューブを結びつける溶接は、ロウ付けとTIG溶接があります。

 

<ロウ付け>

ロウを流し込んで固定する方法。ロウの融点が低いため、チューブを痛めずに溶接できる。
ラグを使うなら、ラグとチューブの間にロウを流し込んで溶接し、ラグレスならチューブ同士を面あわせした後、ロウ剤を盛ってつなぐ。

 

<TIG溶接>

チューブのスチールを溶かしてほかのスチールと溶接する手法。
アルミフレームでも使われる。

TIG=Tungsten Inert Gas、タングステン電極を使って行う。

 

このように、クロモリと言っても様々なチューブがありますし、ラグ付き、ラグなし、溶接の種類などによりよって見た目や重量なども変わります。
溶接については、技術的に日本が優れているようです。

どのクロモリフレームを選ぶべきか?

クロモリと言ってもいろんなフレームがあるわけですが、例えば10万円くらいのクラリス完成車でクロモリフレームというものもあれば、フレーム単体で30万以上するクロモリフレームもありますし。

 

クロモリの場合、基本的にホリゾンタルフレームなので、スローピングフレームよりもサイズ選びがややシビアになります。
スローピングフレームだと、一つのサイズでカバーできる適正身長の幅はやや大きいですが、ホリゾンタルフレームはややシビア。

 

トマジーニの本国サイトを見るとフレームサイズが16サイズもあったりしますし、コルナゴの名車マスターとかも12サイズもありますし。

 

クロモリフレームがアルミやカーボンよりも優位にある点は、オーダーできるという点なんじゃないかと思うわけです。

 

厳密に言えばカーボンフレームでもオーダーのところは知ってます。
クロモリの場合、チューブを組み合わせて作るわけで、より身体にあったジオメトリのフレームを作成できるという点が最も優れているのかなと勝手に思ってます。
フレームサイズが多いということも意味合い的には同じですね。

 

ということで、個人的に気になるクロモリフレームをいくつかピックアップしていきます。

トマジーニ

FIRE

値段(税別) 41万5千円
フレーム素材 COLUMBUS SPIRIT
フォーク フルカーボン
フレーム重量 1550g
SINTESI

値段(税別) 33万
フレーム素材 COLUMBUS NEURON
フォーク Tommasini AIR Nivacrom
フレーム重量 1730g

※トマジーニの場合、諸条件で値段が変わります(カスタムオーダー、カラーオーダーなど)。

 

クロモリの美しさでは、やっぱトマジーニだよなと納得の一本。

コルナゴ

MASTER

 

値段(税別) 33万
フレーム素材 CrMoDT15V
フォーク Precisa CrMo
フレーム重量 1550g

デローザ

NUOVO CLASSICO

値段(税別) 43万
フレーム素材 スチールフレーム
フォーク クロモリ
フレーム重量

チネリ

VIGORELLI ROAD

値段(税別) 11万5千円(フレームセット)

26万(スラムAPEX完成車)

フレーム素材 コロンブス Thron tubeset
フォーク カーボン350g
フレーム重量 2000g
SUPERCORSA

値段(税別) 29万(フレームセット)
フレーム素材 コロンバス SL
フォーク コロンバスSL 630g
フレーム重量 1830g

ラグがカッコイイ。

アンカー

RNC7

値段(税別) 18万(フレームセット)

27万(105完成車)

フレーム素材 Neo-Cot Cr-Mo Professional スピニングバテッド
フォーク Cr-Mo ロー付け
フレーム重量 2700g(フレーム&フォーク)

アンカーは比較的手に入りやすい上に、RNC7はカラーオーダーがアップチャージなしで可能。
こちらはロウ付けによる溶接をメインとし、下で紹介するRNC3はTIG溶接でコストダウン。

RNC3

値段(税別) 10万5千円(フレームセット)

19万(ティアグラ完成車)

15万(ソラ完成車)

フレーム素材 Neo-Cot Cr-Mo Standard スピニングバテッド
フォーク Cr-Mo ユニクラウン
フレーム重量 2840g(フレーム&フォーク)

ティアグラモデルのほうは、カラーセレクトあり。

ジオス

FELLEO


 

ジオスは比較的安価なクロモリ完成車が揃ってます。

値段(税別) 16万8千円(105完成車)
フレーム素材 COLUMBUS SPECIAL TUBING FOR GIOS
フォーク カーボン
フレーム重量
VINTAGE


値段(税別) 10万5千円(クラリス完成車)
フレーム素材 4130 CR-MO SPECIAL TUBING FOR GIOS
フォーク クロモリ
フレーム重量

ジオスにはジオスのほか、イタリア製造の【ジオストリノ】もあるのですが、ジオストリノは日本にはほぼ入ってきてないと思います。

GIOSというブランドの特異性。GIOSが二つあるって知ってますか?
皆さんは、GIOSというと何を思い浮かべるでしょうか? ジオスブルーという特徴的な青のフレームが一つのアイデンティティですよね。 先日の記事でいろいろとメールいただいたりもしているのですが、 この記事とジオスに何の関係が?と思う人もいるかも...

パナソニック

パナソニックにはカスタムオーダーでクロモリフレームを作るサービスがあります。

車種 ORCC02 ORCC12 ORCC22
メインチューブ タンゲPRESTIGE カイセイ8630、017 カイセイ8630
フレーム重量 1920g 1890g 1710g
接合方式 ヘッド・シート・ハンガーラグ ヘッド・シート・ハンガーラグ  低温銀ロー付溶接
ヘッドラグ インテグラルタイプ
ヘッド・シート・ハンガーラグ 低温銀ロー付溶接
フォーク 660g 450g(カーボン) 450g(カーボン)
フレームセット価格 13万5千円 20万 14万5千円
アルテ完成車 29万 38万5千円 31万3千円
105完成車 24万8千円 34万3千円 27万1千円

※価格は税別。

東洋フレーム

GENIUS ROAD
GENIUS ROAD | TOYO FRAME
※納期についてご注文の仕様が確定してから生産を行う受注生産方式となっており、現在の標準納期は4ヶ月前後となっております。仕様や時期などにより変動する場合がございますが、受注確定(お支払完了)後のキャンセルは原則的にお受けできません。注文に関...
値段(税別) 20万
フレーム素材 COLUMBUS GENIUS(メイン)
フォーク カーボン 310g
フレーム重量 1790g

国内オーダーフレーム工場

よく名前が挙がるところでいうと、ケルビム、LEVEL、TADA、などなど調べると結構あります。

 

こちらはLEVELのツーリング車。

キャンプツーリング用にカスタムしているそうです。

【俺流バイク自慢】LEVELのクロモリフレームをグラベルキャンプツーリング仕様に!
俺流!ロードバイクを自慢させてくださいの第5弾です。 今回投稿いただいたのは、LEVELのクロモリフレームをグラベル化&キャンプツーリング仕様として使っているという方です。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle...

<追記>
すみません、ビアンキのエロイカを忘れてました。
https://roadbike-navi.xyz/archives/14175/

ラレーとかMIYATAも忘れてました。

スチールバイク特集!RALEIGH(ラレー)はクロモリだけでなくマンモリも。
先日のクロモリフレームについての記事。 いろいろ抜けているものも多くて、例えば代表的なところでいうとMIYATAとかRALEIGHですね。 帰り道にトボトボ歩いているときに、思い出していたのですが、読者様からも指摘受けました。 そんなわけで...

クロモリ選ぶなら

クロモリといってもいろいろあるわけですが、フレームセット販売が多いのが特徴です。
そのため、実際のところミドルグレードのカーボン完成車を買うよりもむしろ高くつく場合すらあります。

 

トマジーニとかデローザとかコルナゴとか、そのへんはやっぱ高いですし。

 

カーボンフレームでも使うカーボンのグレードにより剛性を変えたりする訳ですが、クロモリの場合はチューブの選択で剛性をコントロールしているといえます。

 

クロモリ買うなら、やっぱオーダーフレームでしょうか。
正直なところ、フレームメーカーの多くは既にクロモリフレームを作ってないところも多いですし、あまり見かけないのも事実です。
独特の細身のパイプは、アルミやカーボンではない造形なので、見た目重視でクロモリを選ぶ人も多いでしょうし、落車しても壊れにくいことからも、クロモリは一生モノという人もいますし。

 

純粋に欲しいなと思うのは、個人的にはトマジーニかコルナゴ、チネリ。
カーボンでもアルミでもそうですが、いいフレームを買おうとするとやっぱりお金はかかります。
クロモリと一言で言っても、使うチューブによって正確は変わりますので、クロモリという大雑把なところだけでなく、どんなチューブを使っているのかに着目しても面白いですね。




コメント

  1. 高はし より:

    高はしです。
    私は鈍感なので、乗り味の違いがよくわからなかったというのが正直なところですが…。
    クロモリフレームは、ビルダーさんの人柄で選ぶかな~とか。それこそ「思い込み」に近い価値観ですけどね。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      まあ、フレームの差は分かりづらいとも言われますからね・・・

  2. だいすけ より:

    カーボンフレームってパートのおばちゃんが作れるんですよ、メーカーにとってはコスパ抜群なんですねー
    それを狙ってカーボンにユーザーを誘導した結果がちょっと前の状態だと思います
    今はエアロエアロで、各メーカーのフレームが同じような形になってきて今後どうなってしまうんでしょうかねー

    あ、たまに認証用の画像が表示されません

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      まあ、ちょっとしたトレーニングを積めば、誰でもシートの貼り付けが出来るという点では、カーボンはラクなんでしょうね。
      未塗装でロゴがなければ、ほぼ一緒になっている現実もありますが・・・

      認証用画像が表示されにくいのは、過去に記事でも書いてますがそういう仕様だと思って頂けると。
      どうしてもサイト表示高速化のために、勝手になってしまうのです。

  3. k より:

    クロモリはパイプとジオメトリでおおよそ性格の予想が付くのがいいですね。
    カーボンは良くも悪くも乗って裏切られることがありますから。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      >カーボンは良くも悪くも乗って裏切られることがありますから。

      逆に、これが何で起こるのかを考えるのも面白そうですね。

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