自転車追い越し時の【側方距離】について。

先日書いた記事について、コメントを頂いていたのですが、

こちらの記事に対してなんですが、コメント頂きました。 というお話です。...

ちょっと誤解されているのでは?と思うところがありまして。

読者様
読者様
速度超過と追い抜きで車線変更もせず、側方間隔が取れないときでも待たずに抜いていく、違反率ほぼ100%の車から、道交法云々で一方的に偉そうに言われる筋合いもないですし…

側方間隔が取れないときでも抜いていくのが、違反なのか?というところについて。

側方距離についての規定は無い

道路交通法上、車間距離についての規定はこちらになります。

(車間距離の保持)
第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

これは明らかに、前後距離ですね。

で、ここからがややこしいのですが、追越しの定義はこうなっています。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

二十一 追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。

道交法上の追越しは、【進路を変えて】が条件です。
そして追い越しの方法についてはこのように決まっています。

第二十条

3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない

ここは車両通行帯がある道路、つまりは複数車線の道路のことを意味してます。
複数車線がある道路だと、追越しするときは右側の車両通行帯を通行せよとなっています。

こちらは複数車線ではない道路の場合。

第二十八条 車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。

4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない

右側を通行して追い越せよという規定です。

例えばこれ。

いわゆるすり抜け行為ですが、追越しするときは車線変更せよという規定に違反するのかというと、違反していません。
理由は、そもそも追越しではないから。

追い越しは【進路を変えて】という定義なので、進路を変えていない以上、そもそも追越しではないということになります。
道交法上では用語の定義はありませんが、追越しと区別する意味で【追い抜き】と言われるのが一般的。

じゃあ、これはどうなのか?となると、

これも進路を変えていないので、別に問題は無いらしく。
広い道路だと普通に成り立ってしまいますよね。

これは道路交通法上、追越しです。

複数車線の道路で、進路を変えて、右側の通行帯を通っているわけで。
ちなみにこれになると、

ちょっと微妙らしいですが、現実的に取り締まりに遭う可能性はほとんどないでしょう。
厳密に言えば車線変更を完了しきってないと言えますので、違反かと思うのですが。

で、これ自体は

進路を変えていない以上、追越しではないとみなされるので、違反にはなりません。
そして側方距離も特に規定は無いので、違反ではありません。

強いて言うなら、これに違反する恐れはあります。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

非常に抽象的な表現なので、実務上は、事故でも起こらない限りは適用は困難かと。
事故と言うのは、接触もそうですが、非接触驚愕事故も含みます。

非接触驚愕事故というのは、接触して無くても、あまりにも近い距離だったのでビックリして単独落車したみたいな話です。
これはドラレコなどが無い限り、証明も難しいのですが。

で、最初の話に戻るのですが。

読者様
読者様
速度超過と追い抜きで車線変更もせず、側方間隔が取れないときでも待たずに抜いていく、違反率ほぼ100%の車から、道交法云々で一方的に偉そうに言われる筋合いもないですし…

これの側方距離が取れないときでも待たずに抜いていくというのが、道交法のどの部分の違反を指しているのかよく分からなかったのと、どういう場面を想定しての違反なのかがよくわからなかったので質問させていただきました。

ちなみに愛媛県では、独自の条例を設けています。

Q4 自転車との安全な間隔に関して、道路交通法等の法令に根拠規定はありますか。

A4
いいえ。道路交通法では、歩行者の側方を通過する場合については“安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない”と規定していますが、自転車との間隔そのものに関しては規定がなく、自転車を含めた車両を追い越す場合の方法として“できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない”旨を規定しています。
そこで、「条例」では、自転車の側方を通過する場合も“安全な間隔を保ち、又は徐行するよう努めなければならない”(第6条第2項)と規定したものです。また、国家公安員会告示の「交通の方法に関する教則」においても“自転車との間に安全な間隔を空けるか、徐行しなければなりません”と規定し、交通安全教育等の現場で活用されています。

https://www.pref.ehime.jp/h15300/1-5m/documents/15qa2807.pdf

ただし、目安となる側方距離を示しているものの、条例自体には側方距離の規定はなく、単なるスローガンに近いもののようです。
当然道交法以上の罰則はありません。

ということで、車が自転車を追い越すときの側方距離については、道路交通法では何ら規定が無いのが現実です。
なのでこのコメント者さんが想定している違反率ほぼ100%とは、何に違反しているのかを教えてもらえれば。

あっちが悪いと言ってもしょうがない気が

自転車乗りの立場で言うと、車はマナーが悪いと見えるでしょうし、車のドライバー目線で見れば、自転車はマナーが悪いと見える。
これは当たり前の理屈というか、自分を守ろうとするとどうやってもこういう考えにしかなりません。

立場によって見え方が変わるのはしょうがないので、お互い様なんですよね。

で、そこを突いて敵視しても解決するとはあまり思ってなくて。
立場が違うんだから、そりゃ考え方も見方も変わるでしょうし。

私の考えなんですが、お前が悪い、いやお前が悪い、みたいなやり取りをしても特に解決しないと思ってまして。
自分を守るという観点で見れば、生身の二輪車は大怪我もしくは爆死する確率が高いのだから、必然的に譲るような走り方してないと、爆死しますよというだけの話。

自転車側が譲る姿勢を見せていれば、相手も見方を変えるかもしれない。
お互い譲り合う気持ちを、まずは自転車側から見せませんか?というだけの話です。

で、根本的に解決するならば、車の車道と、自転車道の完全分離以外は無いです。
最近、やたらとオランダなどの事例を持ち出して、完全分離したがっている勢力も多い気がするのですが、ロードバイクとしては特にメリットが無いんですよね。

車道と自転車道の通行について、質問をいただきました。 先日車道をロードで走っていたところ、交差点にいらした警察官に注意を受けました。 曰...

こんな対面通行の自転車道を作られると、

これ、車が走っている車道部分をロードバイクで走行すると、通行区分違反になります。
自転車道として正規に整備されている都合上、法令上の扱いはここを通らないと違反。

ママチャリの安全を第一にするなら、これでいいのかもしれませんが、ロードバイクは事実上走る場所を失います。
なのでこういう自転車道を整備するのはいいのですが、出来れば道交法の【普通自転車】の定義を変えて、ロードバイク等は別枠にしてもらうしかないのですが、ママチャリとロードバイクを合理的に区分する方法が無い。
ハンドル形状で分けると、ママチャリにドロップハンドルの人がいたらどうなるんだとか、いわゆるルック車はどうするんだとか、ややこしいので。

で、側方距離の件ですが、一応判例もあるようです。
しかし、判例がある=事故になった、ということでしょうから、事故が起きていない【単に近いだけ】については、違反とはいえない。

いろんな人
いろんな人
ロードバイクは信号無視とか並走が多くマナーが悪い!

いろんな人
いろんな人
車は追い抜きのときもやたら近くてマナーが悪い!

お互いの悪いところを挙げていっても、何か生まれそうな予感がしないのは私だけでしょうか??
違反行為については改めるべきですが、結局は同じ道路を使う以上、譲り合いの精神を啓蒙したほうが建設的な気がします。

何となくコメント者さんが言いたい内容もわかるのですが、側方距離については、道路交通法上では規定がありません。
なので側方距離で違反率が、という車に対する批判については、違反とはいえない要素が大きいので、控えたほうがいいのではないかと考えています。

批判しあっても意味がないのもあるのですが、批判自体に根拠が無いと良くないと思うので。




コメント

  1. HIRO より:

    正直クルマの側だってすり抜けは自車に接近してくる=ぶつかって来るように感じるので怖いのは同じです
    ましてやバイクならエンジン音で気がつきますけどロードは、ねえ
    「ミラー見てれば分かるだろ」と言われても音がしない相手に気づけるくらい必死にミラー見てる=前方注意欠落しまくりなわけですから

    …と分かっているので自分が自転車側の時は絶対すり抜けはしません信号開けは原則クルマに先に行ってもらいます
    いつも仰られるようにそれだけで済むはずなんですよね

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      まあ結局はお互い様なので、譲り合いの精神しかないんですよね。
      悪いところを挙げていっても、あんまり建設的な議論にはならないですし。

      車は先に行かせたほうがいいですよね。
      どうせ、速度も勝てませんし。