先日の記事について。


もしかしたら誤解を生んだかも、と思うところがありまして。

結局のところ、転がり抵抗の差は少ないのではないかと。
についてですが
近年では「インピーダンスロス」なるもの考慮も必要である
との説がありまして
ヒステリシスロス+インピーダンスロス=転がり損失
となるのでは?
「インピーダンスロス」については
検索していただくと結構ヒットすると思うのですが
私の場合「タイヤ 転がり抵抗 インピーダンス」
で検索をかけました
実際の路面は凹凸があり
空気圧が高いと、タイヤが跳ねる
⇒運動エネルギーの向きが変わる⇒失速
という風に解釈しました
オフロードオートバイの世界だと
荒れた路面でのトラクションが良いエンジン・車体
といった言い方をするので
あっさりと上記解釈になったのですが管理人さんはどう思いますか?
これについて。
この方にも返信させていただきましたが、おっしゃることはまさにその通りです。
今読み返すと、いろいろ端折り過ぎて雑に書いてました。
Contents
問題点
最初の記事で書いたことですが、

よく言われる実験の話ですね。
この実験、【23cと25cで、同じ空気圧の場合には25cのほうが転がり抵抗が少ない】という結果になります。
これは書いたとおりで、【同じ空気圧の場合】という前提がおかしい。
一般的に同じ人が乗るなら、23cと25cで同じ空気圧という前提がおかしい。
次に、バイシクルローリングレジスタンスの実験の話。

こちらの問題点は、実走ではないこと。
実験室での話なので、この方が指摘してくださったインピーダンスロスが反映されない。
いわば理想状態に近い路面を想定して、しかもホイールには人間が乗っかっていることの荷重も掛かってない状態での実験なので。
これを無意味な実験だとする人もいます。
※【同じ空気圧の場合】のデータも、実験室での話なのかその辺は不明なんですが。
なのでこれらの実験って、どっちも不完全といえば不完全。
それもあって、こちらの記事でも少し触れてますが、

もうちょっと実験方法など、議論はあってもいい気がします。
思うに
私が勝手に思うことですが、より正確に考えるなら、まず3パターンくらいの路面を想定します。
凄く舗装がいい状態、普通の状態、荒れた路面の三つ。
そして、それぞれのタイヤ幅に合わせて空気圧を設定して・・・というのがベストな環境なんじゃないかと。
こういう意見も頂いてます。

ただ、それだと官能評価メインになりそうですから、メーカーとしては訴求力が
心配なのかもしれません。
むしろこっちの評価のほうが面白そうかも。
しかしそれで得るデータをどのように客観的に見るかについては、やはり問題が出る可能性もある。
結論としてですが
これについては何度も書いているように、
自分で使ってみて、気持ちよく走れるほうを選べばよい
データはデータとして見ながらも、結局は自分自身の感性だけなんですよね。
で、前の記事で言いたかったことは、データとして出ているものに対して、それを全て鵜呑みにするのはおかしくない??というところです。
【同じ空気圧の場合】という前提がついている時点で、データを全て受け入れるのはやはりおかしい。
ローリングレジスタンスの結果についても、今回指摘していただいたように、インピーダンスロスをほぼ無視しているので、実走とはズレる可能性が十分ある。
もうちょっと探せば、より正確なデータが見つかるのかもしれないのですが、どうも良さそうな研究がない。
タイヤメーカーは当然持っているはずなんですが、社外秘なんでしょうし。
で、根拠を問われると厳しいのですが、想像として。
舗装状態がいい路面、もしくは普通レベルの路面で実験すると、23cでも跳ねることはほぼないでしょうから、転がり抵抗自体はほぼ変わらないのではないかと予想します。
これが荒れた路面になってくると、恐らく太いタイヤのほうがいいというデータが出そうな。
なので本来は、
・タイヤごとに、適正空気圧を入れた状態にして
・いくつかの路面パターンで実験する
こうじゃないと、意味があるデータは取れないんじゃないですかね。
恐らく理系的な発想なんですが、ある実験結果を見たときに、その実験の手法から考えます。
意味があるデータが取れる実験なのかどうか?というところからの検証ですね。
前に、【結線は不正と腐敗の象徴】という名言を残した方がいました。
ある雑誌でやっていた実験、


あの実験、期待していたんですよ。
スポークに歪みゲージをつけて、走行中のデータを取るというところまでは着眼点がよかった。
けど、問題はその先。
スポークは引っ張りだけに使われる、というデータを出したところまではいいんです。
そこからいきなり話が飛んで、【結線は無意味】となるところがおかしい。
結線ありと結線なしのホイールで比較対照試験をしないと、この結論を出してはいけないんですよね。
これは理系ではなくてもある程度分かると思いますが、ホントもったいない。
あの発表って、例えるなら吉野家と松屋の牛丼みたいなモンなんですよ。
どっちが旨いか?という評価をするなら、当然両方を食べ比べないとわからない。
けど、吉野家の牛丼しか食べずに、松屋はマズい!という結論を出したようなもの。
それがおかしいことは、わかる。
比較してから決めようぜ!と。
それと同じといったら語弊があるかもしれませんが、【同じ空気圧で】という条件付けがまず不自然だし、ローリングレジスタンスのほうも実走とは異なるデータになる恐れがある。
そういうことです。
ちゃんとした研究設備を持つ人が実験してくれるとありがたいのですが、25c化に進んでいったのは、ヨーロッパで戦うプロ選手の意向も反映されているようです。
プロ選手は、実際に走ってみた【感覚】として、太いほうがいいと感じたわけでしょう。
当初より23cと25cの転がり抵抗の話が雑誌などに載るたびに、

と思って見てました。
わざわざ【同じ空気圧の場合】と前提がつくのは、何か恣意的な要素があるのでは?と思ってみてました。
実際のところは、勝手な予想で言うと、路面状況次第になりそうな気がします。
非レース派の人からすれば、
使い比べてみて、気持ちよく走れるほうを選べばよい
もう、これだけの話です。
いくらデータ上で優れていると出ていても、使ってみた感覚を優先するでしょうから。
というわけで、メールありがとうございました。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
同じ空気圧が前提ということは
・適切な空気圧の25Cと空気圧の低い23Cの比較ですよね。
そうすると走行抵抗は当然25Cのほうが低くなりますよね。
または
・空気圧の高い25Cと適切な空気圧の23Cの比較
これも研究室レベルの結果では空気圧の高い25Cのほうが走行抵抗は低くなりますね。
しかし一般人は
「23Cよりも25Cのほうが抵抗が低いんだって!だって本にそう書いてあったもの」
となります。
適切な空気圧同士で比較すれば当たり前ですが23Cのほうが抵抗は低いですね。
それを言わずに 同じ空気圧ならば などという詐欺的な比較にこの業界の闇を感じます。
コメントありがとうございます。
私はむしろ不思議に感じる事があって、なんでこの前提にツッコミ入れる人が少ないのだろうと・・・
同じ空気圧ならば、という時点で、なんだそりゃ!という人が多くてもおかしくないはずなんですけどねw
こんにちは
私はアンカーのRL8で23Cと25Cの比較を行いました。
当然ですが23Cの方が空気圧が高くて、25Cの方が低いです。
この前提無しに転がり抵抗を比較するのは無意味な事だと思います。
結果は当然のように、圧倒的に23Cの方が転がり抵抗が低く、自転車が軽くなったように感じます。
追記:当ブログでコメントが送信されないことが続いていましたが、原因はクロームにアドブロックを入れていた事で、アドブロックを停止して送信されました。
コメントありがとうございます。
これは体感上のお話だと思うのですが、体感での話の場合、23cと25cのタイヤの重量差も効いてくる可能性があります。
これがまたこの問題の難しいところでして・・・
【同じ空気圧の場合】という謎前提で堂々と試験結果を発表するメーカーなどにはうんざりしてますw
根本的にあり得ない前提ですので・・・
コメントの件ですが、アドブロックも関係するのですね。
私自身も表示されないことが多々あるので、この問題については諦め気味です。
高はしです。
少しばかり検索してみたのですが、インピーダンスロスについて、なるほどと思う部分と、まだ議論を必要とする部分とがありそうですね。
なかなか計測手法に踏み込んで記載した情報が少なく、中にはトラクションロスまで含めて論じているサイトもあったりするのですが、マクロ~ミクロにみたときに、路面の凹凸に対して生じる損失と考えるのが、シンプルなように思えました。(惰行法だと速度の影響がありそうですし、トルク検出も精度が大変そう。素人目には、ですが…。)
ここで検討しておきたいのは、凹凸がなぜ損失になるのか?です。感覚的にはアタリマエなのですが、凹凸がどうしてエネルギーロスになるのかって、意外に説明しにくいかな~と。
ひとつは、凹凸によって生じる上下動が位置エネルギ→熱に変換していそう。あと、凹凸によってより大きな変形がタイヤに生じると、これも熱に変わりそうです。他にもありそうですが、思い浮かびません。
こんな風に考えてゆくと、全体としての変形を小さくするために内圧を高めたい一方で、凹凸には表面で追従して重心変化を抑制したい、というトレードオフの問題になりそうです。
車重が圧倒的に大きくてサスペンションに依存することが許され、変形についてもトレッドの厚みやパターンへの依存が大きな自動車・オートバイと自転車とでは、「場」が大きく異なっているということですね。(国内の大手自動車タイヤメーカーが必ずしも自転車タイヤでは…というのも、無関係ではないかと。)
コメントありがとうございます。
実は私も、インピーダンスロスの物理学的な本質にはやや疑問を持ってまして、その本質をどう説明するのかには疑問がありました。
SILICAの実験データも知ってましたが、イマイチ説明がつかない点があるので取り上げなったのですが・・・
単に凹凸に対するタイヤ変形なら、それはヒステリシスロスの一部ではないか?という懸念もありまして。
凹凸によって跳ねている部分自体を、駆動してないから損失とみるのであれば、また違う話もなりそうな・・・
このあたりも込みで、いい実験があれば紹介したいところですが、メーカーの実験の場合、自社製品を売りたいがために、条件付けが不自然なこともあるので、なおさら難しい・・・