フレームサイズとフォークの関係性。ヘッド角・オフセット・トレイルを見ていく。

先日もちょっと書きましたが、

ちょっと前にも書きましたが、2021年モデルのメリダは、今までの表記と逆になります。 2020年モデルまでは、ディスク...

2021年モデルのスクルトゥーラ リム400は、なぜか8サイズもあります。
同じくリムブレーキのカーボンモデルの4000も8サイズ。

4XSというサイズまであるわけですが、小さいサイズほフレームのジオメトリが苦しくなり、フロント側に目を向けるとフォークなどがシビアになってきます。
せっかく8サイズ展開になったわけなので、そんな話を。

ジオメトリの話

まずは一般的なジオメトリの話。

近年、フレームサイズ選びにはリーチの概念が重視されてます。

近年、ほとんどのロードバイクがスローピングフレームになっています。 スローピングフレームでサイズ選びをするとき、水平トップチューブ長で選ぶ...

リーチというのは、図の【X】に当たる部分。
BBからヘッドチューブ上端までの距離を指します。

なぜリーチが大切かというと、BB~サドルまでの距離は、どのフレームサイズであっても、同じ人がポジションを合わせるのであれば、同じ距離になります。
一般的に、サドルの前後位置については、ペダルを水平に置いて膝のお皿との関係で決めますので。

ポジション決めの中でも、最初に決めるべきポイントと言っても過言ではないのが、サドルの前後位置です。 サドルの前後位置と高さが決まらない限り...

なのでBBから後ろの距離については、あまり関係ない。
今は基本がホリゾンタルフレームなので、水平トップ長はあくまでも仮想の数字。

シート角が寝れば、勝手に水平トップ長は伸びるわけで。

なのでBBから前側の距離、リーチが重視されてます。

けど今回の話は、どちらかというとヘッド角とフォークオフセット、トレイル値あたりに目を向けてみます。

ヘッド角、オフセット、トレイル

まずはヘッド角。
より正確に書くと、ヘッドチューブ角ですので、ヘッドチューブと地面の間の角度ですね。

ついで、フォークのオフセット。

フォークは完全に真っ直ぐではなく、微妙に前側に曲がっている。
これがオフセット量です。

トレイルというのはこちら。

ヘッドチューブから伸びる線と、フォーク先端の垂線を引いて距離を出します。
ロードバイクだと60mm程度が多い。

トレイルが長くなると直進安定性が良くなり、短くなるとハンドリングがクイックになります。
なのでフロント側は、フォーク次第、ヘッド角・オフセット・トレイルの3点により特性が変わるといっていいでしょう。

で、普通サイズのフレームはいいとして、小さいサイズの場合。
簡単に言うと、ヘッド角が【寝る】、シート角が【立つ】。
これで小さいフレームになります。
ハンドルとサドルが近づくわけですので。

ヘッド角が寝る方向に行くと、トレイルは大きくなります。

トレイルが大きくなると直進性が増すと同時に、ハンドル捌きはマッタリする方向になるので、一部のメーカーではフォークのオフセットをフレームサイズごとに変えて、トレイルを一定にしようとします。

ただこれ、全てのメーカーがフレームサイズごとにオフセットを変えているわけでもないようで、どのサイズでもフォークが共通という場合もあります。
フレームサイズが小さくなれば、ヘッド角は寝る方向に行きます。
フォークが全サイズで共通の場合には、小さいサイズほどトレイルが大きくなり直進性が強くなってしまう。
なので低身長の人ほど、このあたりは気にしてみたほうがいいかもしれません。

というところまでを踏まえて、まずは先日も紹介した、8サイズに増えたスクル リム400から見て行きます。
メリダが8サイズもある、という時点で結構な衝撃ですが、小さめフレームがどうなっているかは注目ポイントですから。

2021 MERIDA SCULTURA RIM400のジオメトリ


まずはスクル400(リム)のジオメトリから。

3841444750525456
シート長380410440470500520540560
トップ長490500515520530545560575
チェーンステイ408
ヘッド角70°70.5°71°72°73°
シート角75°74.5°74°73.5°73°
BBドロップ7066
ヘッド長95100120130140150170190
フォーク長374375
リーチ358366376373384386390394
スタック492499519529542555574593

サイズ38が4XSとなってます。
メーカー発表の適応身長はこちら。

サイズ適応身長
38145~155
41150~160
44155~165
47160~170
50165~175
52170~180
54175~185
56180~190

で、これ。
2020年モデルでは確か5サイズだったはず。

これが2021年モデルで激増した・・・というわけではたぶんないです。
これもちゃんと記録を取っておけばよかったのですが、前に台湾のメリダのサイトを見たときに、日本よりもはるかにサイズがあったのを覚えてまして。
たぶん、台湾メリダでは元々これくらいサイズがあった。
2021モデルからは、日本でも輸入するサイズを増やしただけなんじゃないかと思うのですが、詳しくは調査失敗でして。

実際、下位グレードのスクルトゥーラ リム100。
日本では5サイズですが、台湾では8サイズあります。

で、中盤から大きめサイズは、正直なところどうでもいいところでして。
問題は小さめサイズのジオメトリがどうなっているか?というところ。

フレームサイズを小さくしながらもロードバイクらしさを出すのって、設計者の腕の見せ所だと思うんですね。
しかしメリダの場合、フォークオフセットやトレイル長が書いてないので、あんまり検証することもできません。

小さめサイズの場合、まずはヘッド角が寝る方向ですね。
ヘッド角が寝れば、ハンドルがサドル方向に近づくわけで。
フレームサイズを小さくする場合は、このようにヘッド角を寝かせると同時に、シート角を立てる方向になります。

寝るとトレイルが変化します。
トレイル長というのはここ。

トレイルが長くなると直進安定性が増し、短くなるとハンドリングがクイックになる。
ハンドルの操舵性に関わるポイントです。

スクル リム400の最小サイズ38を見ると、ヘッド角が70度なので結構寝ている形になります。
ヘッドが寝るとトレイルが増えて、ハンドルさばきがモッサリするので、フォークのオフセットを変えてハンドリング特性を調整するのですが、メリダはそのあたりは非公開。
フォーク長が小さめフレームだけ短くなっているので、恐らくはオフセットを変えているのかなとは思いますが。
詳しくはわからない、という結果になります。
ジオメトリでちょっとだけ気になるとしたら、サイズ44と47のところで、リーチが逆転することですかね。

あと、サイズ38(4XS)の実際のスケルトンがどうなのか画像がありませんが、おそらくはかなりスローピングがキツイ形状にはなるでしょう。
こればかりはどのメーカーでも同じ傾向があるというか、700cのままフレームを小さくすることの致命的な弱点(=見た目の弱点)とも言えます。
最後のほうでアンカーの女性モデル(700c)とBOMAの650cを載せますが、700cのままフレームサイズを小さくするのは、やっぱ無理があるような気が。

トレイル値は、レーシングモデルだと短くしてハンドリングをクイック傾向にして、エンデュランスモデルではやや長めに取り直進安定性を高める方向性です。
ロードバイクだと、60mm前後に設定していることが多いかと。

LOOKやTIMEで見てみる

LOOKとかTIMEは、オフセットやトレイルまで表記してます。
参考までに、LOOKのレーシングモデル、785Huez RSの場合。

https://www.eurosports.co.jp/bike/785_huez_rs.html

XSSMLXL
ヘッド角71.8°73°
フォークオフセット5043
トレイル58.558.4
シート角74°73°

LOOKは低身長向けサイズはないので、そこまで大きく変えているわけではないですが。
トレイル値を全サイズでほぼ均等化することで、サイズごとのハンドリング特性が変わらないようにする。

エンデュランスの765の場合はこうなります。

XSSMLXL
ヘッド角70.8°72°
フォークオフセット5043
トレイル64.864.6
シート角74°73°

トレイル値だけで見ると、レーシングモデルの785だと58.5mm程度、エンデュランスモデルの765では65mm程度と大きく変わります。
トレイル値によってハンドリング特性が変わるわけで、レーシングモデルではキビキビさせて、エンデュランスモデルでは直進安定性を重視する。

TIMEもフォーク周りのジオメトリを公表してます。
TIMEのアルプデュエズ01で見てみます。

XXSXSSMLXL
ヘッド角71°71.5°72°73°73.5°
フォークオフセット43
トレイル7068645855
シート角74.7°73.7°73°

TIMEの場合は、フォークオフセットはどのサイズでも同じ。
なのでフレームサイズによりヘッド角が異なる分、トレイル値がフレームサイズごとに大きく変わります。

同じフレンチ系ブランドでも、フォーク周りのジオメトリの考え方は、LOOKとTIMEでは大きく違うわけです。
LOOKはオフセットを変えてどのサイズでもトレイル値を同じにしようとしている。
サーベロも、見たところではフレームサイズごとにオフセットを変えて、トレイル値を一定にしようとしてますね。

TIMEやピナレロでは、どのフレームサイズでもフォークオフセットは同じ。
ピナレロもフレームサイズが多いことで有名ですが、フォークオフセットはどのサイズでも同じになっているようです。

ぶっちゃけた話、どのサイズでも同じフォークをセットしているブランドもあるので、そういうブランドだと小さめサイズではハンドリングがモッサリする傾向はあるかもしれません。
いろいろ見ていくと、ヘッド角が70度より下になると、モッサリ感の傾向が強まるっぽいので、70度以上を確保しているなら、そこまでシビアではないのかもしれませんが、どうなんでしょうね。

小さめフレームの代表格、アンカーの場合

女性向け小さめフレームの代表格というとアンカーかなと思うので、RL8Wのジオメトリを見てみます。


390420450480510540
ヘッド角70.3°71.3°71.45°72.15°
オフセット555047.545
シート角75.45°75.15°74.45°74°73.3°73°
リーチ359367373377382386
スタック498507522533550569
身長145-156149-160156-169162-176169-182176-187

アンカーでは、フレームサイズごとにフォークオフセットを変えることで、恐らくはトレイル値が一定になるようにしているのではないかと思いますが、トレイル値自体は非公開。

こちらで、フレームサイズは420ですが、

https://www.bscycle.co.jp/anchor/bikes/rl8w/index.html

どうしても小さめサイズは、フレームスケルトンが窮屈になるのは仕方ないところ。
いっそのこと、650cにしてしまったほうが、見た目自体はカッコいいと思うのですが、CANYONが650B規格の女性用フレームで頑張っている以外は、あんまり浸透してないですね。

こちらはBOMAの650Cフレームですが、


ロードバイクらしい見た目という点では、小さいサイズほど650Cのほうがカッコいい。
まあ、パーツの選択肢などでは苦労するでしょうけど。

前回、低身長女子に向いている650cのロードバイクについて書きました。 前回の記事が長くなり過ぎたので分割しています。 基本...

前に何かの記事で、奥様が650cに乗っているという話、何件か頂いてます。
パーツの入手性だけは難点でしょうけど、やっぱ低身長の人ほど700cよりも乗りやすいようです。
キャニオンの650Bなんかもそうですね。

どっちがいいかは微妙ですが

大体の傾向が見えてくると思います。

・フレームサイズごとにフォークオフセットを変えて、トレイル値を一定にしようとするブランド

・フレームサイズごとにフォークオフセットは変えていないため、トレイル値はサイズごとにバラバラ

・フォークオフセットもトレイルも非公開のブランド(←結構多い)

ハンドルさばき、操舵性に関わる場所なのですが、一般的にジオメトリを見ていくとき、あんまり重視してみている人はいないような気がします。
BB下がりとか、リーチやスタックは見る人が多いのかなと思いますが。

恐らく初心者の方にとって、ジオメトリほど難解なものはないと思います。 いろんな数字が書いてあっても、その意味を理解することは初心者さんには...

今回は、前編の続きです。 BB下がりの記事に関してコメントがあります。私はロード初めてから何台か乗り換えましたが一貫してアルゴン1...

一台目選びでは、正直トレイルとかみてもしょうがない気がしますが、二台目以降のバイク選びでは、トレイルあたりを見て、ハンドリング特性をある程度推測しながらみても面白いかもしれません。
まあ、ほとんどのメーカーでは非公開なんですけどねw

ちょっと見てみましたが、
・ジャイアント
・メリダ
・ラピエール
・アルゴン18
・デローザ
・コルナゴ

このあたりでは、フォークオフセットもしくはトレイルの表記がありません。
ユーザーが求めていない数字・・・なんですかね?