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実験室データと感覚の差は、一体どこに生じるんだろう?

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あんまり深い意味は無いのですが、ちょっと思うことがありまして。

 

ロードバイク関連で、いろいろと【科学的】とされる実験データってありますよね。
個人的には、あまりそういうデータを信じ過ぎないようにと思ってます。
より正確に書くと、信じ過ぎないではなくて、まずは実験手法から検討するというほうが正解かも。

 

その実験手法、実際に外を走るときとの差はどこにある??というところから見ていくというか。

 

一番難しいのは、あるデータで【差】が出たとする。
その差は、人間としてどれくらい感じ取れるものなのだろうか?ということでして。

例えばですが

タイヤの転がり抵抗というと、バイシクルローリングレジスタンスの計測が有名ですよね。
あれ自体は、興味深いものだと思ってみてますが、それを全て鵜呑みにしていいものではない。

 

タイヤのインピーダンスロスを、もう少し分かりやすく捉えてみる。
たぶん1年位前ですかね。 なんかやたらといろんなところで、タイヤのインピーダンスロスの話が続々と出始めたのは。 タイヤのインピーダンスロスですが、これは誰しもが体感していることだと思います。 簡単に言えば、カンカンに空気圧を高めて乗れば、跳...

 

これでも少し触れてますが、バイシクルローリングレジスタンスの実験方法って実験室でやっているもので、実際に外を走っているデータではない。

 

実走と異なる要因があるとすれば、
・ホイール自体に、実走のようなバイクと人間の荷重が掛かっているわけではない
・いわゆるインピーダンスロス、路面状況を加味しているものではない
・実走とは異なり、車輪が左右にブレない

 

かといってああいうデータ自体が無意味なのかというと、そういうわけではない。
実走とズレうる要因を考えながら、データを見ることが大切なんじゃないかと。

 

こういう意見も頂いてます。

読者様
読者様
ヒステリシスロスと並立する用語としてインピーダンスロスって正しいのでしょうか?

 

いろんなサイトで、

転がり抵抗=ヒステリシスロス+インピーダンスロス

このように説明されていると思うのですが。
これにはちょっと違和感がありまして、タイヤの転がり抵抗自体は、ヒステリシスロスでいいんじゃないかと。
インピーダンスロスは、むしろ走行抵抗の一部と見たほうがしっくり来そうな気がしてます。

走行抵抗

=転がり抵抗(ヒステリシスロス)+インピーダンスロス+空気抵抗+駆動抵抗+その他の抵抗?

前回、超簡略化してインピーダンスロスを単純な力学で見たほうがわかりやすいのでは?と書きましたが、

 

タイヤのインピーダンスロスを、もう少し分かりやすく捉えてみる。
たぶん1年位前ですかね。 なんかやたらといろんなところで、タイヤのインピーダンスロスの話が続々と出始めたのは。 タイヤのインピーダンスロスですが、これは誰しもが体感していることだと思います。 簡単に言えば、カンカンに空気圧を高めて乗れば、跳...

 

タイヤの転がり抵抗自体は、ヒステリシスロス。
インピーダンスロスは、タイヤが関わってはいるものの、転がり抵抗の一部と見るよりも、走行抵抗の一部と見たほうがしっくり来るような・・・

 

タイヤが関わっているからインピーダンスロスも転がり抵抗の一部みたいに思われるでしょうけど、どうですかね?

 

ほかにも、例えば剛性テスト。
ホイールなら、縦方向に荷重を掛けた縦剛性と、横方向に荷重を掛けた横剛性は実験室で簡単に出せる。

 

けど実走では、人間の荷重が掛かり、駆動系としては右側からしかホイールに対する入力が無い。
チェーンは右側にしか付いてないし。

実験室の剛性テストで得られたデータがあって、それはそれとして捉える。
剛性最強のホイールが、必ずしも走ると最強とは言えない理由は、結局は実走でのデータではないからなんじゃないですかね。

 

もし実際に走るホイールの性能として剛性を検査するなら、ホイールだけを取り出して荷重を掛ける検査ではなくて、実際にバイクに跨った状態でペダリングをしながら、ホイールの動きを観察してデータ化する剛性検査のほうが理にかなっているような。
これについては後から少し書きます。

 

あともう1つ。
縦剛性と横剛性、完全分離して考えてもいいのだろうか?という疑問も実はあります。
例えばですが、ホイールの静的状態では、各スポークは均等なテンションを保っている。
しかし実際に走るときは、

ハブから下側のスポークはテンションが下がり、ハブから上側のスポークはテンションが上がる。

で、実走での横剛性って、タイヤを介した地面から来るものだと思うので、ホイールの下側のスポークテンションの低下の影響も受けているのでは?ということ。
なのでもし、実走に近い条件で静的な横剛性の検査をするとしたら、実際に走っているのと似たようなスポークテンションを再現する??
いや、でもそれだとブレブレのホイールにしかなりませんが。

 

でも、静的な状態と動的に乗っているホイールではスポークテンションが違うわけで、その状態で横剛性を見ないと、静的状態とはまたズレうる可能性も出てくるのでは??

 

これも実際に検査してみないと何とも言えません。
検査方法がいまいち思いつきませんが・・・

 

そういう意味では、前にSACRAが雑誌でやったスポークに歪みゲージをつけた実験は、興味深いものだったんですけどね。
あれも、同じバイク、同じリムとハブで条件を固定。
いくつかのスポークパターンを試して計測すれば面白そうだったんですが。

 

それこそ、結線の有無での歪みゲージのデータがどうなるかも含め。

 

ホイールの横剛性の検査法って、こんなイメージでやっているはず。

同じ力を掛けて、ホイールごとにどれくらい歪むか?
もしくは、同じくらい歪ませるのに、どれくらいの力が必要か?

 

これ自体はホイールの静的剛性の検査としてやっているので、ある意味では純粋なホイールの横剛性になるわけですが、実際に走るときに同じというわけでもない。
実走では、このようにリムを思いっきり横から押すような力が掛かるわけでもないので。
また実走では、先ほども書いたように縦方向への荷重も掛かっているので、縦方向に無加重な状態での検査だという事実も忘れないほうがいいかと。

 

まあ、静的状態でグニャングニャンに剛性が低いホイールが、動的状態にすると剛性が上がるわけではないので、静的状態での検査はそれはそれで重要なんですが。

 

これとかもそうなんですが。

Wheel Stiffness Test
Measurements of the lateral stiffness of many bicycle wheels

 

ホイールを静的状態と見て荷重をかける検査で、ニップルを4分の1回転させてスポークテンションを緩めていった場合の横剛性の試験結果。
少しスポークテンションを緩めているほうが、むしろ横剛性は上がっているとみなせます。

 

ホイールとして実際に外を走るときには、テンションが緩んだり張ったりを繰り返しながら前に進むので、静的状態と動的状態をどこまで同一視してみてもいいのか?というところも議論があっても良さそうな・・
あと、こういう数字の微々たる差が、体感としてはどこまで感じ取れるのかというところも。
数字で微々たるものです!というのは簡単だけど、ロードバイクは機材の数字よりも、実際のフィーリングのほうがはるかに大切だし。
ここは当然個人差が大きいけど。

 

実走で下側のスポークテンションが緩んでいる・上側は張っているとして、その状態で横方向への荷重が掛かるとどうなるの??という話。

 

あと、【スポークテンションは横剛性に大きく影響しない】とありますが、【影響しない】ではないことにも注意。
数字の大小が、体感上ではどうなのか?というところも不明なので・・・

 

実験室でのデータ上、縦剛性と横剛性が非常に高いホイールがあったとしても、それがすなわち最強ホイールになるわけでもない。
実際に外を走るときには、真横からリムを押す力が掛かるわけではなくて、リアホイールならペダリングしてチェーンを介して右側からの入力があったときに、横方向にどれだけ動くかが【実走での横剛性】になるわけで。

 

そういう意味では、例えばこういうローラー台。

これを後ろから観察して、リアホイールがペダリングによって左右にどれだけ動くか?みたいなののほうが、よっぽど実践的なデータが取れそうな気もする。
しかし今度は、どのホイールでも同じペダリングの入力じゃないと意味がないので、それをどうやって実現するのか?という問題にもなる。

 

これを見れば分かると思うんですが、

フロント固定のハイブリッドローラー。
ペダリングによって、後ろから見るとホイールがかなり左右に動く。
まあ、どちらかというと、ペダリングによるフレームの歪み・左右へのブレの影響のほうが強いのかもしれませんが・・・

 

同一フレームという条件で、いろんなホイールを試して、同じ入力があったときにリアホイールが左右にどれだけ動くか?で計測してみたほうが、よっぽど実走に近い横剛性(?)なんじゃないかと。
まあ、これが横剛性といっていいのか?という問題も出てくるでしょうけど。

 

実験室のデータ(=静的状態)での剛性検査で、結線の効果はないと出たとする。
それはそれなんですが、では実際に結線している人が感じ取っているという効果について、どう考えるか?

 

実験室での剛性検査で結線の効果がない以上、妄想・オカルトの類と見る人もいるでしょう。
前にコメント頂いた方で、スポークを結線することで、固有振動数の変化を感じ取っているのではないか?と言っている方もいました。
そうなると固有振動数の変化が、走行性能と乗り手の感覚にどのような意味を持つのか?ということも検討しなければならない。
また、駆動剛性という観点からすれば、また違った結果が出るかもしれない。

 

こういうのも、とりあえず有効だと思う実験手法を確立して、データを取らないと意味がないんですけどね。
私の環境では出来るものがありませんが、実験室で、静的ホイールに縦・横にプレスをかける実験手法がどれだけ有効なのかも検討したほうがいいような。

 

そういう意味でも、SACRAがやろうとしていた実験。
ホント、惜しいんですよ。
あれ、なぜか編みありスポークパターンだとキレイなデータが出ないとのことで、編みなしに組みなおして実験してますが、編みあり、編みなし、結線ありの3パターンでデータを取れば、いい実験だったのですが。
本当にもったいない。

何を言いたいかというと

数字で出てくると、やっぱ科学的に見えますよね。
それ自体は否定しないです。

 

ただし、その数字を見るときに、実走との違いがある実験方法なのか?というところまで考えないと、あまり意味がないと思うんですね。

 

研究で出てきたデータ自体は、捏造されていない限りはデータはデータ。
そのデータをいきなり信じ込むのではなくて、実験手法から見るというか。

 

実験手法から見て、実走とは差が出そうな要素を見つける。
その要素を加味した上で、データを見るというか。

 

スペシャライズドが前にやっていた、ワイヤーを全て取っ払うと、40キロ走行したときに12秒短縮でしたっけ?

ワイヤーの内装、外装で空力は大きく変わる??そんな実験が。スペシャライズドの風洞実験を見て思うこと。
スペシャライズドは自社内で風洞実験が出来る施設を持っていることで有名ですが、ワイヤーの内装、外装で空力がどれくらい変わるのかという実験をしたようです。 そんな実験について。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle...

 

実験室でのデータなので、人間が跨っていない状態でのデータ。
人間が跨ってやるとどうなのか?というところまで踏み込んで欲しいんですよね。
それをしない理由は、恐らくですが人間と言ってもいろんな体型の人がいるので、実験に参加する人の体型次第でも変わりうるから一般化できないという問題もあるのでしょうけど。

 

ワイヤーが無いほうが空力はいい、これ自体は当たり前。
それがどれくらいなのか?というところでは、もうちょっと議論があってもいいのかなと・・・

 

私なんてひねくれているので、40キロ走って12秒短縮というと、1キロ当たりに換算してしまうんですけどねw
1キロ当たり、0.3秒短縮か・・・と。
もちろん、空力がよくなっていることには間違いないわけで、その結果自体は尊重します。

 

データって、魔力なんですよね。
正直なところ、同じフレームで、ワイヤーフル内装と、外装のロードバイクを用意されて、乗り比べて違いを感じ取る自信はゼロです。
わかる人にはわかるかもしれないし、抵抗が減っているというデータ自体は真実。
そのデータがどれだけの意味を持つのかについては、また違った議論があるべき。

 

一番ややこしいのは、例えばタイヤの転がり抵抗のデータがあったとして、どれくらい差があれば体感可能な範囲なのかということ。
これは人それぞれの感性の問題なので、人それぞれといってしまえばそれまでの話。

 

例えば、プロ選手100人中、80人が体感できる差はどれくらいなのか?など。
仮に80%体感率、みたいにしてもいいんですけど。

 

23cタイヤの空気圧の差が0.1Barなら、体感上で気がつく自信はないですが、0.5Bar差なら気づく人が多いと予想します。
微々たる差がどれくらい人間が体感できるものなのか?という観点もないと、微々たる差なのか、大きな差なのかもわからない。

 

体感ってなかなか難しくて、例えば完成車付属の前後合わせて2200gの鉄下駄から、ゾンダ(1596g)に変えても、違いが分からないという人も一定数いたりする。
全然違うと表現する人もいる。
ブラインドテストでそういう感覚の差を見ても面白そう。

 

実験室でのデータがあって、そこから実走との差を考える。
論文みるのは好きですが、個人的な興味としては、データそのものよりも実験手法のほうが気になる。

 

その実験、雑じゃね??みたいなことも当然ある。
SACRAの歪みゲージの実験も、スポークの編みなし、編みあり、結線ありの3種でやれば面白かったはずなんですが。
本当にもったいない。

 

あの実験が雑誌で発表されていたとき、いろんな意見がありましたが、あれは本当にもったいないとしか言いようが無い。
ぜひ誰か、いろんな条件でやってみてください(他人任せ感)。

 

むしろ様々なホイールでそういうデータを取れば、雑誌バカ売れだったと思うんですよね。

 

実験には客観性・再現性を求めないといけないので、どうしても実験室環境にならざるを得ないのはわかるのですが。
ロードバイク自体は実験室で走るわけではないという矛盾なのかもしれません。

事件は現場で起こっている!会議室で起きているのではない!
レインボーブリッジ、封鎖できません。

 

データを見る前に、その実験手法からみるというのが面白い。

 

これを書こうと思ったのは、やはりこの件です。

23c VS 25cタイヤの転がり抵抗について、超今更の疑問を投げかけてみたいと思っている。
いまやロードバイクのタイヤの標準は、25cがスタンダードになりました。 一昔前は23cが標準で、20cなんて変態チックなタイヤすらありましたが、ディスクブレーキ車なら28cなんてものもザラ。 25cが爆発的に流行した理由は、ワイドリム化と、...

 

この件、いろんな雑誌やブログで発表されているのを見たときに、最初からおかしいじゃん!とずっと思ってました。
【同じ空気圧であるならば】という前提が付いているのに、いつの間にかその前提を無視した議論になっている。

 

データの魔力って、そういうことだと思うんですよ。
当初の発表では【同じ空気圧なら、25cのほうが23cよりも転がり抵抗がいい】だったのに、伝言ゲームのうちに前提が外れて、【25cのほうが23cよりも転がり抵抗がいい】だけが残る。
伝言ゲームの恐ろしさとでもいいましょうか。

 

この議論はもうちょっと深めるべき話だと思うんですけどね・・・
こういう実験室データも出ているわけだし。

結局のところ、転がり抵抗の差は少ないのではないかと。
先日買いた記事の続きです。 前の記事でも書いたことですが、 この理論、ホント気持ち悪いなと思ってまして。 この理論を書いている場合、まず間違いなく前提条件がついてます。 同じ空気圧で比較した場合 23cと25cでは、25cのほうが適正空気圧...

 

実験室での速さを求めている人はいないので、結局は実走でどっちが速い可能性が高いのか?というところまで加味すれば、インピーダンスロスも含めてトータルで見るべき。
けどそれは本来、転がり抵抗だけでなくて、走行抵抗の話なのかもしれない。

 

ということで、数字というのは数字に過ぎず、数字の根拠から見たほうが断然面白いという話でした。
実験室ではスポーク結線が否定されても、なぜ効果を感じるという人がたくさんいるのか?
数字上でどれくらいの差があれば、80%くらいの人が体感できるのか?
こういう命題にチャレンジするのも面白いんじゃないですかね。

 

あと、話は変わりますが。
前に試した、GIYOとパナレーサーのエアゲージの差。

パナレーサーのアナログタイヤゲージ VS GIYO GG-02。測定値の差を比較してみた。
先日ちょっと思い立って買ってみた、GIYOのエアゲージ。 ちょっと思うところがあり、検証するためにパナレーサーのアナログエアゲージも買ってみました。 こいつを買うと甘酸っぱい思い出が広がるのですが、しょうがない。 気になる点 これは別記事で...

 

明らかにGIYOは数字が低く出るのですが、もしかして使い方が悪いのではないか?という説を諦めていなくて。
読者様の中でも、GIYOを使っていて、やはり1Bar程度低く出るそうなんですが、あれ、どうやってもバルブに刺す時にブシューとエア漏れする。
しかも盛大に。

 

精度が悪いと断じてもいいんですが、もしかして使い方が悪いのでは?という説も諦めきれず。
自腹で買った以上、悔しいんですよ。

 




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