人気のピナレロ、PRINCE DISKとPARIS DISKのジオメトリを比較してみる。

2021年モデルから、ジオメトリを見直してリニューアルされたピナレロのPRINCE。
そして過去にはレーシングバイクとしてラインアップされていたPARISは、エンデュランスエアロロードと銘打って再登場。

ジオメトリが一新されたといっても、ぶっちゃけ分かりづらいところですよね。
数字だけ見てもチンプンカンプンという人も多いかと。

ピナレロの場合、カーボンのグレードが公表されています。
T800だとかT600だとか。
数字が大きいほど軽量で高剛性に向かうわけですが、初心者さんの場合、どうしても数字が大きいほうが【いいこと・優れていること】だと考えがちな気がします。
それ自体は間違いではないのですが、自分がロードバイクをどういう用途で乗りたいかという方向性で選んだほうがいいと思ってまして。

素材的な差

まずジオメトリに行く前にカーボン素材の差から。

カーボンのグレード方向性
PRINCE FX  DISKT900 3Kレーシング(ジオメトリは同一)
PRINCE DISKT700 UD
PARIS DISKT600 UDエンデュランスエアロ

プリンスFXとプリンスはジオメトリが全く同じです。
なので細かいところの違いを除けば、単純にカーボンのグレードが異なる車種と見ていいでしょう。
上位のプリンスFXのほうが軽くて硬いというイメージ。

パリはカーボンのグレードをさらに落とし、ジオメトリもコンフォート寄りに。

カーボンのグレードですが、高けりゃいいってもんでもないです。
グレードが高いカーボンだと無駄に剛性が上がって乗りづらくなることもある。

要は適材適所で、設計者が意図する剛性を出すためにそれに見合ったカーボンを使うというのが正解でしょう。

ピナレロの場合、プリンスもパリも、どちらもカテゴリはレーシングバイクになっています。
エンデュランスバイクになっているのは、ドグマFSとアングリルDISKのみで、ピナレロではグランフォンドモデルと呼んでいます。
2021年のPARIS DISKは、レーシングバイクのカテゴリにいながらもエンデュランスエアロロードというなかなか不思議な立ち位置なので、ジオメトリで比較して見ていくのがいいかと。

プリンスDISKとパリDISKのジオメトリ

https://www.riogrande.co.jp/pinarello_opera/pinarello2021/prince_disk.php

リーチが何なのかわからない人は、先にこちらをどうぞ。
https://roadbike-navi.xyz/archives/7332/

凄くざっくり書くと、
・リーチ ⇒ ハンドルまでの距離
・スタック ⇒ ハンドルの高さ

こんなイメージで捉えていいです。

ピナレロはフレームサイズが多いので、一部のみ抜粋。

車種サイズトップ長シート角ヘッド角リアセンターフォークオフセットリーチスタック
PRINCE47052574°72.25°40852370532
PARIS52571°41552367.2537.2

車種サイズトップ長シート角ヘッド角リアセンターフォークオフセットリーチスタック
PRINCE49553573.75°72.75°40847376543
PARIS53671.50°41547373.6549.2

車種サイズトップ長シート角ヘッド角リアセンターフォークオフセットリーチスタック
PRINCE51054573.50°72.75°40847380554
PARIS54572.25°41547377.5560.5

車種サイズトップ長シート角ヘッド角リアセンターフォークオフセットリーチスタック
PRINCE52555773.25°73°40847385570
PARIS55572.25°41547381.6572.8

ざっと見た感じでは、ジオメトリの比較ではどのフレームサイズでも同じような傾向になります。

ピナレロのプリンス(レーシング)とパリ(エンデュランス)のジオメトリで見ていくと、同一サイズではシート角は固定。
ヘッド角がエンデュランスエアロのPARISで少し寝る形。

この角度が減少すれば、ハンドルは近づく方向なので、エンデュランスモデルでは一般的なことかと。
なのでエンデュランスのPARISだとリーチが短くなる。

近年、ほとんどのロードバイクがスローピングフレームになっています。 スローピングフレームでサイズ選びをするとき、水平トップチューブ長で選ぶ...

あとは書いていませんがヘッドチューブ長の違いから、スタックがPARISのほうが高くなる。

エンデュランスモデルのほうが、リアセンターを長く取って、ホイールベースを長くするのも一般的なことですね。
プリンスはレーシングモデルらしく、408mmと短めにして加速性重視。
パリはエンデュランスモデル寄りの415mmと長めにして、直進安定性重視のジオメトリ。
レーシングカテゴリなのに415mmはまあまあ長いほうです。

タイヤクリアランスも、パリで30mmまで。
プリンスは28mmまでとなってます。

自分の用途に合わせて

レーシングバイク、エンデュランスバイクの分類では、だいたいはこのように説明されます。

・レーシングバイク ⇒ レース向き
・エンデュランスバイク ⇒ ロングライド向き

まあこれ自体間違っているとは思いませんが、このように位置づけたほうがより正確なんじゃないかと。

・レーシングバイク ⇒ こだわりポイントはスピードや加速性
・エンデュランスバイク ⇒ こだわりポイントは楽な姿勢

エンデュランスバイクのほうが姿勢は立つ方向(前傾が浅くなる)。
そもそもレース向きといってもプロレースって普通に200キロ以上を一日で走るわけで、素人にとってはロングライドの距離です。
どちらでもロングライド出来ますが、こだわるポイントがスピードなのか、楽な体勢なのか?という観点で選んだほうが失敗しにくい気がします。

ピナレロの場合、エンデュランスとして謳っているのはDOGMA FSとANGLIRU DISKの二つ。
ピナレロではこの二つをグランフォンドというカテゴリにしています。

2021年モデルのPARIS DISKはカテゴリとしてはレーシングモデルに位置しながらも、エンデュランスエアロという新ジャンルだとしています。
見たところ、レーシングバイクとエンデュランスバイクのちょうど中間に来るようなジオメトリなのかなと。
上で散々、PARISをエンデュランスと書いてますが、ジオメトリからすると、カリカリのレーサー気質を求めているのではなく、初心者でも乗りやすい【ややアップライトで、かつフラフラしづらいレーシングバイク】というほうがイメージとしては近いのかもしれません。
実際、ピナレロのHPでもカテゴリーはあくまでもレーシングに属してます。

というよりも、最近はエンデュランスモデルというと、どうもグラベルロードに近いような方向性になっているメーカーもあるので、レーサー気質を保ったエンデュランスバイク=PARISなのかもしれません。

あとどうでもいいのですが、メーカーによって【DISC】だったり【DISK】だったりするの、何とかなりませんかね?
メリダとかは【DISC】です。
ピナレロは【DISK】。
メリダは2020年モデルから、リムブレーキ車に【RIM】と名前が付いて、ディスク車=無印になってしまいましたが。

台湾の巨匠メリダの2021年モデルが発表されています。 新型リアクトについては以前書いた通りなんですが、 オ...

実際の値段で見てみます。

車種コンポ値段(税別)
PRINCE DISKフレームセット369,000
カンパ コーラス639,000
アルテ489,000
105439,000
PARIS DISK105339,000

プリンスとパリ、105完成車で見ても10万の価格差がありますので、上位フレームはやはりプリンスDISKのほう。
ただこのプリンスとパリ、完全に同一線上で比較すべきものなのか?についてはやや疑問があって、プリンスは明らかなレーシングモデル。
アングリルとかは明らかなエンデュランスバイクだとして、その中間に来るのがパリなんですよね。

初心者でも乗りこなしやすいレーシングモデル=PARIS、というところなんでしょうか。
そのために、あんまり剛性が高くてもきついかもね?というところでカーボンのグレードを下げている感じなのかも。

ピナレロの場合、ブランドアイデンティティとも言えるのがONDAフォークとアシンメトリックなフレーム設計。

<PRINCE DISK>

<PARIS DISK>

https://www.riogrande.co.jp/pinarello_opera/pinarello2021/

素人目にはカラーの違いとカーボンのグレードの違いくらいしか分からないかもしれませんが、ジオメトリを両者で比較すると、同じフレームサイズでもそれなりに違います。
ちょっとの角度の差とか、ちょっとの長さの違いで走りが変わるものなので、とにかくスピードにこだわりたい人はプリンスか、プリンスFXなどを検討したほうがいいでしょうし、初心者でも乗りこなしやすいレーシングバイクという意味ではパリもなかなか興味深い一台です。

というよりある程度書き終えてから思ったのですが、PARISと比べるなら、むしろ値段的にはGAN(リムブレーキ、105完成車で27.9万)とかRAHZA DISK(105ディスク完成車で29.8万)で見てあげたほうがよかったのかもしれません。
ザックリとジオメトリの違いを見ると、明らかに違うのはやはりリアセンター長。
PARISはリアセンター長を415mmと長めに取っているのですが、GANだと408~410mm、RAHZA DISKだと406~408mmと短め。

2021年モデルのピナレロPARIS DISKは、特徴的なジオメトリで直進安定性に振ったレーシングバイクという感じに見えます。

乗ってみたいなぁ・・・と思うけど、このコロナ禍って試乗会関係もないですしね。
乗れないときはジオメトリからある程度想像するしかないです。