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裁判所はウーバーの使用者責任を認めるのか?

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こんなニュースが入ってきました。

宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員の自転車に追突されて負傷したとして、大阪市の会社役員の女性(66)が、配達員とサービスを提供する「ウーバージャパン」(東京)に約250万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したことがわかった。22日の第1回口頭弁論で、女性側は同社に使用者責任があると主張。同社側は請求棄却を求めた。

 

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さてどうなるんでしょうかね?

ウーバーの使用者責任を認めるのか?

ウーバーと配達員は、雇用関係ではなく業務委託契約というのは周知の事実。
民法でいうところの請負契約だろうと思うのですが。

第632条

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる

飲食店からお客さんのところまで運ぶという一連の過程を完成させることに対して報酬を支払いますよという契約。
もしお客さんのところに到達できなかった(未完成)であれば報酬は支払われないわけです。

 

争点になるのは民法715条。

第715条

1、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2、使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3、前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

ウーバー本社が使用者、配達員が被用者であれば、本社は使用者責任、管理責任を負うということ。
一般的には雇用契約を指しますが、雇用契約以外でもこの条文は成立する。

第716条

注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない

716条は、ウーバーと配達員の関係が請負であれば、仕事の注文者(この場合ではウーバー本社)は責任を負わないという規定。

 

業務委託による請負契約の場合、自らの裁量で仕事を出来るわけです。
ウーバーの配達員の場合は、ウーバー運営会社からの指示によって動くわけなので、裁量権が配達員側にあると言っても、ある程度は本社からの指令を受けて動く雇用に近い立場になるんだろうと思います。

 

実際のところ、請負契約であっても使用者責任を認めた判例も存在してます。

元請業者と下請業者の場合、請負といっても下請業者が元請業者の指示に従って仕事を完成させるような場合もあり、元請業者が下請業者に対し実質的に指揮監督する関係にある場合には、下請業者の不法行為について元請業者に使用者責任が認められることになります(最高裁昭和37年12月14日判決、最高裁昭和45年2月12日判決)。
この場合、元請業者と下請業者との間に実質的な指揮監督関係があるか否かについて、元請業者が下請業者の作業現場に事務所を設けているか、作業現場に指揮監督を行う監督を派遣しているか等の事情を総合的に考慮して判断されます。

 

http://fkeizai.in.arena.ne.jp/wordpress/wp-content/uploads/2015/01/seminar_2016_04_1.pdf

なので請負契約だから必ず716条の条文が反映されて責任がないわけでもなく、実質的な雇用に近い関係と見なされればウーバー本体も責任を負う可能性があるという話です。

 

715条にあるように【使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。】とあるので、使用者であると認められても必ずしも賠償責任を負うとも限らない
しっかり安全教育をしていますよ、道交法を守らない配達員は取り消ししてますよ、みたいな話になるんですかね?

 

報道を見る限り、若干不思議に思う点があるのですが、

同社は取材に対し、配達員は個人事業主で雇用関係になく、業務委託契約も結んでいないとした上で「個別の事案には答えられない」としている。

 

Yahoo!ニュース
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ウーバー自体は、配達員との関係性をどのように捉えているのか、やや疑問。
業務委託による請負契約ではないの??というところなんですが、どのような主張をしていくのでしょうか?
業務委託契約の中には請負や委任も含まれうるのですが、ウーバーはどのように主張してくるのでしょうかね。

個人的には

事故にあった被害者的には、ウーバーに使用者責任を認め、賠償責任があるとした判決が出るのがベストでしょう。
ウーバー配達員が起こした事故に遭うと、ウーバー本体は関係ないという姿勢で、配達員に直接請求するようにとなってしまっていた。
配達員に支払いできる能力があれば別ですが、実質泣き寝入りでしたので。

 

判例として、請負でも使用者責任を認めた最高裁判決もありますが、実質的にウーバー本体と配達員の間に指揮監督関係があると認められるかどうかなんでしょうね。

 

法で明確に記されていることなのに、判例が無いことを理由に好き勝手解釈するような人も世の中にはいます。
法を知らないってホント怖い話。
ウーバーの件は、使用者責任が認められたほうが社会的にはいいと思うんですが。

 




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