当サイトの記事を引用されていたようなので。
交差点での二段階右折は、直進してくる対向車を予想できずに右折して事故るケースが多発したために制定されました。
T字路は対向車がいないので、二段階右折をする理由がないですね。進む道が二股に分かれただけですので。論理的にはアホすぎる記事。
https://t.co/ynTr53lkhD— じんじる (@jinjilupray) December 21, 2020
アホ過ぎるらしいですが、ちょっと気になるところがあるとの、雑な意見だなぁと思うので調べてみました。
・二段階右折は、対向車との接触の問題だけではない。
Contents
二段階右折の歴史
ご批判頂いた内容にこのようなところがありました。
交差点での二段階右折は、直進してくる対向車を予想できずに右折して事故るケースが多発したために制定されました。
https://twitter.com/jinjilupray/status/1340886853994512386
これについて、二段階右折っていつから誕生したのか?という疑問と、【それだけじゃないよね】ということがありまして。
まず、日本では全ての車両について、元々は二段階右折が原則だったというのが真相のようです。
大正10年~昭和23年までの道路取締令ではこのように規定されています。
第七條 2項
牛、馬、諸車等道路交叉ノ場所ニ於テ右折セムトスルトキハ道路ヲ横切リタル後右方ニ轉向スヘシ
まあ、時代が時代なので、牛とか馬とか出てますがw
昭和23年~35年までの道路交通取締法では、このようになります。
第十四条
車馬は、右折しようとするときは、交さ点の中心の外側を回つて徐行しなければならない。
これにより、全ての車両は二段階右折をしなくてもよくなっています。
昭和35年からは道路交通法が制定されていますが、原付に関してはいくつかの変遷をしています。
自転車 | 原付 | 特記事項 | |
昭和35年 | 二段階右折の義務 | 二段階右折の義務 | |
昭和39年 | 小回り右折 | 道路交通に関する条約(ジュネーブ条約加入のため等) | |
昭和61年 | 3車線以上の場合などに二段階右折の義務 |
自転車は昭和35年から、一貫して二段階右折になっています。
で、昭和61年に、3車線以上の場合に原付にも二段階右折となったわけですが、国会議事録を見る限り、危険性として指摘されているのは、2輪車と4輪車の混在の中で原付が最も右の右折レーンに寄ることの危険性(車線またぎすること)が問題視されているようです。
右折するときは道路中央に寄るというのが原則ですから。
それが昭和61年に原付の条件付き二段階右折が誕生した理由。
二段階右折自体は対面交通との接触を避ける目的がありますが、自転車は元々そうなっていたというだけの話ですし。
あと、昭和39年に【道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)】を日本でも採択したわけですが、ジュネーブ条約ではこのようになっています。
12条の4(d)
第16条2に定める場合を除くほか、自己が進行する方向に適応した側とは反対の側に右折し、又は左折しようとするときは出来る限り車道の中央に寄ること
16条2(d)
第12条4(d)の規定は、国内法令に別段の定めがあるときは、自転車の運転者には適用しない
ジュネーブ条約を日本でも採択している以上、これに従う必要が出てくる。
この条約は国際免許にも関わる話のようで、要は左側・右側通行の違いはあっても、各国原則となるルールは同じにしましょうということです。
昭和39年に原付の二段階右折が廃止されたのは、ジュネーブ条約に従った結果です。
自転車については国内法令で別に定めることが出来るとあるけど、原付についての規定がジュネーブ条約にはない。
なのでもし【日本の道交法で自転車についての右折規定が無ければ】、ジュネーブ条約に従って、右折レーンに入っていき(=中央に寄り)右折しないといけなくなるけど、自転車が右に寄るとか、右折レーンに行くまでの過程が危険なわけ。
例えばこんな感じ。
その危険行為を禁じるために、道交法で自転車に対しては【できる限り道路の左側端に寄り】と規定している。
対向車と衝突することを避けるために二段階右折がある・・・というのは不十分。
右折するときはなるべく道路の中央に寄らないといけないけど、自転車が車道の中央に寄る行為が危険だから、自転車については全ての交差点で二段階右折するようにと法律で決まっている。
対向車しか頭に無いのは、雑だなぁと。
ちなみにですが当時の国会議事録を見る限り、【原付は全て二段階右折させるべき】という意見も出てきてます。
ジュネーブ条約との関係上、それはどうも出来ないようですが、【三車線以上】と限定的にしたのもグレーゾーンの結果なのかもしれません。
交差点の形状は十字路、T字路、Y字路、5叉路、特殊形状など様々あります。
一つ一つについて規定すると、交差点の形状によっては例外が生じうるし、運転者も判断が付かないので困る。
だから交差点なら一律で【できる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない】としているんだと思うんです。
記事で使った画像。
片側一車線道路で描いたので、対向車以外の要素には頭が回らなかったのかもしれません。
実際には、自転車が居る道路が、例えば2車線、3車線の場合もある。
ダブル左折レーンとかもありうる。
※画像は以前使ったものなので十字路になってますが。
右折するために右折レーンに行こうとすること自体を禁じるために、T字路でも二段階右折なんだと思います。
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
五 交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。
第三十四条3 軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。
二段階右折しろと書いてあるのではなくて、法律に従えばこうなるというだけの話。
T字路といっても、必ずこういう綺麗な形でもなく、車線数が多い上に特殊な信号の出方がするところもある。
なので【T字路を除く】とも書いていない。
対向車との接触だけを考えているわけではないわけです。
(前提、車と自転車では走行性能が全く異なる)
1、対向車との接触リスク
2、右折レーンや中央に寄るリスク
T字路なら対向車自体が存在しないけど、道路中央に寄るリスクは高いよね、ということなのかと。
対向車だけの話ではないんですね。
ちなみにですが、昭和31年にはサイクリングが人気だったそうです。
T字路での二段階右折
T字路は対向車がいないので、二段階右折をする理由がないですね。進む道が二股に分かれただけですので。
https://twitter.com/jinjilupray/status/1340886853994512386
二段階右折する理由が無いとのことですが、対向車との接触があるかないかの話だけなら、当然ですが、対向車が存在しないT字路では理由が無い・・・とも言えます。
しかし、法律上は自転車に対して、二段階右折するように求めている。
T字路では対向車リスクはないけど、道路中央に寄るリスクはある。
だから法律上は二段階右折を求めているので、T字路で二段階右折する理由が無いと断じるのはどう・・・なんですかね。
※違反です。
たぶんですが、こういう考え方をする人って、【その方法が安全か危険か?】という観点で考えているんだろうと思います。
危険要素が対向車しか思いつかない・・・というのもいかがなものかと。
道路中央に自転車が寄っていく(=右折レーンに入る)までの過程が危険だということなんでしょうし。
安全か危険か?という観点は、まず法律を守った上で考えることだと思うんですが・・・
なぜその法律がそうなっているのかを考えていくと、自分では気が付いていない違うリスク因子も見つかるのではないかと。
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。
みんなが守ることが前提なので、守ることで秩序を維持するんじゃないですかね。
あと、T字路が除外されていないのは、中央に寄るリスクだけでなく、変則T字路があるからだと思います。
綺麗なT字路だけではなく、Y字型で信号機の矢印の出方も変則な交差点が存在している。
こういうのもそうなんですが、
自転車ルールというけれど、自転車交通法規って存在するのか?
だとしたら自転車は免許制にするべきだ。
自動車免許を持っていないお婆ちゃんも、幼い子供も自転車に乗る。
知らないのに裁かれるのは異常だよ。
https://t.co/x1qS9mhJ8e— じんじる (@jinjilupray) December 21, 2020
知らないのは知らない奴の責任ですしね。
知らないことは刑罰を科せない理由にはならないんですよね。。。
例えば、自営業の人には毎年確定申告する義務がありますが(別に自営業には限りませんが)、税法を知らないことを理由に確定申告しないという選択を取れば、当然ですが罰則がある。
無申告加算税、延滞税など罰則があるけど、誰しもが税理士免許を持っているわけでもない。
免許を持っていなくても法律には従う必要がある上に、従わないなら罰則は当然ある。
知らないというのは知らない奴が悪いというのが日本の原則だと思うのですが。
そもそも子供については、少年法の規定があるため、刑罰が科されることはないですし。
もちろん、子供が事故を起こした場合には、民事での賠償義務はありますが、保護者がその責任を取る形になるわけですし。
(子供には責任能力が無い)
批判的なことを書く割には、雑過ぎませんかね。
でも最近、こういう人って多いなぁと思うというか、【〇×だからです!】と断言することで、それが全てみたいな主張する人。
客観的事実について間違ったまま、もしくは不十分なまま話を進めると、なんでT字路でも二段階右折が要求されているのかについて理解できないままで終わると思うんですよね。
対向車だけじゃない、という話なんですよ。
でもホント最近、こういう客観的事実を間違ったまま自論を通そうとする人って多いんだよなぁ・・・
最初の前提事実がおかしいまま推測すれば、そりゃ結論まで間違うだろと・・・
二段階右折の件は、国会議事録でも見ればなぜそうなっているのか分かるような客観的事実なので、客観的事実はちゃんと調べて書くのが筋だと思うのですが。
実態として、ロードバイクが小回り右折していたとしても、取り締まりしているわけでもなかったりする。
警察も、大きな十字路で小回り右折しているを発見したら注意するかもしれませんが、T字路での小回り右折を取り締まっているのかは結構疑問ですし。
アンケートのほうは、単なる実態調査なので、あまり深いことを考えずに普段通り回答いただければ。
- 2段階右折することが多いけど、そうではないこともある 40%, 194 votes194 votes40%194 votes - 40% of all votes
- 必ず2段階右折している 21%, 102 votes102 votes21%102 votes - 21% of all votes
- 二段階右折しないことが多いけど、時々する 18%, 89 votes89 votes18%89 votes - 18% of all votes
- 半々くらい・・・かな 13%, 64 votes64 votes13%64 votes - 13% of all votes
- 絶対に二段階右折はしない 8%, 38 votes38 votes8%38 votes - 8% of all votes
コメント
これはパターンによって違うのではないでしょうか?
例えば歩道を走っている場合は直進した突当りは右に停止線が有る状態ですので右折できません。
しかし車道を走っている場合は直進した突当りは既に交差点内ですので速やかに右折しなければなりません。(交差点内から出るという事)
つまり車道を走っている場合は単純に左端を走りながら右折しているだけです。
というのが私的な解釈ですが、そもそもそんな議論が出ること自体がおかしい道交法だと思います。
コメントありがとうございます。
すみません、ちょっと事実誤認があるように思うのですが、
>歩道を走っている場合は直進した突当りは右に停止線が有る状態ですので右折できません。
横断歩道と停止線の関係ですが、停止線は横断歩道の手前にあります。
停止線が横断歩道よりも超えた位置にあることはあり得ないと思いますので、歩道⇒横断歩道という経路を通過したとしても停止線は左にあります。
なお歩道自体は交差点には含まれないため(法2条の5)、歩道から横断歩道を渡り、右方向に行く行為は道交法上の右折にはなりません。
次に、
>既に交差点内ですので速やかに右折しなければなりません。(交差点内から出るという事)
交差点内だから速やかに交差点から出ないといけないというのであれば、以下の状況でも同じことになってしまいます。
(道交法では交差点は【十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分】ですので、十字路とT字路で扱いは同じです。
こちらも交差点内なので、速やかに交差点内から出ないといけないという理屈になってしまいますが、これ自体はアウトです。
交差点内だから速やかに、という根拠がよくわからないのですが、どの条文でしょうか?
こんにちは。二段階右折でわからないことがあって調べていたらこちらにたどり着きました。
非常に精緻に議論されていて参考になるのですが、わからない点があるので教えてください。
T字路で下から入って右折する場合、突き当たりの所で信号待ちするようになっていますが、交差点内に入っているのに右折する先の信号に従う理由や根拠は何でしょうか?道交法からはそこまで読めないのですが、他のルールなどがあるようでしたら教えていただければありがたいです。
コメントありがとうございます。
これは道路交通法施行令2条の信号機の意味が関係します。
青灯火の意味の中にこのように規定されています。
軽車両は車道の青灯火にて直進と左折が出来る規定になっていますが、直進の括弧書きに
これが根拠です。
なので信号機で交通整理されている交差点の場合、道路交通法7条により信号機に従う義務があり、34条3項で右折方法が指定されています。
信号機の意味は施行令2条で規定されていますので、これらを合わせれば解決します。
ご回答ありがとうございます。
ただ、ご紹介いただいた規定では、「右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折すること」はできるとのことですが、その際に右折する先の信号に従う必要があるとは読めませんでした。
しかし、他の規定類を探していたら、「交通の方法に関する教則」に以下の規定がありましたので、こちらが根拠になるのかもしれないと思いました。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/kyousoku/index.htm
第3章 自転車に乗る人の心得
第2節 安全な通行
3 交差点の通り方
(3) 交差点(環状交差点を除きます。)での右左折は、次の方法でしなければなりません。
イ 右折は、次の方法でしなければなりません。
(ア) 信号機などにより交通整理の行われている交差点では、青信号で交差点の向こう側までまつすぐに進み、その地点で止まつて右に向きを変え、前方の信号が青になつてから進むようにしなければなりません。なお、赤信号や黄信号であつても自動車や原動機付自転車は青の矢印の信号によつて右折できる場合がありますが、この場合でも自転車は進むことはできません。
コメントありがとうございます。
すみません、一点追記です。
施行令2条の赤色の灯火の規定がこのようになっています。
青灯火では直進してその地点で右折することが許されており、赤灯火では上の規定のように、右折した地点から先に進めない規定なので、結局は施行令2条の青灯火、赤灯火によりこれしかできないことになります。
交通の方法に関する教則ですが、これは道路交通法108条の28により、義務的記述(しなければならない)になっていることは道交法及び施行令、施行規則のどこかに規定があるものを分かりやすくしたものだと思えばよいです。
こちらに再度まとめておきました。
https://roadbike-navi.xyz/archives/27696/