法律を読めば分かりそうな話なんですけどね。
自転車レーンは車道にあるので、一方向性。
自転車道も車道の一部ですが、多くの場所は双方向性。
最近、自転車道を併設した道路もありますが、ロードバイク泣かせの構造と言えます。
自転車道
自転車道と言っても、サイクリングロードの話ではありません。
道路に併設されているほうの自転車道。
例えばこれ。
名古屋の国道19号ですが、車道の左側に柵があり、双方向に通行可能な自転車道があります。
さらにその左側に歩道がある。
こちらは当サイトでも何度か取り上げた、国道16号の相模原付近。
これも、車道のすぐ左側は自転車道となり、さらにその左側に歩道がある。
自転車道が併設されている道路って、基本的にはこういうのが多い。
自転車道は柵などの工作物で仕切らないといけません(道交法2条の3の3)。
こういう歩道は、自転車歩行者道といって、簡単にいうと【自転車通行可】の標識がある歩道。
で、自転車道が併設されている道路の場合、車道をロードバイクで走ると通行区分違反となります。
よく知られたところだと、先ほど書いた名古屋の道路もそうですし、国道16号相模原付近もそうですね。
自転車道は歩道風ですが、ロードバイクもここを通らないと違反になります。
なのでロードバイク泣かせの構造です。
で、自転車道を作るなら、【自転車レーン】+【自転車通行可の歩道】にすればいいみたいに書いてあるのを見たのですが、これは事実上無理なんだよなぁ。
まあ、当然理解しているとは思いますが。
自転車レーンと自転車通行可能の歩道は事実上、併設不可能
自転車レーンは、より厳密にいうと自転車専用通行帯と言います。
このように標識によって自転車専用の通行帯であることが明示されるのが自転車レーン。
自転車レーンがある道路では、自転車は自転車レーンしか原則通行できません。
第二条七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。
第二十条2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
自転車専用通行帯がある場合、原則として自転車レーンしか走れない。
なので歩道に【自転車通行可】なんて標識を立てた日には、法に矛盾することになります。
※ありえない状況になるというか、歩道を走る自転車は通行区分違反になってしまう。
こういう自転車通行可の歩道がある道路に、
もし車道に自転車レーンを設置すれば、法律上の矛盾が生じます。
法律上は車両通行帯がある道路では車両通行帯を通ることになっているので、歩道を走ることは原則として許可されてない。
許可されていないのに歩道には【自転車通行可】なんて標識を立てたら、もうメチャクチャ。
一定の要件下では、自転車レーン以外も走れます。
追越しするときややむを得ない事情があれば自転車レーン以外も通行できますが、最初から歩道に【自転車通行可】の標識を立てるのは【やむを得ない事情】にはならないですし。
もしこんなのを作ったとした場合、
自転車専用通行帯がある以上、自転車は自転車レーン以外を走ると通行区分違反になる。
なので歩道には【自転車通行可】なんて成立しない。
自転車レーンと自転車通行可の歩道が同じ道路上にあるなんて、その時点で矛盾なんですよね。
一部例外といいますか、自転車レーンではありませんがこういう事例もあります。
ここは多摩湖自転車道ですが、歩道風に一段高くなって仕切られているところが多摩湖自転車道。
自転車道がある道路では、車道をロードバイクで通行すると通行区分違反になります。
しかしここについては、実は自転車道も車道も、どちらでもロードバイクで通行可能となっています。
これ、相当稀なケースだと思いますが、多摩湖自転車道とその下にある一般道(多摩湖通り)は、全くの別物だから可能になっています。
・多摩湖自転車道 ⇒ 都道
・その下の一般道(多摩湖通り) ⇒ 市道
一つの道路風に見えても、都道と市道で管理者が違うので、上も下も自転車が通行しても何ら問題ないという一例です。
しかし、こういうケースはマレです。
やろうと思えば出来なくはないのですが
道交法での車両通行帯は、各都道府県の公安委員会が指定することで、道交法上の効力を発揮します。
なのでこのような自転車レーンを作って、
自転車レーンを車両通行帯に指定しない運用をすれば、自転車通行可の歩道と法的に共存できなくはないです。
ただしその場合、自転車レーンはあくまでも【自転車を優先しようぜ!】程度のお願いレベルでしかなくなるため、自転車レーンを車やオートバイが通行しても違反ではなくなってしまう。
その結果、トラブルが増えそうですね。
なんで自転車レーンなのにオートバイがいるんだ!!と怒っても、車両通行帯指定されていない自転車レーンならオートバイが走ろうと法的には何ら問題ない。
なんのために自転車レーン(風)に仕立てたのかすら意味が分からなくなる。
トラブルが増えそうなものをわざわざ作る理由もないですし。
そもそも自転車レーンと自転車通行可能な歩道の併設って、行政側が自転車をどっちに行かせたいのかすら意図がわからなくなる。
実態として、見かけは自転車レーン風だけど、車両通行帯指定されていない自転車レーン(風)もあるらしいです。
こういうのもたぶんそうですかね。
車両通行帯になっている自転車レーンと、車両通行帯指定されていない自転車レーン(風)の違いは、標識があるかどうかの差。
もちろん、自転車ナビマークは全く別物。
車両通行帯指定せずに自転車レーン風を作れば、理論上は歩道に【自転車通行可】の標識を立てて、自転車歩行者道にすることも出来る。
けど、あり得ないと言ってよくて、そもそも警察を含めた行政は、自転車を車道に行かせたいから自転車レーンを作ったり、自転車ナビマークを描きまくっているわけでして。
そんな中歩道に【自転車通行可】の標識を立てたら何をしたいのか全く分からなくなるので、事実上あり得ない。
自転車レーンではなく自転車道を作っている道路は、双方向性を確保したいほど大きな道路というだけの話なんですよね。
レーンだと一方向性になるけど、大きな道路で自転車の一方向性レーンを作ると、逆走自転車が増える懸念が出てくる。
なので自転車レーンではなく自転車道を作ることで、双方向性を確保する。
それにしても、法律を守ると豪語するレベルの人が、法律を知らずに書くなんてわけもない。
法律を知らない人は守りようも無いですし。
最近、素人だからという免罪符を使って書いたりする人もいるんですが、素人だからテキトーなことを発信してもいいとは私は思いません。
逃げ道を作ることで責任を放棄しているんでしょうけど。
わからないことや疑義があることなら調べてから書く、という人間の基本。
法律の壁
自転車と言ってもママチャリのように低速で走るのもあれば、ロードバイクのように時速30キロ以上で走るものもあります。
言い換えるならば、
・脚としての自転車⇒通勤や通学、買い物など
・趣味としての自転車⇒ロードバイクやクロスバイクの走りを楽しむもの
これらを道交法では【普通自転車】という一括りにしているから、意味不明な事態が起こっていると思ってます。
自転車道が併設されているところでは、自転車道を走らないといけない。
けど、ロードバイクとママチャリを法的に明確に区分することは恐らく無理。
ハンドル形状で分けると、ママチャリにドロップハンドルつけるとどっちなんだ?という問題も生じるし。
前に、速度域で自転車の区分を分けるのはどうか?という意見も頂いてます。
これもハードルが高いというか、例えば時速30キロ未満を低速自転車、30キロ以上を高速自転車みたいな区分にすると、信号待ち等で停車して発進する時はどうなるんだとか、渋滞で低速になっているときに区分が変わるとか、下り坂で速度が上がると区分が変わるとか、一台の自転車なのにコロコロ区分が変わってしまう。
その前に、スピードメーターの義務化も必要になり、スピードメーターの精度についても問われる。
精度維持のためには車検も必要になりかねない。
なので恐らく・・・無理。
たぶんですが、国道16号相模原のところなんて、自転車道だと気が付いていないサイクリストは多いと思います。
単なる歩道の中の、自転車通行エリア程度にしか思っていないサイクリストもいるはずで、車道を走ると通行区分違反になっていることすら気が付いていない。
知ってしまった以上は、自転車道を通行する義務があるので、私なんかは16号相模原はもう通行しないことにしてます。
迂回路はありますし。
法を犯す気は無くても、知らぬ間に犯している事例なんていくらでもあると思うんですよね。
左折専用レーンでの動き方なんかもそう。
後日アップする予定ですが、複数車線あっても車両通行帯指定されていない道路もあるので、
そういう交差点(複数車線あるけど車両通行帯指定されていない)で、左折専用レーンから直進したい場合、左折専用レーン内でも左端しか法的には通行できなかったりする。
厳密に法を見た場合、これが違反になる道路って、実はあるんですよね・・・
まあ、どこの道路が車両通行帯指定されているかは見てもわからないので、取り締まり対象とはなっていないようですが、法に反するといえば反する。
これについてはいろいろ無理がありすぎる面もあるので、上の画像二つのような動き方をしたからといって即座に違反だとはなりませんが。
私が自治体相手にやっていた訴訟もそうなんですが、判決文では相手(自治体)の行動が違法であるとしています。
別に彼らも、法を犯したくて犯したわけではないんですよね。
法解釈を検討した結果、彼らなりには合法と判断したんでしょうけど。
けど司法では、違法であると認定される。
法令遵守に努めるというならわかるけど、法律を守るなんて豪語することは無理だなあ・・・
軽犯罪なんて、誰でも引っ掛かるような内容だったりするし。
信号を守るとかは当たり前の話だし、法令上明確なことについては当然守るように努めていますが。
法律を守ると豪語しながらも、法律上矛盾が生じる構造を妄想するというのも凄い。
まあ、法律を守って走っているサイクリストを盗撮してネット上で批判するような人もいるので、本当に難しい時代だなと思います。
理解しておいたほうがいいのは、
なのでロードバイクで公道を走ると、矛盾が生じるものも正直ある。
これも矛盾というか、脚なのか趣味なのかの違いでもあると思います。
ママチャリの【通行】で考えると、自転車道を設置するのはアリだと思うんですが、ロードバイクでの【走行】で考えると、自転車道はマジで勘弁なのが本音。
けどあくまでも道路行政は、趣味性よりも移動手段として使う人が優先されるべきだと思いますので、仕方ないといえば仕方ない。
ロード乗りとしては法を遵守するために、仕方なく迂回して走行することが出来ますが、ママチャリ等で【移動手段・脚】として使う人の場合、そこを通行するしかないケースもあるわけですし。
コメント
管理人様
初めてコメントさせていただきます。
自転車レーンと、自転車通行可の歩道の併設ですが、兵庫県神戸市に存在しています。
大開通という道で、大開通2丁目交差点(google map座標・34.67483459106111, 135.16719165447932)が自転車レーンの始点になっているのですが、始点の標識と自転車通行可の標識が、同じ支柱についているのがストリートビューで確認できます。
実際歩道を自転車で走行したら、どういう扱いになるかはわかりませんが、ネタにでもなればとコメントさせていただきました。
コメントありがとうございます。
確かに両方の標識がありますね・・・
車両通行帯は法律上、車道ではなく道路全体に掛かっている定義なので、歩道も含めて規制が入るはずなんですが・・・
一度県警に聞いてみようかと思いますが、可能性としては、自転車通行帯での逆走を防止する意味合いとして、歩道の標識を残した可能性もありますね。
もしくは、公安委員会が指定していない車両通行帯(=法的拘束力が無い)という可能性もあるのかもしれませんが・・・