読者様から質問を頂きました。
時々、自転車レーンの走り方の話が出て来るので思い出しました。
沖縄県名護市の幹線道路市役所前後の国道58号沿い約4kmに自転車レーンが設置されました。
2019のツールドおきなわに行った時、盛大に“歩道”をほじくりかえしていました。
2020秋に行ったら半分が青い自転車レーンになってました。
写真のように車道と分ける分離ブロックがありますし歩道とも分離されています。
これを見ると相模原の例と同じように自転車はここを走らないと違反になりそうですが、前述のとおり元々歩道の一部だった場所です。
昨年秋に初めて走った時は専用道路と思ったのであえて車道ではなくここを走りましたが、左の駐車場から出てくる自動車が本線進入のためにとりあえずこの青いレーンまでは頭を出してくるので危険で常に徐行状態でした。
周りを見渡すと、このレーンを走るロードバイク、車道を走るロードバイク、歩道を走るママチャリといった状況でした。
さて、 このレーンを走らないと違反なのでしょうか?
というお話です。
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ここは自転車道
画像を頂いたので確認してみました。
道路標識が325の2になっているので、ここは道路交通法上は自転車レーン(自転車専用通行帯)ではなく、自転車道となります。
第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。
違反の場合、法的には通行区分違反で2万円以下の罰金または科料です。
で恐らく、元々かなり広い歩道があったのではないかと思われ、歩道の一部を削って車道(自転車道)に転用したのではないかと。
調べてみると、やっぱりその通りでした。
http://www.ogb.go.jp/-/media/Files/OGB/Kaiken/kyoku/kisya/160804_kisya.pdf
元々は歩道が【自転車歩行者道】、つまりは自転車通行可能な歩道だったようです。
元々3m幅の歩道を2mに縮小し、かつ植栽帯を削ることで2mの歩道と、2mの自転車道を作ったようですね。
こんなイメージです。
赤線が植栽帯、青線が縁石。
自転車道の定義は
縁石や柵などの工作物で仕切ることが要件なので、縁石と植栽帯で区切っているのでしょう。
国道16号相模原の自転車道は、元々車道(側道)だったところを整備して自転車道にしてます。
今回のケースでは元々は歩道だった場所を再整備して歩道と自転車道にしているわけですが、道路構造令の歩道の条件さえ満たしていれば、歩道から自転車道を分離させることは出来ます。
なので歩道は2m確保して、自転車道も2m確保するように植栽帯を減少させているということなのかと。
ちなみにですが、
自転車道としては珍しいと思うのですが、双方向性ではなく一方通行になってます。
なぜだろう?
自転車道を作る場合、一方向性ではなく双方向性で作ることが多いのかなと思ってました。
国道16号相模原もそうですし、名古屋の中心部にある自転車道も双方向性です。
双方向性で作るのって、基本はママチャリのことを考えてのことです。
一方通行で作ると、ママチャリは逆走が増えますから・・・
どうしても趣味性が高いロードバイクと、単なる移動手段のママチャリではこのあたりが変わってきます。
この自転車道での逆走が違反であることを知っているかどうかの問題も有れば、知っていたとしてもちょっとくらいいいだろ、自転車なんだしという甘えからの逆走が増えますから・・・
読者様情報ですが、
必ずしも機能しているとは言えないというw
このような追記も頂きました。
なるほど、やはり青くペイントされた自転車道を走らないといけないのですね。
半分わかってたとは言え残念な回答でした。 車道もどちらも走って無問題となるといいなー と思ってました。
というのも、先のメールにも書いたように道路左の駐車場や施設から出てくる車が危険すぎるのです。
名護市を貫く(曲がってますが)幹線道路なので、左右に大規模な商業施設が連続しています。
それらの施設からの自動車が本線に出るためそれなりの速度で出てきて自転車道上で一時停止して本線に合流していきます。
自転車道がない時代はこちらも本線を走ってますからロードバイクなりの速度で走ってても特に問題ありませんでしたが、先日この自転車道を走った時は目の前に車が出てきて停止!
こちらが減速しなければ接触もありそうな場面が多数でした。 ママチャリスピードで走ればいいと言われればそれまでですが・・・
自転車道の問題点は、道路外の店舗から車道への合流と、車道から道路外の店舗に入る車。
沖縄は車の運転が荒いとか噂では聞きますが、実態がどうかはわかりませんがそういう地域性もあるのかもしれません。
この手の自転車道は、国土交通省ではA種自転車道としているはずなので、設計速度は15キロ(やむを得ない場所は10キロまで)となっているはず。
設計速度(km/h) | ||
A種自転車道 | 15 | 10 |
B種自転車道 | 30 | 10 |
※B種はレクレーション目的の自転車道等を指す。右の数字は道路幅の縮小などでやむを得ない箇所の設計速度。
名護の自転車道は、目的としてはA種、生活道路なんでしょうから、設計速度はママチャリ用の15キロだと思います。
なのでロードバイクが趣味で走ることなんて全く考慮されていません。
これはしょうがないというか、
趣味よりも生活が優先するのでしょうがないところなのかと。
生活の足のママチャリと、趣味のロードバイクがお互いウィンウィンで成立するには、道交法上の【普通自転車】の括りからロードバイクを外さないと達成不可能だと思うのですが、これはハードルが高過ぎてそのような議論にすらなっていない気がします。
ママチャリとロードバイクをどうやって定義するのかは困難ですし、違反を取り締まる側からしても困るだけですし。
普通自転車の括りからロードバイクが外れると、自転車道と歩道を通行することが出来なくなりますが、それを求めていないロードバイク乗りもいるはずなので、意見もまとまらないでしょうし。
道路構造令では、自転車道は原則2m以上の幅とされています(やむを得ない場合は1.5mまで縮小可)。
この名護の自転車道は2.0mの幅員のようなので、ギリギリです。
国道16号相模原は双方向性になっていますが、あそこは基本3.0mの幅があります。
恐らく名護の自転車道で双方向を採用しなかった理由は、幅の問題かと思います。
2m幅で相互通行は、嫌な予感がしますし。
それでいて歩道をさらに削ると問題も生じるので、こうなったのだろうと・・・
こういうのっていろいろ整備方法はあるわけですが、横浜の湾岸道路の場合。
双方向性になっているのですが、道路の片側にしかこの自転車道が無いという問題が生じます。
そうすると、法的にはここをロードバイクが通行すると違反になります。
まあ、法的にはおかしいのですが、自転車道が無い側の歩道(自転車道の対岸)には、【自転車通行可】の標識があったりしますw
このあたり、警察的にも厳しく取り締まりするつもりも無いということなんでしょう。
道路の片側にだけ双方向性の自転車道を作ると、困る人たちがいるので実情に合わせた形なんでしょうし。
まあ、日本では50年近く掛けて、【自転車は歩道】だとする文化を根付かせてしまったのが最大の問題で、その文化を急に警察が否定するようなアナウンスを始めるもんだから余計ややこしくなっているとも取れます。
ちょっと前まで、警察も【自転車は歩道を走るべき】みたいなアナウンスをしていたと思ったら、急に方針転換してやっぱ車道に行けですからね。
法律上では歩道は例外だったのは確かでも、実態は違いましたから。
年 | 法改正 | 背景 |
S35 | 道交法成立、自転車は車道のみ | |
S45 | 自転車の歩道通行解禁 | 車の交通量増加と事故の多発 |
自転車は歩道へという謎ムードが広がり定着。警察も【自転車は歩道のほうが安全だ!】などと謎の指導を始める | ||
S53 | 自転車横断帯の新設 | 歩道通行が当たり前のような施策 |
H20 | 改正道交法により自転車の歩道通行要件を改訂(13歳未満、70歳以上、標識の有無など) | 歩道での自転車事故の多発 |
歩道での事故が多いので、【やっぱ原則として自転車は車道なんだよ!】と警察庁が広報し出す | ||
H23 | 警察庁が【多くの普通自転車の歩道通行が念頭に置かれている普通自転車通行指定部分の指定がある場合を除き、自歩可の交通規制が実施されている歩道をつなぐ自転車横断帯は撤去すること。 】という指針を発表。 | |
H24 | 自転車ナビマークの出現(警視庁) | |
H25 | 自転車の路側帯通行は左側に限定(路側帯の逆走禁止) | |
H28 | 国土交通省が「自転車ネットワーク計画策定の早期進展」と「安全な自転車通行空間の早期確保」に向けた提言を発表 |
ロード乗りは別に困ることが無くても、ママチャリで移動するだけの人たちは困惑する。
で、名護の自転車道については、ロードバイクはここを通過する義務があります。
ただし実態として、機能しているとは言えなそうな。
そもそも警察も、自転車の通行区分違反については違反を取るわけにもいかないでしょうから、せいぜい注意止まりだろうとは思います。
なかなか法の規定が浸透しているとは言えない以上、刑罰を科すのは無理があるので。
警察自体も、法に反する道路標識を立てているケースも確認されますが、これも実情に合わせて【しかたなく歩道の標識を残している】みたいな感じのようですし。
国道16号の相模原についてもそうなんですが、
ぶっちゃけて言いますが、国道16号は何度もロードバイクで通行してます。
何度もなんてレベルではなく、余裕で100回以上は通行しているはず。
読者様から話を伺うまで、そもそも自転車道が存在することすら知りませんでした。
この近くに住んでいたこともあるのですが、ロードバイクで車道を走る分に、自転車道の存在に気が付く人のほうが珍しいような。
ただこれも、ママチャリで移動するだけの人からしたら、国道16号相模原の構造はうまく出来ています。
スポーツサイクルに乗る人にとっては、知らぬ間に通行区分違反を犯すのでクソ面倒な構造としか思いませんが。
警察も車道を走るロードバイクの取り締まりはしてないのかと思いきや、読者様は注意されたそうですし。
私はこの道路自体を走るのをやめてます。
迂回路はありますから。
まあ、実態としては車道をガンガン走っているロードバイクは多いと思いますし、それ自体をあまり責める気にはならないですね。
たぶん、普通に気が付いていないだけでしょうし。
名護の自転車道についても、この読者様からこのような意見を頂いてます。
あと、この自転車道は平成28年から在ったのですね、知りませんでした。
プレスリリースの区間800mは140kmの部門だとゴール直前でしか走りません、レースでは車道のどまんなかを走ってるしレース前日に
レンタカーで通過してたかも知れませんが全く気付きませんでした。
2020秋に気付いたのはコロナ渦によるレース中止(だけどあえて当日走ってみたw)のために車道の真ん中を走らなかったのと自転車道の区間がかなり延長されていたからです。
法的には、標識に気がつかないほうが悪いと言われてしまいそうですが、自転車道って突如として現れたりするので、気がつかないまま車道を通過してしまうことなんて普通にある。
私も先日、知らぬ間に通行区分違反を犯してましたが、
あんな意味不明な場所から自転車道が始まっていて、どうやって気がつけばいいのかはサッパリわかりません。
対岸を逆方向に走る人とか、どうやっても自転車道の存在に気がつくことは不可能なわけで、最初から知っていないと無理。
ロードバイクの場合はそこそこスピードも出ているので、相当注意して無いと道路標識を見逃すわけですが、警察もせいぜい注意程度で取り締まりはさすがに無理でしょう。
まあ、ツールド沖縄のレースに出ている人が、道路標識を気にするわけはないので(笑)、それも責められるものではないですし。
名護の自転車道も、それなりに費用を掛けて整備したんでしょうけど、実態としてうまくいっているのかはやや疑問です。
自転車道整備はママチャリ向け政策と思うので、そうすると一方向性という時点でイマイチ感はあるような。
積極的に取り締まりしているわけでもない自転車については、どうもこういうところは曖昧になりがち。
ちなみにですが、名護も相模原も【国道】なので、道路構造や計画・立案について聞きたいなら管轄は道路事務所(国土交通省)です。
間違っても名護市とか相模原市に聞いたら、管轄外。
まあ、そんな管轄外に聞く人がいるかはわかりませんが、国道16号の自転車道については相模原市が管轄であるかのように容易に誤認させうる記述も見かけるので、そういうのがネットの情報の信用性を落とす行為なような。
そんな人はネット上の情報の信用性ガーなんて語れないですね。
自らが落としている張本人ですし。
間違いや誤解を生みかねない内容は訂正したほうが世の中のためだと思いますが、間違えても訂正では許されないという人もいますしね。
道路構造ではなく道交法の適用については、警察が管轄になります。
ちょっと話は逸れますが
前にも少し書いたのですが、道交法上では、追越しなどの際の側方間隔は規定されていません。
愛媛県などは思いやり1.5m運動などとして、車が自転車を追い越すときには1.5m開けることを思いやりだとしています。
側方を通過されるのって、追越し、追い抜き、対向車のすれ違いなどがあるわけですが、側方間隔を規定してしまうと、国道16号相模原の自転車道では対面通行が不可能になってしまう恐れもあります。
道路幅3.0mでの対面通行ですが、側方間隔を例えば1m以上などと規定すると、対面通行時の側方間隔が保てないので道路設計が出来なくなる。
こういうのも例外規定をたくさん作れば側方間隔を定義・規定出来そうな気もしますが、例外規定が多過ぎる結果になるし、要は70条の安全運転義務違反に抵触しない程度の距離(=危険ではない距離)と曖昧にしているのが実情。
先日も信号待ちで、後ろから大型車が来たので、青になる前に相当左端に寄る意思を示したのですが。
トラックの運転手も会釈&軽めのホーンで応えてくれたので、お互いにウィンウィンで終了と。
峠道とかでもそうなんですが、狭い峠道を登っているときに後ろから大型車が来ると、まあまあ怖い。
上っている最中に足を付きたくないですが、そんなことよりも安全性を重視したいので退避場所があれば退避して停車し、先に行かせます。
自分を守るのって、他人任せ(ドライバー任せ)では無理だと思っているので。
至近距離で追越しされてあーだこーだ騒ぐよりは、精神衛生上もいいような気がします。
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