自転車に少額違反金制度導入と、電動キックボード(一部)が免許不要の方向へ。

警察庁の有識者会議が中間報告をまとめたとのことで、いくつか報道にも出ているように、自転車に対して少額違反金制度を導入することと、電動キックボードの一部を免許不要とする検討に入ったようです。

まだ正式に決まったわけではありませんので、あくまでも検討段階ですが。

本決まりであるかのように誤解を受ける報道もありますが、あくまでも中間報告による提言です。

こちらが警察庁の有識者会議の中間報告書です。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/mobility/interim-houkoku.pdf

自転車に対する少額違反金制度導入

まずは自転車の違反について。
現行法では事実上罰則がないに等しい(=ほかの刑罰との兼ね合いで、不起訴がほとんど)ので、少額違反金制度を検討しているとのこと。

16ページ

② 自転車事故と取締りの状況について

自転車事故について、近年、死亡・重傷事故全体に占める割合が増加傾向にある。
また、自転車事故と法令違反の関係を見ると、対自動車の死亡・重傷事故のうち、約7割には自転車側にも法令違反が認められる。
さらに、歩道上での疾走、よそ見運転等、自転車による危険な歩道通行も大きな問題となっている。
次に、自転車による交通違反に対する指導取締り状況について見ると、近年、悪質・危険な自転車運転者の検挙を積極的に推進していることから、検挙件数は増加傾向にある。
ただし、警察庁の調査によると、検挙された自転車による道路交通法違反のうち、起訴されたものは1~2%にすぎず、現状、自転車の違反に対する責任追及は不十分であると考えられる。

71ページ

3.2.5 自転車等の交通ルール遵守の徹底

本有識者検討会では、様々な新たなモビリティについて車両特性に応じた交通ルールの在り方を検討してきたが、小型低速車と速度・大きさが一般的に同程度である自転車については、様々な交通ルール違反を指摘する声が存在し、死亡・重傷事故につながりやすい違反も存在する。自転車や新たなモビリティについて良好な交通秩序を実現するためには、交通ルールの策定のみならず、その徹底方策も重要であり、特に、安全教育の推進と指導取締りは、車の両輪として推進することが適切であると考えられ、引き続き、危険な運転者に対する取締りを推進すべきである。他方、自転車の違反に対する刑罰的な責任追及が著しく不十分なものに
とどまっている状況を踏まえれば、指導取締りについては、刑罰に代わる少額の違反金を課すなど、非刑罰的な手法も含め、違反の抑止のために実効性のある方法を検討すべきである。

ということで、自転車の違反に対して責任追及が不十分だとして、新たな違反金制度を模索しているようです。
ほかの刑罰との関係から、前科が付く刑事罰ではなく、少額違反金制度にする方向性のよう。

毎日新聞の報道によると、14歳以上を目安にするようです。

https://mainichi.jp/articles/20210415/k00/00m/040/036000c

これは大賛成。
ただまあ、実際に警察官が取り締まりしないと意味がないわけで、どこまで実効性があるのかはやや怪しい面はあります。
しかし現行制度では、事実上は刑罰を科さずに注意どまりみたいな状況でしたので、それよりも一歩踏み込んだ違反金制度にする方向性は評価できるかと。

電動キックボード

先にまとめるとこうなります。

<前提条件:時速15キロまでしか出ない電動キックボード>

法区分小型低速車を新設
運転免許不要
対象年齢16歳以上
ヘルメット任意だが着用を推奨
通行位置歩道は不可、自転車レーンと自転車道はOK、車道もOK

※実証実験の結果次第では変更の可能性あり
※時速15キロ以上出る電動キックボードは、今まで通り原付扱い

免許不要の方向性には驚きましたが、あくまでも時速15キロまでしか出ないようになっているもの限定です。
以下、有識者会議の中間報告を載せます(管理人が重要だと思うところにはマーキングしてあります)。

64ページ以下

3.2.1 電動キックボードや一部の搭乗型移動支援ロボット等(小型低速車)
(自転車乗用者の乗車用ヘルメットを含む。)

電動キックボードは、一般的な二輪の原動機付自転車等と同じく、原動機を用いて運転するものであり、ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する自転車とは、その性質を異にするものである。
しかしながら、最高速度が一般的な自転車利用者の速度と同程度(時速15km)に抑えられており、かつ、その車体の大きさも普通自転車と同等なものも実用化されている。そこで、こうした電動キックボードについては、そもそもの自転車の交通ルールについても周知徹底を図りつつ、基本的には、通行方法等について、自転車と類似の交通ルールとするのが適当である。

また、搭乗型移動支援ロボット等の新たなモビリティであって、最高速度や、その車体の大きさが一定以下のものも含め「小型低速車」として位置付け、電動キックボードと同一の交通ルールを適用することとするのが適当である。
もっとも、これらの小型低速車は、人の力を用いずとも一定の速度を出すことができることを踏まえると、下記の点については、自転車と道路交通法上の取扱いを異にするべきである。

新しい法区分として、小型低速車というカテゴリを新設する方向とのことです。

① 運転することができる者
自転車については、その運転することができる者について、特段の制限は設けられていない。
一方、小型低速車は、原動機が作動すれば、本人の意思にかかわらず容易に一定の速度に達し得ることを踏まえると、危険性が必ずしも自転車と同程度であるとは言えず、自転車と同様に、運転することができる者について制限を加えないこととすることは不適当である。
この点、小型低速車の多くは、現行の道路交通法においては原動機付自転車に該当することとなり、運転するためには原付免許又はその上位免許を受けている必要がある。

警察庁においては、運転者の適格性の担保の在り方について検討するため、原付免許等を有している者と有していない者との間で、交通の安全の観点から、電動キックボードの運転行動を比較する実験が行われ、両者の間で、一部の項目については大きな差が見られたものの、これらはもっぱら交通ルールに関する知識の差が要因となっているものと考えられ、全体的に見れば大きな差はないという結論が出された。
これを踏まえると、最高速度が一般的な自転車利用者の速度と同程度に抑えられている小型低速車を運転するに当たっては、下記のように一定の安全教育を受けることで十分であり、何らかの運転免許を受けている必要まではないのではないかと考えられる。

一方、一部の委員からは、児童や幼児等が運転するのは危険ではないかとの意見が出され、また、電動キックボードに係る海外の法制度を見ても、多くの国において、一定の年齢制限を設けていることが見受けられる。
そこで、小型低速車を運転することができる者の範囲について、運転者に、運転免許を受けていることは求めないこととするものの、一定の年齢に達していることを求めるべきである。この点、現行の原付免許等は、16歳に達していなければ受けることができないこととされており、小型低速車を運転する者についても同様に、16歳程度に達していなければならないこととすることが適当である。

また、一部の委員からは、運転免許を受けていることは求めないこととしても、販売やシェアリング事業を行う事業者による利用者への交通安全教育が行われるべきではないかとの意見が出された。この点、警察庁が行った実験においても、二段階右折の方法等については運転免許を受けていない者の理解が乏しいことが明らかになったことから、事業者による交通安全教育を行うことを少なくとも努力義務としつつ、その具体的な内容について、引き続き検討する。

自転車と同じ程度の速度でも、原動機が付いている以上は危険度は異なるという立場から、16歳以上とする案が出ているようです。
免許までは不要だけど、交通安全教育は必要との立場。

免許者と無免許者で違反に違いがあるか調査もしているようですが、指定場所不停止(いわゆる一時停止のこと)
だけが突出して無免許者の違反が多いような。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/mobility/interim-houkoku-gaiyou.pdf

大きな差は見られなかったと結論付けていますが、被験者数も多いとは思えないですし、ここはもうちょっと慎重に判断してほしいところ。。
例えば高校生や大学生をたくさん集めて同じ調査をするとどうなのか?高齢者だとどうなのか?などもしっかり調査してから立法化しても遅くないのではないでしょうか?

② 通行することができる場所
小型低速車に該当する車両は、現行法では車道しか通行することができないとされているものの、その最高速度や、車体の大きさを踏まえると、現行法において軽車両が通行することができる路側帯のほか、3.1.2で述べたとおり、普通自転車専用通行帯及び自転車道についても、普通自転車と同様に通行しても差し支えないと考えられる。

一方で、歩道の通行については、本有識者検討会においても賛否両論であったが、「歩道は、歩行者の通行の安全を確保するための空間であり、車両は高速で通行してはならない」という点では一致していた。また、電動キックボードに係る海外の法制度を見ても、多くの国において歩道における通行は禁止されている。
これらを踏まえ、原則として、小型低速車は、歩道を通行することは不適当であると考える。

一方、3.1.2でも述べたとおり、電動のモビリティは最高速度を制限することが容易であることから、小型低速車について、3.2.2で検討する歩道通行車と同様の車体の大きさであれば、歩道通行車と同様の最高速度に制限し、その旨を表示した上で、歩道を通行することを認める方向で検討することとし、速度制限の方法や表示の在り方について、歩道の安全性を損なわないよう、引き続き検討する。この点、地面を蹴ることにより所定以上の速度を出すことができてしまうこととなるのであれば、ペダル付原動機付自転車と同様の状況が懸念されることに留意する。

原則としては歩道走行を認めないものの、検討する余地はあるとも取れます。
自転車への政策で、約50年前に歩道走行を可能にしたばかりに大混乱が起こった歴史を忘れないでほしいのですが・・・

③ 乗車用ヘルメット(自転車を含む。)
自転車や、原動機付自転車、普通自動二輪車、大型自動二輪車の乗用者が頭部を受傷する交通事故において、乗車用ヘルメットが致死率を大幅に減少させることができることは、統計上明らかであり、現行法上、原動機付自転車や自動二輪車の乗用者は、乗車用ヘルメットを着用することが義務付けられている。
一方で、自転車については、13歳未満の児童等を保護する責任を有する者の努力義務が定められているにとどまり、乗用者が一般に着用することが義務付けられていないことを踏まえると、小型低速車が自転車と同等の速度で、同様の場所を通行することとなるのであれば、その乗用者について、法的に着用することを義務付ける必要はないのではという意見も、事業者や一部の委員から出されたところであった。

この点、そもそも、自転車の乗用者についても、乗車用ヘルメットの着用が定着しておらず、また、交通事故情勢を踏まえると、自転車の乗用者について、更に乗車用ヘルメットの着用を促すことが必要ではないかと考えられる*1。
そこで、全ての年齢層の自転車の乗用者について、乗車用ヘルメットの着用を努力義務とするなどし、更なる着用促進を図っていくことが適当ではないかと考える。その際、小型低速車を自転車と同等の速度で、同様の場所を通行するものとするのであれば、小型低速車についても、自転車と同様にヘルメットの着用促進を図っていくことが適当である。
もっとも、今までは原動機付自転車等として、乗車用ヘルメットの着用が法的な義務であった小型低速車について、その義務を緩和することによる安全性への影響を検証するとともに、社会的な受容性も見極めることが必要であることから、今月から実施される予定である電動キックボードに係る新事業特例制度を活用した公道実証実験の実施結果を精査した上で検討する必要がある。
また、安全性という観点では、夜間の走行に際し、反射板やブレーキランプ機能を備えた尾灯を備えさせることで、交通事故に遭う危険性を下げるべきであるという意見も提示された。

このほか、小型低速車についても、原動機付自転車等と同様に車体の安全性を十分に確保する必要が認められ、本来認められている速度より速い速度で走行できるように改造されるといったことを防ぐためにも、検査や型式認定等、車体の安全性を判断する仕組みが必要であるとの意見が出された。これらについては、国土交通省と警察庁が連携して対処していく必要がある。
なお、小型低速車の基準となる速度について、一部の委員からは時速15kmから上げてもよいのではないかという意見が出されたが、運転免許を不要とするとともに、乗車用ヘルメットの着用を義務付けないことを踏まえると、適当ではないと考えられる。

自転車と同程度の速度だし、自転車と同じ場所を走るのだからヘルメットを義務付けるまでは必要がないということのようです。
ただし、自転車についても全年齢層でヘルメット着用の努力義務を拡大することや、小型低速車についてもヘルメットを推奨する形にするようです。

新たな方向性

自転車の少額違反金制度についてはいいことだと思います。
身分証を持ってないときに捕まったらどうするんだ?なんて雑な意見も見ましたが、そんなのはいくらでも本人確認しようと思えばできるので。
その理論だと、職務質問されて身分証を持ってない時にどうするんだ?という話だし、間違っても他人であるふりをすれば違う犯罪になるわけだし。
今までだって、累積で自転車講習行きの制度があったわけですが、身分証をたまたま持っていなくても普通に運用されてきたこともわかってないんでしょうね。

あとはどれだけ運用されるかにもよりますが、とりあえずは検討段階。
個人的には【少額】という響きがどの程度をイメージしているのかもきになります。
信号無視で1000円とかでは抑止力にならないので、5~8千円くらいは最低でも取るべき。

電動キックボードのほうはちょっと意外でした。
時速15キロまでのものに限定ですが、事実上の大幅な規制緩和ですから。

これについては免許まではいかなくても講習制度を作って、講習に参加したことがある人か免許を持つ人だけが乗れるようにしたほうがいいと思うんだけどなぁ。

それ以外で気になるとしたら、保険関係と、法区分の問題。
小型低速車は保険も任意ということでしょうか。
あと、例えば自転車と電動キックボードで事故が起こった場合に、どっちが交通弱者なんだ?というところもしっかり決めてほしいところ。
この区分だと、自転車と同等とみている可能性もありますが、どうなるんでしょう。

あとはルールを決めても、使う人のモラルに委ねられる面も大きい。
小型低速車扱いの電動キックボードを、改造して速度を上げる奴も出てくる。
事実上、警察は今も取り締まりをしっかりしているとは思いませんが、どうしても歩道を走ってしまう奴も出てくる。

使う人次第では無法地帯化する恐れもあるので、小型低速車の罰則がどの程度になるかも注意してみておく必要があります。
それと同時に、何らかの形で車検に近いものを作らないと、無法地帯化しかねません。

ただまあ、諸外国よりは制限速度を抑えてきたなという印象です。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/mobility/interim-houkoku-gaiyou.pdf

他国はだいたいは時速25キロまでとなってますので、時速15キロまでと大幅に抑えてきたのは評価できるポイント。
イタリアだと18歳未満はヘルメット着用の義務があるとなっているので、年齢でヘルメットの有無を決めてもいいんじゃないかと思うところもあります。

前にも書いているように、乗って起こった事故や怪我については自己責任。
乗る・乗らないの選択肢はすべての人に等しく与えられているわけなので、私は乗らないことにします。

とりあえずは中間報告の試案段階なので、本決まりではないことにも注意を。

フル電動自転車ですらすべてを取り締まれていない現状なので、結局は取り締まりを強化する必要があることには変わりないですが、フル電動自転車については少額違反金なんて遠慮しなくていいので、ガッツリ30万くらいは取ってもらいたいものです。
といってもフル電動自転車って自転車の違反ではないですね。