信号機の拘束範囲という話。

先日もちょっと書いた件ですが、歩行者自転車専用信号がある場合、車道を走っている自転車もそれに従う必要があります。
(法的には)

これについて、ご意見を頂きました。

車道の信号機は車道のみ、横断歩道の信号機は横断歩道のみにしか拘束力がないのでは?

これについてはこちらの記事でも理由を書いています。

ロードバイクで交差点に進入するとき、車道から来た場合は車道の信号に、歩道から来た場合は歩道の信号に従うことがルールです。 ただややこしいこ...

恐らく施行令の条文の解釈の問題だと思うところです。

根拠の話

恐らくこれを主張する人の場合、根拠にしているのがこちらだと思います。

道交法施行令

(信号の意味等)
第二条 法第四条第四項に規定する信号機の表示する信号の種類及び意味は、次の表に掲げるとおりとし、同表の下欄に掲げる信号の意味は、それぞれ同表の上欄に掲げる信号を表示する信号機に対面する交通について表示されるものとする

歩行者自転車専用信号機がある場合に、それは横断歩道についている。

車道には【対面してない】から、車道を走る自転車にまでは拘束力がないという意味だろうと思います。
どこまでが対面と言える範囲なのか?を確定する必要が出てきますね。

例えばこの道路。

第一通行帯の上に信号機がありますが、第二通行帯にはその効力が及ばない・・・なんてわけもない。
さらにいうと、反対車線にも順行方向に意味を成す信号機が付いている。

対面というのは、進行方向と同じ向きについていればそれで足りると解釈できます。
そのため、

横断歩道がやたら奥まっているなら別として、交差点と一体と言える範疇であれば拘束力があると解釈できます。

違う観点から見ます。
施行令2条の信号機の意味はこちら。

信号の種類信号の意味
青色の灯火一 歩行者は、進行することができること。
二 自動車、原動機付自転車(右折につき原動機付自転車が法第三十四条第五項本文の規定によることとされる交差点を通行する原動機付自転車(以下この表において「多通行帯道路等通行原動機付自転車」という。)を除く。)、トロリーバス及び路面電車は、直進し、左折し、又は右折することができること。
三 多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、直進(右折しようとして右折する地点まで直進し、その地点において右折することを含む。青色の灯火の矢印の項を除き、以下この条において同じ。)をし、又は左折することができること。
赤色の灯火一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。
二 車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。
三 交差点において既に左折している車両等は、そのまま進行することができること。
四 交差点において既に右折している車両等(多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両を除く。)は、そのまま進行することができること。この場合において、当該車両等は、青色の灯火により進行することができることとされている車両等の進行妨害をしてはならない。
五 交差点において既に右折している多通行帯道路等通行原動機付自転車及び軽車両は、その右折している地点において停止しなければならないこと。
人の形の記号を有する青色の灯火一 歩行者は、進行することができること。
二 普通自転車(法第六十三条の三に規定する普通自転車をいう。以下この条及び第二十六条第三号において同じ。)は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。
人の形の記号を有する赤色の灯火一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。
二 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。

上二つは車道にある信号機ですが、横断歩道に信号機が無くても、車道の信号機が歩行者に対し効力を持つわけです。
歩行者に対しても規制効力を持ってますし。

で、恐らくここまで書いても

いろんな人
いろんな人
いや、横断歩道の信号機は車道に対面していないだろ!!

屁理屈論者が出てくる。
対面という言葉からすれば、進行方向に向いている信号全てが対面とみなせるわけですが、国家公安委員会がどっちなのかを決めちゃっているんですよ。
屁理屈の応酬で決まりませんから。

【交通の方法に関する教則】という国家公安委員会告示があります。

https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/kyousoku/index.htm

これは道路交通法に基づく外局規則に当たるものですが、ちゃんと規定されているんですよ。

付表1 信号の種類と意味

(2) 歩行者用の信号機に「歩行者・自転車専用」と表示されている場合の信号

信号の種類信号の意味
人の形の記号がある青色の灯火(1) 歩行者は、進むことができます。

(2) 自転車は、直進し、左折することができます。右折するときは、右折する地点まで直進し、その地点で向きを変えることまでできます。

人の形の記号がある赤色の灯火(1) 歩行者は、横断してはいけません。

(2) 自転車は、横断を始め、又は停止位置を越えて進んではいけません

(3) 交差点で既に左折している自転車は、左折方向の信号が赤でもそのまま進むことができます。

(4) 交差点で既に右折している自転車は、右折方向の信号が赤のときはその右折している地点で停止していなければなりません。

備考 この表において「停止位置」とは、第一項の表の備考に規定する停止位置をいう。

前表の停止位置と同じ、とありますが、このように規定されています。

備考 この表で停止位置とは停止線があるところでは、停止線の直前をいい、ないところでは、次の位置をいいます。

(1) 交差点では、その直前(交差点のすぐ近くに横断歩道や自転車横断帯があるところでは、横断歩道や自転車横断帯の直前)

(2) 交差点以外で、横断歩道や自転車横断帯や踏切があるところでは、その直前

(3) 交差点以外で、横断歩道も自転車横断帯も踏切もないところに信号機があるときは、信号機の直前

交差点の定義は、2以上の車道が交わるところ(法2条)。
【交差点ではその直前】とあるように、車道を通行してきた自転車に対しても、歩行者自転車専用信号機が赤であれば、停止線を超えて進んではならないとなっているわけです。

なので法律を厳守する場合、これだとアウトになってしまう。

停止線を越えて交差点に進入してはいけない規定ですので。

この【交通の方法に関する教則】というのは交通法108条の28に基づき定められているものなので、法的な意味を持つわけです。

(交通安全教育指針及び交通の方法に関する教則の作成)
第百八条の二十八 国家公安委員会は、道路を通行する者に対する交通安全教育を行う者(公安委員会を除く。)が効果的かつ適切な交通安全教育を行うことができるようにし、及び公安委員会が行う前条の交通安全教育の基準とするため、次に掲げる事項を内容とする交通安全教育に関する指針(以下「交通安全教育指針」という。)を作成し、これを公表するものとする。
4 国家公安委員会は、道路を通行する者が適正な交通の方法を容易に理解することができるようにするため、次に掲げる事項を内容とする教則を作成し、これを公表するものとする。
一 法令で定める道路の交通の方法

つまりは道交法に基づく法令解釈の規範みたいな存在。
その中で上で書いたように規定されちゃっているわけです。

これで屁理屈論争が終結しますね。

言いたい意味は分かりますが

令2条の【信号機に対面する交通について表示されるもの】という表現を曲解したい気持ちはわかります。
何で車道を走っているのに、横断歩道の信号機に従う必要があるんだ!というのがロード乗りとしての本音ですから。

ただまあ、法律上でこう決まっている以上は、法解釈としてはこうなります。
車道を直進する場合には効力がない、と法を捻じ曲げて解釈するのはちょっと違う。

で、こちらの記事でも書いたように、こんなもんを取り締まりなんてしていないんですよ。

自転車の場合、道路交通法の正しい解釈通りに取り締まりが実施されているとは限らないのが実情。 今回は管理人が思う、法解釈と取り締まりの実情が...

やろうと思えば信号無視扱いで取り締まりは可能。
けど実態として、免許制ではない自転車に対し、こんな細かいところまで取り締まり対象にするのは酷。
さらにいうと、車道の信号機には従っているわけで、信号無視しようとする故意性があるとも言えない。

法解釈と実際の取り締まりが別というのは、こういうことです。
私自身、普通にこのように通過しますよ。

特に後ろめたい気持ちもありません。
警察官も恐らくですが、上の奴らは現場のことをわかってない!とでも思っているんじゃないですかね。
どの会社でも経営陣に対する不満なんて出るでしょうけど、それと似ているのかも。

法律を守っていることにするために、法解釈を捻じ曲げる人たちがいるわけです。
そうではなくて法解釈を知った上で、守ることでリスクがあると思うから守らないというだけの話。

こういう謎ルールがある理由は、警察が自転車を歩道に追いやったからですよ。
その時代の名残が残っているだけ。

何度も書いていることですが、自転車横断帯についても、通行義務はあります。
けど罰則はなく、警察官から指示されて従わない場合だけ罰則があります。

結構前に読者様から指摘いただいていた件があります。 上記リンクにあるようにそういった横断帯は交差点...

法律を厳守していますというロード乗りがいた場合、それは単に法律を理解していないだけのこと。
横断帯にしても、現場レベルの警察官であれば、車道を走っているロードバイクには注意しないと普通に語りだします。
不合理だから、というのが理由。

なんかおかしな法解釈をすることで正当化しようとする向きがあるようですが、

3 交差点の通り方

(1) 信号が青になつてから横断しましよう。

なお、「歩行者・自転車専用」と表示されている歩行者用信号機がある場合や横断歩道を進行する場合は、歩行者用信号機の信号に従わなければなりません

https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/kyousoku/index.htm

国家公安委員会告示では、【交差点の通り方】として、【「歩行者・自転車専用」と表示されている歩行者用信号機がある場合】もしくは【横断歩道を進行する場合】には歩行者用信号に従う必要があるとしています。
施行令2条の【対面の交通】の意味を具体的に示しているのがこれです。
令2条3と5の規定により、自転車専用信号機がある場合、ほかの信号機は自転車に対する効力を失う。

これでご理解いただけますでしょうか??

その上で、私の意見としてはバカバカしいので守る必要はないと考えます。
車道を走るロードバイクには。
現場レベルの警察官だと、イチイチ左折するようなプレイは求めないという人が多いですよ。

もちろん、法律を守ると豪語しているような人は当然守ることになりますけど。
こういうのって法の条文を挙げてみていけば一目瞭然ですよね。
法解釈で迷うケースでは、執務資料道路交通法解説とか、注釈道路交通法など解説書を読むのがいい。
公安委員会が間違っている!と思うのであれば、恐らく病気レベルです。

こういうので一番良くないのは、法の条文を挙げることもなく、根拠もなく語ること。
第三者が検証しやすくするように、どの条文を根拠としているかを示すのもまともなブロガーの務めなのかなと考えています。
間違いがあると思うときは、違う条文を挙げて批判出来ますし。
なので条文を示すことで根拠を示すと同時に、批判しやすくしているんですね。
私が書いていることがどの条文に基づいているのかが分かるので、違う条文を挙げて批判することが可能になる。
根拠も提示することなく批判するのは人としてアウトですからねぇ。
いきなりまとめサイトとか見るとだいたい間違うのでご注意を。