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歩道ワープを取り締まることは可能なのか?

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最近こういうの多いですよね・・・

ドラレコの普及で、SNSに容易にアップされてしまうことも分かっていないのでしょうか。

どう見るべきなのか?

こういうのってどんな違反が成立しうるのか、なかなか難しいところ。
とりあえず、ここが車両通行帯になるのかは謎ですが、とりあえずその話は後程。。

 

車両通行帯ではない複数車線道路という存在。
ちょっと思うことがありまして。 ちょっと前にですが、読者様からこのようなものを教えてもらいました。 ツイッターの動画なんですが、もう既に消されているようなので、イラストで説明を。 法的側面 要は複数車線ある道路で、自転車に乗っていて後ろから...

 

後方カメラがないのであれなんですが、まずはここから検討します。

(左折又は右折)
第三十四条
6 左折又は右折しようとする車両が、前各項の規定により、それぞれ道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をした場合においてはその後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした車両の進路の変更を妨げてはならない。

左折のウインカーを先行車が出しているので、その車両の進路を妨げると違反です。
ただしこの条文は、左折前に左側端に寄ることを妨害したかどうかの話になっているので、法34条の6の違反は自転車には成立しない。

 

問題になるのはコレなんですよね。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

いわゆる【歩行者等横断妨害】と呼ばれる規定です。
実はこの条文、かなり厄介なんですよ。

 

ではまず質問です。

 

1,横断歩道しかないところで、自転車が横断しようとしていた。歩行者はいませんでした。車は一時停止義務がありますか?

⇒正解は【ありません】。

 

ここが実はトラップなんです。
この条文ですが、【歩行者等】【横断歩道等】とまとめてあるので一瞬意味が分かりづらい。

 

まず、横断歩道と自転車横断帯の定義から見ていきます。

四 横断歩道 道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)により歩行者の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。

横断歩道は自転車のためのものではなく、歩行者のために存在している。

四の二 自転車横断帯 道路標識等により自転車の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。

38条1項ですが、横断歩道と自転車通行帯を併記しているのでちょっとわかりづらいのですが、道交法2条によると横断歩道=歩行者、自転車横断帯=自転車のためのものですよね。
なので横断歩道を通行する歩行者と、自転車横断帯を通行する自転車に対する規定になります。
そのため、横断歩道を通行する自転車に対しては適用外なんです。

 

38条1項の解釈ですが、執務資料道路交通法解説ではこのようになっています。

(問)横断歩道を自転車に乗って通行する者があるが、この者に対しても本条1項後段の義務があるか?

 

(答)歩行者とは、歩いている人はもとより、二輪の車両を押して歩いている人(法2条3項参照)をいうから、自転車に乗って通行している人は、歩行者ということはできない。したがって、自転車に乗って横断歩道を通行している者がいても、本条第一項後段の義務は生じない。もっとも、この場合に法70条(安全運転義務)の義務があることは当然である。

 

なお、横断歩道を通行する自転車乗りに関して、昭47・8・12東京地裁の次のような判決がある。

 

野下文生、道路交通執務研究会、執務資料道路交通法解説(2018)、p380、東京法令出版

自転車の運転者が道路を横断するにあたって横断歩道を利用する場合には、自転車に乗ったまま疾走し、飛び出すような形で横断歩道を通行することは厳にしてはならないというべきであって、自動車運転者はこのような無謀な横断者はないものと信頼して運転すれば足りる。

 

東京地裁 昭和47年8月12日

執務資料道路交通法解説では、横断歩道を通行する自転車に対しては、歩行者等横断妨害が発生しないとしています。
その根拠として判例もありますね。
解説書では、38条のほうは適用外で、70条の安全運転義務違反に問われうると書いてある。

ただし、この解釈を鵜呑みにするのも危険です。

法解釈上はこれで間違いないのですが、実態とは異なる面もあるので、過大評価したり鵜呑みにしないほうがいいかな・・・と思ってます。
というのも平成20年に道交法と施行令が改正されています。

平成20年の道路交通法改正で、13歳未満、70歳以上の自転車は歩道通行が認められた

※あくまでも歩道通行の話で横断歩道は関係ありませんが。

平成20年の施行令改正で、歩行者用信号機の意味が変わった。

信号の種類
信号の意味
人の形の記号を有する青色の灯火 一 歩行者は、進行することができること。
二 普通自転車(法第六十三条の三に規定する普通自転車をいう。以下この条及び第二十六条第三号において同じ。)は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。

※自転車も歩行者用信号機で進めることになった

歩行者用信号機の灯火の意味が変わったのですが、道路交通法での横断歩道の定義は据え置き(歩行者の横断の用に供するための場所)のままなんですよ。
横断歩道は歩行者のためのものなのに、歩行者用信号機では自転車も進行できるという謎状態になってしまった。

 

さらにですが、今って自転車横断帯の撤去が進みましたよね。
先ほど挙げた判例は昭和47年のものですが、自転車横断帯が誕生したのは昭和53年。
つまり横断帯が出来る以前の判例。

 

法解釈上は本来であれば、横断歩道を通行する自転車に対しては、車は38条に従う必要が無いんです。
けど実態として、取り締まりされるケースもあるっぽいのでなおさらややこしい。
明らかに衝突するタイミングで車が一時停止しない場合は、普通に事故が起こるだけなのでアウトですが。

 

本来の法の趣旨で言うと、この場合ですが

車は38条に従う必要がありません。
ただし自転車が先行して横断歩道にいるのに一時停止しない場合は衝突事故を起こすので、実態としては一時停止せざるを得ない。

 

また、法の条文の読み方次第では、横断歩道等、歩行者等とまとめてしまっているので、横断歩道を通行する自転車にも適用されるように読めなくもないのがややこしい。
警察がそれを元に切符を切ってくる恐れもあるので、実態としては横断歩道を通行する自転車相手であっても、38条に基づいて一時停止などしておいたほうが無難なわけです。

 

特に今回の場合って、車道にいたはずの自転車が、知らぬ間に歩道に移りましたという謎状態。
とりあえずこの動画のケースでは、車のドライバーは一時停止しているので違反ではないですが、本来の法の趣旨からすると、横断歩道を通行する自転車に対しては38条って関係ないんですよ。
自転車を押して歩けば歩行者扱いなので、その時は歩行者として保護されるけど。

3 この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする
一 身体障害者用の車椅子又は歩行補助車等を通行させている者
二 次条の大型自動二輪車又は普通自動二輪車、二輪の原動機付自転車、二輪又は三輪の自転車その他車体の大きさ及び構造が他の歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当する車両(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽けん引しているものを除く。)を押して歩いている者

さて順を追ってみていきます。

 

後方カメラがないので詳細は不明ですが、自転車は交差点の直前で歩道に上がっているんでしょう。
というよりもガードレールの切れ目が無いので、歩道に上がったのは交差点手前で確定です。

 

そうなるとここが引っ掛かるんですよ。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条
2 車両等は横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない

ただこれ、若干疑問はあります。
車は左折しようとしているので左側の横断歩道についてもこの場合は38条2項の【横断歩道等又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において】には該当するのですが、こっちの側方通過については何ら問題が無く、一時停止義務もない。

なのでこの条文に適用できるのかは若干疑問はあります。

 

車と同じ左折方向に自転車が進行するなら、明らかに一時定義義務はあるのですが、歩道に上がって横断歩道を直進する方向にいったので、何とも悩ましい。

 

次の問題点。
そもそも見たところでは、自転車歩行者通行可の標識が無いので、自転車が歩道通行できる要素が見つかりません。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき

安全を確保するためにやむを得ないときには該当しませんので、歩道ワープを認めていません。
ただしこの規定なんですが、罰則がありません。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。
(罰則 第二項については第百二十一条第一項第五号)

法63条の4第1項には罰則が無い。

 

次の問題点。
歩道に上がる前には一時停止義務がありますよね。
自転車も車両ですから。

(通行区分)
第十七条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。

必要な限度において歩道を通行する前には、一時停止義務がある。
ただしこれも、施設に出入りするためではなさそうだし、駐停車するためでもないし、関係なさそう。

 

そうすると38条2項の一時停止義務は何とか取れるかな??というところでしょうか。

さらに細かいところを言うと、横断歩道を通行しようとする自転車は、歩行者が横断歩道にいるときは降りて通行する義務があります。
自転車も車両なので、車両は進路の前方の歩行者がいるときは、一時停止して妨害しないようにしないといけない。
これも実は歩行者横断妨害に当たります。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない

 

交通の方法に関する教則

(5) 道路を横断しようとするとき、近くに自転車横断帯があれば、その自転車横断帯を通行しなければなりません。また、横断歩道は歩行者の横断のための場所ですので、横断中の歩行者がいないなど歩行者の通行を妨げるおそれのない場合を除き、自転車に乗つたまま通行してはいけません

まあ実態としては、こんなもんまで取り締まり対象ではないのですが。
横断歩道に歩行者がいるときには乗ったまま通行しちゃいけませんよーというのが本来の規定なんですが、街中を見渡せばわかるように、守っている自転車は皆無に等しい。

 

ただまあこれらを総合して考えると、自転車の違反については、一時停止してないなら38条2項の違反が成立しうる可能性と、横断歩道に歩行者がいるにもかかわらず乗ったまま通行しているので、自転車が歩行者の妨害(法38条)をしていると言えるのですが、

 

いろんな人
いろんな人
そんなの守っている人を見たことがない!

 

どちらも罰則はありますが、正直微妙。
実態としてはこんなもんで自転車が違反を取られることはまずないかと。

 

ちなみに、車が左折前に左側端に寄せた行動が、法26条の2による抵触するかどうかですが、

(進路の変更の禁止)
第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。

先行車は早めにウインカーで合図しているようですし、車と自転車の速度を見る限り成立する可能性はないでしょう。

 

けどこういう歩道ワープって、明確に取り締まりできる根拠って難しい。
先行車が交差点の直前で追越ししてウインカーを出して、危険回避のために歩道側に左折するように自転車が進入せざるを得なかった場合は別ですが、そのような気配はありませんし、歩道に逃げたから自転車が優先というのは筋が通らないかと。

 

38条と自転車の関係について判例をまとめておきます。

 

横断歩道の自転車通行と、38条の関係性。
こちらにまとめ直しました。 以後、追加は下記にしていきます。 先日このような記事を書いたのですが、 記事でも書いたように、横断歩道=歩行者のためのもの、自転車横断帯=自転車のものなので、基本的には横断歩道を通行する自転車に対しては適用外です...

 

車の追越し違反に該当するか?

車が自転車を追い越すときに、複数車線だから車両通行帯とみなして、追越し違反ではないかと考えるケースもあるようです。

(車両通行帯)
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない

 

まずこれが追越しにあたる?というところから検討する必要があります。

二十一 追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合においてその進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。

追越しは、4要素が全て成立する必要があります。

条文条文 意味
1 ほかの車両に追いついた 法26条の車間距離まで迫った場合
2 進路を変えて 進行方向に対し鋭角をつけるで、車線変更とイコールルではない
3 側方を通過
4 前方に出る

1番目の追いついた時=法26条の車間距離まで迫った状態と解釈されるのですが、道路の進行方向に対して、先行車と後続車の車体が一部もしくは全部重なった状態と解釈されます。

 

なのでこうであれば追いついた(法26条の車間距離)ですが、

こうであれば追いついていないことになる。

ツイッターの映像ですが、路上駐車している車に対し、自転車も車も右に逸れて通過してますよね。
そして路上駐車の車を交わした直後、自転車が左側端に戻った。
先行する自転車が左側端に逸れた時点で、追いついた状態ではなくなっているので、後続車はほぼ進路を変えずにそもまま進行することで自転車を追い抜いただけとみなせる。

 

追越しの定義は道交法2条1項21号に書いてある通りですが、【追いついてから進路を変えて】が成立しないと追越しとはみなされない規定です。
路上駐車の車をパスするところでは追いついているでしょうけど(法26条の車間距離まで迫ったという意味)、その後自転車が左側端に進路を変えているので、後続車が加速した時点では追いついてない。

 

道交法の進路変更というのは、車線変更とイコールではありません。

 

道交法の【進路変更】の概念。
ずいぶん前に書いた記事についてメールを頂いたのですが。 関係ない部分もあるので、まとめて書きます。 進路を変える=車線を跨いで移動することなので、書いている内容は間違いではないか? 例えばこういうのが、道交法での【進路変更】に当たっていない...

 

道路の進行方向に対し、鋭角が付けば進路変更なので、同一車線内でも進路変更は成立する。
こういうのって道交法の解説書をみればわかりそうなもんですが。

 

追越しではなく追い抜きにしか見えませんが。
まあ、これを車の追越し違反と見る人はいないでしょうけど、念のため。

 

追越しであるとは思えませんが、もし仮に追越しだとなった場合でも、そもそもここは車両通行帯なのか??という疑問が沸く。
これはこちらでも説明していますが、

 

正しい車両通行帯の考え方と、自転車乗りは違反なのかについて検討。
先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているのですが、これが違反になるのかどうかについて検討します。 事実確認・法確認から 調べたところ、この道路は府道13号京都守口線の守口市内のようです。 ・片側2車線道...

 

ここが車両通行帯であるなら違反ですし、車線境界線で区切っただけの道路であれば違反ではありません。
車線境界線で区切った道路であれば追越し方法はこの規定が適用されるだけです。

 

(追越しの方法)
第二十八条 車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない

以前も書いたように、ほとんどの一般道では車両通行帯指定されているのは交差点付近のみです。
道路の全てが車両通行帯であることはほぼあり得ないと言ってもいい。

 

実際、これが一般道で取り締まりされない理由は、

車両通行帯ではないから。

 

左折マークと直進マークが出てくるあたりからは車両通行帯である可能性もぜろではないでしょうけど、しゃりょ通行帯になっている交差点付近は、原則としてイエローラインで車線変更禁止になっているので、ここが車両通行帯である可能性はほぼありません。
なので車の追越し違反という指摘があったら、ほぼ的外れと言っていいかと。

 

複数車線=車両通行帯ではないので、ここを理解していないととんでもない間違いを犯すだけですが、謎の独自解釈を加えたがるアホもいますので注意。

 

車両通行帯ではない複数車線道路という存在。
ちょっと思うことがありまして。 ちょっと前にですが、読者様からこのようなものを教えてもらいました。 ツイッターの動画なんですが、もう既に消されているようなので、イラストで説明を。 法的側面 要は複数車線ある道路で、自転車に乗っていて後ろから...

 

総合的に考えて、そもそも追越しだとは思えませんが、車両通行帯の追越し違反だというのはほぼ成立する要素は無いでしょう。
頭がおかしい人だと、なんでもかんでも車の違反にしたがる傾向がありますが、公平に見てあげないと。

 

なお、交叉点手前で自転車側の左追越し違反ではないかと思う人もいるでしょうけど、これも基本的には成立しません。
追越しは条文に示された4要素をすべて満たす必要がありますが、

条文条文 意味
1 ほかの車両に追いついた 法26条の車間距離まで迫った場合
2 進路を変えて 進行方向に対し鋭角をつけるで、車線変更とイコールルではない
3 側方を通過
4 前方に出る

法26条の車間距離まで迫ることを【追いついた場合】と言います。
法26条の車間距離は、先行車が停止中である場合には成立しません。

「追い付いた場合」に限ったのは、進行している前後車両相互の間の移動関係を規制する趣旨と解されるから、異論もあるが、駐車又は一時停止している前車の前方に進出しても、追越しには当たらないと解する。

 

野下文生・道路交通執務研究会(2017)執務資料 道路交通法解説 P.69 東京法令出版

なので追越しの要素を満たさないため、単なる側方通過となるので左追越しではないと解釈できます。
ただまあ、左折待ちの先行車に対して、左からすり抜けようと考えてしまう時点でお察しというか、バカなんでしょうね。

普通に考えれば

こういうのってどう考えるかなんですが、自転車は車道を走ってきたので、車のドライバーとしてもそのまま車道を走るだろうと思い込むことは普通なこと。
左折のウインカーを出しているにもかかわらず、自転車が交差点直前で歩道に上がり、横断歩道を通行することまで予見できるのか??というのが謎。

 

実際に接触や衝突があったなら別ですが、事故には至っていないことを考えれば、こんなトリッキーなプレイをする自転車の動きを予見しろというのは無理がある。
交差点直前で歩道に上がったとしても、そのまま左折方向に進行することはまだあり得る。

左折巻き込みを防ぐためにも、直進したいならこのような進路になる。

交差点付近しか図に書いてないので変な角度になってますが、実際は車が追い抜いた地点と交差点まで距離があるので、こんな角度になることはないでしょうけど(単なる模式図ですからw)

 

左折巻き込み誘発兵器みたいな動きは、通常予測不可能。

驚いてクラクション鳴らしても、正当な行為なんじゃないですかね。

 

本来の法解釈で言うと

上でも書いたように、本来の法の趣旨で言うと、車は横断歩道を通行しようとする自転車に対して一時停止義務はない。
しかも自転車は、横断歩道を通行する歩行者がいるにもかかわらず、降りずに通行したという違反なんです。
後方カメラがないので詳細は不明ですが、横断歩道待ちの先行車の横を通る前に一時停止していないならそれも違反。

 

ただし最近の歩行者等横断妨害の摘発を見ていると、横断歩道を渡る自転車だけであっても一時停止したほうが無難です。
謎の取り締まりに遭う恐れがあるのと、根本的なところで言うと事故を起こさないようにするというところですね。

 

自転車の違反については、警察も厳格に取り締まりしていないのは誰でも知るところ。
歩道と車道を使い分けてすり抜けていく自転車もいますが、都合よすぎですわな。
早く死ねよと思っている人も多いのではないでしょうか?

 

車に対しては警察もバンバン違反を取りますし、歩行者等横断妨害については、近年警察が重視しているポイント。
警察官がおかしなタイミングでこの現場を目視した場合、車の妨害と勘違いされる恐れもゼロとは言えません。
自転車が歩道に上がったところを見逃されると、まあまあややこしくなる可能性があるので。
そう考えるとドラレコがあるのは便利というか、自分を守る手段になり得る。

 

そういう意味でも、車のドライバーって大変。

 

今後、自転車に対する少額違反金制度が導入予定になっています。

 

自転車に少額違反金制度導入と、電動キックボード(一部)が免許不要の方向へ。
警察庁の有識者会議が中間報告をまとめたとのことで、いくつか報道にも出ているように、自転車に対して少額違反金制度を導入することと、電動キックボードの一部を免許不要とする検討に入ったようです。 まだ正式に決まったわけではありませんので、あくまで...

 

これですが、ほぼ確実に導入されるだろうと思われます。
というのもこれを導入しないと、今後免許不要で乗れる予定になっている電動キックボードを取り締まりできませんし。
警察庁は、速度15キロまでしか出ない電動キックボードに対し、小型低速車というカテゴリを新設予定。
小型低速車は免許不要で乗れる予定になっていますが、自転車とか小型低速車に対する違反金制度が無いと、実質的に取り締まりできない状況に陥ります。
理論上では自転車の違反に対しても刑事裁判にかけることも出来ますが、起訴率は1%程度しかありません。

 

なのでイラっとすることがあっても、自転車が明らかに悪いケースでも、車のドライバーのほうが分が悪いんです。
容易に反則を取られる車と、滅多に違反を取られない自転車。
同じ車両なのに、扱いは天と地ほど違いますから・・・

 

私見としてですが、道交法に歩道ワープに関する規定を作ったほうがいいと思います。

 

例:普通自転車が車道から歩道に上がる際には、歩道の前で一時停止しなかればならない。歩道から車道に降りるときも同様とする。

 

好き放題車道と歩道を行ったり来たりする自転車に対して、明確に記したほうがいいのではないでしょうか?
ドライバーのほうも、イラっとしても、余計なことをすると違反を取られかねないので、本当にかわいそうなんですが。

 

歩道ワープを厳格に取り締まろうと思えば、車道から歩道に上がるときに一時停止義務がありますが、あれって条件があるので微妙(法17条2項)。

ちょっと補足しておきます

車道をロードバイクで走っていて、信号機がない横断歩道で歩行者が横断しようとしていた場合、当然ですが一時停止して歩行者を優先する義務があります(法38条)。

これは理解できるのでいいとして。
歩道を通行する自転車が、同じく信号機がない横断歩道を渡ろうとしているときに、一時停止して譲る義務があるのってなんか変じゃね??と思っていたんです。

自転車は原則として歩道を走れないので、いわば違法通行しているわけですよね。
キチンと車道通行している自転車が、歩道を違法通行している自転車に対して一時停止義務があるとしたら、なんかおかしいよねとずっと思ってました。

 

それについて調べている段階で、やっと理解したわけです。
横断歩道は歩行者のものなので、歩行者が渡ろうとしている場合に一時停止義務がある。
自転車横断帯もあるなら、自転車に対しても一時停止義務がある。

 

横断歩道を渡ろうとする自転車に対しては、本来は一時停止義務はないんです。
けど法改正をして曖昧になっている部分もあって、違反を取られかねないですし、違反を取る段階で調書に【歩行者も渡ろうとしていた】とか勝手に付け加えられるとアウトになる。
なので事実上は自転車が横断歩道を渡ろうとしている場合も一時停止しないと、不利益を被る可能性が高いという謎状態なんです。

 

総合的に見ると、この件で誰かが違反として切符を切られる可能性はほぼ無いと思いますが、歩道ワープはマジ勘弁。




コメント

  1. T.K より:

    動画見させていただきました。
    自転車側が事後の態度も含めて論外なのは当然として、クルマ側も、いい歳こいたオッサン相手なら「死ねよ」でいいかもしれませんが、子供が予測不能な動きでああいうタイミングで飛び込んでくることもあるわけで、左折時の動きとしては慎重さが欠けているように思いました。
    歩行者・自転車が交通法規より自分の都合優先で勝手な動きをするのは常のことで、ロードバイクも対歩行者・自転車についての立場はクルマに近いものがあるので、こういう動画もそういう意味では参考になります。どいつもこいつも何をするかわからん、という前提で運転する必要があるでしょうし、正確な法解釈を知っていても口論で役に立つということも無さそうです。
    自分も交差点を直進で渡った直後、歩道から横断歩道を渡っていたクロスバイクが車道に入ってきてぶつかりそうになったことがありました。前から歩行者が来ていていかにもやりそうな雰囲気があったため避けられましたが、車道と歩道を都合よく使い分ける自転車だけでもなんとかならないものかなと思います。傍から見てると身勝手そのもので、よく恥ずかしくならないなと思うのですが…

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      おっしゃる通りで、法解釈は法解釈に過ぎず、本来は法律上違反ではないことであっても、お互い様の論理と言いますか、譲り合いで成立することって普通にあります。
      ですがその一方、マナー論を一切認めずに、法律上違反ではないことは全て許されているんだという論調の人もいて・・・道路がどんどん危険になっているようにも感じます。
      法律をちょっとかじった人が陥りやすい罠なんですが、法律が全て解決できるというわけでもなくて、法律を持ち出す前に譲り合う心があれば問題なく終わるはずなんですけどね。
      歩道ワープについては、明確な法規制が無いことも問題なんですが、そもそも自転車に対しては取り締まりが厳しいわけでもない実情を考えると、法律論の前段階で何とかすべきことなのかもしれません。

      >どいつもこいつも何をするかわからん、という前提で運転する必要があるでしょう

      結局はこれです。
      法律を守ったとしても相手が守らなければ死ぬリスクもありますし。

  2. kueharaaz より:

    追い越しの要件の進路変更の角度は鋭角は90度以下の角度ですから、言うなら鈍角。でも何度なら進路変更になるとかならないという決まりはなさそうですね。前の車に追いつく前からずっと左端にいてそのまま通りぬけて前に出れば追い越しの定義に当てはまらない、と思うのですがいかがでしょうか?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      進路変更ですが、自転車の場合は進行方向に向かって車体幅を超える位置まで移動すれば成立します。

      「進路」とは、当該車両の幅に相当する道路の部分であり、車両(自転車を含む。)は、他の車両通行帯に進行方向を変える場合のみならず、同一車両通行帯内であっても、みだりに進路を変更することは禁止されている(道路交通法26条の2第1項)。

       

      福岡高裁 令和2年12月8日

      追いつくことなくずっと左端にいて前に出る分には追越しではなく追い抜きとなります。

  3. Anonymous より:

    まあこの自転車も、歩道に上がらずにこの車を交差点で右側から追い越していけばよいのに、とは思いますが、車のマナーも決して褒められたものではないでしょう。
    すぐ左折するにも関わらず、強引に自転車の前に出て、自転車の自然な通行を妨げている、としか見えませんけど。
    「車とはスピードが違うので安全に通過します」とかほざいているようですが、交差点で高々数秒程度で追いつかれているわけですから、その理屈には無理がありそうです。
    車で左側車線を走行中に、無理やり前方に割り込んできてすぐに減速左折し、こちらのスムーズな走行を妨害する輩も時々見かけますが、こういうドライバーの仕業かと思うと納得です。
    貴殿もこのドライバーに好意的なようですが、一度自分のマナーも反省した方がよろしいのでは。

    • roadbikenavi より:

      自転車の自然な通行とは何を意味するのか知りませんが、この場合、自転車の速度や進路を急激に変えるような左折方法でなければ問題にはなりませんし、だいぶ無理がある主張をされましても。

      ドライバーに好意的ではなく、単に法律解釈をしただけですよ?
      一度ご自身の頭の中を整理されたほうがよろしいかと。

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