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法律を中途半端に捉えると間違う事例。

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こちらで取り上げた件。

 

正しい車両通行帯の考え方と、自転車乗りは違反なのかについて検討。
先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているのですが、これが違反になるのかどうかについて検討します。 事実確認・法確認から 調べたところ、この道路は府道13号京都守口線の守口市内のようです。 ・片側2車線道...

 

この方、動画をなぜか削除しているようですが、この道路は交差点手前のイエローラインのところ以外は車両通行帯ではなく車線境界線なのは確定しているので、道交法18条1項に違反しますが、罰則はありません。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。

車両通行帯が無い道路ですからねぇ・・・
ウダウダいう人もいるので、一応判例も挙げておきます。

さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。

 

最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日

この最高裁の判例は、外環道の片側二車線部分について、車両通行帯だと思い込んで警察官が追い越し車線を通行する車を取り締まった。
けど実態は車両通行帯ではなく車線境界線だったので、取り締まりが違法だったとして非常上告した事例です。
片側二車線だろうと、公安委員会が設置していないのであれば20条1項の車両通行帯ではないと判示しています。

 

つまり【車両通行帯が無かった】という事例ですね。

なお被告は亡Aに重大な過失の存ずる根拠の一つとして、原付自転車に登場していた同人が本件事故現場に設置されていた3本の通行区分帯中左端の第一通行帯を進行すべきであるのに(道交法20条1、3項、同法施行令10条1項2号)右端の第3通行帯を進行した旨主張するが、【証拠略】によれば本件事故現場に設けられている前記2本の白線は岡山県公安委員会が正式の車両通行帯として設置したものではなく、道路管理者たる建設省岡山国道工事事務所が通行車両の便宜を考慮して設けた事実上の車両境界線に過ぎないことが認められるから、両被告の主張はその前提を欠き理由がないものと言うべきである。

 

岡山地裁 昭和45年4月22日

なお車両は車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない(道路交通法20条)が、本件道路について、車両通行帯(同2条1項7号)が設置されていることを示す証拠はない(車線境界線は、直ちに車両通行帯になるわけではない)し、右折を予定していたことを踏まえると、ただちに左側寄り通行等の規制に反していたともいい難い。
そうすると、被告において第2車線を走行していたこと自体に何らかの過失を見いだすことも困難といえる。

 

名古屋地裁 平成26年9月8日

各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、本条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

 

昭和48年1月19日 福岡地裁小倉支部

判例を見ていると、複数車線だけど車両通行帯ではないケースだと【第1車線・第2車線】と表記されていることが多い。
まあ、判例の読み方も分かっていない人のようなので、理解できるかは不明ですが。

 

判例の読み方と意味。
最近、判例の読み方と意味を全く理解してない人が多いのかなと思うことが多いのですが。 ちょっと前にツイッターで動画を挙げていた人。 うーん・・・【ちゃんと説明されている】はさすがに失笑。 判例の読み方と意味 判例はこちらなんですが、 確かに判...

 

動画を削除したのだと思ってましたが、こんなのは残しているようです。

車両通行帯ではないので、第一通行帯と書いている時点で間違いなんですが。

法律を理解する

判例でも法律の条文でも明らかなように、車線境界線を車両通行帯とみなすわけではないし、【第一車線の左側端を】とも判例が出ている。
まあ動画では、イエローラインのところで後続車がイエローカットして追越ししている場面もあるのでいかがなものかとは思いますが、イエロー規制されている場所以外は【車両通行帯が無い道路】なので、そもそも20条とか関係ないんですね。

(車両通行帯)
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。
2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。

車両通行帯が無い道路なので、関係ない規定。
車両通行帯が無い以上、追越し時には右レーンに移動する必要もない。

 

日本の司法で最高機関に当たる、最高裁判所ですら、

本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない

公安委員会の意思決定が無い道路は、車両通行帯ではないとしてますからねぇ・・・
最高裁が間違っていると思うなら、お察しレベルで話にならない。

法律を読むときは

法律を読むときは、ネット上に転がっているメディアの記事なんかを参考にしないで、法の条文、専門書、判例、国会議事録などから総合的に考えることが大切。
上の方のように、車両通行帯が無いのに20条ガーとか間違った解釈をするだけ。

 

まあ、判例にしても、裁判所のHPってごく一部しか出ていないので、民間の判例検索システムを使わないと出てこない。
まあ、判例の読み方も分からずに、原告の主張を引用するようだと話にもなりませんが・・・

 

左側端の範囲についても、道路状況次第でいろんな判例が出ています。

 

キープレフト(18条1項)の判例と、読み方。
先日もちょっと書きましたが、 この中で取りあげたキープレフトの判例。 車同士の衝突事故ですが、左側端2m空けて走行していた車が、18条1項のキープレフトに反するのか?が問われた民事事件です。 民事なので、事故の過失割合を決めるだけの訴訟。 ...

 

左側に1.5m空けて通行していたオートバイに対し、18条1項のキープレフト違反があったと認定している判例もあるくらいなので、左側端とされる自転車はさらに左側ですね。
こういう数字も、事故状況次第で変わるのであまり意味が無く、意味があるのってこれだけなんですね。

各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、本条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

 

昭和48年1月19日 福岡地裁小倉支部

 

自分の違反に目を向けず車の違反を指摘する愚行

この方、【中央】という動画も上げているくらいなので左側端を走っていないことは自覚されているようです。

車両通行帯がない道路では、道路の左側端に寄って走るというのがルールなので、ルール違反であることは自覚されている模様。
なお18条1項には罰則がありません。

 

このような法律を理解していない人にありがちなんですが、自分の違反行為に目を向けず、車の違反行為をやたら指摘する愚行に走る。
この道路はイエロー規制されている場所以外は車両通行帯がありませんので、後続車は第2車線から追い越す必要はありません。

 

横断歩道を渡ろうとする歩行者がいても、車が止まっていない動画も上げているようなんですが、そもそも、自分自身が道交法を順守しているわけでもないのに、車に矛先を変えようとする時点でお察しなんですよ。
そりゃ、道交法の規定の中には明らかに不合理なものもあって、警察も守る必要が無いというようなルールもあるので、そういうのは含めませんが。

 

警察に動画を見せて、左側端を走れと言われているにもかかわらず、あいかわらず左側端ではないところを通行する。
法律を守れと言っている警察官の指示に従わない人が、どうして車の違反を糾弾できるのでしょうかね?

 

ほかの記事でも挙げますが、一般道には車両通行帯なんて交差点手前とか、専用通行帯がある場所くらいしかありません。
実態として存在しないに等しい車両通行帯を、存在することにして正当化しているだけのようですが、車の追越し方法に文句をつけるなら、まずは左側端通行を守っていることが大前提で、そこを守れていない人は文句をつけるのはお門違いなわけです。

 

まあ、最高裁判例その他でも明らかなように、公安委員会が指定して初めて車両通行帯になるので、複数車線と車両通行帯は別物。
警察が【自転車は左側端】ということには、ちゃんと理由があるわけです。

 

ちなみに教習所だと、複数車線=車両通行帯と教わります。
車の場合は実はこれでも問題ないというか、例えば二車線あったとします。

 

・車両通行帯がある道路の場合 ⇒ 第1通行帯を通る
・車両通行帯がない複数車線道路の場合 ⇒ キープレフト(18条1項)によりなるべく左に寄る(=第1車線)

 

事実上、同じなんですね。
なので車の場合、そこまで分ける必要がない。
けど自転車の場合は大きく関わるので、教習所で習っていないからとかそういうのは単なる言い訳に過ぎない愚行です。
ちゃんと調べると理解できるところですし、判例でも明らかなので、ちゃんと調べることって本当に大切ですね。
なぜ警察が左側端を走れと言ったかも説明が付きますし、法律をわかってない人が中途半端な知識で語りだすとろくなことがないという典型例。

 




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