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自転車道の法的意味②。位置付けが曖昧なので事故が起こると困るかも。

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道路交通法の自転車道の話。

 

道交法における【自転車道】の法的意義。
近年、自転車道を道路に作ろうとする動きがそれなりにあって、ある意味では歓迎だしある意味では迷惑な部分もあるのが本音。 その話は置いといて、道路交通法上の自転車道の解釈については、正直危うい部分が大きいと思っています。 道路交通法上の【自転車...

 

正直なところ、自転車道って道交法の不備だと思ってまして。

前回までのおさらい

自転車道の定義と、通行義務の根拠はこちら。

三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。
(自転車道の通行区分)
第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない

自転車道の定義に道路標識や道路標示が求められていないため、道路標識325の2がなくても、柵や縁石など工作物で区切れば道交法上は自転車道になります。


自転車マークの325の2は必須要件ではない。

 

前回記事でも書いたように、自転車道の要件である【車道の部分】が曖昧な要素です。
執務資料道路交通法解説や国土交通省の資料では、車道を工作物で区切った場合のみが自転車道で、歩道を縁石や柵で区切っても道交法上は自転車道ではないとしています。

 

ただし、車道・歩道・自転車道は、それぞれ柵や縁石で区切れば成立するため(法2条1項3号の1~3)、歩道を削って車道を作ることができることを考えると、元々が歩道だったか車道だったかを問わないとも解釈できる。

 

道交法における【自転車道】の法的意義。
近年、自転車道を道路に作ろうとする動きがそれなりにあって、ある意味では歓迎だしある意味では迷惑な部分もあるのが本音。 その話は置いといて、道路交通法上の自転車道の解釈については、正直危うい部分が大きいと思っています。 道路交通法上の【自転車...

 

車道を削って歩道を作れば歩道になるし、歩道を削って車道を作ることも出来るわけですし。
この曖昧さが、通行義務がある自転車道と、通行義務が無い自転車道という謎状態を作り出しています。

 

自転車道の通行義務と自転車道の道路標識について。意外とややこしい。
自転車道関連の話は何度も書いていますが、道路に自転車道がある場合、自転車は自転車道の通行義務があります。 (自転車道の通行区分) 第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの...

 

この曖昧さは、万が一事故が起こった場合にどうなってしまうのでしょうか?

懸念点は事故が起きた場合

通行義務が無い自転車道、と書くとやや誤解を生みかねませんね。
より正確に書くと、【道交法上の自転車道とは管轄署が考えていない、自転車道っぽい構造】と言ったほうが正しい。

 

ポイントになるのは【管轄署がどう考えているか?】になってくるのですが、事故が起きて損害賠償請求を求めるときに、裁判官がどう考えるかについては全く別なんです。

 

横浜にある国道357号、ここにも自転車道があります。

金沢区エリアについては、金沢署の考えでは道交法上の自転車道ではないという立場なので通行義務がありません(車道をロードで通行しても違反が成立しないと警察署が考えている)。

 

自転車道の通行義務と自転車道の道路標識について。意外とややこしい。
自転車道関連の話は何度も書いていますが、道路に自転車道がある場合、自転車は自転車道の通行義務があります。 (自転車道の通行区分) 第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの...

 

そもそも、道路の片側にしかなく、中央分離帯が分厚いため横浜⇒横須賀方向に走ると絶対にわかりませんし、逆方向に進行しても車道を通行しているとどうやって自転車道(風)には入れるのか理解不能です。

 

【懺悔】不注意により通行区分違反を犯してしまう。自転車道・・・
昨日ロードバイクに乗っているときのこと。 今まで横浜の海側ってほとんど走ったことが無かったのですが、正月に16号を回避して湾岸道路を走ったら、車通りが少ないし信号も少ないと思いまして。 正月に走ったときは、横浜⇒八景島方向のみでそのまま横須...

 

さて、この自転車道(風)は道交法上、何になるのでしょうか?

 

この自転車道(風)、シーサイドラインの駅がある場所では、自転車道の標識(325の2)から自歩道(325の3)の標識に変わります、

つまりは、自転車道(風)がある場所では自歩道ではないわけです。
【自歩道ここまで】という標識があるくらいなので、これは明らかですね。
そうすると、道交法上は自転車通行可になっていない歩道になってしまいます。
自歩道ではないし、歩道だけど自転車が通行するエリアになっている??
もうね、意味不明なんですよ。

 

いくつかパターンと考えてみます。

道交法上の区分 自転車道 歩道 自歩道(規制標識が切れているのであり得ない)
歩行者 通行不可 通行可能 通行可能
自転車 通行義務がある 児童・高齢者・危険防止のためにやむを得ないときのみ通行可 通行可
徐行義務 なし あり あり

私が知る限り、自転車道風であっても、国道357号には一部自歩道になったり、自歩道が解除される標識もある。
考え方としては、実はサイクリングロードと同様のものになっている可能性もあるといえばあるのですが、車道と歩道の間にサイクリングロードというのも変。

 

けど、この国道357号の自転車道については、神奈川県警金沢署が言うには、道交法上の自転車道に当たらないので通行義務が無いとしています。
そうすると歩道?とも取れるので、歩道であれば常に徐行義務を課していることになってしまうし、歩行者が歩いていても違反ではなくなるし、歩行者優先になってしまう。

 

もしも道路標示114の3【普通自転車の歩道通行部分】があるなら、歩道上の普通自転車通行指定部分とも取れます。

種類 番号 道路標示 意味 色彩
普通自転車の歩道通行部分(規制標示) 114の3 交通法第六十三条の四第一項第一号の道路標示により、普通自転車が歩道を通行することができることとし、かつ、同条第二項の道路標示により、普通自転車が歩道を通行する場合において、通行すべき歩道の部分を指定すること。

この場合、標識令では白の線で区切ることになっているので、柵など工作物とは異なる。
なので歩道上の普通自転車通行指定部分とも取れない。

 

先ほど、【サイクリングロードと同様のもの】と書いたのですが、一番ピッタリくるのは、道路法での自転車専用道路なんですね。

<道路法>

(自転車専用道路等の指定)
第四十八条の十三 道路管理者は、交通の安全と円滑を図るために必要があると認めるときは、まだ供用の開始がない道路又は道路の部分(当該道路の他の部分と構造的に分離されているものに限る。以下本条中同じ。)について、区間を定めて、もつぱら自転車の一般交通の用に供する道路又は道路の部分を指定することができる。(省略)
(通行の制限等)
第四十八条の十五 何人もみだりに自転車専用道路を自転車(自転車以外の軽車両(道路交通法第二条第一項第十一号に規定する軽車両をいう。)その他の車両で国土交通省令で定めるものを含む。以下同じ。)による以外の方法により通行してはならない。
2 何人もみだりに自転車歩行者専用道路を自転車以外の車両により通行してはならない。
3 何人もみだりに歩行者専用道路を車両により通行してはならない。
4 道路管理者は、自転車専用道路等の入口その他必要な場所に通行の禁止又は制限の対象を明らかにした道路標識を設けなければならない。
(違反行為に対する措置)
第四十八条の十六 道路管理者は、前条第一項から第三項までの規定に違反している者に対し、通行の中止その他交通の危険防止のための必要な措置をすることを命ずることができる。

ただしこれ、道路交通法とは関係なく道路法になってくるので、一応罰則があると言えばあるのですが(50万以下の罰金)、道路管理者の命令に従わない場合に罰金。
事実上、道路管理者が常に監視しているわけもないので、自転車道(風)に歩行者がいてもお咎め無しになるのは目に見えている。

 

結局、道路交通法上でどう捉えられるのかについては驚くほど不透明だし、警察の考え方と、事故が起きたときの損害賠償で裁判所がどう判断するかは全く別物。

 

じゃあ、結局道交法ではなんなのさ?という謎状態に陥るわけです。
道交法=走り方のルールですから、定義が曖昧過ぎる道路を走るほうがリスクが高い。

道交法で自転車道ではなく、車道でもなく、歩道という割には自転車専用の標識がある。
そうすると道交法での定義は、道路(2条1項1号)になるわけですが、交通法上は自転車用でもないし歩行者用でもないという謎状態に陥りかねません。

 

道路法上は自転車専用なので、歩行者が歩いていたら道路管理者は排除命令を出せるはずですが(道路法48条の16)、道路交通法上は自転車道ではないので、扱いとしては歩道もしくは道路とみられるかと。
そうすると歩行者が歩いていても警察(道交法)はお咎め無しになるし・・・自転車も徐行義務があるのかないのかすらわからない。

万が一事故が起きた場合の過失割合

先ほど挙げた国道357号の自転車道(風)は、道交法上の自転車道ではないと回答されています。
自転車道だと車道扱いですが、万が一歩行者と事故が起きた場合には過失割合すら全然違います。

自転車 歩行者 備考
道交法上の自転車道の場合 75 25 車道になるので歩行者は本来通行できない扱いになる
道交法上で歩道扱いの場合 100 0

自転車同士が事故に遭った場合には、基本的に50:50になると思います。

 

逆走自転車と衝突事故を起こした場合、過失割合は0:100にはなりません。
ロードバイクで走っていると、それなりに見かけるのは逆走してくるママチャリ。 逆走自転車の交わし方については、過去にもいくつか記事を書いてます。 車 対 車の事故で、対向車がセンターラインを超えて逆走状態で突っ込んできた場合、基本的には過失割...

 

これは自転車道扱いでも、歩道扱いでも変わらないだろうと思いますが、歩道扱いの場合はどちらかに徐行義務違反があれば過失修正要素になるかもしれません。
あと、相手が子供や高齢者の場合は問答無用に修正要素になります。

 

そもそもですが、管轄の警察署が考えている内容が、事故が起きた際の民事訴訟で同じ扱いになるとも限りません。
以前相模原署でも言われたことですが、

管轄署が【道交法上の自転車道ではない】と考えていても、柵で仕切っている上に自転車道の標識がある以上、裁判では道交法上の自転車道と見られる可能性は十分ある
そうなると車道を走っていて事故が起きたときに、相手方から通行区分違反による重過失だと追及されかねないし、裁判所もその考えを採用する恐れがある。

 

かといって自転車道(風)を通行中に歩行者と事故が起きたときに、裁判所の判断では歩道だとされてしまう可能性も出てくる。
そうなると全面的に負けます(0:100事案)。

 

もちろん、こんな狭い自転車道で歩行者と事故なんか起こすなよというほうが正解。
もし歩行者がいたら、当たり前のように徐行して警戒して、安全側方間隔を保ってパスするのが鉄則ですし。

 

けど、自転車道ってこのように曖昧な要素が多すぎると思ってまして、まずは道交法上の定義をしっかりしてから作るべきだと思うんですね。

 

車道をロードバイクで走っているときに、結構困るのって歩道からノールックで車道に降りてくる自転車の存在。

 

ママチャリの怪。なぜノールックで車道に出てくるのか・・・
ずいぶん前から疑問に思っていたことなのですが、ロードバイクで車道を走行中に、ノールックで(振り返らずに)車道に下りてくるママチャリっていませんか? 車道を走る身としてはメッチャ怖いのですが・・・ (adsbygoogle = window....

 

これ、自転車道が途切れている場所でも同じだと思ってまして、自転車道が途切れたから車道に移動するのはいいとしても、その時にノールックで車道に降りてきたら車道は大パニックになる。
車道から自転車道への合流地点も同じで、徐行義務とか一時停止義務を課さないと、むしろ事故誘発兵器になると思うのですが・・・

ここは国道16号相模原の自転車道ですが、車道から自転車道に移動するには、わずかですが歩道部分を通行することになる。
なので本来であれば、歩道に上がる前に一時停止義務があるようにも思える。

(通行区分)
第十七条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。

まあ、自転車道が道路外の施設・場所なのかは疑問ですが、自転車道から車道に行く場合も、車道を通行している車両の進路妨害をしてはならないわけで、ノールックで車道に降りるなんて言語道断のはず。

 

広島市に出来たという自転車道についても、

 

広島市に初の自転車道が完成。車道を走ると違反になります。
読者様から情報を頂きました。 数か月前に広島市の広島南道路(都市高速)下の歩道に自転車道が設置されました。 元々、自転車レーン?はあったのですが、標識はなく歩道と自転車道レーンの境界も段差もないので、行ったり来たりは自由な自転車道でした。 ...

 

自転車道の出口、標識がおかしな位置にあると広島在住の方からご指摘頂きました。

道交法の整備もしないと

執務資料でもそうですし、国土交通省の資料でもそうですし、警察の考え方も一部ではこの考えに則っているようです。

自転車道:自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によって区画された車道の部分をいう。(法2条1項3号の3)したがって、車道上に単に道路鋲または区画線を設けて自転車通行帯を区分しているものは、自転車道とは言えない。また、従来、歩道とされていた部分を縁石線さく等の工作物により区画した自転車通行帯については、車道上に設けられたものではないので、自転車道とは言えない

 

https://www.mlit.go.jp/singikai/infra/city_history/city_planning/city_traffic/6/images/sankou1.pdf

これだと、車道なのか歩道なのかを見極めるないとどこを走ったらいいのかすらわからない。
元々車道だったか歩道だったかを問うているのではなくて、縁石や柵で仕切れば車道になるでしょ?だから柵や縁石で仕切れば自転車道になるよという考え方のほうが合理的な気がする。

 

曖昧な要素が多いので、自転車道を作るのであれば、まずは道交法の定義を明確にしたほうがいいと思う。

 

相模原の自転車道にしても、ここは元々側道だったということを一つの根拠にしているようですが、

自転車道の入り口というか手前は誰がどう見ても歩道なわけで、見方によっては歩道の中にある自転車道だから通行義務が無いとも取れる。
けど管轄の相模原署では通行義務があるとして指導している。

 

このように、二つの解釈がどちらとも合理的になってしまうようなケースでは、法自体の不備があるとしか言えないわけですよ。
相模原署でも、車道を走る自転車には注意指導をしているけど、違反として取ることは適当ではないと考えているようでした。
自転車に対してこういう違反を取るのが難しいというのもあるでしょうけど、二つの解釈が成り立つので違反を取るのは無理があるとも取れる。

 

相模原署の交通規制係の方が言ってましたが、道交法上の自転車道は工作物で区切れば成立するわけで、歩道を切り取って車道に転用すること自体は可能なんだから(工作物で区切れば)、工作物があれば道交法上の自転車道とみなせると言ってました。
元々緑道だとか、元々車道だとか、それはどれくらい前まで遡って検討するのかすら不明だし、初めてその道路を通る人が昔なんて知る由もない。

 

けどこういう風に、解釈が割れる定義がおかしいとも言える。
管轄署に聞かない限り分からない自転車道、誰のためにあるのか分からないので、自転車道を作るなら法改正も一緒にしたほうがいいと思う。

現行法 改正案
自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。 ①自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。
②自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画され、道路標識で示した道路の部分をいう。

②であれば道路標識325の2があれば問答無用に成立するし、①でも道路の部分とすることで解決する。

 

法的不備は、事故などトラブル時には危ういですよ、マジで。
そんでもって、今後創設予定とされている自転車の少額違反金制度でも、こういう通行区分違反まで対象になるなら、ホントややこしい。

 

自転車道を作りまくりたい勢力の人は、まずは自転車道の定義を何とかしてから頑張ってほしいと思ってます。
そうじゃないと、車道を走っている人は本当に通行義務があるのかないのかすら分からず混乱するだけ。
さらに言うと、自転車道が突如現れても気が付かずに車道を通行してしまうわけで、それなりに前の地点で標示があってもいいと思う。
100m先から自転車道ありなど・・・

 

これ、自転車進入禁止の道路標識や道路標示も同じで、出来ればもうちょっと早く教えて欲しいんですよ。

突如規制標示が現れて、歩道に行けと促されても困る。

 




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