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自転車を追い越すときの側方間隔。1.5mがベスト?

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自転車乗りとしては、車が追越しする時にはなるべく側方間隔を取ってほしいところ。
至近距離だとビックリしますし、ついでに速度差があると怖いですからねぇ・・・

 

ただまあ、道路交通法上では、追越しや追い抜き等側方通過時の側方間隔についての規定は明確ではありません。

 

※判例をまとめました。

 

自転車への側方間隔はどれくらい空けるべき?判例を検討。
先行する自転車を追い越し、追い抜きするときに、側方間隔が近すぎて怖いという問題があります。 これについて、法律上は側方間隔の具体的規定はありません。 (追越しの方法) 第二十八条 4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条に...

 

道路交通法上の規定

道路交通法上、追越しする時の義務はこうなっています(後続車の義務)。

(追越しの方法)
第二十八条
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じてできる限り安全な速度と方法で進行しなければならない

状況に応じて【できる限り安全な速度と方法】で追越しせよという規定。

 

追い抜きの場合には安全運転義務が関係すると思われます。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

状況に応じて他人に危害を及ぼさないような速度と方法となっています。

 

二輪車の追越しと追い抜きの話。
どうも二輪車の場合、追越しと追い抜きについて誤解が多いような気がします。 今回は法律上の、正しい追越しと追い抜きについて考察します。 追越しの定義 追越しの定義はこのようになっています。 二十一 追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合にお...

 

車両通行帯のある道路では、追越しする車両は第2通行帯から追越しする規定になっていますが、そもそも一般道では交差点付近や専用通行帯などがある場合くらいしか車両通行帯はないので、この違反が成立する可能性は極めて低いように思います。

複数車線と車両通行帯はイコールではない。

 

さらに詳しく知りたい人への車両通行帯の話。
ここまで何度も、一般道の場合は車両通行帯は限られた場所にしかないよという話を書いているのですが、警察庁が車両通行帯を設ける場所の基準を一応出しています。 この中で、【必ず】車両通行帯にせよとしている個所がいくつかあります。 いくつかの警察署...

 

自転車を追越しする時の側方間隔の判例

つい先日、このような判決がありました。

おととし自転車で転倒し、道路に倒れこんだ当時87歳の男性を車ではね、そのまま逃走しました。

男性はその後、病院で死亡しています。

9日開かれた判決公判で、静岡地裁の鈴木悠裁判官は「自転車の転倒を瞬時に予知できた可能性は認められない」と過失運転致死については無罪としました。

一方でひき逃げについて「命が奪われたことは軽く見ることはできない」と指摘し、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

 

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

映像で道路状況も出ていますが、広いとは言えない道路。
側方間隔がどれくらいだったのかは不明ですが、先行自転車が転倒したところを轢過した事件で、轢過については過失とは言えないとして無罪にしています。
救護義務違反については有罪。

 

ただしこれは刑事事件で、かつ自動車運転処罰法での話。

 

同じく刑事事件ですが、時速40キロで運転していたタンクローリー車が、側方間隔1mで追い抜きした事件について無罪としているものがあります。

被告人(タンクローリーを40キロメートル毎時で運転)が被害自転車に約1メートルの間隔を保って安全に追い抜き中に、被害自転車の先行自転車が急停止し、そのため被害自転車が突如として先行自転車の右側に出て、被告人の車の進路上に進出接触する危険の生ずることまで予見すべきであったとするのは酷に失するものであり、またかような状況のもとで被告人が警音器を吹鳴して警告も与えず、あるいは、減速して追い抜きの挙に出なかったとしても、これに自動車運転者として責むべき過失ありと断じ刑事責任を問うは失当である。

 

昭和43年7月19日 広島高裁

これもあくまで刑事責任の話なので、民事上での責任は別です。

 

約1メートルの側方間隔でも違反と言えるようなものではないとの判示ですが、道路状況、前後での状況など様々な要因で変わり得るので、1mなら必ず違反が成立しないとするわけでもありません。
とはいえ、時速40キロで自転車を追い抜く行為で、側方間隔1mでも違反とはしていない。

 

民事上での話ですが、歩道を通行中の自転車が転倒して車道に出てしまい、対向する車と衝突した事件について、過失割合を車:自転車=80:20としている判例があります。

 

バランス崩した自転車が車と衝突! 車側が払うべき損害賠償額は?
【事故】ふらつき自転車が車と衝突 手軽に乗れる自転車は、運転方法によっては大きな事故につながる可能性がある。過去には、12歳の男児が運転中にバランスを崩し、トレーラーにひかれて重傷を負う事故が発生。この場合、原因を作った自転車側が損...

 

上で挙げた静岡地裁の刑事事件でもそうですし、この民事事件でもそうですが、直前まで通常の走行をしていた自転車が突如転倒することを予見する義務はないというのが判例の立場。
ただまあ、それでも安全運転義務はあるわけで、刑事上の処罰を受けなくても民事責任がゼロになることは恐らくないと思います。

 

ということは刑事上の責任だけでなく、民事上の責任を回避するため(=事故を起こさないため)には、自転車が転倒することも予見して追越しすべきと言えそうです。

 

ただし法律上は【できる限り安全な速度と方法(28条4項)】もしくは【他人に危害を及ぼさないような速度と方法(70条)】なので、側方間隔が近いというだけでは違反が成立するとも言えない。
それこそ、時速15キロで走行する自転車に対して、後続車が時速17キロ&側方間隔0.7mで追越ししたとして、それが即座に違反だと言えるのかは難しいところ。
難しいというか、道交法違反は成立しない可能性のほうが高いでしょうけど、これも道路状況次第で変わるというわけです。

 

28条4項(追越し時の義務)には、【できる限り】とあります。
この表現をどう解釈すべきかについては、一応判例があります。

できる限りとは道路や交通の状況等をかんがみ支障のない範囲における可能な限度を意味すると解され、単に運転者の主観において可能な限度を持って足りると解すべきではない(s46・9・14名古屋簡裁)

ドライバーの主観での限界ではなく、できる限りということにも客観性を持たせているとも受け取れます。
状況次第で支障のない範囲での限界までと言えるわけですが、これがどこまでなのかは本当に難しいところ。
けどドライバーの主観で【できる限り頑張りました】では通用しなくて、客観的限界まで求めているとも取れる。

 

ちなみにこんな判例もあります。

自動車運転者が自転車を追い越す場合には、自動車運転者は、まず、先行する自転車の右側を通過しうる十分の余裕があるかどうかを確かめるとともに、あらかじめ警笛を吹鳴するなどして、その自転車乗りに警告を与え、道路の左側に退避させ、十分な間隔を保った上、追い越すべき注意義務がある。

 

昭和40年3月26日 福岡地裁飯塚支部

この判例ですが、事故発生は昭和36年。
昭和35年~39年の道交法では、車両の優先順位(旧法18条)があって、軽車両の順位は最下位でした。
この時代、旧法18条の順位に基づき譲る義務があり、それの影響でこんな判示なのかと思ってました。

 

けど平成になってからの判例でも、同様の判示があります。
いろいろ調べたところ、民事の判例ではこのような追い越し時に警音器を吹鳴すべき注意義務違反を認定しているものがそこそこあります。

 

ロードバイクに乗っていて、クラクションを鳴らされることの意味と意義。
ロードバイクに乗っているときに、後続車からクラクションを鳴らされることってありますよね。 クラクションの使用については、道路交通法では道路標識により「鳴らせ」となっている場合を除けば、「危険回避のためやむを得ない場合」に限定されます。 (警...

 

民事の場合、事故が起きてしまったあとなので、このような注意義務違反を過失にしているものはあります。
先行自転車に何らかの違反があるとか、不自然な挙動を認めたときにクラクションを鳴らす行為は、違反とまでは言えません。

 

正しい車両通行帯の考え方と、自転車乗りは違反なのかについて検討。
先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているのですが、これが違反になるのかどうかについて検討します。 事実確認・法確認から 調べたところ、この道路は府道13号京都守口線の守口市内のようです。 ・片側2車線道...

 

左側端通行義務に反する位置を通行する自転車に対し、追い越す前にクラクションで警告を与えてましたもんね。
民事での判例では、自転車に対して追いつかれた車両の義務を認めているものもありますし、あの道路には車両通行帯がありませんし。

 

自転車に対し、27条【追いつかれた車両の譲る義務】を認めた判例。
堅苦しい話が続いていますが、一つの参考になるかと思いまして。 自転車の場合、道路交通法27条の【追いつかれた車両の義務】は適用外です。 これは刑事事件として取り締ま利される対象ではないというだけで、民事では認めた判例もあります。 事例 判例...

 

70条の安全運転義務違反については、以下のような判示があります。

同法七〇条後段の安全運転義務違反の罪が成立するためには、具体的な道路、交通および当該車両等の状況において、他人に危害を及ぼす客観的な危険のある速度または方法で運転することを要するのである。したがつて、他の各条の義務違反の罪の過失犯自体が処罰されないことから、直ちに、これらの罪の過失犯たる内容をもつ行為のうち同法七〇条後段の安全運転義務違反の過失犯の構成要件を充たすものについて、それが同法七〇条後段の安全運転義務違反の過失犯としても処罰されないということはできないのである。

 

最高裁判所第一小法廷 昭和48年4月19日

他人に危害を及ぼす客観性を求めているのですが、これも道路状況や先行車の状況次第で変わるので一律に決めることも出来ない。
客観的危険性というのはなかなか難しいところですが・・・

自転車乗りとして

ぶっちゃけた話、自転車乗りとしては追越しされる時は側方間隔を取ってほしいのが本音。
もちろんその前提として、道交法に則り左側端通行を厳守するのは当然のこと。
車両通行帯も交差点付近や専用通行帯くらいにしかありませんし、法律上も車線境界線を車両通行帯とみなすという規定が無いので、実質左側端しか走れないのが実情。

 

さらに詳しく知りたい人への車両通行帯の話。
ここまで何度も、一般道の場合は車両通行帯は限られた場所にしかないよという話を書いているのですが、警察庁が車両通行帯を設ける場所の基準を一応出しています。 この中で、【必ず】車両通行帯にせよとしている個所がいくつかあります。 いくつかの警察署...

 

路肩走行の是非、判例を検討する。
前に自転車で、片側2車線道路の第1車線の真ん中を通行していた方の件。 この方、裁判所の認定ではなく原告の主張を引用するなど根本的に判例の読み方がわかっていないことや、道交法にも詳しくないのかなと思うのですが、 こんな主張もされているようです...

 

愛媛県では、【思いやり1.5m運動】として、自転車を追い越すときには1.5m側方間隔を空けるように注意しています。

道路交通法では、歩行者の側方を通過する場合については“安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない”と規定していますが、自転車との間隔そのものに関しては規定がなく、自転車を含めた車両を追い越す場合の方法として“できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない”旨を規定しています。
そこで、「条例」では、自転車の側方を通過する場合も“安全な間隔を保ち、又は徐行するよう努めなければならない”(第6条第2項)と規定したものです。また、国家公安員会告示の「交通の方法に関する教則」においても“自転車との間に安全な間隔を空けるか、徐行しなければなりません”と規定し、交通安全教育等の現場で活用されています。

 

https://www.pref.ehime.jp/h15300/1-5m/documents/15qa2807.pdf

道路交通法では側方間隔の規定が無いので、マナーとして1.5m空けましょうとしている。
法律では解決できないところは、マナーに頼るしかありませんし。

ただし愛媛県条例では、条文上は【自動車等の運転者は、自転車の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行するよう努めなければならない。】なので、安全間隔or徐行を推奨しているだけになります。

条例なので罰則はありませんし、道路状況や先行車の状況次第では1.5mでも足りないケースも出てくるとは思います。
ここはその状況次第で判断して安全にお願いしますとしか言いようがないポイント。

 

例えばこのケース。

これで側方間隔は1m程度は空いていると思いますが、ケンケン乗りでふらついてとんでもない角度で道路中央寄りに進路変更することを予見すべきなのかというと、これは難しい。
もし後続車がもうちょっとタイミングが遅くて轢過してしまった場合、刑事上の責任は問われないだろうとは思いますが、民事上では責任を負う可能性がある。
そうするとこのケースだと、1.5m空けていても不十分かもしれない。

 

けどこういうケースもあることを知っておけば、ケンケン乗りしようとしている人がいれば警戒する要素にはなるので、事故を防げるかもしれません。
法的に予見性があるのかは微妙ですが、あくまでも事故を防ぐことが大切ですし。

 

後続車がもうちょっとタイミングが遅い場合は、危険性を予見して追い抜きせずに様子を見ておくのがベストでしょうけど・・・
そもそもイエロー規制があるから・・・というのもあります。

 

パトカーですら守らない法律。
中央線がイエローの場合、追越しはみ出しは禁止。 これはたとえ軽車両を追い越すときでも同様です。 ただまあ、実態としてはガンガンはみ出ししていくわけですが。 追越しはみ出し禁止 毎日通勤で通る道なんですが、片側1車線、路側帯アリの道路。 中央...

 

必ずしも1.5mの側方間隔があれば、絶対に事故を防げる保証もない。

 

だから法律上も、【できる限り安全な速度と方法】とか【他人に危害を及ぼさないような速度と方法】なのかと。

 

こういう奴がいるから自転車もイメージが悪いのですが・・・

まあ、愛媛県の条例にしてもあくまでもお願いレベルの話、マナーとして1.5m空けてくれという話なので、法的な拘束力があるわけでもありません。
法の趣旨からすれば、自転車はなるべく左端を走って、後続車はその分大きめに側方間隔を空けることにあると思いますが、なぜかブロッキングしたがる自転車乗りもいるわけで、その状況で車のドライバーがマナーとして側方間隔を空けてくれるかはやや疑問です。

 

ドライバーにマナーを求めるのに、自転車乗りのマナーが悪かったらお願いなんて聞いてくれるわけもないし。

 

管理人
管理人
側方間隔が1.5m空いていないだけで、道交法違反だと騒ぐ人もいますが、1.5m以下だと違反となるような規定はありません。
民事の判例で、1.5m空けるべきみたいなのもあった気がしますが、1.0mでも違反ではないとするものもあり、あくまでもその状況次第。

 




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