ちょっと不思議だなと思いつつも、なるほどなとも思ったこと。
道交法63条の7第2項に、交差点進入禁止の規定があります。
第六十三条の七 自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第十七条第四項、第三十四条第一項及び第三項並びに第三十五条の二の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。
2 普通自転車は、交差点又はその手前の直近において、当該交差点への進入の禁止を表示する道路標示があるときは、当該道路標示を越えて当該交差点に入つてはならない。
種類 | 番号 | 道路標示 | 表示する意味 |
普通自転車の交差点進入禁止 | 114の4 | ![]() | 交通法第六十三条の七第二項の道路標示により、普通自転車が当該道路標示を越えて交差点に進入することを禁止すること。 |
これですよ。
規制標示なのでこのラインから先に進んではいけなくて、車道から歩道に上がる義務があるんだと思ってました。
けど執務資料道路交通法解説を読むと、法解釈は違うらしく(あまり鵜呑みにしないほうがいいですけどw)。
自転車の交差点進入禁止
このように交差点の手前にあって、イエローラインで規制されている。
なのでイエローラインを超えることは許されず、ここで歩道に上がる義務があるんだと思ってました。
けど実は違う。
もう一度法律の条文を。
第六十三条の七
2 普通自転車は、交差点又はその手前の直近において、当該交差点への進入の禁止を表示する道路標示があるときは、当該道路標示を越えて当該交差点に入つてはならない。
道路標示を超えて交差点に入るのが禁止なわけですよ。
交差点の定義は、2以上の道路が交わる車道の部分。
条文では、道路標示を超えて交差点に入ることを禁止しているので、道路標示を超えつつも交差点に入っていない状態は違反ではないという解釈になってしまうそうです(執務資料道路交通法解説)。
【道路標示を超えてはならない】ではない、ですもんね。
意外な盲点でした(ただし、解釈としてはやや微妙ですw)。
車道が交わる部分が交差点なので、交差点ギリギリまで進んで歩道に上がったとしても違反が成立しないと・・・
道路標示は超えているけど、交差点には進入していないから違反が成立しない。
けどまあ、条文を読む限りでは道路標示を超えること自体も禁止されているように読み取れる。
うーん、相当微妙な解釈な気がするけど、確かに【道路標示を超えて交差点に進入禁止】なので、道路標示を超えることと交差点進入の両方が成立しないと違反とは出来ない。
このあたりは日本語能力の問題のようにも受け取れるので難しいところですし、そもそもこの交差点で、車道を走る自転車がこの道路標示を守っているのを見たことがありませんw
そしてこの規定には直接的な罰則は無く、63条の8により警察官から指示されて従わない場合のみ罰則。
ちなみにこういう表示がある場合、道路標示を超えると歩道に上がるポイントがない場合もある。
歩道に上がるには停止線を越えて横断歩道部分を使って歩道に上がることになるケースもあるので、凄ーく細かく見れば赤信号時には停止線超えの違反が成立する可能性もある。
なので事実上、このラインで歩道に上がるしかないケースのほうが多いとは思います。
管轄署に聞いてみました
この交差点でなぜ【普通自転車の交差点進入禁止(標識令114の4、法63条の7第2項)】の規制が掛かっているのか、管轄署に聞いてみました。
まず、先ほどは横断歩道を書き忘れたので無理矢理つけ加えます。(信号機は歩車分離式なので、車道と横断歩道が同時に青になることはありません)
この交差点ですがT字路で、第1通行帯が左折専用、第2通行帯が右折専用。
問題なのは、自転車がこの交差点を右折したい場合。
T字路でも二段階右折する義務があるので、直進する形になりますよね。
ところが多くのドライバーは、自転車が直進するときに第一通行帯の中しか通れないということを知らない。
なので左折巻き込み事故が多発して爆死する恐れがある。

左折レーンなのに直進するバカがドコにいるんだよ!!
車のドライバーはこういうことまで知らない人が多いので、事故防止のためには交差点の手前で歩道に上げて、右折方向に行きたいなら横断歩道を使ってもらったほうがいい。
歩道は自歩道になっているそうです。
結局のところ、ドライバーが自転車のルールに詳しくないという実態を元にして、自転車を守ろうとするとこうせざるを得ないらしい。
まあ実態ですが、右折レーンに入っていくロードバイク、かなり多いですよ。
この交差点、歩車分離式なので、二段階右折しなくても横断歩道の歩行者との問題は起きないわけですが。

二段階右折ですが、対向車との接触事故防止のためだけではありません。

ちなみにここ、左折したい場合であっても一度歩道に上がる義務があります。
なので車道を通行する自転車に優しいとは必ずしも思いませんし、もし歩道に上がる義務があるなら、せめて段差を減らしてほしいのも事実。
けど段差がないと歩道に高速度進入するバカも出そうですし、なかなか難しいのかもしれませんね。
歩道通行の場合は徐行義務があります。
意味がある
どこまでなのかはわかりませんが、このような左折専用レーンがあるけど直進可能な交差点の場合(二段階右折のT字路含む)、このような規制を掛ける方針にはなっているそうです。
現状では多くのドライバーは、自転車が左折専用レーンから直進可能なことを知らない。
なので後続車が、先行するロードバイクが左折すると信じ込んでいて左折巻き込みを起こす危険性があるとのことですが、そもそも、左折時に追越しするほうが問題なような・・・
適正車間距離を保っていれば、先行車が直進しようと関係ないですし。
けどこれ、T字路特有の問題だと思います。
十字路で直進可能な場合、左折専用レーンの右寄りに移動して直進することになりますが、ここはT字路なので、この動きをすると違反になってしまう。
第1通行帯の中ならどこでもいいんだ!なんてところだけを取り上げると、これが違反であることが理解できない。
はい、何でこれが違反かはわかりますよね。
(左折又は右折)
第三十四条
3 軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。
左側端に寄ったまま徐行する義務がある。
なのでこうするしかないわけ。
そういう事情もあるので、後続車が左折巻き込みするリスクがあるので、歩道に上げるしかないわけですね。
まあ、車が左折するときは同じく徐行義務がある上に、できる限り左側端に寄ってから左折するルールなので、本来は左折巻き込みが起こらなそうな気もするけど、実態を考えると規制を掛けておいたほうが無難。
いや、勉強になりました。
なるほどね。
イチイチ行政に聞くのは迷惑なんだ!とか意味不明なことで批判している人もいましたが、聞かないとその真意はわからず推測だけになる。
まあ、確かにその通りだなと納得しましたが、元を正せばドライバーが自転車の道交法に無知であることだったり、適正車間距離を保っていれば問題なさそうな気もするところ。
誰しもが法律を守るわけでもないし、法律を守らない人がいる前提で事故を防ぐことも考えないといけない。
実態を鑑みて、というところなのかと。
確かに警察の考えも理解できますが、ここ、ロードバイクが右折したい場合は相当な確率で右折レーンに行ってますw
交差点の中がこのようになっているので二段階右折しづらいということもありますが、
T字路で二段階右折義務があることを知らない人も多いんでしょうし。
車のドライバーも自転車の道交法なんてよくわかっていない上に、ロード乗りもよくわかっていない人が多いことを考えると妥当なのかもしれませんが、そもそも交差点進入禁止の道路標示の意味を理解してないロード乗りも多いと思うので、なかなか難しいですね。
この交差点内で車と事故が起きた場合、当然ですがロード乗りは相当な過失が付く恐れがあります。
進入禁止の規制が掛かっているので。
コメント
自転車って基本原チャリに属する物だと思うんで
自転車の特性を知らなかったとか言い訳でしかないですし
そもそも教習所で自転車の特性を講習しますし
ただ忘れてるドライバーが悪いだけでは?
コメントありがとうございます。
自転車と原付は通行区分など異なる面があるので、原チャリに属するものでは有りません。
原付の場合、3通行帯以上の場合のみ二段階右折義務がありますが、この交差点は2通行帯しかないので原付は右折レーンから小回り右折可能です。
ただ忘れているドライバーが悪いとのことですが、現実として自転車には常時二段階右折義務があることを知らない人が多いですから、【忘れているドライバーが悪い】では事故は防げないと思いますよ。