こういうのを取り締まる方法はあるのか?

以前も取り上げたことがありますが、

先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているので...

ちなみにツイ消しされているようなので、ほかの方が残しているものがこちら。

同一人物なのかはわかりませんが、同じ道路で同じような違反をしている動画がありました。

違反になる理由

教習所では複数車線道路=車両通行帯と教えることがほとんどだと思いますが、これは全く正しくなくて、車両通行帯は公安委員会が指定した部分のみ
この道路については管轄署にも確認していますが、交差点付近の進行方向別通行区分&イエローラインで車線変更禁止になっている部分のみが車両通行帯で、それ以外は車線境界線。

区分根拠法
車両通行帯(109)規制標示法2条1項7号、法4条、法20条、令1条の2第4項、標識令別表第5
車線境界線(102)区画線法18条、標識令別表第3

一般道では、交差点手前30m程度(進行方向別通行区分や進路変更禁止など)、専用通行帯などの部分しか車両通行帯になっていることはまずなく、単に複数車線だから車両通行帯になっていることも【聞いたことが無い】と警察署の交通規制係の人が言うレベル。

そんでもって、道交法2条2項と標識令の規定により、車線境界線を車両通行帯とみなしてもいいとする法的根拠が無いので、この道路では自転車には左側端通行義務があります。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。

さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。

最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日

なお被告は亡Aに重大な過失の存ずる根拠の一つとして、原付自転車に登場していた同人が本件事故現場に設置されていた3本の通行区分帯中左端の第一通行帯を進行すべきであるのに(道交法20条1、3項、同法施行令10条1項2号)右端の第3通行帯を進行した旨主張するが、【証拠略】によれば本件事故現場に設けられている前記2本の白線は岡山県公安委員会が正式の車両通行帯として設置したものではなく、道路管理者たる建設省岡山国道工事事務所が通行車両の便宜を考慮して設けた事実上の車両境界線に過ぎないことが認められるから、両被告の主張はその前提を欠き理由がないものと言うべきである。

岡山地裁 昭和45年4月22日

なお車両は車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない(道路交通法20条)が、本件道路について、車両通行帯(同2条1項7号)が設置されていることを示す証拠はない(車線境界線は、直ちに車両通行帯になるわけではない)し、右折を予定していたことを踏まえると、ただちに左側寄り通行等の規制に反していたともいい難い。
そうすると、被告において第2車線を走行していたこと自体に何らかの過失を見いだすことも困難といえる。

名古屋地裁 平成26年9月8日

ちなみにある地域の車両通行帯のリストを入手しましたが、やはり車両通行帯は交差点付近か、専用通行帯などにしか設定されていない。
これも理由があって、警察庁の交通規制基準という国家公安委員会の指針があるのですが(道交法110条)、この中で交通規制は最小限にとどめることや、必ず車両通行帯にするようにしている個所が限定されている。

ここまで何度も、一般道の場合は車両通行帯は限られた場所にしかないよという話を書いているのですが、警察庁が車両通行帯を設ける場所の基準を一応出...

車線境界線が設置されている道路であっても、車両通行帯を設定するに当たっては、公安委員会の意思決定を得ること
2 次のいずれかの道路に該当する場合は、必ず、車両通行帯の意思決定を得ること。
(1) 車両通行区分、特定の種類の車両の通行区分、牽引自動車の高速自動車国道通行区分、専用通行帯、路線バス等優先通行帯又は牽引自動車の自動車専用道路第一通行帯通行指定区間の規制を実施している道路の区間
(2) 進行方向別通行区分又は原付の右折方法(小回り)の規制を実施している交差点、及び片側3車線以上の交通整理の行われている交差点の手前
(3) 進路変更禁止の規制を実施している道路の区間
3 車両通行帯を設定すると、車両の通行方法(法20条)、原付の右折方法(法34条)及び交差点における優先関係(法36条)等についての規定が適用されることを考慮すること。

https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20170424.pdf

基本、交差点付近か専用通行帯など、いわゆる【上乗せ規制】が掛かっているところだけが車両通行帯。
動画の道路についても管轄署に確認しましたが、片側2車線ですが車両通行帯ではありません。
なので自転車は左側端に寄って通行する義務があり、誰がみても左側端には寄っていませんので違反です。

この道路は歩道がありますが、道路交通法上では路肩という定義が無く、路肩も車道となっています。
車道外側線は規制標示ではなく区画線なので、道路法上の意味しか持たず、道路交通法上は何の効力もありません。

いくつか判例も確認しましたが、通行に適さない路肩というのは、エプロン部や側溝などがある部分だけのことで、車道外側線の外側も道交法上は車道な上に通行に適した路肩とされています。
なので18条1項で車両通行帯の無い道路なのは明らかなので、左側端=車道外側線付近かその外側という解釈になるわけです。

前に自転車で、片側2車線道路の第1車線の真ん中を通行していた方の件。 この方、裁判所の認定ではなく原告の主張を...

ちょっと前に書いた、車両通行帯の件ともリンクします。 自転車は路肩を走れ!という意見もあるので...

結構勘違いしやすいポイントですが、道交法は交通の方法に関するルール。
道路法は道路の管理や作り方に関するルール。
ここを混同すると、路肩の意味を取り違えます。

なお、この道路は車両通行帯が無い道路なので、追い越すときは右隣のレーンに移動する義務(20条3項)はありません。
出来る限り安全な速度と方法であれば追越し違反は成立しません。

こういうのも、なぜ一般道で普通に見かける追越しが違反にならないのかを考えればわかりそうな気もしますが・・・

18条1項の罰則

動画では車両通行帯が無い道路で、左側端ではない場所を自転車が通行しているので違反となりますが、問題なのは18条1項には罰則が無いこと。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。
罰則 第二項については第百十九条第一項第二号の二

つまり左側端ではない位置を通行しても、罰則を持って処罰することが出来ません。

なお事故が起きた場合には、適切な主張をすれば左側端義務違反で過失が付く可能性が高いです。
判例をみていると、適切な主張をしていないと思われるものもあるので、道交法に詳しくないとややこしくなりますが・・・

さて、ちょっと面白い判例を見つけました。

自動車運転者が自転車を追い越す場合には、自動車運転者は、まず、先行する自転車の右側を通過しうる十分の余裕があるかどうかを確かめるとともに、あらかじめ警笛を吹鳴するなどして、その自転車乗りに警告を与え、道路の左側に退避させ、十分な間隔を保った上、追い越すべき注意義務がある。

昭和40年3月26日 福岡地裁飯塚支部

気になって調べてみましたが、昭和40年当時も警音器の使用制限違反については現行法と同じです。
追い越すときにクラクションを鳴らして自転車に警告を与えよ、という恐ろしい判例に見えます。
なお自転車には法27条の追い付かれた車両の義務は関係しませんが、民事では27条の成立を認めたものもあります。

堅苦しい話が続いていますが、一つの参考になるかと思いまして。 自転車の場合、道路交通法27条の【追いつかれた車両の義務】は適用...

実態としては、刑事上の刑罰を課すことは出来ないにしろ、事故が起きた場合には左側端通行義務違反が過失になる可能性が十分あるということです。
この動画についてはタクシーのほうにもいかがなものかと思う部分はありますので、事実上は両者にお咎めナシだろうとは思いますが詳細は分かりません。

この動画、同じ方なのかは不明ですが、やはりこのような違反行為を続けるようであれば、誰にとってもメリットが無く、自転車乗りの評判を落とすだけの愚行と言えます。
唯一、条件を満たせば刑法の威力業務妨害として追及することも不可能ではないと思いますが、これはかなりハードルが高い。

こちらのリンクの方は、わざと第1車線の真ん中を走っていると公言しているのでいかがなものかとは思いますが、

先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているので...

今後法改正などを含め、対応していくことが不可欠と思われます。

ちなみに教習所では複数車線=車両通行帯と教えますが、車の場合は車両通行帯があっても無くても、走り方は変わらないからだと思います。
車両通行帯が無い道路では18条1項に基づいて左寄り通行義務があり、車両通行帯がある道路では第1通行帯義務がある。

なので分けて教える必要性が無い。
こういうことも警察庁は、交通の方法に関する教則(道路交通法108条の28)で自転車に対して分かりやすく教えてくれています。

(2) 自転車は、車道や自転車道を通るときは、その中央(中央線があるときは、その中央線)から左の部分を、その左端に沿つて通行しなければなりません。ただし、標識(付表3(1)32、32の2、33、33の2)や標示(付表3(2)14、14の2、15)によつて通行区分が示されているときは、それに従わなければなりません。しかし、道路工事などでやむを得ない場合は別です。

https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/kyousoku/index.htm

左端の除外になっている道路標識と道路標示をピックアップしました。

種類番号表示する意味
車両通行区分

32車の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

32の2標示板に表示された車の通行区分の指定
専用通行帯

33標示板に表示された車の専用の通行帯の指定
普通自転車専用通行帯

33の2普通自転車の専用の通行帯の指定
種類番号意味
車両通行区分

14車の種類別の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

14の2特定の種類の車の通行区分の指定
専用通行帯

15特定の車の専用通行帯の指定

一般道の車両通行帯は、基本的にこれらの上乗せ規制が掛かっているという実態を元にしているものです。
法律を守ることがまず大切なわけで、それは自転車であっても同じ事。




コメント

  1. ぬるべぇ より:

    頼むからこういう動画をUPするのはやめてくれって話です。こんなしょうもない事するからロードバイク乗りが世間から必要以上に叩かれるんだよって思いますね。 この人はこんな恥ずかしい動画をTwitterにあげるなんて、自らの手でサイクリストの首を締めているのを気付いてないんでしょうね。この動画内容が違法云々なんてどうでもいいです。この人はもう自転車から降りて頂きたいですね。ロードバイクに乗っているというだけで世間から色眼鏡で見られるのだけは勘弁して欲しいですよ。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      実際のところ、法的にどうのこうのという以前の問題だと思っているのですが、世の中には法的に問題ない行為は権利として認められていると考える人もいるのでややこしいなと思ってます。
      ただまあ、動画の方は法律解釈を間違えているので実際には違反ですが、罰則がない項目なのでよりややこしいと言いますか・・・