歩行者に優先権が無い横断歩道。

ちょっといろいろ調べていて思ったこと。

歩行者に優先権がない横断歩道

信号機が無い横断歩道の場合、道路標識と道路標示の両方があるのが普通です。
けどたまに、道路標識がなく、白線で横断歩道だけが引かれているところがあります。

執務資料を読んでいたら、

横断歩道等の道路標識が破損し道路標示のみ(信号機も設置されていない)の法定要件を欠く横断歩道等は、本条の規定による保護は受けない

執務資料道路交通法解説(18訂版)p366

ん??
ホンマかいな??
道交法の横断歩道の定義ってこうなってます。

四 横断歩道 道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)により歩行者の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の部分をいう。

どっちかだけでも成立しそうな気がする。
けど、やっぱり根拠があった。。。

結局のところ38条での横断歩道等は車両に対する規制なので、法4条の規定により公安委員会が設置することになる。
そうなると、施行令にこういう記述がある。

公安委員会の交通規制)
第一条の二 法第四条第一項の規定により都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が信号機又は道路標識若しくは道路標示を設置し、及び管理して交通の規制をするときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように、かつ、道路又は交通の状況に応じ必要と認める数のものを設置し、及び管理してしなければならない。
(略)
3 法第四条第一項の規定により公安委員会が横断歩道又は自転車横断帯(以下「横断歩道等」という。)を設けるときは道路標識及び道路標示を設置してするものとする。ただし、次の各号に掲げる場合にあつては、それぞれ当該各号に定めるところによることができる。
一 横断歩道等を設けようとする場所に信号機が設置されている場合 道路標示のみを設置すること。
二 横断歩道等を設けようとする道路の部分が舗装されていないため、又は積雪その他の理由により第一項の規定に適合する道路標示の設置又は管理が困難である場合 内閣府令で定めるところにより、道路標識のみを設置すること。

施行令では、交通規制として横断歩道等の効力を得るには、道路標識と道路標示の両方を求めている。
1号では信号機がある場合の除外規定で、道路標示のみでいいことにしている。
2号では舗装されていない道路等の除外規定で、道路標識のみでも可能にしている。

(公安委員会の交通規制)
第四条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる

標識令を見ると、横断歩道の道路標識は規制標識ではなく指示標識になっている。
同じく白線の道路標示も、規制標示ではなく指示標示になっている。

なので横断歩道の規制効力は、信号機が無い場合は道路標識と道路標示の両方が無いと成立しないことになってしまう。
道交法2条の定義で【又は】となっているのは、施行令上で例外規定(令1条の2第3項の1号と2号)があり、必ずしも道路標識と道路標示の両方を求めているわけではないからということですね。

当たり前の話として

まれに、道路標識が無く道路標示のみの横断歩道がありますが、法令上では38条の規制効力が及ばないので、車両には徐行義務も一時停止義務もないことになってしまう。
これを書いている理由ですが、だから車両が止まらなくていいだよなんてしょうもない雑な話をしたいわけではない。

規制効力が無い横断歩道(信号機も道路標識もない)の場合、歩行者は絶対的優先権が無いので、歩行者側がきちんと確認していないと大変なことになる。
歩行者側の心理として、横断歩道があったときに道路標識もあるのかなんてイチイチ確認してから渡る人もいないでしょうw
けど知っておいたほうがいいのは、歩行者に絶対的優先権があるわけではない横断歩道も世の中にあるよという話です。

(横断の禁止の場所)
第十三条 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。

法定要件を満たさない横断歩道は横断歩道に過ぎないので、歩行者は直前直後横断が禁止という規定が優先してしまう。

でもそう考えると、横断歩道を渡る前には左右を確認してから渡りましょう!というのはあながち間違いとも言えないんですね。
法定要件を満たす(38条の規制対象になる)横断歩道なのか?という問題も出てくるので。
単に道路に白線で横断歩道が描いてあるだけの場合、それは38条の規制対象外の可能性もあるし。

まあ、道路標識が無い横断歩道って、そんなに多くはないと思います。
けどこれも公安委員会の決定事項なので、公安委員会の資料にはちゃんと横断歩道の場所まで書いてあるんですね。

あと、こんな感じになっているような、

ボロボロの横断歩道はちゃんと描き直ししたほうがいいと思う。
警察も予算が無いんですかね?
今後導入予定とされている、自転車への少額違反金制度でガンガン収益を上げてもらうしかないのかも。
自転車の違反も取り締まりできるし、収益で横断歩道を直せるならある意味では一石二鳥になるのか??

逆に道路標示は省略可能になっているので(令1条の2第3項2号)、これは横断歩道としての規制効力があることになります。

当たり前の話としてですが、標識が破損していることとか無いことを理由に徐行しなくてもいいとか一時停止しなくてもいいんだ!という話をしたいわけではないのでご注意を。
法令上では義務が無いことになりますが、事故を防ぐという観点では徐行したり一時停止すべきことなので。
こういうのって法律を超えたマナーとかモラルとかの話になってしまうわけですが、道交法ってなかなか奥が深いですね。

まあそもそも、道路標識を省略した横断歩道って誰が何のために作ったんだろ?
道路管理者が勝手に書いただけ??の場合、私道であれば問題なさそうだけど公道だと違法になりかねないような・・・
法定要件を満たさない横断歩道であっても、事故ったときの民事賠償責任は車両側がほぼ100%になると思います。
罰則としての道交法違反と、民事の過失は同じではないので。
そう考えると標識の有無で何かが変わるとも言えないのですが。