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この人ってまだ理解してないんだなぁ・・・

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そこそこ前に車両通行帯ではない片側2車線道路で大暴れしていた方。

 

正しい車両通行帯の考え方と、自転車乗りは違反なのかについて検討。
先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているのですが、これが違反になるのかどうかについて検討します。 事実確認・法確認から 調べたところ、この道路は府道13号京都守口線の守口市内のようです。 ・片側2車線道...

 

この方、やたらとかばう発言を繰り広げていましたが、まだ車両通行帯も理解していないというのが驚き。
判例を出しても、執務資料の解説を出しても理解できないとなると、理解する気が無いんでしょうね。

見分けがつかないという言い訳

まあ、まともに調べている人ならお分かりいただけると思いますが、一般道では見分けがつかない車両通行帯はほぼ存在しないと言っていいレベル。
警察庁の交通規制基準に書いてある、【必ず車両通行帯を指定すること】となっているところくらいしか車両通行帯なんてないんですね。

 

さらに詳しく知りたい人への車両通行帯の話。
ここまで何度も、一般道の場合は車両通行帯は限られた場所にしかないよという話を書いているのですが、警察庁が車両通行帯を設ける場所の基準を一応出しています。 この中で、【必ず】車両通行帯にせよとしている個所がいくつかあります。 いくつかの警察署...

 

これも理由は単純です。
車両通行帯は規制標示なので、警察が規制して取り締まりするわけですよ。
警察官が車両通行帯かどうかが見分けがつかなったら、取り締まり出来ないですし。
なのでほぼ全てに近いレベルで、上乗せ規制が掛かってます。

 

警察官がとんでもないレベルの記憶力の持ち主で、どこが車両通行帯かどうかなんてリストが頭の中に入っているわけがないですし。
「車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き」も知らなくて草、と書いてありますが、車両通行帯ではないのに車両通行帯だと誤認していて臭、というほうが正解。

 

判例を見ても、ちゃんと主張している判例では分けているんだよなぁ・・・

なお被告は亡Aに重大な過失の存ずる根拠の一つとして、原付自転車に登場していた同人が本件事故現場に設置されていた3本の通行区分帯中左端の第一通行帯を進行すべきであるのに(道交法20条1、3項、同法施行令10条1項2号)右端の第3通行帯を進行した旨主張するが、【証拠略】によれば本件事故現場に設けられている前記2本の白線は岡山県公安委員会が正式の車両通行帯として設置したものではなく、道路管理者たる建設省岡山国道工事事務所が通行車両の便宜を考慮して設けた事実上の車両境界線に過ぎないことが認められるから、両被告の主張はその前提を欠き理由がないものと言うべきである。

 

岡山地裁 昭和45年4月22日

なお車両は車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない(道路交通法20条)が、本件道路について、車両通行帯(同2条1項7号)が設置されていることを示す証拠はない(車線境界線は、直ちに車両通行帯になるわけではない)し、右折を予定していたことを踏まえると、ただちに左側寄り通行等の規制に反していたともいい難い。
そうすると、被告において第2車線を走行していたこと自体に何らかの過失を見いだすことも困難といえる。

 

名古屋地裁 平成26年9月8日

この二つは民事の損害賠償請求ですが、きちんとわかっている人が適切な主張をしていると言えます。
次の判例は非常上告といって、既に確定した判決をひっくり返す刑事手続きですが、要は車両通行帯ではないのに車両通行帯だとして通行区分違反を取り締まったけど、調べてみたら車両通行帯ではなかったので確定した罰金刑を取り消す必要が出たものです。(この件は道路管理者と公安委員会の間での連絡ミスみたいなもので、本来は車両通行帯にすべきところをウッカリ忘れていたみたいな話です)

さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。

 

最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日

片側2車線あっても、公安委員会が指定していない限りは【車両通行帯が無い道路】となる。

 

いろいろ判例を見ても、見分けがつかないから車両通行帯とみなしてもいいという判例は見たことが無いんだよなぁ・・・
気になって判例検索ソフトを使って調べてみても、全くヒットしない。
まあそもそも、法律上は車線境界線を車両通行帯とみなしても構わない根拠がないので、法に反した判決が出るとも思えないのですが。

本件事故現場は道路左側が2車線になっており、そのうち、少なくとも事故直前の時点にあっては、道路中央線から遠い車線、即ち道路左側から数えて1番目の車線(以下便宜「第1車線」という)上を被告のトラックが、道路中央線に近い車線、即ち道路左側から数えて2番目の車線(以下便宜「第2車線」という)の梢第1車線寄りの部分を原告が、いずれも同一方向に、殆ど近接した状態で併進したこと、被告は第1車線上の他車輛を追越すため後方を確認したが、その確認状態が杜撰で不十分であったため原告に気付かず、事故現場直前約13.8mの地点で第2車線に進路変更のための方向指示器を挙げて追越にかかり車体が約半分第2車線に出たところで直進してきた原告に接触したこと、しかし右の第1、第2車線は道路交通法第20条所定の車両通行帯ではないこと、即ち、右両車線の中央を仕切る境界線は道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第四(区画線の様式)(102)所定の車線境界線であって、道路管理者である建設省において便宜表示した記号にすぎず、之と若干まぎらわしい記号ではあるが、同命令別表第六(道路標示の様式)(109)1(1)所定の、公安委員会が危険防止のため設定表示した車両通行帯境界線ではないこと

 

(中略)

各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、同法18条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

 

昭和48年1月19日 福岡地裁小倉支部

ツイッターっていい加減な意見が多いですしね。
違反ではないものを違反だと言っていたり、違反なものを違反ではないと言ったり、ろくに文章も読めない人なんだなというのは過去にもあったので理解してますが、なんかかわいそうですね。

 

判例をいくつか取り上げたのでだいたい理解してもらえたと思うのですが、裁判って適切な主張をするかどうかで結論も変わります。
弁護士さんも道交法をきちんと理解している人ってそれほど多くは無いので。

 

いまだにこれの読み方もわかっていないようですが、

【車両通行帯がある道路では】とあるので、車線境界線で区切っただけの複数車線道路は、道路交通法上では車両通行帯ではないので対象外。
指定の有無とかいまだに言っていることが驚きです。
指定が無い=車両通行帯ではない。
最高裁判例の読み方も分からないのか知りませんが。

本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。

 

最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日

車両通行帯が無い道路だと認定されたわけですが、これの意味も理解できない程度なのかと。
警察の説明文は【車両通行帯がある道路では】ですしね。

 

これも間違い。

普通に法律に規定されているだよなぁ。
車両通行帯は道交法2条1項7号で【道路標示により示された部分】とあり、標識令をみると車両通行帯は規制標示だとなっている。
規制標示は道交法4条で公安委員会しか設置できないので、公安委員会が設置した部分が車両通行帯となるだけのこと。

 

そんでもって、18条や20条では車両通行帯の有無での走り方を規定しているので、法律上は見分けて走れなんだよなぁ。
まあ、車の場合は18条でも20条でも実質的な差が無いので、見分ける必要性が無くなるとも言えるけど。

 

法律上車両通行帯の有無に応じて走れと書いてある
ここを理解していないから、判例の意味も理解できないのかと。
自転車の場合、見分けることが出来ないなら両方を満たすように走るしかないんですけどね。
つまりは判例でもあるように、第1車線の左端を走ることになる。

実態として

簡単にいうと、車両通行帯なんて上乗せ規制以外ではほぼ無いので、交差点の手前か専用通行帯など上乗せ規制が掛かっているところ以外は、自転車は左側端通行義務があると考えればよい。

 

こちらの方も複数の都市で確認したそうですが、私が様々な警察署で聞いた内容と完全一致します。

なお、片側2車線であっても車両通行帯ではない場合には、後続車が追い越すするときに右隣のレーンに移動する義務もありません。

一般道で自転車を追越しするときに、このような追越しは普通に見かけるわけですが、違反を取られた人なんて聞いたことも無いですね。
違反ではないものが違反になるはずがないというだけのこと。

 

けどまあ、見分けがつかない論者の言い分って、かなり変です。
というのも見分けがつかないことを理由にするのであれば、確かに道路標識や道路標示は誰にでもわかりやすくないと効力を発揮しないという判例もある。

 

車両通行帯は規制標示なので、見分けがつかないという理論であれば、車両通行帯としての規制効力が無いと見なすほうが自然。
車線境界線は単なる区画線なので規制効力は元々ない。
車両通行帯は規制標示なので規制効力を持つ。
見分けがつかない⇒車線境界線とみなすというならまだ筋は通ってますが。

 

けどまあ、ほんと不思議なんだよなぁと思うのは、判例を調べたり執務資料を読んだりしているっぽい割には、サッパリ理解していないというところ。
ほんと不思議。

 




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