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自転車の道路外での右折。

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ちょっと前にも書いた内容なんですが、

 

法律解釈を間違うと、優先順位を間違う事例。
まあまあどうでもいい話なんですが、ちょっとこれは酷いなと思うことがありまして。 ええと、これは完全に間違い。 道路外に出る方法 左の画像ですが、見たところ、車道と歩道の区別がなく、中央線があるだけの道路ですね。 それに対し、自転車はこういう...

 

自転車が交差点で右折するときは二段階右折。
交差点以外で右折したいときは横断になるよという話。

こんなご意見を頂きました。

読者様
読者様
25条2項では確かに軽車両の右折方法が定義されていないけど、定義されていないだけで右折自体は可能なのでは?

右折自体は可能ですが、その右折のことを横断を解釈するしかありません。

自転車の右折

交差点であれば、二段階右折というのは理解できるでしょうからその話はナシで。

交差点での右折方法は、34条で規定されています。
この条文は交差点と書いてあるように、交差点以外では関係ありません。

 

で、交差点以外で自転車が右折しようとすると、必然的に横断しか出来ません。

 

まず、法18条1項で車両通行帯が無い場合を除き、左側端通行義務があります。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。

除外規定は追越し時、25条2項(軽車両以外が道路外に右折するための規定)、34条2項と4項(ともに自転車は関係ない)。

 

そのほか、逆走禁止規定があるので

これだと、センターラインまでは18条1項の違反、センターラインを越えてからは逆走状態になります。
なので道路外に右折したい場合、必然的にこうなるしかないわけです。

必ず90度じゃないとダメ、というわけではありませんが、斜め横断と一般的に解釈できる角度であれば必ず違反が絡みます。
要は25条で軽車両の規定を置かなくても、他の条文で規制が掛かっている。

 

車両通行帯がある道路は、そもそも交差点付近や専用通行帯などに限られるので、考慮する必要はないような気がします。

 

さらに詳しく知りたい人への車両通行帯の話。
ここまで何度も、一般道の場合は車両通行帯は限られた場所にしかないよという話を書いているのですが、警察庁が車両通行帯を設ける場所の基準を一応出しています。 この中で、【必ず】車両通行帯にせよとしている個所がいくつかあります。 いくつかの警察署...

 

交差点付近で横断する自転車もないでしょうし。
専用通行帯がある時点でそれなりの交通量が予想されるので、危険を犯して交差点以外で右折する自転車も無いでしょうし。

法律上の話は置いといて

昭和39年の道路交通法では、現行法でいう【道路外への右折】ではなく、右横断と呼んでいました。

(横断の方法)第二十五条 車両(軽車両及びトロリーバスを除く。)は、右に横断するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、徐行しなければならない。

2 右に横断しようとする車両(軽車両及びトロリーバスを除く。)が、前項の規定により、道路の中央に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をしたときは、その後方にある車両は、当該合図をした車両(軽車両及びトロリーバスを除く。)の進行を妨げてはならない。

当時からこの規定は軽車両は除外されていました。
軽車両と言ってもリアカーなども含まれますし、低速の車両が道路中央に寄っている時点で危険ですからしょうがない。

 

ちなみになんですが、執務資料道路交通法解説によると、軽車両も合図を履行した場合には後続車が進路妨害禁止の義務を負うことになっています。
執務資料は判例なども多数載せていて信用性が高い解説書なんですが、時折怪しい記述があるのが正直なところ。

 

だって法の条文はこうですよ。

(道路外に出る場合の方法)
第二十五条 車両は、道路外に出るため左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、徐行しなければならない。
2 車両(軽車両及びトロリーバスを除く。)は、道路外に出るため右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端)に寄り、かつ、徐行しなければならない。
3 道路外に出るため左折又は右折をしようとする車両が、前二項の規定により、それぞれ道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした車両の進路の変更を妨げてはならない

25条3項で定めているのは、前二項の規定に基づいて右折前に道路中央に寄るためにウインカーを出した場合に、後続車が進路を妨害してはいけないという規定。
前二項のうち25条2項は軽車両が除外されているので、3項の規定に自転車が関わるとしたら、1項の左折の合図の時のみとなります。

 

2項で軽車両が除外されているのを見逃しているのでしょうかね。
執務資料は信用性が高いのですが、時折ポカがあるのでそのまま鵜呑みにすると間違いやすい。

 

これ、27条の追い付かれた車両の義務の項目でもそうなんですが、追い付かれた車両の義務は政令で定める最高速度のこと。
執務資料でも、

本項にいう最高速度は、法定の最高速度であるから

 

野下文生、道路交通執務研究会、執務資料道路交通法解説(18訂版)、p273、東京法令出版

法定の最高速度=政令の最高速度なのですが、最後のほうで急に法定の最高速度のことが抜けてしまう表現になっているので注意。
譲るために路側帯に入る必要があるか?という話の中で、そのような義務はないけど軽車両は路側帯を通行できるから路側帯に入って譲ることになると書いてあるのですが、えーと、法定速度の件が吹っ飛んでいる・・・

 

執務資料は勉強になる面も多いのですが、話が本筋から脱線気味になっているときに間違いやすい気がする。

 

最近ちょっと思うのですが、どんなものでもそのまま鵜呑みにするのではなくて、批判的吟味をして、法律の条文との整合性を合わせて、他の解説書なども総合して判断したほうがいいと思う。
大学教授とかでも、時々トンデモ論を発表したりする。
大学教授だからとか、地位とか肩書を重視して鵜呑みにするのは浅はか。

 

25条3項の解釈でも、前二項の場合とあるし、右折前に道路中央に寄るためにウインカーを出した場合の規定。
2項で軽車両が除外されているので、3項の右折規定には関われないのは条文から明らかなこと。

 

ちょっと前に書いた、27条と自転車の判例についてもそうなんですが、

 

自転車に対し、27条【追いつかれた車両の譲る義務】を認めた判例。
堅苦しい話が続いていますが、一つの参考になるかと思いまして。 自転車の場合、道路交通法27条の【追いつかれた車両の義務】は適用外です。 これは刑事事件として取り締ま利される対象ではないというだけで、民事では認めた判例もあります。 事例 判例...

 

この判例、最近やたらと質問が来る。
詳しく知りたい方はメールください。
この判例、1審では自転車:車=35:65となっているのですが、原告と被告双方が不服だとして控訴しています。
結果、2審では10:90に変更されています。

 

1審で双方がどのような主張をしたのか、裁判所の認定がどうだったのかがわからないのですが、2審では双方が27条を主張している。
これも本来、1審での主張と認定内容が分からないと何とも言えないのですが、2審では原告側があえて27条の義務を果たしたと主張することで、道交法上求められていない義務であっても、事故回避のために果たしたという主張なのかもしれない。

 

これも1審判決内容を見ないとわかりません。

 

なので、こういう判決もあるよ程度に捉えたほうがいいですよ、刑事で違反ではなくても民事では過失として評価される可能性もゼロではないですよという意味で取り上げたのですが、意味を全く理解しない人がそこそこいるような・・・
民事での義務と、刑事での道交法の義務は意味が違うわけですし。
それこそ、横断歩道を渡ろうとしている自転車に対し、38条の適用を認めた判例(民事)もあるくらい。

 

横断歩道の自転車通行と、38条の関係性。
こちらにまとめ直しました。 以後、追加は下記にしていきます。 先日このような記事を書いたのですが、 記事でも書いたように、横断歩道=歩行者のためのもの、自転車横断帯=自転車のものなので、基本的には横断歩道を通行する自転車に対しては適用外です...

 

恐らく、この判例が一番参考になると思うのですが、

 

【判例】自動車対自転車〜横断歩道上での事故(平成20年6月1日道路交通法改正後の判例) | 交通事故の弁護士相談は慰謝料協会|妥当な慰謝料を。
道路交通法2条において、「横断歩道」とは「道路標識又は道路標示により歩行者の横断 …

 

この判例は刑事事件で、道交法違反ではなく自動車運転過失致死罪での判例です。
控訴人が38条は横断歩道を渡ろうとする自転車に対する保護規定ではないと主張しているのですが、

自動車運転者としては、同法70条による安全運転義務があるのはもちろん、交通の実情を踏まえた注意義務が求められるのは当然である(所論は、道路交通法上の義務と自動車運転過失致死罪における注意義務を同一のものと理解している点で相当でない。すなわち、信頼の原則が働くような場合はともかく、前者がないからといって、直ちに後者までないということにはならない。)そして、自転車は、対歩行者との関係では交通強者であるものの、対自動車との関係では交通弱者であって、なお多くの自転車が歩行者と同様に自転車横断帯の設置されていない横断歩道を利用して横断しているのが交通の実情である。

 

【判例】自動車対自転車〜横断歩道上での事故(平成20年6月1日道路交通法改正後の判例) | 交通事故の弁護士相談は慰謝料協会|妥当な慰謝料を。
道路交通法2条において、「横断歩道」とは「道路標識又は道路標示により歩行者の横断 …

結局のところ38条の義務ではなく安全運転義務違反から結論を導いているのですが、道交法の義務と自動車運転過失致死の過失は同一ではないということから結論を導いている判例です。

 

民事だと結構テキトーになりがちですが、事故った以上は38条の義務ではなくて安全運転義務から結論を導く方がすっきりするはず。
以前紹介した27条の判例も、勝手な予想では自転車側があえて27条の義務を果たしたと主張することで、道交法の義務を超えて事故回避義務を果たしたから過失はないはずと主張したんじゃないかと思うのですが、1審判決が無いのでわかりません。
1審判決は、通常の自転車事故に比べると自転車に対して厳しい内容になっているので、どういう主張と判示だったのか気になります。

 

こういうのも、まさか27条は自転車にも適用される!という風に解釈されるとは思ってもいなかったので(刑事上で対象外だと冒頭でも書いている通り)、刑事と民事での義務の違いを理解できる判例かなと思ったのですが、ちょっと安易すぎませんかね。

 




コメント

  1. カモがネギしょってる より:

    この道を横断して店に入る場合で片側二車線ではなく、相互通行の一車線だった場合でも、18条の「軽車両にあつては道路の左側端に寄つて」があるため、同じ様に一旦停止して、向きを変えて90度で横切るという解釈でしょうか?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      厳密に90度である必要はなく、斜め横断とは言えない範囲であれば許容範囲内だとは思います。
      理屈の上では一時停止しなくても、他の車両の通行を妨害するおそれさえなければ、反対車線側で逆走とは言えない範囲なら構わないと言えます。
      ただし実際にはミラー装備義務もない自転車が後ろの状況を確認しながらノンストップで横断することは難しいと思います。

      相互通行の一車線だろうと何ら変わらないとは思います。

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