他人にハンドサインで【先に行け】とすることが失礼にあたるのか?

ロードバイクの文化(?)の一つにドラフティング走行があるわけですが、これは厳密にいうと車間距離不保持の違反とも言えます。

まあ、そんなもんを取り締まりの対象にはしているとは思えませんが。

で、レース以外の現場で、見知らぬ人が後ろに貼りついたとして。
先に行って!と手で促すこともあると思いますが、これが失礼なんだ!という考え方の人もいるらしい。

失礼

そもそも【先に行け】なのか【お先にどうぞ】なのか【早くしね】なのかは、どういう気持ちで手で合図を出しているのかはわからない。
まあ、ある程度は雰囲気でわかる面もあるとは思いますが。
どういう気持ちで出したのか分からないということは、受け取る側もどういう意味で受けるとかは不明とも言えます。

ただこの場合、手で先に行ってと促すことは、そもそもの前提があると思うんです。

道路交通法26条の車間距離まで迫っている、もしくは車間距離を詰めているという違法状態・危険状態があるので、それを解除したいだけのこと。
20mとか30mも車間を空けているにもかかわらず、先に行ってと手で合図出されること自体があまりなくて、異常に車間を詰められたから先に行ってというだけのことだと思うんですね。

自分自身に危険が差し迫っているので、先に行ってくれと手で促す行為が失礼に当たるかどうかなんてそもそも関係ないと思うんだよなぁ。
そもそも違法行為を通じて危険な行動をされているわけですから。
違法で危険な行為をされている以上は、それを解除して欲しいと願うのは当然のこと。

違法で危険な行為をされたときに、やめろというのは正当な権利ですからねぇ・・・
ナイフを持っている人が近寄ってきたときに、ナイフを捨てろ!と叫ぶのは正当な行為であって、それが失礼かどうかなんて関係ない。
丁寧にお願いしろ!というのもなんか変。
それが失礼なのかどうか?と考えることのほうが不思議。
万が一、車間距離が十分あるものの先に行ってほしいという場合でも、単なるお願いとか【先に行きたいならどうぞ】レベルの譲り合いであって強制しているわけでもなんでもないですが、

いろんな人
いろんな人
無理矢理先に行かされた!!
なんて失礼な!!

こういう考えに陥る人、超少数派だとしか思いませんけどね。
お願いされているだけで強制されているわけでもないのは総合的に考えればわかることですし。
でも逆にいうと、それで憤慨する人がもしいたとしたら、逆に関わらないほうが良さそうだなと判断する材料にもなるので、ある意味ではわかりやすいのかもしれませんw

ややこしいのは、後続車が車間を空けていると勝手に思い込んでいるだけで、先行車からすれば危険だと感じるケース。
車間をしっかり保っているつもりであっても、それは【つもり】に過ぎませんし。
結局のところ、法に抵触する程度の車間距離まで迫られない限りは、先行車から先に行ってくれという合図を出されることなんてほぼないんじゃないですかね。
30m後方のロードバイクに対し、手で先にどうぞと合図されても、まだ追い付いてもいないのにお前は何を言っているんだ?としか思わないですが、それは失礼とかそういう次元ではなくて、純粋に意味が分からないというだけのことで困惑する。

交差点などで信号待ちの時に、先にどうぞと手で促されることもあると言えばあります。
手で合図した人の真意が、【お先にどうぞ】なのか【先に行け】なのかは知りませんが、そんなのは態度とか雰囲気を見りゃ分かるでしょうし。

そもそも道路交通法の立法趣旨の中に、遅い車両はなるべく左端に寄って、進路を譲るというものがあります。
27条の追い付かれた車両の義務は自転車には適用されない条文ですが、現行法の精神は国際法のジュネーブ条約に基づく精神でもあって、遅い車両は速い車両に【どうぞ先に行ってください】が基本なんですね。
具体的にいうと18条1項(左側端通行義務)もそうだし、20条1項(第一通行帯通行義務)もそうだし、27条(追い付かれた車両の義務)もそういう立法趣旨。
立法趣旨に基づいて、お先にどうぞなのか先に行けなのかは知りませんが、とりあえず先に行かせたいというだけの行動を失礼だと思う人がいるというのはよほどひねくれているのではないかとすら思う。
信号機ではないし道路標識でもないので、指示されているのではなくて単なるお願いベースのことですし。

まあ個人的に思うのは、そもそも違法なレベルまで車間距離を詰める人がいるから、正当行為の一環として離れてもらうか、先に行かせたいだけのこと。
正当行為というとちょっと意味合いが違うわけですが、そもそも論でいうと車間を無駄に詰めない限りはそのような合図を出されることもないわけですし。

ちょっと話が逸れますが、犯罪者の常套手段で、警察の尾行を恐れてわざと後続車を先に行かせるという手段があります。
車での話ですが、突如ハザードを出して停止し、後続車を前に行かせる。
見ればわかる程度に【お先にどうぞ】もしくは【先に行け】というサインを車全体で表現しているわけですが、これが失礼だと思う人がいるなんて話も聞いたことないなぁ。
中にはいるのかもしれないけど。
これも憤慨してしまう人がいるんですかね。

法定外合図は控えるべきなのか?

今ちょっと体を壊している関係でバスに乗ることが多いのですが、バス同士のすれ違いが困難なほど狭い道路を通ります。
しかも結構混雑する。

バスが対向右折車に対して、パッシングして先に右折どうぞとすることはよく見かけます。
これは右折希望車が対向車線で先頭にいると、対向車線は大渋滞のまま進めなくなるし、普通の人であれば先にどうぞという意味合いは理解できる。

あと、バス同士がすれ違うのが困難な道路ですし、コーナーリングではバスと普通自動車ですらすれ違いが出来ない。
こういう場合、どちらかが待機してパッシングすることで、合図をしているとも言える。
うちの近所ではしょっちゅう見かける光景です。

パッシングは法定外の合図ですが、【先に行け】なのか【お先にどうぞ】なのかはわかりませんが、対向車に譲るという意味合いもあれば、使い方によっては喧嘩を売っているとも取れなくはない。
ただこういうのってその状況次第で普通の人であれば意味は理解できるので、対向右折車にパッシングして停止しただけで、車から降りてきて何だお前喧嘩売っているのか!なんて騒ぎにはならない。
同じく、すれ違いが困難な場所で、バスを先に行かせようとして待機してパッシングする車は多いですが、これも【先に行け】なのか【お先にどうぞ】なのかニュアンスまでは分からないけど、とりあえず譲っているということは理解できる。
まさか喧嘩売っているサインだと感じ取る人はいないでしょうし。
お前に指図される覚えはない!と憤慨する人がいるのだろうか??
法定外とは言え、指示系の合図と捉えるのか、譲る合図と捉えるのか。

まあ、理解できない人もいるという意味では、法定外の合図は控えるべきという考え方もあるんですが。
そんなことを言っていたら、うちの近所みたいに狭いけどバスがガンガン走るような道路では正常な交通が成り立ちませんし。

よくあるサンキューハザードについても、法律上の使い方とは違うから控えるべき、という考え方もあります。
本線に合流させてくれた時にサンキューハザードを出してありがとうと伝えるわけで、普通の人にはその意味は理解できると思うのですが、中にはそれを喧嘩を売っているサインだと捉える人もいるのかな?
そういうリスクを考えてサンキューハザードを控えると、今度は

いろんな人
いろんな人
何だあいつ?
合流させてやったのに挨拶も無しかよ。

こういう意味で捉える人もいるかもしれませんw

まあ、私自身はロードバイクに乗っていて他のロードが真後ろについたときに、手で促すことはあまりしません。
追越ししたい人であれば、勝手に追越しして先に行くでしょうし、風よけに使いたいだけなんだろうなということはある程度類推できるので。
なので赤信号で引っ掛かったときなどに、わざと歩道に一度上がって先に行かせるみたいなのが多いかも。
正直なところ、法26条の車間距離保持義務よりも近いなと思うロードバイクが後ろに貼りついた場合、心の中では

管理人
管理人
マジうざい。
先に行けよバカ。

あくまでも心の中での叫びであって、それを態度に出すことはないです。
道路上で見ず知らずの第三者と揉めることに意味があるとも思いませんし、時間の無駄だし、自分の気持ちも卑しくなりそうだし。
そもそも違法な車間距離まで詰めている時点でヤベー奴認定しているので、ヤベー奴に喧嘩売ってもいいことが無いのは経験上分かることだし。
なので信号待ちで歩道に一度乗り上げて先に行かすとか、手で先に行くように促したとしても表面上は

管理人
管理人
お先にどうぞ。

ちなみにですが、ロード乗りの中では、例えば地面に大きな穴があるとか障害物がある場合に、そこを指で指すようなサインもあります。
後続車への注意喚起とも言えますが、そもそもこれにしても法定合図ではなく、法定外合図。

合図を行う場合合図を行う時期合図の方法
左折するとき。その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。左腕を車体の左側の外に出して水平に伸ばし、若しくは右腕を車体の右側の外に出して肘を垂直に上に曲げること、又は左側の方向指示器を操作すること。
同一方向に進行しながら進路を左方に変えるとき。その行為をしようとする時の三秒前のとき。
右折し、又は転回するとき。その行為をしようとする地点(交差点において右折する場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。右腕を車体の右側の外に出して水平に伸ばし、若しくは左腕を車体の左側の外に出して肘を垂直に上に曲げること、又は右側の方向指示器を操作すること。
同一方向に進行しながら進路を右方に変えるとき。その行為をしようとする時の三秒前のとき。
徐行し、又は停止するとき。その行為をしようとするとき。腕を車体の外に出して斜め下に伸ばすこと、又は車両の保安基準に関する規定若しくはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる制動灯をつけること。
後退するとき。その行為をしようとするとき。腕を車体の外に出して斜め下に伸ばし、かつ、手のひらを後ろに向けてその腕を前後に動かすこと、又は車両の保安基準に関する規定に定める後退灯を備える自動車にあつてはその後退灯を、トロリーバスにあつてはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる後退灯を、それぞれつけること。

そもそも、手信号って呼び方は日本語として間違っているような気もする。
手合図、のほうがより正確というか、信号ではないですし。

法定外合図の全てを慎むべきという考え方であれば、譲ってもらったときに会釈したり手を振る行動すら慎むべきとも言えますが、そんな極論をいう人がいるとも思えず。
ほとんどの自転車系サイトなどでは、法定合図のほか、道路上の障害物を指で指して知らせる法定外合図、先に行ってくれと促す法定外合図も紹介されているので、法律上の行為ではないにせよ一定のコンセンサスを得ている法定外合図なんだと思いますが、中には法定外合図を出す行動が安全運転義務違反だと信じているような人もいますし。
片手になるからという意味だと思いますが、安全運転義務違反が成立する要件を理解していないからトンデモ論に走るだけのことかと。

法理の一つなんですが、信頼の原則というものがあります。 信頼の原則を表現すると、このようになります。 交通関与者は、ほかの交...

安全運転義務違反が成立する要件は、具体的客観的危険性の立証、法条競合時は他条優先、恣意的な解釈の禁止ですし。
片手運転が即座に安全運転義務違反になるわけではないですしね。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

道路交通法七〇条の安全運転義務は、同法の他の各条に定められている運転者の具体的個別的義務を補充する趣旨で設けられたものであり、同法七〇条違反の罪の規定と右各条の義務違反の罪の規定との関係は、いわゆる法条競合にあたるものと解される(最高裁昭和四五年(あ)第九五号同四六年五月一三日第二小法廷決定・刑集二五巻三号五五六頁参照)。すなわち、同法七〇条の安全運転義務は、他の各条の義務違反の罪以外のこれと異なる内容をもつているものではなく、その構成要件自体としては他の各条の義務違反にあたる場合をも包含しているのであるが、ただ、同法七〇条違反の罪の構成要件に該当する行為が同時に他の各条の義務違反の罪の構成要件に該当する場合には、同法七〇条の規定が同法の他の各条の義務違反の規定を補充するものである趣旨から、他の各条の義務違反の罪だけが成立し、同法七〇条の安全運転義務違反の罪は成立しないものとされるのである。
 つぎに、同法七〇条の安全運転義務違反の罪(ことに同条後段違反の罪)と他の各条の義務違反の罪とは、構成要件の規定の仕方を異にしているのであつて、他の各条の義務違反の罪の構成要件に該当する行為が、直ちに同法七〇条後段の安全運転義務違反の罪の構成要件に該当するわけではない。同法七〇条後段の安全運転義務違反の罪が成立するためには、具体的な道路、交通および当該車両等の状況において、他人に危害を及ぼす客観的な危険のある速度または方法で運転することを要するのである。

昭和46年10月14日 最高裁判所第一小法廷

恣意的に解釈すれば、何でもかんでも安全運転義務違反だという解釈になりかねないけど、あくまでも70条は刑罰規定なのでそんな解釈は許されていないんですよね。
具体的・客観的な危険性を立証しない限りは成立しない。

まあ、先に行ってくれと手で促す行動が失礼だと感じる人なんて超少数派だとは思いますが、今の時代って失礼だと感じた人が激高してあおり運転に転じる可能性もあるので、気をつけておいたほうがいいのかもしれません。
まあそもそも、車間距離を詰めているから先に行ってくれと促されているわけなので、失礼だと感じるという前に自分自身の行動を見直したほうがいいような気もするけど・・・世間の感覚とズレがある人もいるのでややこしい。
本気でひねくれた人であれば、先に行ってくれと手で促された瞬間に、Uターンして帰るのかもしれませんよ。
なんて失礼な!という気持ちを行動で表現したのかもしれませんw

電車に乗っていてお年寄りがいたときに、手で席を譲ってどうぞとする行為も、下手すると【指示された!!】と激高するような人もいるのかも。
私はまだ若い!!と怒る人の話は聞いたことがありますが、そもそも指示ではなく【もしよかったら】という気持ちなことは誰にでも理解できることなので、指示されたかどうかで憤慨する話は聞かないけどね。
飲食店の券売機で先にどうぞと手で促されたこともあるけど、指示されたとは思わないなぁ。

追越ししたいのであれば、先に進路変更して安全側方間隔を取れるような位置取りをしていれば、先に行ってくれなんて合図を出されることもないはずだし。

ちなみにでの話になりますが、【警視庁管内自動車交通の指示事項】として、乾燥した平坦舗装路面での基準があります。

速度(Km/h)車間距離(m)
309
258
206
155

車と自転車では制動力の差もあるし、これをそのまま適用できるかは微妙ですが。
けどまあ、先に行ってくれと手で合図を送る行動について、失礼だと感じる人も多くは無いでしょうけど存在している、ということは知っておいてもいいのかもしれません。
失礼だと感じてあおり運転に転じされても困るわけですし。

ちょっと話は変わりますが、ロード乗り同士、自転車乗り同士が道路上ですれ違う時は挨拶することが礼儀だしマナーだと考える人もいます。
私の場合、挨拶されたら挨拶しますけど、それ以外で自分から挨拶することは無いに等しい。

で、これが自転車乗りのマナーだと思っている人にとっては、挨拶無しで擦り違う自転車がマナー違反だと思うらしいです。
そもそも、片側3車線などそれなりに広い道路の場合は挨拶されたかどうかすら分からない上に、遠く離れた対向車を注視するよりも、運転上で注意すべき点はもっとあるはず。
マナー違反だと勝手にストレスを溜められても、なんか違うんじゃないかと思うときもある。

けどマナー論の難しさって、これなんですよね。
人によってマナーというものの定義は違うし、それこそ時代によっても変わりうるものがマナー。
まさか挨拶しなかったからと言って追いかけてきて説教するような人はいないでしょうけど、マイマナーを押し付けて勝手にストレス溜める行動は誰のためにもならない。
けど道路上には世間の感覚ズレの考えの人もいるわけで、マナーについては自分の中での常識なんてものを振りかざしちゃいけないのかもしれません。