さ、最高裁判例があるのに嘘つくな!←???

前にコメントを頂いた方と同一人物なのかはわかりませんが、下記記事についてメールでクレームを頂きました。

先日書いた記事についてコメントを頂いたのですが。 香ばしいですねw なぜこういう読み方になるのかとい...

読者様
読者様
お前がどう言おうと最高裁判例が出ているから間違いね。
ちゃんと読んでみ。

https://law.jablaw.org/Forum?no=182

なぜかリンク先が無くなっているのでキャッシュから探しました。

最高裁判例があるっす!

リンク先の記事内容ではこのように記されています。

道路交通法第38条第1項により優先させなければならない対象には、法律に書かれているとおり、「横断歩道によって横断する自転車」も含まれておりますが、このことについては、平成18年最高裁判所判決などにおいても判示されております。
なお、当該記事後半で触れている「執務資料道路交通法解説」(2013年08月23日時点で発行されていたもの)に紹介されている判決は昭和47年のものであり、第38条の優先対象に自転車が加わる昭和53年よりも前のものであるため、現行法においては参考とすることはできません。

https://law.jablaw.org/Forum?no=182

ん??
最高裁判例がある??

リンク先のサイトさん、判例を示すときに判決年月日を示さないので具体的にどれを言っているのかわかりませんが、調べた範囲ではこちらくらいしか該当しません。
他にあるというならご指摘願いたいですが、一応いろんな判例サイトで見てもこれしかヒットしませんね。

平成18年7月21日 運転免許取消処分取消請求事件  最高裁判所第二小法廷

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=33349

ただこれ、本気でこれを根拠だと思っているならさすがにどうかと思うんですが。

2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1) 被上告人(当時78歳)は,平成15年1月15日午後2時25分ころ,普通乗用自動車(以下「被上告人車」という。)を運転して,a町b町線・a町c町線(以下「被上告人側道路」という。)を北進し,和歌山県新宮市cd番e号先の信号機等により交通整理の行われていない交差点(以下「本件交差点」という。)内に少し入った地点でいったん停止し,被上告人側道路とほぼ垂直に交差する丹鶴町中央通り線(以下「交差道路」という。)に自動車の通行がないことを確認して再発進し,本件交差点を直進して通過しようとした。折から交差道路の北側歩道上を時速約8ないし15㎞で西進して本件交差点を直進しようとしていた女性(当時62歳。以下「被害者」という。)の運転する自転車(道路交通法63条の3にいう普通自転車。以下「被害自転車」という。)があり,これに被上告人が気付いた時には,被上告人車の時速が約15㎞に達していたため,被上告人は,急制動の措置を講じたが間に合わず,本件交差点の北側出口付近で被害自転車に被上告人車の右前部を衝突させて転倒させ,被害者に対し3か月の安静加療を要する第3腰椎圧迫骨折,左腓骨骨折の傷害を負わせた(以下,この交通事故を「本件事故」という。)。

(2) 交差道路は,幅員約3.6mの車道が2車線あり,その両側に自転車通行が許可された幅員2.3ないし2.5mの歩道が設置されている。被上告人側道路は,車線の区分のない幅員6m,有効幅員4.9ないし5.4mの道路であり,その本件交差点手前において,道路標識等により一時停止すべきことが指定されている。本件交差点の北側出口付近には,交差点中心に近い側に幅員1.5mの自転車横断帯が,遠い側に自転車横断帯に接して幅員2.3mの横断歩道が設けられている。本件事故における被上告人車と被害自転車との衝突地点は,自転車横断帯の北側標示線の中心から約0.8m離れた横断歩道上である。なお,本件交差点の四方には,いずれも同様に自転車横断帯及び横断歩道が設けられている。

(3) 本件事故の際,被上告人車が進行してきた方向から被害自転車の進行してくる方向への見通しを妨げるものや,被害自転車が進行してきた方向から被上告人車の進行してくる方向への見通しを妨げるものは,特になかった。被害者は,死角となっている進路右方の安全に気を取られ,被上告人車の進行してくる方向を注視することなく本件交差点に進入した。

まずは事実確認から。
信号機が無い交差点で自転車横断帯と横断歩道がある。
そこで車と自転車が衝突したという事件です。
なお、争っているのは運転免許取消処分を取り消せ!という内容です。
点数がたまってめでたく免取コースに行ってしまったということ。

続いては、原審(大阪高裁)の判断。

3 原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断して,本件処分を取り
消した。
(1) 被上告人は,本件交差点に進入して通過する際に,交差道路の歩道上を通行する自転車があるかもしれないことを前提に,その通行の有無及び動静を確認するとともに,本件交差点に接近してくる自転車等がないことを明確に確認しているのでない限り,自転車等が本件交差点を横断することを予見し,横断歩道等の直前で停止することができる安全な速度で進行しなければならないところ,わずかな注意を払いさえすれば,被害自転車が本件交差点に接近してくるのを発見することが十分可能な状況にあったにもかかわらず,これを発見しないまま加速して進行を続け,被害自転車に気付いた時には時速約15㎞に達していたため,急制動の措置を講じたが間に合わず,被害自転車に衝突したものである。したがって,本件事故につき被上告人に交差点安全進行義務違反がある

(2) 被害者は,被上告人車の進行してくる方向を注視していれば,被上告人車が本件交差点を進行して被害自転車の進路前方を通過することを予見し,本件交差点の手前で停止するなどして本件事故の発生を避けることが可能であった上,本件交差点内において被上告人車は比較的低速度となっており,被害者において衝突回避措置を執ることができる余裕が十分にあった。そうすると,被上告人の不注意以外に本件事故の原因となるべき事由があり,その事由がその有無によって本件事故の未然防止及び被害拡大に影響がないほど軽微である場合であるとはいえない。このことは,被上告人車より被害自転車の方が通行の優先度が高く,横断歩道等の安全を確保する義務や交差点内における安全進行義務が自動車運転者の基本的な義務であることによって,左右されるものではない。したがって,本件事故が専ら被上告人の不注意によって発生したとはいえない

大阪高裁では被上告人(原告、加害者)には安全運転義務違反があったけど、自転車(被害者)にも注意義務があったとして点数が15点には満たないので運転免許取消処分は違法であると認定している。

次に最高裁の判断です。

4 しかしながら,原審の上記3(2),(3)の判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 前記事実関係によれば,本件事故の際,被害自転車が進行してきた方向から被上告人車の進行してくる方向への見通しを妨げるものは特にないのに,被害者は,死角となっている進路右方の安全に気を取られて,被上告人車の進行してくる方向を注視することなく本件交差点に進入したというのである。

(2) しかし,前記事実関係によれば,本件交差点においては信号機等による交通整理が行われていなかったところ,被上告人側道路に一時停止の規制があったのであるから,被上告人側道路の車両の通行よりも交差道路の車両の通行が優先する関係にあったということができる。さらに,車両等は,自転車横断帯に接近する場合には,当該自転車横断帯を通過する際に当該自転車横断帯によりその進路の前方を横断しようとする自転車がないことが明らかな場合除き,当該自転車横断帯の直前で停止することができるような速度で進行しなければならず,この場合において,自転車横断帯によりその進路の前方を横断し,又は横断しようとする自転車があるときは,当該自転車横断帯の直前で一時停止し,かつ,その通行を妨げないようにしなければならない(道路交通法38条1項)。前記事実関係によれば,被害者は,本件事故の際,自転車横断帯に接する横断歩道上を自転車に乗ったまま横断していたものであるがその横断していた所は,自転車横断帯の北側表示線の中心からわずかに約0.8m離れた所で,かつ,横断歩道上であることからすれば,被上告人において被害自転車の通行を優先させて安全を確保すべき前記義務を免れるものではないというべきである。また,被上告人は,本件交差点に入ろうとし,及び本件交差点内を通行するときは,本件交差点の状況に応じ,交差道路を通行する車両等に特に注意し,かつ,できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない(道路交通法36条4項)。これらの自転車横断帯等における自転車の安全を確保する義務や交差点安全進行義務は,自動車運転者にとって交通事故を防止する上で基本的なものであるということができるから,被害者としては,被上告人がこれらの義務を遵守することを十分に信頼することができる立場にあったというべきである。そして,前記事実関係によれば,被上告人車が進行してきた方向から被害自転車の進行してくる方向への見通しを妨げるものは特になかったというのであるから,被上告人は,被害自転車を発見し,衝突を回避することが十分可能であったにもかかわらず,上記義務を怠り,本件事故を発生させたというべきである。

最高裁判所第二小法廷  平成18年7月21日

というお話でした。

これは本気で思っていますかね?

メール頂いた方が判例を読んでいるのか、それともリンク先ページの内容を鵜呑みにして判例までは見ていないのかわかりません。

けどこれさ、そもそも自転車横断帯もある横断歩道の話なので、意味合いが違うのは理解できます・・・よね。
自転車横断帯があれば、そりゃ自転車が絶対的な優先権を持つわけですから。

で、この判例。
判決理由を読めばわかるように、38条1項の引用。
横断歩道の件を抜いて、自転車横断帯のことだけを引用している。
さらに理由として、【自転車横断帯の北側表示線の中心からわずかに約0.8m離れた所で】なので、意味合いとしては自転車横断帯を通行している自転車と同等に見るべきという意味でしょ・・・

この判例を以って、

読者様
読者様
横断歩道を渡る自転車にも、歩行者同様の優先権がある!!

こう解釈するなら、さすがに日本語能力を疑いますよ・・・

理由をみればわかるように、【自転車横断帯の北側表示線の中心からわずかに約0.8m離れた所で】かつ【横断歩道上であること】。
要は自転車横断帯からたった0.8m外れた横断歩道でも、自転車横断帯と同様の保護があるだろ?というだけの判例です。
その後に続く文言も【被上告人において被害自転車の通行を優先させて安全を確保すべき前記義務を免れるものではないというべき】ですよ。
前記義務って、38条の自転車横断帯の話を指しているのは明らか。

さすがにどうなんですかね、これ。
なお、この判例ではないというのであればほかに提示いただきたいですが、平成18年最高裁となるとこれしかないと思いますし。

どうでもいんですが、リンクを頂いたサイトさん。
以前、こちらでも少し触れましたが、

結構前に読者様から指摘いただいていた件があります。 上記リンクにあるようにそういった横断帯は交差点...

交差点の外にある自転車横断帯は通行義務が無い、と記し、s55東京高裁と判例があることになってます。
判例検索サイト2つを使って探しても見つかりませんし、判決年月日などを聞いてみたら回答を拒否されましたw
ちょっと意味が分からない。

そういうこともあってあんまり信用していません。

判例がある!と書くと、それだけで証拠があるかのように思いがちな人もいるんですが、問題は判例の中身のほう。
なので判決年月日と原裁判所名は記すのが一般的です。
そうじゃないと判例を検証することも出来ませんし。

判決年月日と原審を示さずに判例があると書くことって、ちょっとどうなのかなと思うのですが。

ところでこちらの記事で取り上げたコメントを頂いた方。

先日書いた記事についてコメントを頂いたのですが。 香ばしいですねw なぜこういう読み方になるのかとい...

その後納得されたんですかね?
私が死亡すべきであるという論評を頂いたので、やっぱしんだほうがいいんでしょうかね?