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車両通行帯=複数車線道路ではないの??ええ、違います・・・

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メールで質問を頂いていた件なのですが、

読者様
読者様
いくつか記事を拝見させていただきました。
教習所では複数車線=車両通行帯と習ってます。
腑に落ちない点があるのですがこれは正しい内容なのでしょうか?
管理人
管理人
適当に記事をピックアップして読んでもらえばわかると思いますが、複数車線と車両通行帯は異なります。
後日、一度記事で全部まとめますので、記事を読んだ後にさらに不明な点があればメールください。

確かにいろんな記事にとっ散らかっているのも事実なので、全部まとめます。

用語の確認
・「法」 ⇒ 道路交通法
・「令」 ⇒ 道路交通法施行令
・標識令 ⇒ 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令

複数車線は2種類ある

まず車両通行帯の定義から確認(法2条1項7号)。

七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。

道路標示は標識令を見ればわかるのですが、同じような道路標示が2つある。

種類 番号 設置場所・意味
車線境界線

別表第3(区画線)102 四車線以上の車道の区間内の車線の境界線を示す必要がある区間の車線の境界
車両通行帯

別表第5(規制標示)109 交通法第二条第一項第七号に規定する車両通行帯であること。車両通行帯を設ける道路の区間

※四車線以上というのは道路全体の話なので、片側2車線以上と同義。

 

全く同じ道路標示が出てくる。
その上で、車線境界線は別表第3、車線境界線は別表第5に規定されていますが、以下のような違いがあります。

第五条 区画線の種類及び設置場所は、別表第三のとおりとする。
(分類)
第八条 道路標示の分類は、規制標示及び指示標示とする。
(種類等)
第九条 道路標示の種類、設置場所等は、別表第五のとおりとする。

車線境界線は、標識令で区画線と定義されていて、車両通行帯は道路標示でかつ規制標示となっている。

 

とりあえずここまでで、複数車線道路には車線境界線と車両通行帯の2種類あり、車両通行帯は道路標示(規制標示)であることを確認しておきます。

規制効力の話

車両通行帯は規制標示だとなっているのですが、道路交通法では規制を掛けることができるのは公安委員会のみとなっています。

(公安委員会の交通規制)
第四条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。
2 前項の規定による交通の規制は、区域、道路の区間又は場所を定めて行なう。この場合において、その規制は、対象を限定し、又は適用される日若しくは時間を限定して行なうことができる。

上で書いたことも含めてまとめます。

車線境界線 車両通行帯
設置者 道路管理者 公安委員会
法的意味 区画線 道路標示(規制標示)

※規制標示は「規制」なので、公安委員会しかできない。

 

ここで再確認。
車両通行帯の定義はこうなっています。

七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。

標識令によると車線境界線は区画線、車両通行帯は道路標示。
道交法では車両通行帯は道路標示で示した部分なので、区画線である車線境界線で区切った道路については車両通行帯にはなりません。
しかも車両通行帯は規制標示なので、公安委員会が指定しないといけない。

 

ここまでで複数車線道路と言っても、車両通行帯ではないもの(車線境界線)が存在することになります。

 

車両通行帯は、公安委員会が指定した複数車線道路だと思えばいいです。

車線境界線と車両通行帯では通行方法が変わる

複数車線道路には、車線境界線と車両通行帯の2種類があることを確認しました。
ところでこの二つでは、通行方法が変わります

 

自転車のほうが分かりやすいので自転車で検討します。

 

まずは車両通行帯の場合。

(左側寄り通行等)
(車両通行帯)
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。

第1通行帯を通行する義務があるので、第1通行帯の中であればどこでも構わないことになります。

 

次に車線境界線の場合。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。

車線境界線と車両通行帯は別物なので、この場合は「車両通行帯が無い道路」になる。
そうすると自転車には左側端通行義務があります。

左側端=路肩など通行の危険を除いて左端に寄ることなので、赤自転車が違反になってしまう。

 

このように複数車線ある道路でも、車両通行帯なのか、車線境界線なのかで通行方法が変わります。

車線境界線 車両通行帯
通行位置 左側端 第1通行帯の中

 

 

いろんな人
いろんな人
けどさ、見分けがつかないよね?
どうすればいいの?
管理人
管理人
そ、それは・・・

車両通行帯における上乗せ規制の存在

ここで一旦話が逸れます。

 

車両通行帯には上乗せ規制というのがあります。
具体的には以下のもの。

道路標識 道路標示 意味
車両通行区分 交通法第二十条第二項の道路標示により、車両通行帯の設けられた道路において、同条第一項に規定する通行の区分と異なる通行の区分を指定すること。
特定の種類の車両の通行区分 交通法第二十条第二項の道路標識により、車両通行帯の設けられた道路において、車両の種類を特定して同条第一項に規定する通行の区分と異なる通行の区分を指定すること。
専用通行帯 交通法第二十条第二項の道路標示により、車両通行帯の設けられた道路において、特定の車両が通行しなければならない車両通行帯(以下この項において「専用通行帯」という。)を指定し、かつ、他の車両(当該特定の車両が普通自転車である場合にあつては軽車両を除き、当該特定の車両が普通自転車以外の車両である場合にあつては小型特殊自動車、原動機付自転車及び軽車両を除く。)が通行しなければならない車両通行帯として専用通行帯以外の車両通行帯を指定すること。
路線バス等優先通行帯 交通法第二十条の二第一項の道路標識により、路線バス等の優先通行帯であることを表示すること。
進行方向別通行区分 交通法第三十五条第一項の道路標識により、車両通行帯の設けられた道路において、車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が交通法第三十四条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。以下この項において同じ。)が交差点で進行する方向に関する通行の区分を指定すること。
原動機付自転車の右折方法 交通法第三十四条第五項本文の道路標識により、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことを指定すること。
交通法第三十四条第五項ただし書の道路標識により、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことを指定すること。
進路変更禁止 交通法第二十六条の二第三項の道路標示により、車両通行帯を通行している車両の進路の変更を禁止すること。

これらは原則として、車両通行帯であると同時に、さらに追加の規制が掛かっているもの。
例えばコレ。

進行方向別通行区分(進行方向の矢印)と、進路変更禁止(イエローライン)がありますが、これらは両方ともに車両通行帯の上に上乗せで行う規制となっている。
なのでこのイエローライン(進路変更禁止)がある場所については、車両通行帯であることが確定します。

 

こちらは普通自転車専用通行帯の標識があります。

専用通行帯も車両通行帯に上乗せする規制なので、この標識がある場所も車両通行帯になっている。

 

上乗せ規制がある=車両通行帯だと見分けることができるのですが、上乗せ規制が無いところはどうするのか?という話になるわけです。

国家公安委員会の指示事項

各都道府県の公安委員会が、好き勝手に車両通行帯を作ると、世間の人は混乱する。
なので法110条1項、令42条3項に基づいて、車両通行帯を作る基準を決めています。

(国家公安委員会の指示権)
第百十条 国家公安委員会は、全国的な幹線道路(高速自動車国道及び政令で定める基準に従い国家公安委員会が指定する自動車専用道路を除く。)における交通の規制の斉一を図るため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、公安委員会に対し、この法律の規定により公安委員会の権限に属する事務のうち、車両等の最高速度その他政令で定める事項に係るものの処理について指示することができる
(国家公安委員会の指示)
第四十二条
3 法第百十条第一項の政令で定める事項は、信号機の設置及び管理による交通整理並びに法第二条第一項第七号、第四条第三項、第八条第一項、第十七条第四項、第二十条第一項ただし書及び第二項第二十条の二第一項、第二十一条第二項第三号、第二十三条、第二十五条の二第二項、第二十六条の二第三項、第三十条、第三十四条第一項、第二項、第四項及び第五項、第三十五条第一項、第三十五条の二、第三十六条第二項、第四十四条第一項、第四十五条第一項、第七十五条の六第一項並びに第七十五条の八の二第二項の道路標識等による交通の規制に関することとする。

・第二条第一項第七号 ⇒ 車両通行帯のこと
・第二十条第一項ただし書及び第二項 ⇒ 主に専用通行帯のこと
・第二十条の二第一項 ⇒ バス優先レーンのこと

 

これに基づく国家公安委員会の指示内容が、交通規制基準と呼ばれるものになる。

 

https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20210304.pdf

 

以下、公安委員会が車両通行帯を設けるように書いている部分。

車線境界線が設置されている道路であっても、車両通行帯を設定するに当たっては、公安委員会の意思決定を得ること
2 次のいずれかの道路に該当する場合は、必ず、車両通行帯の意思決定を得ること。
(1) 車両通行区分、特定の種類の車両の通行区分、牽引自動車の高速自動車国道通行区分、専用通行帯、路線バス等優先通行帯又は牽引自動車の自動車専用道路第一通行帯通行指定区間の規制を実施している道路の区間
(2) 進行方向別通行区分又は原付の右折方法(小回り)の規制を実施している交差点、及び片側3車線以上の交通整理の行われている交差点の手前
(3) 進路変更禁止の規制を実施している道路の区間
3 車両通行帯を設定すると、車両の通行方法(法20条)、原付の右折方法(法34条)及び交差点における優先関係(法36条)等についての規定が適用されることを考慮すること。

 

https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20170424.pdf

この中で「必ず車両通行帯の意思決定を得ること」となっているのは、上で挙げた上乗せ規制のことです。

 

ここまでで、車両通行帯の作り方については国家公安委員会が指示していることが分かります。

実態を調査すると

これらを踏まえてなんですが、様々な警察署の交通規制課で話を聞いたり、資料などをみると以下のような事実が浮かび上がってきます。

・一般道において車両通行帯は、交差点手前の進行方向別通行区分や進路変更禁止、専用通行帯など以外で設定されることは基本あり得ない。
・つまり国家公安委員会が示した「必ず車両通行帯にせよ」となっているところ以外では、車両通行帯になっていることはないと思っていい。

例えば福井県では、毎月新たに交通規制をした場所を公表しています。

https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/koukaihou/fukuikenpou/kenpour0303_d/fil/006.pdf

「車両通行帯(交差点付近等)を設ける区間」という項目がありますが、交差点手前の30m程度しか車両通行帯ではない。

 

過去の県報も国会図書館のインターネット公開で見れますが、例えば福井県報 平成31年 (号外1)の福井南警察署の「車両通行帯(交差点付近等)を設ける区間」の1、花堂交差点。

福井県報 平成31年 (号外1)

公安委員会の決定では、東西南北のそれぞれ交差点から30mだけが車両通行帯(車線数3)だとなっています。
けど交差点付近以外も、どうみても車線は複数ある。

基本はこういう感じで、道路自体はずっと複数車線あっても、交差点付近だけを車両通行帯にする運用。
これは様々な警察署の交通規制課でも確認済み。

 

なので
・交差点手前の進行方向別通行区分や進路変更禁止区間
・専用通行帯など

 

これらくらいしか一般道には車両通行帯はないとみていいわけです。

 

実例をほかにも。
府道13号京都守口線。
管轄署に確認したところ、交差点手前のイエローラインで進路変更禁止&進行方向別通行区分のところだけが車両通行帯で、それ以外は車線境界線とのこと。

つまりこういう感じです。

国道16号相模原。
こちらも同様に、イエローラインのところだけが車両通行帯で、それ以外は車線境界線とのこと。

どちらの交通規制課も

いろんな人
いろんな人
交差点手前など以外で車両通行帯にしている事例を聞いたことが無い。
複数車線だから車両通行帯という扱いは無いと思うよ。

ほぼ同じ回答でした。
ほかの方が調査した結果でも、東京都管内(警視庁)も同じ。

 

全てを調査するのは無理がありますが、今まで調査した限りでは一般道について、上乗せ規制が掛かっているところ以外で車両通行帯になっている話は一度も聞いたことが無い。
なのでこのように解釈して構いません。

 

・上乗せ規制アリ(交差点手前や専用通行帯) ⇒ 車両通行帯
・上乗せ規制無し ⇒ 車線境界線

 

道路交通法の解説書の中では著名な執務資料でも以下のようになっています。

車両通行帯は、公安委員会が本条1項の規定により車両通行帯とすることの意思決定を行い、標識令に規定する規制標示「車両通行帯」(109)を設置して行わなければならない(警察署長にはこの権限がない。)。したがって、右要件を欠く単なる白色の線で区切っただけでは車両通行帯とはならない。

 

また、道路管理者が設ける車線境界線は、外観が公安委員会の設ける車両通行帯境界線と同一であるが、標識令において車両通行帯とみなすこととされていないためこの法律上これらの車線境界線のある道路は外観が車両通行帯境界線と同一であっても、法第18条の車両通行帯の設けられていない道路における通行区分(キープレフト)に従うことになる(警視庁道交法)。したがって、実際上において混乱をさけるため、道路管理者と公安委員会の事前の協議が必要であると考えられる。

 

なお、公安委員会が車両通行帯を設けるときは、令第1条の2第4項に定める次の事項を遵守しなければならないことになっている。

 

野下文生、道路交通執務研究会、執務資料道路交通法解説(2018)、p209-210、東京法令出版

標識令7条では、センターラインと路側帯の表示線については、道路管理者が設置しても規制標示とみなすという規定があるのですが、車線境界線を車両通行帯とみなすという規定が無い。
なので車線境界線と車両通行帯は見分けて走ることになります。

 

このあたり、交通の方法に関する教則(法108条の28)でも実態を踏まえてこのようになっています。

(2) 自転車は、車道や自転車道を通るときは、その中央(中央線があるときは、その中央線)から左の部分を、その左端に沿つて通行しなければなりません。ただし、標識(付表3(1)32、32の2、33、33の2)や標示(付表3(2)14、14の2、15)によつて通行区分が示されているときは、それに従わなければなりません。しかし、道路工事などでやむを得ない場合は別です。

 

交通の方法に関する教則

左端の除外になっている道路標識と道路標示をピックアップしました。

種類 番号 表示する意味
車両通行区分

32 車の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

32の2 標示板に表示された車の通行区分の指定
専用通行帯

33 標示板に表示された車の専用の通行帯の指定
普通自転車専用通行帯

33の2 普通自転車の専用の通行帯の指定
種類 番号 意味
車両通行区分

14 車の種類別の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

14の2 特定の種類の車の通行区分の指定
専用通行帯

15 特定の車の専用通行帯の指定

交通の方法に関する教則では、上乗せ規制があるところ以外は左端に沿って自転車が通行することとしています。
これはどこに車両通行帯があるのかという実態を踏まえた上でのこと。
実際民事での判例の中には、交通の方法に関する教則に書いてあることが注意義務として認定されているものもあるので、上乗せ規制があるところ以外は車両通行帯ではないと思っていいわけです。

 

以上全てをまとめると、こんな感じ。

・複数車線道路でも、車両通行帯ではない道路(車線境界線)もある
・専用通行帯や、交差点手前の進行方向別通行区分(左折帯や右折帯など)や進路変更禁止(イエローライン)があるところは確実に車両通行帯(いわゆる上乗せ規制)
・国家公安委員会では、専用通行帯や進行方向別通行区分、進路変更禁止のところには必ず車両通行帯にせよと指示している
・様々な警察署で話を聞いたり、公安委員会の決定資料を見る限り、国家公安委員会の指示以外に車両通行帯を作ることは無いと思っていい
・以上を総合して考えると、専用通行帯や交差点手前以外には車両通行帯は無いと考えられる

 

判例の検討

以上を踏まえた上で判例も挙げておきます。
まずは最高裁判例ですが、この判例は高速道路においてずっと第2通行帯を走っている車に対して通行帯違反を取ったケースです。
ですが実は公安委員会が車両通行帯だと決定するのを忘れていたために、通行帯違反が成立せず、非常上告という手続きで犯罪事実を取り消したもの。
この判例が意味するところは、複数車線道路だから車両通行帯ではないという事実であると思えばよい。

さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。

 

最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日

この手の公安委員会の指定漏れは時々報道でも出ます。

 

埼玉県警は20日、県内の交差点3か所で、原付きバイクが「2段階右折」をしなかった違反342件について、正式な手続きを経ないまま摘発していたと発表した。

県警交通規制課によると、道路交通法で原付きバイクは、片側3車線以上の道路を右折する際などには2段階右折をしなければいけない。ただ、県警が交通取り締まりを実施する際には、県公安委員会の決定を受けた上で、現場の規制を行う必要がある。

しかし、和光市と新座市にある計3か所の交差点で、県公安委の決定がないまま、原付きバイクの2段階右折について取り締まりを実施していたことが、昨年8月頃に判明。この3か所では記録が残る2012年以降、342件を摘発していた。

正式手続きせず、原付きバイクの「2段階右折」342件を摘発
【読売新聞】 埼玉県警は20日、県内の交差点3か所で、原付きバイクが「2段階右折」をしなかった違反342件について、正式な手続きを経ないまま摘発していたと発表した。 県警交通規制課によると、道路交通法で原付きバイクは、片側3車線以上

結局のところ3車線ある交差点であっても、公安委員会が車両通行帯として指定しない限り、道交法上は車両通行帯が存在しない道路になってしまう。
この報道は公安委員会が車両通行帯だとして正式決定するのを忘れたまま、県警が原付の二段階右折を取り締まった。

けど法律上の規定はこうなっている。

(左折又は右折)
第三十四条
5 原動機付自転車は、第二項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。

車両通行帯が3以上ある交差点で右折するときの規定なわけです。
車両通行帯は公安委員会が指定しない限り存在しないことになるので、事務的ミスで「車両通行帯が無い3車線の交差点」で違法な取り締まりをしたという謎状態が発生するわけです。
これは単なる公安委員会のミスで、本来はあり得ないことですがたまにこういう報道が出るんですよw
原則として3車線交差点であれば、公安委員会が交差点手前30m程度は車両通行帯にしています。

 

残りは民事での判例です。

なお被告は亡Aに重大な過失の存ずる根拠の一つとして、原付自転車に登場していた同人が本件事故現場に設置されていた3本の通行区分帯中左端の第一通行帯を進行すべきであるのに(道交法20条1、3項、同法施行令10条1項2号)右端の第3通行帯を進行した旨主張するが、【証拠略】によれば本件事故現場に設けられている前記2本の白線は岡山県公安委員会が正式の車両通行帯として設置したものではなく、道路管理者たる建設省岡山国道工事事務所が通行車両の便宜を考慮して設けた事実上の車両境界線に過ぎないことが認められるから、両被告の主張はその前提を欠き理由がないものと言うべきである。

 

岡山地裁 昭和45年4月22日

この判例でも、車線境界線と車両通行帯は異なるものであると判示してます。

なお車両は車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない(道路交通法20条)が、本件道路について、車両通行帯(同2条1項7号)が設置されていることを示す証拠はない(車線境界線は、直ちに車両通行帯になるわけではない)し、右折を予定していたことを踏まえると、ただちに左側寄り通行等の規制に反していたともいい難い。
そうすると、被告において第2車線を走行していたこと自体に何らかの過失を見いだすことも困難といえる。

 

名古屋地裁 平成26年9月8日

次はちょっとわかりづらいですが、車両通行帯が有効かどうかが争われた判例です。

(原告の主張)
ア 本件5車線区間には車両通行帯は設けられておらず、また、本件車線が左折通行帯である旨の道路標識も設置されていないから、原告の本件直進進行は、何ら道交法に違反するものではない。

イ 規制標示である道路標示の「車両通行帯(109)」は、色彩が白色で、破線(線部の長さは3~10m、線部と線部の長さはその1.0~2.0倍)とされている(標識令8条から10条まで、同別表5、同別表6)。
しかるに、本件5車線区間における車線の境界線は、黄色であって白色ではないし、その手前の4車線である区間における車線の境界線は、白色破線ではあるけれども、長さが上記規定と異なるから、いずれも車両通行帯境界線ではない。したがって、本件5車線区間には車両通行帯は設けられていない。
ウ 進行方向別通行区分の指定には、道交法4条、道交法施行令1条の2、標識令4条2項1号により、公安委員会が設置する規制標識である道路標識及び規制標示のいずれもが必要である。規制標示は、道路が未舗装の場合や雪で見えない場合など道路状況によって省略できる場合もあるが、規制標識は省略することができない。
しかるに、本件車線が左折通行帯である旨の規制標示は設置されていないから、本件車線に関する進行方向別通行区分の規定は、有効に行われていない。

当裁判所の判断

(1)証拠及び弁論の全趣旨によれば、東京都公安委員会は、昭和45年12月18日、本件5車線区間について進行方向別通行区分及び進路変更禁止の規制をする旨の決定を行い、これに基づき、本件5車線区間に車両通行帯を設け、本件車両通行帯には、左折通行帯である旨の規制標示「進行方向別通行区分(110)」を設置していたものと認められる。

(2)これに対し、原告は、前記記載のとおり主張する。
しかしながら、、前記(1)のとおり、本件5車線区間については、進行方向別通行区分の指定と併せて進路変更の禁止の規制が行われていることが認められるのであり、道交法26条の2第3項、標識令別表第6によれば、「進路変更禁止(102の2)」は、車両通行帯が設けられていることを前提にして行われる規制であり、ある車両通行帯境界線で区画された両側の車両通行帯の一方から他方への進路の変更を両方向とも禁止する場合には、当該車両通行帯境界線を黄色とすることとされていることが認められるのであり、その限りにおいて、車両通行帯を設ける場合における車両通行帯境界線を白色の実線又は破線とする旨の「車両通行帯(109)」の特則を定めたものであることが明らかである。
したがって、本件5車線区間における車両通行帯境界線が黄色実線であることをもって、本件5車線区間に車両通行帯が設置されていないとする原告の主張は、採用することができない。
なお、本件5車線区間の手前の4車線である区間における車線の境界線についての原告の主張は、本件5車線区間とは異なる区間に関するものであって、本件5車線区間に車両通行帯が設置されている旨の判断を左右するものとは認められない。

(3)ア また、原告は前記第2の3(1)ウ記載のとおり主張する。
そこで検討するに、道交法35条1項は、進行方向別通行区分の指定は道路標識等によってすることを定めているところ、道交法においては道路標識等とは、道路標識又は道路標示を意味すると定められているのであるから(2条1項4号)、道路標識又は道路標示(規制標識又は規制標示)のいずれかを設置すれば、道交法35条1項所定の要件を満たすものと解される。
そして、本件車両通行帯に左折通行帯である旨の規制標示「進行方向別通行区分(110)」が設置されていたことは前記(1)で認定した通りであるから、本件車両通行帯を左折通行帯とする進行方向別通行区分の指定は、適法であり、有効に行われているものと認められる。

 

平成23年7月19日 東京地裁

次は交通事故の民事賠償責任の裁判ですが、事故現場は片側2車線道路で、第1車線をトラックが通行していて、第2車線を原付が通行していた。
この状態でほぼ並走状態。

そしてトラックが第2車線に進路変更した際に、第2車線にいた原付を見落としていたことで起こった事故というわけです。

本件事故現場は道路左側が2車線になっており、そのうち、少なくとも事故直前の時点にあっては、道路中央線から遠い車線、即ち道路左側から数えて1番目の車線(以下便宜「第1車線」という)上を被告のトラックが、道路中央線に近い車線、即ち道路左側から数えて2番目の車線(以下便宜「第2車線」という)の梢第1車線寄りの部分を原告が、いずれも同一方向に、殆ど近接した状態で併進したこと、被告は第1車線上の他車輛を追越すため後方を確認したが、その確認状態が杜撰で不十分であったため原告に気付かず、事故現場直前約13.8mの地点で第2車線に進路変更のための方向指示器を挙げて追越にかかり車体が約半分第2車線に出たところで直進してきた原告に接触したこと、しかし右の第1、第2車線は道路交通法第20条所定の車両通行帯ではないこと、即ち、右両車線の中央を仕切る境界線は道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第四(区画線の様式)(102)所定の車線境界線であって、道路管理者である建設省において便宜表示した記号にすぎず、之と若干まぎらわしい記号ではあるが、同命令別表第六(道路標示の様式)(109)1(1)所定の、公安委員会が危険防止のため設定表示した車両通行帯境界線ではないこと

 

福岡地裁小倉支部 昭和48年1月19日

これの判決ですが、原告である原付運転者に2割の過失を付けています。
その理由がコレ。

各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、同法18条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

 

昭和48年1月19日 福岡地裁小倉支部

片側2車線道路であっても車両通行帯ではないのだから、18条1項の趣旨に従って軽車両同様に第1車線の左側端を通行すべきとしているわけです。

 

なお18条1項の車両通行帯が無い道路でのキープレフトには罰則条項がありません。
他にも判例をかなり見ましたが、公安委員会の決定が無くても車両通行帯とみなしていい、とする判例は見たことがありません。
盛大に読み違える人はいるようですが・・・・

 

路肩走行の是非、判例を検討する。
前に自転車で、片側2車線道路の第1車線の真ん中を通行していた方の件。 この方、裁判所の認定ではなく原告の主張を引用するなど根本的に判例の読み方がわかっていないことや、道交法にも詳しくないのかなと思うのですが、 こんな主張もされているようです...

 

判決文に書いていないことを勝手に認定するのは一番やってはいけないこと。

実例

以前も問題になったケースです。

この自転車乗りについては、この道路を勝手に車両通行帯(片側2車線)と思い込み、第1車線の真ん中を通行した。
後続トラックがクラクションで警告した事例です。

 

これについては車両通行帯ではないことが確定しているので(管轄署にも確認済み)、自転車が左側端通行義務違反を犯し、それに対して警音器で警告したとみなせるので、普通に自転車の違反です。
ただし18条1項には罰則が無いので取り締まりすることは出来ません。

 

正しい車両通行帯の考え方と、自転車乗りは違反なのかについて検討。
先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているのですが、これが違反になるのかどうかについて検討します。 事実確認・法確認から 調べたところ、この道路は府道13号京都守口線の守口市内のようです。 ・片側2車線道...

 

この自転車乗りの人は警察の署に動画を持ち込んで、あおり運転だとして処罰を求めたようですが、相手にされなかったそうです。
自転車がおかしな通行位置を通っていて18条1項の違反があり、それに対する警告と取れるからだと思われます。
勝手に車両通行帯だと思い込んで第1車線のど真ん中を走っても、18条1項に罰則が無いので処罰することは出来ませんが、違反であり危険なことには変わりないので、後続車が警告としてクラクションを使ったとしても違法性は阻却される。
単に世間を騒がせただけで終了です。
道交法を分かっているつもりで好き勝手やると、そのツケは自分に跳ね返ってくるだけのこと。
罰則が無いので処罰されないだけマシのことで、本来であれば自分の違反動画を持ち込んだだけでやっていることは自首みたいなもんですから。

 

車が自転車を追い越すときに、クラクション(警音器)を鳴らすのは違反なのか?
先日書いた記事で紹介した判例。 自動車運転者が自転車を追い越す場合には、自動車運転者は、まず、先行する自転車の右側を通過しうる十分の余裕があるかどうかを確かめるとともに、あらかじめ警笛を吹鳴するなどして、その自転車乗りに警告を与え、道路の左...

 

あと現実的なところで一番わかりやすいのは、これです。

高速道路は基本的に車両通行帯になっているのですが、第2通行帯をずっと走っていると通行帯違反になります。
これは追い越し車線をずっと走行したということで違反になるのですが、一般道でずっと第2車線を走って追い越し車線違反だと言われた人なんていないでしょう。
理由は簡単で、車両通行帯ではないからです。

 

どうでもいいですが、高速道路の追い越し車線は2キロまでならセーフ、という話がよくあります。
これは完全な都市伝説で、約1100m走行でも違反となっている事例は普通にある。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/379/080379_hanrei.pdf

警察の方にも言われたのですが、仮に一般道の複数車線を全て車両通行帯にした場合、とんでもなく走りづらくなるはずだと言ってました。
追越し時や右折前以外は第1通行帯しか走れなくなるので、とんでもない数の通行帯違反が成立する。
それもあって、交差点手前だけを車両通行帯にしておけば十分なのが実情。

 

教習所では複数車線道路=車両通行帯と教えているという件ですが、車の場合って分けて考える必要が無いからではないかと思います。
車両通行帯の場合は第1通行帯を通行する義務があるのでこうなりますよね。

車両通行帯ではなく車線境界線の場合、18条1項に基づいて左側寄り通行義務がある。

けど18条1項には罰則規定が無いので、事実上は第2車線をずっと走っても違反にはならないだけのこと。
車同士の場合、同一車線内で追い抜き・追越しすることも事実上不可能(車幅の問題)なので、追越し時のルールも車両通行帯に準じた方法を教えておけば済む。

 

ついでに書きますと、昭和46年の道交法改正時には、車線境界線を車両通行帯とみなす標識令の改正も予定されていたようです。

第二条第二項、第百十条の二第三項から第七項まで等の規定は、道路法の規定に基づいて道路の管理者が設置した車道中央線、車線境界線、車道外側線等の区画線を中央線、車両通行帯、路側帯等を表示する道路標示とみなすこととするとともに、車両通行帯の設置、法定の最高速度を越える最高速度の指定等、現在も道路の管理者の意見を聞かなければならないこととされているもののほか、通行の禁止、横断歩道の設置等についても道路の管理者の意見を聞かなければならないこととし、さらに、高速自動車国道または自動車専用道路における通行の禁止、追い越しの禁止等については、道路の管理者に協議しなければならないこととする等、道路の管理者等との関係について規定を整備しようとするものであります。

国会会議録検索システム

けど理由はよくわかりませんが、中央線と路側帯については区画線を道路標示とみなす規定が出来たものの(法2条2項、標識令7条)、車線境界線を車両通行帯とみなす法整備については見送りされています。
その結果、複数車線道路であっても車両通行帯なのか、車線境界線なのかで通行方法が異なることになっているのが現状。
18条1項には罰則が無いので、問題になるのは民事くらいしかないのですが・・・
けど勝手に車両通行帯だと誤解して意味不明な位置を走る自転車が出てくるわけなので、それについては正しく法律を解釈して批判されるべきこと。

 

車両通行帯ではない道路では、自転車は左側端通行義務があるわけですが、どこまでが左側端なのかは定義しづらいです。
これは私なりの解釈ですが、ビタビタに左端に寄る必要は無くて、左から自転車が追い抜き出来ない程度の範囲かなと考えます。

18条1項の規定は、立法趣旨として後続車を右側から追越ししやすくすること、遅い車両は左側に寄ることなのですが、かといって路肩のエプロン部や側溝など危険な場所を走るのは避ける必要がある。

道路状況次第でどこまでが左側端と言えるかは変わるので、臨機応変に考えるしかないです。
後続車をわざとブロックするような走行をすると、複数車線であっても18条1項の違反になりますが、罰則はありません。
罰則が無いからと言って好き放題やれば批判されて当然のこと。

第1項の規定の違反行為については、罰則が設けられていない。これは、この規定による通行区分は、道路一般についての車両の通行区分の基本的な原則を定めたものであり、また、道路の状況によっては、道路の左側端又は左側といってもそれらの部分がはっきりしない場合もあるので、罰則をもって強制することは必ずしも適当ではないと考えられるからである。(従前の通行区分の基本的原則を定めた旧第19条の規定についても、ほぼ同様の理由により、同じく罰則が設けられていなかった。)。

 

道路交通法研究会 注解道路交通法【第5版】、立花書房

正直難しいです

この件はなかなか難しくちゃんとわかっている人自体少ないと思います。
けど解説書(執務資料)や判例を見ればわかる通り、複数車線道路と車両通行帯はイコールではない。
自転車乗りでよくやるプレイの一つに、左折レーンから直進する時の方法があるじゃないですか。

自転車は最も左端の車線からしか直進できないので、左折レーンだろうと直進します。
これは法律の規定なのでしょうがない。

 

自転車は第1車線からしか直進できないことを知らないドライバーも多い。
これは昔からアルアル話なのかもしれませんが、多車線交差点において、自転車は最左車線からしか直進できないことを知らないドライバーはそれなりにいる。 最も左端の車線が左折専用レーンだったとしても、自転車は左折レーンから直進するしかない規定です。...

 

左折巻き込みを防ぐため、交差点手前で第1車線内で右寄りに移動するわけですが、これが違反にならない理由は上で書いたこと全てです。
交差点手前までは車線境界線なので18条1項に基づいて左側端しか走れない。
ところが交差点手前の進行方向別通行区分のところは車両通行帯なので、第1通行帯の中であれば右寄りでも通行可能になる。

 

これ、いろんな調査をしてやっと全容が見えてきたので書いてますが、理解するのにかなり時間が掛かりました。
解説書を読んでもそれだけでは理解できませんし、判例をみてもそれだけでもわからない。
最終的に公安委員会の決定資料まで全てみてやっと全貌が見えてきます。
なので上で挙げたツイッターの事件の時も、法律的には問題ないと思っている人が大多数でしたが、正しく解釈すると法律的に問題があるけど罰則が無い、というのが正解。
違反行為に対する警告と取れる余地があるので、警察も警音器の使用制限違反を取らない。

 

ただそれだけのこと。

 

この手の話になると必ず沸いてくるのがこの意見。

いろんな人
いろんな人
車線境界線と車両通行帯は見分けがつかないから車両通行帯とみなしても構わない。

これも法律上はそのようになっていない(法2条、標識令7条)。
判例でも見分けがつかないから車両通行帯とみなしても構わないとする判例は見たことがありません。
けど18条1項の左側端通行義務には罰則が無いので、見分けがつかないからいいんだではなくて、罰則が無いから好き勝手やってますというだけのこと。
車両通行帯ではないのに車両通行帯と勝手に勘違いして、事故が起きたときに相手方が道交法に詳しくて追及された場合には、勝ち目はないです。
裁判では主張したことしか判決には加わりませんので、相手方が「そこは車両通行帯ではない」と主張した場合には過失になるというだけのこと。
おかしな位置を通行してクラクションを鳴らされても、違法性は阻却される可能性のほうが高い。

 

なので事実上、複数車線あっても左側端以外を走れる場所はありません。
罰則が無いから好き放題やるというのであれば、非難されるのは当然のこと。

 

以上、疑問が解消されないようでしたらメールください。




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