PVアクセスランキング にほんブログ村

世の中、調べない人って多いのかな。。。

東名あおり運転事件の差し戻し審が横浜地裁で始まりました。
遅いな、というのは思うところですが。

東名あおり運転事件

東名あおり運転事件が起きたのは2017年6月5日なので4年前だし、東京高裁での判決が令和元年12月6日、つまり約1年前だったことを考えると遅いなと思ってしまうけど、裁判員制度の対象事件なのである程度時間が掛かるんですかね。

この事件、1審の横浜地裁は危険運転致死傷罪の成立を認めたものの、東京高裁は横浜地裁に差し戻した。
これ、いまだにこういうことを言う人っているんだな、と思うのですが、

いろんな人
いろんな人
危険運転に決まっているだろ!
危険運転に当たらないとして差戻し審とかメチャクチャだ!

この事件が横浜地裁に差し戻された理由は、1審の裁判長が大チョンボをして違法な裁判だったから。
公判前整理手続きの段階で、裁判長が

読者様
読者様
危険運転致死傷罪は成立しない。

こんな見解を述べた。
なので弁護人も危険運転致死傷が成立しない前提で弁護していたにもかかわらず、判決が出てみたら危険運転致死傷罪で有罪になった。
なのでいわゆる不意打ち判決で、反論の機会が十分与えられていないことや、そもそも1審の裁判長が出した謎見解が違法だということ。
違法な裁判だったからやり直せというのが経緯です。
しかも東京高裁でも「結論において是認することができる。」としているように、危険運転致死傷の成立自体は認めている。

こういうのも、判決文を見れば分かりそうなもんですけどね(裁判所HPにも出てます)。

⑵ 以上の当事者双方の主張を受けて,原裁判所は,同年7月3日,第6回打合せにおいて,「危険運転致死傷罪の解釈(裁判所の見解)」と題する書面により,直前停止行為が実行行為となり得ないことや,本件妨害運転と死傷の結果との間の因果関係について,刑法上一般に要求される因果関係と別異に解する理由はないことを指摘した上で,同罪の行為が「特に危険性の高い行為のみを抽出したものであり,直前停止行為が危険運転行為に含まれないことも考慮すると,妨害運転行為後の介在事情としては,直前停止行為は異質なものというべきであり,妨害運転行為による危険が死傷結果に現実化したということは困難というべきである。そして,妨害運転行為後の事情にすぎない直前停止行為によって生じた結果について因果関係を認めることは,結果的に本条号の解釈を弛緩させるものであって相当ではない。そうすると,妨害運転行為と死傷の結果との間に因果関係を認めることはできない。」などとして,「本件において,危険運転致死傷罪の成立を認めることはできないものと判断した。」との見解を示し,原審検察官に予備的訴因の追加を検討するよう促した。

(中略)

しかしながら,本件妨害運転後の介在事情の異質性や,それによる危険が死傷の結果に現実化したということの困難性を指摘した上で,本件妨害運転と死傷の結果との間に因果関係を認めることはできず,本件では危険運転致死傷罪の成立が認められないという見解を表明した部分は,本件妨害運転の内容や直前停止行為に至った状況,停止後の事実経過等,本件事案における具15 体的な事実関係を前提として,これに対する法令の適用について述べたもの
といわざるを得ない。そうすると,この部分は構成裁判官及び裁判員の合議によって判断すべき事項に該当するから,構成裁判官のみによる判断の結果として公判前整理手続の中で予め見解を表明することは,裁判員法の上記法条に違反する明らかな越権行為であって,本来許容されるべきものではない。
さらに,原裁判所が表明した上記見解の内容をみると,その表明の時点における暫定的なものと断ってはいるものの,その理由を相当程度詳細に説示した上で本件因果関係を否定し,本件において危険運転致死傷罪の成立を認め
ることができないとの結論を明示的かつ断定的に示しており,後の公判審理を通じて,前提事実の認定に大幅な変更を来す可能性が明らかになるなどした場合でない限り,訴訟当事者においてもその見解の変更を予見することが
困難な内容となっている。原裁判所が,裁判員との評議を経ることなく,構成裁判官のみによる合議に基づいて,このような内容の判断を公判前整理手続の段階で予め表明した訴訟手続には,その権限を逸脱した違法があるといわざるを得ない。

(中略)

そのような主張や反証の機会を設けることは必要不可欠な措置であったというべきである。原裁判所が,見解の変更を前提とした主張及び反証の機会を被告人及び原審弁護人に改めて設ける訴訟手続上の手当てを講じることなく,先に表明していた本件因果関係に関する見解を変更して有罪判決を宣告したことは,被告人及び原審弁護人に対する不意打ちとなることが明らかである。

(中略)

4 破棄差戻し
5 そうすると,本件因果関係に関する前記認定に合理的な疑いを差し挟み得る事情や,被告人が負うべき責任の程度に影響を与え得る事情の有無等について,当事者双方に,本件で危険運転致死傷罪が成立し得ることを前提とした主張及び立証の機会を設けた上で,改めて因果関係の有無及びこれが肯定される場合の量刑判断をしなければ,被告人の適正手続の保障を害することとなることは明らかであって,本件事案の重大性や,法令の適用及び刑の量定を裁判員の参加する合議体で行うこととした裁判員法の趣旨に照らすと,改めて裁判員の参加する合議体によって審理及び評議を尽くすのが相当である。

東京高等裁判所 令和元年12月6日

適切な主張の機会を与えて、裁判員裁判という事情を考慮すれば破棄差戻しが相当だという判断です。
これが仮に裁判員裁判出なかった場合なら、もしかしたら2審で審理を尽くして差戻しの回避も出来たかもしれないけど、制度上だとしょうがない。

この事件を受けて、令和2年にこの条文が追加されてます。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為

なのでこの事件ではこれを適用することも出来ない。

読めば理解できるものでも、根本的に調べないとなるとお話にならない。
この事件、心情的には危険運転致死傷が相当だと思いますが、刑罰は心情で決まっちゃいけませんしね。
というよりも裁判員制度、時間が長引くだけで害も多いと思うのですが・・・

以前何かで読んでドン引きしたのですが、ロードバイク同士が車間距離を詰めてドラフティングして事故を起こした場合、危険運転致死傷罪になると平然と述べてあるのをみました。
危険運転致死傷は自動車運転処罰法なので、自転車は適用外なんですよね。
こういうのも、法律を読めば理解できるはずですが、そもそも調べもせずに安易なことを発信すれば間違ってしまう。

存在しない義務

よく、道路上で自転車と車のトラブルがあった際に、どっちが悪い、という議論になります。
いまだに、複数車線道路においては、自転車を追い越す車は右隣りの車線に車線変更する義務があると思い込んでいる人がいることにも驚く。

車両通行帯
第二十条
3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。

その複数車線道路が、車両通行帯では無かったらそんな義務は発生しない。

メールで質問を頂いていた件なのですが、 確かにいろんな記事にとっ散らかっているのも事実なので、全部まとめます。 用語...

自転車と車のトラブル動画とかでは、「自転車は〇×違反だろ!」みたいなので在りもしない義務を押し付けてくる人がいますが、同じく、車に対しても在りもしない義務を押し付けたら同類だと思う。
複数車線あっても、交差点手前や専用通行帯など以外では車両通行帯なんて存在していないので、存在しない義務の押し付けだと思う。

時々、「教習所でこう習ったから」ということで謎の法解釈を語り出す人っていますが、教習所では法律解釈を厳格に教えているわけではなくて、実際には違反ではないことでも違反だとして教えることは普通にある。
違反ではないけど危険性があるからやってほしくはない、ということは存在しますから。

それこそ、右隣の車線に変更して自転車を追越しということについても、法律上は義務ではないにせよ、そのほうが安全性が高まることは確実。
けど法律上の義務ではないので、マナーとか危険回避の領域でしかない。

中には車道と車線の区別が出来ないような人もいるようだし、車両通行帯があることが明らかな道路なのに、18条1項のキープレフトを語り出すような斬新な実力を発揮するような人もいるので、インターネットって怖いですねw
まあそのようなことを平然と語れる程度にルール解釈には弱いということを自ら証明しているんでしょうけど、ルール解釈に弱いから間違いまくっているのかと。
言論の自由・・・事実関係の間違いは道義的に違うだろと思ってしまいますが。




スポンサーリンク
判例集

〇道路交通法38条の解釈(対歩行者)

 

前回、横断歩道を横断する自転車についての判例をまとめましたが、歩行者についてもまとめておきます。

道路交通法38条…

 

〇道路交通法38条の解釈(対自転車)

この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。
いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。

横断歩道と自転車の関…

 

〇自転車を追い越す時の側方間隔の判例

先行する自転車を追い越し、追い抜きするときに、側方間隔が近すぎて怖いという問題があります。
これについて、法律上は側方間隔の具体的規定はあ…