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先行車のドア解放事故。自転車の過失はどうなる?

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停止している先行車の横を自転車で通過しようとした際に、急にドアが開いて自転車がぶつかる事故。
いわゆるドア解放事故の場合、過失割合は自転車:車=0:100です。
ただし、自転車に過失をつけた判例もあります。

自転車のドア解放事故

ドア解放事故の場合、自転車であれば基本的には0:100です。
というのも、先行車はこの義務があるから。

(運転者の遵守事項)
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
四の三 安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること。

後続車がオートバイなら10:90が基本線ですが、自転車の場合は下がるのが通常。
とはいえ、自転車に過失をつけた判例もあります。

 

以下判例。

被告には、左側後部ドアを開けるに際し、後方から走行してくる自転車等の車両の存在の有無を確認し、これが存在する場合にはドアを開けてはならない注意義務があったのに、これを怠った過失がある。
原告には、ハザードランプを点滅させて停止している車両であり、かつ停止車両がタクシーだったのであるから、人の乗り降りのためにドアが開くかもしれないことを予測し、ドアにぶつかることがないように走行する注意義務があったのに、これを怠った過失がある。
加えて、被告車が停止するに際して左に寄せていなかったこと、被告車はタクシーではあるが、乗車の場合に比して降車の場合には第三者からドア開閉の予測がしにくいと思われること、原告車は自転車であり自転二輪車に比べて速度が遅いことなどの事情をも考慮し、本件事故についての過失割合は、原告5%、被告95%が相当と認める。

 

大阪地裁 平成30年2月27日

タクシーがハザードをつけて停止した際に、左に寄せていなかったため自転車が左からすり抜けた際に起こった事故です。
ハザードをつけてタクシーが停止したのだから、ドアが開く可能性は十分予見可能としています。

予測し避ける

民事では、予見可能なものを回避しなかった場合には過失となります。
このケースでは状況からみて予見可能ということから自転車に5%つけていますが、仮にロードバイクで高速度進入した場合には、過失が増える可能性もあります。

 

こういうのって、道交法の刑罰規定のみでいうならば、後続自転車には違反と言えるようなことはありません。
いまだに何か勘違いしている人っていますが、民事の過失割合って道交法違反を争っているわけではなくて、予見可能なことを回避しなかったことが過失となる。

第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

タクシーがハザードを出して停車しているなら、ドアが開くことは予見可能だという判例です。

 

これの時もちょっと思ったのですが、

 

うーん。。。
ちょっと前に書いた記事について、質問を頂いたのですが。 このネタ、なんか荒れそうなのでアレなんですが。 理由 この件ですよね。 判例を見る限り、路側帯通行の自転車だからと言って特別な保護があるわけでもないし、自転車も車両である以上は一定の注...

 

自転車には道交法違反が無いから過失はない!と言い切る人もいました。
不勉強なんだろうなと思ったのは、道交法違反が無くても過失はつくという話。
そもそも、民法709条の過失=道交法違反、という法律はどこにもない。

 

これについても同様です。

 

先日の判例についてちょっと補足。
先日挙げた判例なんですが、 ちょっと補足。 なぜ車道ロードバイクにも5割の過失が付いたか まず、事故の前提から。 ・原告(ロードバイク)は車道を通行していた。 ・被告(自転車)は歩道を通行していた。 ・歩道には配電ボックスがあり、被告の身長...

 

これで50:50は酷い!という意見は多々頂いたのですが、民事って道交法違反を争っているだけではないので、予見可能なものに対して回避義務を果たしたのか、そもそも予見可能なのか?という観点が入る。

 

そういうことを知っている人は、道交法の義務を果たすだけでは到底足りず、様々なケースを想定しながら防衛運転をするものですが、ネット上で車と自転車のトラブル話が起きた時って、道交法の義務だけで語り出す人は多いですよね。

 

道交法違反は刑罰規定なので、犯罪になるかどうかの話。
民事は犯罪とはならないことでも、予見可能なものを回避しなかった場合には義務違反として過失になる。

 

道交法違反が無いから何をやってもいい、というのは、単なるアホのお仕事だと思うんですね。
道交法違反は道交法違反として、刑罰規定として処罰されるべきことなので、裁いて欲しいのであれば警察に話すこと。
民事はまた別。
何ら道路交通法違反が無くても、回避可能なものを回避しなかったら注意義務違反や回避義務違反として過失になるので、それを見越して様々なケースの想定とか、防衛運転をお勧めしてます。

 

こういうのもそうなんですが、

 

みんな漏れそうなのか?
法規についての説明は、今回は詳細にはしません。 私なりに思うこととして 動画を見ていて思うのは、みんなウ〇コ漏れそうとかなんですかね? 早く行かないと!みたいな。 やっぱ先にトイレに行っておかないと、緊急時はピンチになって運転も焦りがちにな...

 

左折ウインカーを出している車がいて、やや車が先行。
自転車は一切速度を緩めることなくどんどん左の隙間から抜けようとしてます。

 

自転車の行動が道路交通法の刑罰規定に引っ掛かるのか?というとたぶん引っ掛かりませんが、仮にこの状況で事故になった場合、それなりの距離を並走に近い状況で、しかも回避行動を一切していないことは過失となり得る。
刑罰規定について追及したいのであれば警察に任せるしかないですが、民事は別なんですね。

 

様々な事故、事故未遂の映像って、そういう場面に自分が遭遇したときにどうすべきなのかを考える時間であって、刑罰を課したいのであれば警察に任すしかない。
なにせ私人が刑罰を課すことは出来ませんし。

 

こういうケースもあるんだな、と知ること自体が勉強になり安全に繋がるもの。

 

この判例でもそうですが、

 

先日の判例についてちょっと補足。
先日挙げた判例なんですが、 ちょっと補足。 なぜ車道ロードバイクにも5割の過失が付いたか まず、事故の前提から。 ・原告(ロードバイク)は車道を通行していた。 ・被告(自転車)は歩道を通行していた。 ・歩道には配電ボックスがあり、被告の身長...

 

この事故、歩道から車道にアタックした自転車については、少年事件として刑事訴追されています。
過失致傷だと思いますが。
このあたりは警察や裁判所の問題。

 

それとは別に、車道を通行していた被害者さんは一生介護が必要な状況の後遺症になってしまったわけで。
相手が悪い!ということは見りゃ分かる。
けど民事上ではこういう無謀かつ違法走行する自転車ですら予見して回避する義務があるとしている。

 

道交法違反の運転をする自転車に対して法律を守れというのは当然だし、それと同時に自己防衛(民事)も考えるのがバランスが取れた議論。
どっちかだけに偏っても無能だと思う。
たまに、「日本の道路交通には優先権の規定がなく、優先権を規定すれば過失割合の争いにならない」みたいに言い出す人がいるのですが、そもそも日本の民法は過失=予見可能な状況を回避しなかったこと、なので、あんまり関係ない。

 

そういうこともあって、「この程度の逆走はいいでしょ」とか、「ヒルクライム中だから勾配が緩くなる右側通行してもいいでしょ」とか、「所詮自転車なんだから厳しく言うなよ」みたいな甘えは糾弾すべきこと。

 

ロードバイクの逆走はどこまで許されるのか?
いきなり不穏なタイトルで始まりましたが、 先日の記事。 見ればわかるように狭くてブラインドコーナーも多く、斜度も激しいところ。 言いたいこととしては こういうのって、 いくらでも言い訳なんてできるけど、その辺の道路でママチャリがガンガン逆走...

 

ちょっとくらいいいじゃんとか、これくらいはみんなやっているよという甘えの結果が、自転車横断帯の10m以上手前で逆走斜め横断する自転車が誕生し、その結果として重大事故になるんじゃないですかね。

本筋から離れてきましたが、ついでに。

甘え

昨年ですが、スクランブル交差点に車道から進入した自転車に対して赤切符が切られたとネットニュースで話題になった件をご存じでしょうか?
これです。

 

自転車で赤切符!? 信号は青だったのに!? 警察官に呼び止められた主婦の体験談がTwitterで話題に
自転車で買い出しにでかけた帰り道、なぜか警察に呼び止められて「赤切符」を切られたという体験談が、Twitterで大きな注目を集めていました。赤切符は飲酒運転やスピード超過など、比較的重い違反をした時に発行されるものですが、いったい何があった...

 

スクランブル交差点に車道から入り、車道の信号は赤、横断歩道が青だったことからそのまま突破。
その際に、横断歩行者を妨害したこともあり、見ていた警察官が赤切符を切ったという事例です。

 

この件、事実上の信号無視が赤切符というわけではないんですよね。
信号無視&横断歩行者妨害のダブルで悪質だと思われたから赤切符。

スクランブル交差点で、車道から進入した自転車は車道の信号機に従うのは当然ですが(一部例外アリ)、自転車は歩行者同様と思っている人もいる。
だから信号機を間違えたくらいでは赤切符は普通切らなくて、注意対象で終了する。
けどこの方が書いているように、横断歩行者妨害もあったから赤切符の対象になっただけのこと。

 

歩車分離式交差点と、自転車が従うべき信号機の話。
ちょっと前に、自転車で赤切符を切られたというニュースがありました。 これ、従うべき信号機を間違えたことと、横断歩行者妨害をしたことのダブルパンチで悪質と判断されて赤切符になっているようですが、なぜか自転車に対して同情的な意見を言い出す人もい...

 

これ、仮に歩道から横断歩道に入った場合でも、横断歩行者妨害は成立します。
条文が変わるだけですが。。。

状況 違反
車道⇒横断歩行者を妨害 38条1項
歩道⇒横断歩道を通行して横断歩行者を妨害 25条の2第1項
(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。

25条の2第1項は「妨害するおそれがあるときは」なので、結構強い規定。
実際に妨害したかどうかではなくて「おそれ」で違反が成立する。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

交通の方法に関する教則

(5) 道路を横断しようとするとき、近くに自転車横断帯があれば、その自転車横断帯を通行しなければなりません。また、横断歩道は歩行者の横断のための場所ですので、横断中の歩行者がいないなど歩行者の通行を妨げるおそれのない場合を除き、自転車に乗つたまま通行してはいけません。

横断歩道を歩いていると、自転車に乗ったまま全力で横断歩道を渡り向かってくる自転車とかいますが、これは25条の2第1項の違反です。
これが日常的になり過ぎて、違反だと思ってない人のほうが多いんじゃないですかね。

 

なので上のツイッターの方については、信号無視単独で赤切符なのではなくて、横断歩行者妨害(38条1項)の違反で警察官からすれば看過ならない状況と判断したために赤切符となっています。

 

けどこういうのも、全然状況を分かってない人だと、無駄に擁護する。

気の毒などと書いてますが、気の毒なのはこの方の分析能力のほう。
なぜ赤切符になったのかちゃんと理解していないまま、無駄に自転車を擁護するような発言をするというのはいかがなものか。

 

専用信号機ガー!とか、そこだけが問題ではなくて、横断歩行者を妨害したところで警察が発動しただけのこと。

 

この件、ある意味では自転車のルール啓蒙に繋がっているなと思ってまして、こういう報道を見てルールを理解する人もいるわけです。
なのでせっかくのルール啓蒙のチャンスなのに、無駄に自転車を擁護する人がいる時点でお察し。
なんで赤切符に至ったのかを理解していないんでしょうね。

 

ウーバーイーツの横断歩道事故の件についても、こういう違反(横断歩行者妨害)の延長線上にある。

 

ウーバーイーツ事故に思う、自転車の交通ルール問題。
先日、ウーバーイーツ事故の裁判が開かれて、検察は禁固2年を求刑しました。 宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達中に自転車で男性(当時78歳)に衝突して死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた東京都北区の会社員、被告(28)は26日、...

 

赤切符を切られて気の毒だなんて感想を持つ人がいるうちは、こういう事故も無くならないのかもしれません。




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