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人の命。

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東名あおり運転事故の差戻し審が横浜地裁でやってます。
個人的には危険運転致死傷が成立すべきと思いますが、どうなるのやら。

危険運転致死傷

危険運転致死傷って、成立要件が厳しい犯罪です。
東名あおり運転事故は、被告人が高速道路上で被害車両の前に入り停止させ、後ろから来た大型車が突っ込んで起きた事故。

 

自動車運転処罰法の2条4号が成立するかどうかの問題になる。(6号は東名あおり運転事故の後に新設されたので適用出来ない)

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

東名あおり運転事故の後に、どこかの弁護士さんが軽く炎上した記憶があります。
2条4項の規定は「運転する行為」。
高速道路上で停止させる行動は危険。
だけど速度ゼロの停止行為が「運転」と見なすのは無理がある。

 

東京高裁が差戻しにした理由は、一審の裁判官が公判前整理手続きにて、危険運転致死傷は成立しないと見解を出したにもかかわらず、不意打ち判決で危険運転致死傷としたから。
適切な反論の機会が失われている違法な裁判なので差戻しになるのは仕方ない。
被害者遺族の感情としては納得出来ないでしょうけど。

 

差戻し前の一審判決の要旨。

被告人が,高速道路上で,自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条4号所定の被害者運転車両の通行を妨害する目的で危険運転行為をし,さらに,走行する同車の直前に自車を停止させた行為自体は,同号所定の「重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」とは認められないが,同車に後続する大型車両が衝突したのは,先行する被告人の前記危険運転行為及びこれと密接に関連した前記直前停止行為,被告人の衝突現場付近における被害者のうち1名に対する暴行等に誘発されて生じたものであるから,被告人の前記危険運転行為と被害者らの死傷結果には因果関係が認められるとして,被告人に対して危険運転致死傷罪の成立を認めた

停止行為自体は危険運転致死傷に当たらないにしても、そこに至るまでの段階を危険運転として認定。
東京高裁も危険運転致死傷の成立自体は認めている。

 

この裁判、予備的訴因として監禁致死傷も含まれてます。
高速道路に停止させ自由を奪う行為を監禁と捉えれば、確かに成立する余地はある。

 

被告人は無罪の主張をしてますが、結局はここなんですよね。
以下、差戻し前の一審判決の事実認定。

事故の発生

 

丁は,大型貨物自動車(三菱ふそうスーパーグレード。以下「丁運転車両」という。)を運転し,前方の大型トラック(キャリアカー)に追従して,第3車両通行帯を進行していたところ,前方の大型貨物自動車が急に左に車線変更し始めた。その後方最大約24mを走行していた丁は,時速約91㎞で走行中,D運転車両の後方最大約53.8m地点で同車両に気付き急ブレーキをかけると同時に左にハンドルを切ったが,午後9時36分7秒頃,D運転車両後部に衝突し,更にD運転車両の左側部及び丁運転車両が前方に停止していた被告人車両の後部に衝突し,いずれかの車両がD運転車両付近にいたC及びDに衝突した(以下「本件事故」という。)。
なお,丁運転車両は,D運転車両を発見した地点において,制動距離が不足するためD運転車両と衝突せずに停止することは不可能であった上,第2車両通行帯では大型貨物自動車が並走していたため,第2車両通行帯に車線変更することも不可能であった。

 

横浜地裁 平成30年12月14日

後続車両は、速度超過と車間距離保持義務の違反があったことも事実。
後続車両の運転者は、過失運転致死傷で不起訴になってます。
被告人の主張は、あくまでも後続車両のせいだとしている。

 

感情としては言い逃れとしか思えないけど、法律って万能じゃないですよね。
東名あおり運転事故のあと、危険運転致死傷に5号と6号が新設されました。

五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為

立法当時、想定していなかった事態が起きた。
高速道路上で前に割り込んで停止させるのは危険な行為だけど、旧法では規定がなかったため、このような争いになってしまっている。

 

差戻し前の一審も東京高裁も、危険運転致死傷の成立自体は認めているので、処罰されるべき危険運転と信じたいところ。
けど、後続車両にも違反があったことも事実。
車両距離を取るのは、大切。

車も自転車も

車も自転車も、違反行為多いですよね。
いろんな判例挙げてますが、正直なところ、それは防げた事故なのでは?というものは普通にあります。
ウーバーの事故もそう。

 

ウーバーイーツ事故に思う、自転車の交通ルール問題。
先日、ウーバーイーツ事故の裁判が開かれて、検察は禁固2年を求刑しました。 宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達中に自転車で男性(当時78歳)に衝突して死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた東京都北区の会社員、被告(28)は26日、...

 

無灯火で横断歩道に突っ込んで起きた死亡事故ですが、無灯火で横断歩道を一時停止することもなく突っ込んで行く自転車なんてまあまあいる。
ロードバイクでも、横断歩道に向かってダンシングアタック決めるアホもいましたが、結果論で歩行者がいなかったからセーフじゃないんだよね。

 

結果論で事故が起きなかったからセーフとか、結果論で警察の取り締まりにあわなかったからセーフ程度の甘さが、重大事故の原因になる。

 

小さいことの積み重ねが事故を防ぐはずだけど、ルールを「小さいこと」と捉えてしまうこと自体が良くないのかも。

 

ウーバーの事故、被告人は公判で泣いて謝罪したようですが、後から後悔する行動は自ら律しないと、いつか重大事故を起こすと思う。
ウーバーだけの問題と捉えるよりも、広い意味で自転車界全体の問題だと思う。

 

そのためにも、まずは法律についてはきちんと知っておかないといけないですが、免許制ではない自転車については、左側を走る、信号や一時停止を守る、夜はライトつける、歩行者は何があっても原則優先、前をよく見る、この程度だけでもかなりの範囲はカバーされている。
大して難しくもないはずのルールですら守れないとなると、ちょっと厳しい。

 

道路の左側を走るというルールって、何か難しい要素があるのかな?
渡るのが面倒とか、その程度の話だよね。
時速9キロの自転車が歩行者に当たり死亡事故になった事例もあるけど、「自転車だから」という甘えが良くない。
ロードバイクについては、よく言われるのが両極端だと。

 

しっかり道路交通法を守るライターか、さっぱり守れないライターか。
中間層が少ないように思う、という感想を聞いたことがありますが、後者は淘汰されるべき。

それこそこれもそう。

 

歩道から車道へノールック突入自転車と衝突事故、過失割合はどうなる?判例を元に。
車道を走るロードバイクにとって、歩道から車道にノールックで降りてくる自転車は脅威そのものです。 一体こういう奴らは何を考えているんだ?というのが本音。 仮にこういうケースで事故った場合、過失割合ってどうなるのさ?という疑問があるのですが、類...

 

歩道通行していた自転車が、10mちょっと先にある自転車横断帯を使わずに、車道に降りて逆走斜め横断を開始した。
その結果、車道を正常に通行していたロードバイクに激突し、ロードバイク乗りは言語障害や右半身の麻痺など、重篤な障害を抱えて生きていくことになった。

あと10mちょっと、正常に歩道を通行し自転車横断帯から横断していたら起きていない事故ですが、ちょっとくらいいいだろという甘えが取り返しがつかない事故になる。

 

事故が起きなかったからセーフで、事故が起きてから反省ではないんだよな。
交通事故の報道を見るとわかるように、それは防げた事故だよね?というものは多い。
東名あおり事故についても、被告人に自制心さえあれば何も起きなかったはず。
後続車両も、適正車間距離を取り、速度超過がなければ突っ込まなかったかもしれないけど、高速道路で停止している車両がいるなんて頭になかったと思う。

 

ちなみに危険運転致死傷については、自動車運転処罰法なので自転車には適用出来ない法律です。
自転車にも危険運転致死傷が適用されると書いているものを見たことがありますが、ありえません。




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