PVアクセスランキング にほんブログ村

前提を無視した意見。

今年の通常国会で、電動キックボードの新たな法整備が改正道路交通法案として提出される見込みになってます。

何度も書いている特例実証実験の電動キックボードですが、以前有識者会議での提言がありましたね。 実証実験の内容か...

この問題、だいぶ前から法改正に向けて様々な実証実験をしてました。
まあ、実証実験であることを理解していない無能な意見も散見されましたが、調べもせずに語る議論って本当に無益だなと。

報道では、新たに法整備される電動キックボードについて、一部ですが歩道通行を可能にすることも検討されていることになってます。
これも前提を理解せず、調べもせずに語る人が多いなとウンザリしてました。

歩道通行を可能にする?


まず大前提の確認から。
新たに法整備される電動キックボードは、最高速度が15-20キロ程度(未定)に制御されたものだけが対象
今市販されている電動キックボードについては、今まで通り原付扱いに変更はありません。
原付扱いされる電動キックボードについては、今まで通り免許制、ヘルメット義務に変更はない。
分かりづらいので、新たに法整備される予定の電動キックボードについては「小型低速車電動キックボード」と記します。

報道レベルでは、小型低速車電動キックボードが歩道を通行出来るようになると出てました。
これも報道レベルでは、正直なところ「省略し過ぎ感」が強く、誤解を生むよなーと思って見てましたが、あれも「小型低速車電動キックボード」を潰したい勢力のオモチャにしたいんですかね?笑

警察庁の有識者会議の発表内容のうち、歩道通行に関する部分を抜粋します。

② 通行することができる場所
小型低速車に該当する車両は、現行法では車道しか通行することができないとされているものの、その最高速度や、車体の大きさを踏まえると、3.1.2で述べたとおり、普通自転車専用通行帯及び自転車道についても、普通自転車と同様に通行しても差し支えないと考えられる。
一方で、歩道の通行については、本有識者検討会においても賛否両論であったが、「歩道は、歩行者の通行の安全を確保するための空間であり、車両は高速で通行してはならない」という点では一致していた。また、電動キックボードに係る海外の法制度を見ても、多くの国において歩道における通行は禁止されている。
これらを踏まえ、原則として、小型低速車は、歩道を通行することは不適当であると考える
一方で、3.1.2でも述べたとおり、電動のモビリティは最高速度を制限することが容易であることから、小型低速車について、歩道通行車と同様の最高速度に制限されるのであれば、歩道の通行を認める余地はあ
るものと考える。

ただし、歩道が本来歩行者のための場所であることを踏まえ、歩行者の安全な通行が阻害されることがないよう、速度の制限が確実に行われることを担保するための措置や小型低速車が通行できる歩道を制限することについて検討すべきである
なお、電動キックボードについては、地面を蹴ることにより電子的に制御された速度以上の速度を出すことができてしまうこととなるのであれば、電子的な速度制御の意味が失われてしまうこととなるため、それ
を技術的にどのように防ぐかについても検討がなされるべきである。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/saisyuhoukokusyo.pdf

これだけ見ると分かりづらいのですが、原則としては歩道通行は認めない方針。
しかし、電動車椅子(時速6キロ)と同等までに制御出来る装備を持ち、時速6キロ以下のモードに変更したことが外見上も明らかなら、歩道通行を認める余地があるという話になってます。

これ、原付と自転車モードの変更ができる「モビチェン」というものからヒントを得ている発想。
モビチェンは、あくまでもフル電動自転車(原付)だけど、降りてモードを変更することにより自転車として歩道通行も出来るシステム。
今までのフル電動自転車だと、電動モードをオフにしても、法区分はあくまでも原付だったのでペダルを漕いでも原付扱い。
モビチェンはモードの切り替えをしたことが外見上も明らかに出来るシステムなので、「小型低速車電動キックボード」でも似たようなシステムを搭載したのであれば、歩道通行を認める余地があるとしています。

かつ、これです。

小型低速車が通行できる歩道を制限することについて検討すべき

全ての歩道を通行可能にする予定ではない。
恐らくですが、「自転車通行可」の標識がある歩道限定にするなどの検討をするのではないかと。

モード切り替えが出来ない「小型低速車電動キックボード」であれば、歩道通行は認めない方針。
しかもモード切り替えが「外見上明らか」なことも要求しているので、モード切り替えしてない「小型低速車電動キックボード」が歩道を通行したら、時速6キロ以下だろうとも処罰出来るように求めている。

また、

 電動キックボードについては、地面を蹴ることにより電子的に制御された速度以上の速度を出すことができてしまうこととなるのであれば、電子的な速度制御の意味が失われてしまうこととなるため、それを技術的にどのように防ぐかについても検討がなされるべき

まだまだ課題も多いのが実情。
あくまでも警察庁の方針は「小型低速車電動キックボード」については歩道通行を認めない方針であって、例外的に歩道通行を認める可能性もある、みたいなレベル。
報道だと、「歩道も通行可能になる」程度しか触れていないものも多く、ビミョーにニュアンスが違うんだよな、と。

原則論は「歩道通行を認めない」であって、例外的に歩道通行を認める検討もする程度の話が、全ての歩道を通行可能になるような報道がちょっと気持ち悪い。

前提を理解する

上で書いたことが大前提になるわけですが、あとはシステム上可能なのか?抜け道があるのか?法整備したとして法の運用がうまく出来るか?という問題になる。

恐らくは市販されている電動キックボードと区分するために、「小型低速車電動キックボード」については車種ごとに認定して行くことになるのかなと思いますが、そのあたりもまだ不透明です。
自賠責の加入義務を設ける予定なのについては、評価してます。
これを機会に自転車も加入必須にしてもいい気がする。

ところで、非電動のキックボードってありますよね。
あれは道路交通法上、遊具に該当するため、交通の頻繁な道路で使うのは絶対的禁止行為になってます(76条4項3号)。

(禁止行為)
第七十六条
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。

「小型低速車電動キックボード」が一部の歩道も通行出来るようになったとして、非電動のキックボードは「交通の頻繁な道路」では禁止事項。
電動が歩道を通行できて、非電動の人力キックボードが歩道を通行出来ない可能性も場所によっては出てきます。
もちろん、上で書いたように、全ての歩道を通行可能にする予定ではないため、あくまでも一部の歩道での話となる。

これについて、電動がOKで人力がNGはおかしいだろ!とか言い出す人もいるみたいですが、極めて無知な発想で、しかも考察が浅すぎると思う。
非電動のキックボードが、なぜ道路交通法上で「車両」ではなく「遊具」なのかを理解し、さらに「小型低速車電動キックボード」の歩道通行要件案を考えれば、電動か非電動かで区分して考察することがいかにナンセンスかは理解出来ると思うけど、やっぱり調べもせずに語る人には理解しづらいのかなと。

ブレーキが必須要件ではなく、歩道上で速度制限もない非電動キックボード。
「小型低速車電動キックボード」の歩道通行要件案は、時速6キロ以下しか出せないモードにしたことが外見上も明らかな場合限定で、車両である以上は法定要件を満たすブレーキも当然必須。
つまりは速度に制限が無いものと、あるものの差でもある。
速度制限を物理的に掛けられないものと、掛けられるものの差とも言える。
ブレーキが必須ではない遊具と、法定要件を満たすブレーキが必須な車両。
どっちのほうが歩道上で安全性が高そうなのかは・・・

「交通の頻繁な道路」以外なら、どこでも走れる非電動キックボード。
「小型低速車電動キックボード」は、仮に歩道通行が一部解禁されても、全ての歩道を通行可能にするつもりはない。
つまり歩道によっては、非電動のキックボードの使用は可能だけど、「小型低速車電動キックボード」は通行不可の場所もあり得る。

電動か非電動か?なんてところに着目して語ること自体ナンセンスだけど、十分調べずに前提を理解していなかったり、法律を理解していなかったりすると、深い考察もない残念な考察になりかねない。

ちなみに古い判例によると、このようになっています。

通行量が1時間当たり原動機付自転車及び自転車通行者いずれも約30台、歩行者20名程度の場合は、交通のひんぱんな場所とはいえない。

昭和34年4月16日 名古屋高裁

ブレーキが必須の「車両」と、ブレーキが必須ではない「遊具」。
ブレーキに法定要件を求める車両と、仮にブレーキを搭載しても何ら基準もない遊具。

歩道通行可能にするにしても、時速6キロ以下にしたことが外見上明らかなことを求める「小型低速車電動キックボード」と、交通のひんぱんな道路では禁止されているけど、禁止道路以外では事実上速度制限もない非電動キックボード。

人力か電動かが安全性を分けるのではないんだよなぁ。
前提を理解しない意見って、本当に無価値。

車椅子にしても電動車椅子は時速6キロ以下に制限されている。
それこそ人力の車椅子については、時速6キロ以上出せるけど禁止されているわけではない。

調べもせずに、前提も理解せず語り出して世論を誘導しようとする人って必ず出てきますが、無能な意見なのかどうかは読んだ人が判断するしかないですよね。

「小型低速車電動キックボード」、大して調べもせずに批判する人って多いような。
私としては、法律を守らせるための取り締まりをしっかりする前提であれば、さほど異論はなかったりする。

実証実験開始のときも、実証実験であることを全く理解せず有りもしない想定をしている人すらいました。
実証実験の目的を理解していれば、絶対にあり得ない未来を想定して批判している人もいましたが、理解度がそこだと正直厳しい。




スポンサーリンク
判例集

〇道路交通法38条の解釈(対歩行者)

 

前回、横断歩道を横断する自転車についての判例をまとめましたが、歩行者についてもまとめておきます。

道路交通法38条…

 

〇道路交通法38条の解釈(対自転車)

この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。
いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。

横断歩道と自転車の関…

 

〇自転車を追い越す時の側方間隔の判例

先行する自転車を追い越し、追い抜きするときに、側方間隔が近すぎて怖いという問題があります。
これについて、法律上は側方間隔の具体的規定はあ…