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横断歩道と歩行者の過失(2)。

先日の記事について補足。

信号がない横断歩道は、歩行者が絶対的な優先になるというのが道路交通法38条の定めです。 さて、以下のように、「例外なく一方的に...

歩行者の過失

原則としては横断歩道で車両と歩行者の事故が発生した場合、歩行者が赤信号無視などがない限りは無過失です。
ただし、例外は普通にあります。
夜間、幹線道路、容易に事故を避けることが可能なケースでは、歩行者側にも過失を認めることも。

例えばこのような判例もある。

被告は、本件交差点の一つ手前のサンシャイン南交差点を対面信号機の青色表示に従い、先頭車両として発進後、本件交差点に差し掛かり、停止線の手前約20メートル地点において、対面する信号機の表示が赤色から青色に変わったのを確認して、本件交差点に進入したと主張し、被告本人尋問において、同旨の供述をしている。
しかし、原告が対面する歩行者用信号機の青色表示に従い、本件道路の横断を始めたことについては、原告と証人の供述が一致しており、証人は、本件事故により加害車両と衝突しているとはいえ、原告、被告とも明らかな利害関係はないというべきであり、その供述は無視しえない。
また、本件事故当時、本件道路の第2車線ないし第4車線に停車車両があったことについては関係当事者らの認識が一致していること、本件事故当時、本件道路を進行中の車両は加害車両だけであったこと(被告本人)、原告及び証人が、反対車線を含めて7車線(さらに、中央分離帯も設置されている。)に及ぶ本件道路を歩行者用信号機が当初から青色点滅表示をしているのを認識しつつ、あえて横断を開始するとは容易に考えにくいこと等の事情があり、これらを総合すれば、本件事故当時、対面信号機の表示は、原告側青色点滅、被告側赤色であったものと推認され、右認定に反する被告供述は、採用できない(なお、調査嘱託の結果が右認定を左右するものではない。)。

2  右の事実を基礎にして、本件事故の態様について検討するに、本件事故は、横断歩道を進行中の歩行者と、直進四輪車との事故であるが、被告は、対面信号機の赤色表示に従わず、かつ、前方不注視(被告は本件事故に至るまで原告の存在に気づいておらず、この点に前方不注視の過失がある。)の過失により、本件事故を引き起こしたものであるから、この点に過失がある。

他方、原告としても、夜間目立ちにくい服装の上、対面する歩行者用信号機が青色点滅表示を始めたため、走り出した際、左方の安全を十分確認することなく、進行した点に若干の過失がある

そして、原告、被告双方の過失を対比すると、公平の見地から原告の損害額から5パーセントを減額するのが相当である。

東京地裁 平成9年(ワ)第449号

横断歩行者は青信号で横断開始し車は赤信号。
7車線の幹線道路ということや、夜間であること、青点滅に変わって走り出したときの注意義務違反を歩行者の過失としている。

横断開始時に青信号、途中で青点滅になったものと思いますが、歩行者が走り出したことは道路交通法上、何ら問題ない。

人の形の記号を有する青色の灯火の点滅→歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。

けど過失にしている。
過失の内容にこれが含まれるわけです。

夜間目立ちにくい服装の上

警察が、夜間は反射素材を!という理由ですね。
反射素材を身に付けていないことは道路交通法違反にはならないけど、民法上では不法行為責任になりうる。

ドライバーには道路交通法を守るよう指導するのは当たり前として、歩行者も過失(不法行為責任)になることがあるのだから、注意喚起する。
どちらかだけを指導したらバランス悪いし。

歩行者に過失を認めない判例もあるし、過失を認める判例もある。
車が青信号で左折、6歳の子供が青信号で横断した事故でも、被害者に10%の過失を認めた判例もあります。

道路交通法だけで成り立つわけではない

横断歩道であれば、例外なく一方的に車が悪いとも限らなくて、例外は普通にあります。
民事は道路交通法違反を争うわけではないのですが、優者危険負担の原則と道路交通法38条があるため、車が100%になることは多いですが。

何でもそうですが、「例外なく」とか「世界の常識」とか「日本だけ」なんて誇張しちゃう人もいるわけです。
ちょっと調べてみると、例外が普通にあるとか、日本以外でも同じみたいなことはある。

民事の不法行為の中には犯罪にならない注意義務も含まれますが、なぜ警察が「◯✕しましょう」みたいな呼び掛けをするのか、一応はこのような判例による「根拠」があるからだと理解出来る。

道路交通法違反がないことと、過失がないことはイコールではないので、民事の不法行為責任というのは道路交通法違反とイコールではないということです。

被害者にも過失がつくということは、法律的には双方に落ち度があることになりますから。




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