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典型的に熟考が足りないと思う。

車両通行帯については誤解が多く、間違った考えの人が多いのが実情。

メールで質問を頂いていた件なのですが、 確かにいろんな記事にとっ散らかっているのも事実なので、全部まとめます。 用語...

見分けがつかないこと、18条1項には罰則がないことから、このようにわざと第1車線のど真ん中を走る人が出てしまう。

この記事は以前書いたものを全面的にリニューアルしてます。 以前、片側2車線道路において、自転車で第1車線の真ん中を通行して大騒動を起こした...

ただまあ、18条1項についてはかかわるとしたら民事の過失割合か、あとはクラクション鳴らされても文句言えなくなるくらいかな。
けど、理解力が足りないとこういう思考に陥る。

大前提として、車両通行帯は18条1項以外の通行方法を指示するための「特別な交通規則」。
特別な交通規則が必要な場所にのみ設定される。

18条1項のキープレフト

18条1項のキープレフトの規定は、昭和39年のジュネーブ条約に入ったことから新たに定義された規定。
立法趣旨は、遅い車両を左側にして右側からの追い越しを促す点にあります。

以上のルールは、道路上を対向する車両同士の進路を分け、かつ、道路の中央部分を空けておくことで、①対向車同士の擦れ違いを円滑にし、②同一方向に進行する車両同士の追越しを容易にしようとするものである。

(中略)

「キープレフト」の原則を定めた条約9条第2項(b)に対応するためには、旧第19条及び第20条を廃止し車両通行帯の設けられた道路における通行区分を定める本法第20条第1項本文の規定を置けば足りるわけだが、そもそも道路の中央部分を追越しのために空けておくという「キープレフト」の考え方は、通行帯の設けられた道路に限らず、およそ道路一般に適用される普遍的な思想であったので、車両通行帯の設けられていない道路における「キープレフト」についても、旧第19条を改正する形で第18条の左側寄り通行の規定を置いたのである。

道路交通法研究会 注解道路交通法【第5版】、立花書房

民事ではこのような判例も。

右の争いなき事実によると、被告が、民法第709条以下の規定により、原告等主張の本件交通事故によって生じた損害を賠償すべき義務を負うことが明らかである。之に対し同被告は、被害者にも過失があると抗争するので検討するに、事故に遭遇した屋台の尾部に反射鏡を備え付けていなかったことは、原告等と同被告との間に争いがないが、<証拠略>によると、事故当時、屋台後部の左側の柱に点灯したカーバイトランプを吊してあったことを認めることが出来る。

ところで、道路交通法第52条によれば、本件の屋台の如き軽車両は、夜間道路にあるときは政令で定めるところにより、同政令の定める光度を有する前照燈、尾燈若しくは反射器、反射性テープ等を備え付けねばならないとされているが、たとえ、反射鏡の設備がなくても、カーバイトランプを点灯すれば、通常、後方数十メートルの距離より之を確認し得ると考えられるので、原告に、右の義務に違反した過失を認めることが出来ないものと解する。

次に、原告が、左側端通行義務に違反したか否かについて検討するに、事故に遭遇した屋台が、歩道から中央寄りに1メートルの個所を通行していたことは、原告等と同被告との間に争いがなく、<証拠略>によると、事故現場は、両側に幅員3メートルの歩道が設置され、車道の幅員が15メートルで、その中央にセンターラインの標識がある直線状の道路上であり、原告は、右屋台の前後の中央線が、歩道から中央寄りに略々2メートルの個所を進行していたところ、その後部に同被告運転の乗用車の前部中央附近が追突したものであること、及び<証拠略>によると、原告は、事故に遭遇する直前、絶えず交通事故の不安を感じ乍ら通行していたことを夫々認めることが出来る。

而して、道路交通法第18条は、本件の屋台の如き軽車両に、道路の左側端を通行すべきことを義務づけているのであるが、右の事実によると、若し、原告が、右義務を忠実に守り、出来得る限り車道の左側端を通行するように心掛けて居れば、或いは被害が一段と軽度であったろうと推認するのを相当とするから、被害者側にも斟酌すべき過失があると言わねばならない。そしてその過失割合は、被告の過失が、脇見運転即ち前方不注視と言う、自動車運転者にとり最も基本的な注意義務に違反した重大な過失であるのに対比し、被害者側の過失は、道路の左側端通行義務違反で、然も、更に左側に寄って通行すべきことを要求し得るのは、せいぜい50センチメートル以内に止まると解されるから、同被告の過失に対して極めて軽度と言うべく、従って、前者の過失割合を9割、後者の過失割合を1割と認定するのが妥当であると考える。

横浜地裁横須賀支部 昭和47年1月31日

後方からの追突事案ですが、軽車両は左側端通行義務違反がありもうちょい左側に寄れるから過失となってます。

けどこの意見については、根本的に理解不足と勉強不足かなと。

道路交通法上、一般道で車両通行帯は交差点手前か、専用通行帯くらいに限定されます。
公安委員会の車両通行帯のリストは以前も少し書きましたが、

福井県報 平成31年 (号外1)

そもそも取り締まる側の警察官が、こんなリストを全て頭に叩き込んで理解しているわけがないんだよね笑
だから、「上乗せ規制」が掛かっている、「進行方向別通行区分」とか、「進路変更禁止」とか「専用通行帯など」にしか車両通行帯がない。
警察官が全リストを頭に叩き込んで取り締まりなんて不可能だから、誰でも見分けがつく場所くらいにしか車両通行帯がないんだよね。

実際、交通の方法に関する教則(道路交通法108条の28)も実情に沿った記述だし。

(2) 自転車は、車道や自転車道を通るときは、その中央(中央線があるときは、その中央線)から左の部分を、その左端に沿つて通行しなければなりません。ただし、標識(付表3(1)32、32の2、33、33の2)や標示(付表3(2)14、14の2、15)によつて通行区分が示されているときは、それに従わなければなりません。しかし、道路工事などでやむを得ない場合は別です。

https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/kyousoku/index.htm

左端の除外になっている道路標識と道路標示をピックアップしました。

種類番号表示する意味
車両通行区分

32車の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

32の2標示板に表示された車の通行区分の指定
専用通行帯

33標示板に表示された車の専用の通行帯の指定
普通自転車専用通行帯

33の2普通自転車の専用の通行帯の指定
種類番号意味
車両通行区分

14車の種類別の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

14の2特定の種類の車の通行区分の指定
専用通行帯

15特定の車の専用通行帯の指定

取り締まる側にも容易に車両通行帯だと理解出来ない限りは取り締まり不可能。

「これらのことから車道外側線(車両通行帯最外側線)より左側は明確に除外される」というのは、ちゃんと理解していない人の安易な発想。
調べたり、考えてみりゃわかりそうなもんだけどな。
明確だと思い込みをしているに過ぎない。
あと、交通の方法に関する教則でこのように記述されている以上、仮に「上乗せ規制」が掛かっていない車両通行帯があったとしても、違法性阻却事由になる。
交通の方法に関する教則は道路交通法の規定によるものなので(108条の28)、国家公安委員会の記述通りに走っていたのに、違反が成立するというのはあってはならない。
法律の条文を読み取れない人向けに、教則を用意して分かりやすくしている。

あとは車道外側線の外に自転車ナビライン(矢羽根)がある場合には、仮に車道外側線ではなく車両通行帯最外側線であったとしても、違法性阻却事由になるので通行帯違反にはなりません。

だって、警察庁や国土交通省が主導して引いた「自転車通行位置の目安」であるから、目安を信じて通行したら違反だなんてバカな話は成立する訳もない。

中途半端な知識だと、あれこれ言い訳作って正当化しようとしちゃうけどね。

立法趣旨は、「遅い車両を左側にして右側からの追い越しを促す」こと。
自転車が左側から追い抜き出来る程度、左側端にスペースを取っていたら、違反とみなして構わないのかなと考えます。
「速い車両は右側から」という原則を達成するための条文だし。

ちなみにこんな判例もあります。

民事での判例によると、複数車線あっても軽車両は左側端だとしています。

本件事故現場は道路左側が2車線になっており、そのうち、少なくとも事故直前の時点にあっては、道路中央線から遠い車線、即ち道路左側から数えて1番目の車線(以下便宜「第1車線」という)上を被告のトラックが、道路中央線に近い車線、即ち道路左側から数えて2番目の車線(以下便宜「第2車線」という)の梢第1車線寄りの部分を原告が、いずれも同一方向に、殆ど近接した状態で併進したこと、被告は第1車線上の他車輛を追越すため後方を確認したが、その確認状態が杜撰で不十分であったため原告に気付かず、事故現場直前約13.8mの地点で第2車線に進路変更のための方向指示器を挙げて追越にかかり車体が約半分第2車線に出たところで直進してきた原告に接触したこと、しかし右の第1、第2車線は道路交通法第20条所定の車両通行帯ではないこと、即ち、右両車線の中央を仕切る境界線は道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第四(区画線の様式)(102)所定の車線境界線であって、道路管理者である建設省において便宜表示した記号にすぎず、之と若干まぎらわしい記号ではあるが、同命令別表第六(道路標示の様式)(109)1(1)所定の、公安委員会が危険防止のため設定表示した車両通行帯境界線ではないこと

(中略)
各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、同法18条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

福岡地裁小倉支部 昭和48年1月19日

事故現場は片側2車線道路で、第1車線をトラックが通行していて、第2車線を原付が通行していた。
この状態でほぼ並走状態。

そしてトラックが第2車線に進路変更した際に、第2車線にいた原付を見落としていたことで起こった事故というわけです。

ビタビタに左端の必要はないけど

道路交通法上では路肩という定義はなく、歩道の縁石までは車道ですが、路肩のエプロン部などは危険なので、当然だけど危険を避けた上で左側端に寄る。
ビタビタに左側端である必要まではない。

けどまあ、特に不合理でもない18条1項を恣意的に解釈しようとする人って、車に対して「道路交通法守れよ」とか言えなくなるだけだと思う。
刑事としての罰則はないけど、民事では「18条1項の違反」と判示しているものも普通にあるからねー。
しかも普通に法律だし。
罰則がない法律は守らなくてもいい派なんかな?

自転車横断帯の通行義務のように、誰にとってもメリットがないルールについては守る必要性を感じないけど、18条は不合理でも理不尽でもない。
自転車横断帯は、車道を走るロードバイクからすれば「そもそも見えない位置にある(違反する気がないけど知らぬ間に違反になる)」とか、「左折風の動きをすることで左折巻き込みリスクが上がる(自転車にも車にもデメリット)」など、メリットが誰にもないし、現場レベルの警察官に聞くと「車道走るならそのままどうぞ」とか平気で言われる。

18条1項は不合理でもない単純なルールだけど、立法趣旨から考えれば、「自転車が左側から追い抜き出来ない程度に左側端に寄る」だと思うけど、

やりたい放題されても罰則はない。
何ら根拠もなく、勝手な解釈して正当化しようとしちゃう人は、車に対して違反だとか言えるような立場なんかね。

「車両通行帯かどうか見分けがつかない」という人は、普通に論破される。

1、交通の方法に関する教則(道路交通法108条の28)に記された通りにすればよい
2、警察官が見分けつかなきゃ取り締まり不可能
3、矢羽根がある場所については、考える必要がない

「どこまでが左側端かわからない」という人は、普通に論破される。

1、立法趣旨から考えれば、自転車が左側から追い抜き出来ない程度の範囲
2、判例とか研究してる?

全部「言い訳」だと理解出来ますね!
まあ、それでもグダグダ言う人は、車の違反に対しても文句言えるような立場ではないわけです。
罰則がないから好き放題してもいいみたいな考え方なら、法律を遵守する気がない人だし。

ちょっと話は変わりますが、28条4項に追い越しの方法があるじゃないですか。

(追越しの方法)
第二十八条
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

「前車や道路の状況に応じてできる限り安全な速度と方法」となっているけど、具体的な側方間隔については法律の規定はない。
判例で見ていくと、ふらつきもなく進行する自転車に対して、時速40キロ、側方間隔0.95mで「追い抜き」した刑事事件は無罪。

ちょっと思うことがあって、こちらの記事に判例を追加しておきました。 追越しや追い抜き(以下、側方通過とする)に...

よつて接するに、自動車運転者が、先行自転車を追抜く場合には、該自転車の動静に注意し、これと適当な間隔を保持しつつ、安全を確認して進行すべき義務の存することは当然であるが、どの程度の間隔をもつて適当といえるか、又更に警音器を吹鳴して自転車搭乗者に警告を与え或いは減速して追抜きにでるべき義務が存するか否かは、両車の横の間隔その他その際の具体的状況に応じて定まるもので、一律には論じえないところ、本件についてこれをみるに、原判決挙示の各証拠によると、被告人は、自動車運転の業務に従事していたものであるが、原判示の日時ごろ、同判示のタンクローリーを運転して、時速約四〇キロメートルで、広島市東雲町一、〇六六番地附近道路上の舗装部分(有効幅員九メートル)左端より1.8ないし2メートル、中央線より四三センチメートルのところを東より西に向けて進行中、前方約三〇メートルの同道路舗装部分左端から五、六〇センチメートル内側の地点を、同方向に向け先行自転車と約三メートルの間隔をおいて自転車で進行する被害者(年齢28)の姿を認めたものであること、被告人はそのまま直進して被害者の搭乗する自転車を追抜こうとしたのであるが、その際自車の後輪フエンダーが同自転車のハンドル右端に追突し、これがため被害者がその場に自転車もろとも転倒して、原判示の傷害を負つたものであること、同所附近の道路は、直線・平坦なアスフアルト舗装で、同舗装部分左側には幅約一六メートルの非舗装部分があり、見通し良好で、交通瀕繁な場所であること、被告人が被害者の自転車を認めてから、これが追抜きを始めるまでの間、同自転車は先行自転車と前記の間隔をおいて、同道路上の舗装部分左端より約五、六〇センチメートル辺りを直進しており、被害者は熟練した自転車通勤者でその乗車態度にも不安定な様子は全く認められず、且つその進路上には何らの障碍もなく、分岐または交差する道路もなく進行中の自転車が急に停車または右折するようなことは通常は予想し難い場所であること、被告人は自車および被害者搭乗の自転車がともにそのまま進行すれば、同車に約一メートルの間隔を保つて、これを安全に追抜きうるものと考え、右追抜きにかかつたものであること、被告人が認識、予見したとおりに両車が進行しておれば、右自転車のハンドル右側部分と被告人の車との間には、少くとも九五センチメートル以上の間隔があつたと認められること、しかして原判示の追突は、被害者が、急ブレーキをかけた先行自転車との追突を避けようとして、とつさに自車のハンドルを右に切り、先行自転車の右側に出た直後に生じたもので、被告人は、右追突直後、自車の左バックミラーで路上に倒れている被害者の姿を認めたが、追抜開始前においては同人搭乗の自転車が先行自転車の右側に出るような気配も出かかつた状況も目撃していないこと、被告人運転のタンクローリー左側バックミラー辺より同車運転台横附近までの同車左側方の一部は、被告人の運転席からは視覚の達しない、いわゆる死角圏内にあり、その間を同車と約一メートルの間隔をおいて進行する自転車搭乗者の姿は容易に認めえないこと、その他記録上窺われる被害自転車の転倒位置・状態等からみて、同自転車に被告人運転のタンクローリー後輪フエンダー部分が追突したのは、同自転車が先行自転車への追突を避けようとして、右にハンドルをきつて、急に被告人の車の進行路上に進出したためで、しかもそれは、被告人の運転席からは、容易に認識しえない死角圏内のことであつたと認められるうえ、右のような交通瀕繁な市街地を通行する被害者としては、自車に後続し或いは自車の右側方を通過する多数の車輛のあることは、当然予想警戒すべきであつたと認められるのである。

以上認定のような具体的状況のもとでは、被告人が被害自転車を安全に追抜きうるものと考えたことも首肯しうるところであり、且つ被害者搭乗の右自転車追抜き中に、被害自転車の先行自転車が急停車し、ために被害自転車が突如として先行自転車の右側に出て被告人の車の進路上に進出接触する危険のあることまで予見すべきであつたとし、予見義務違反ありとするのは、酷に失するものというべく、かような状況のもとでは、被告人が警音器を吹鳴して被害者に警告を与えず、或いは減速して追抜きの挙に出なかつたとしてもそのことをもつて、直ちに被告人に自動車運転者として責むべき過失ありと断じ、本件事故の刑事責任を問うことは失当としなければならない。

以上要するに原判決は、刑法第二一一条の注意義務に関する解釈を誤つたもので、その誤は判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は理由がある。

よつて刑事訴訟法第三九七条第一項、第三八〇条により原判決を破棄することとし、同法第四〇〇条但書により更に当裁判所において直ちに判決する。
本件公訴事実は「被告人は自動車運転の業務に従事している者であるが、昭和四〇年三月一五日午前七時四五分ごろ大型貨物自動車(タンクローリー)を運転し、時速約四〇キロメートルで広島市東雲町一、〇六六番地附近道路の舗装部分(有効幅員九メートル)を東から西へ向け進行中前方三〇メートルの同舗装部分左側を同方向に向け自転車に乗つて進行している被害者外一名を認めてその右側を追抜きしようとしたが、自転車は一般に何時その方向を変えるかも図り難いから同車の動静を注視するは勿論予め警音器を吹鳴して警戒を与え適当な間隔を保持しつつ減速して追抜く等安全を確認したうえ進行し、事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠り、警音器による警告をせず、同一速度で同車に接近して漫然進行した過失により、同車側方を追抜中自車左側後輪フエンダーを同車ハンドル右端に追突転倒させ、よつて同人に対して全治日数不明の右頸椎神経引抜症状等の傷害を負わせたものである」というのであるが、右のとおり被告人に対しては、かかる業務上の注意義務違反は認められないので、結局被告人の所為は罪とならないものとして、同法第三三六条に則り、被告人に対し無罪の言渡をすることとする。

昭和43年7月19日 広島高裁

業務上過失傷害の判例ですが、見通しがよく先行自転車にふらつきもなく進行しているのを確認して、約1mの側方間隔で追い抜きしたのは無罪。
あくまでも「見通しがよく先行自転車にふらつきもなく」という前提の話だから、このように判示している。

自動車運転者が、先行自転車を追抜く場合には、該自転車の動静に注意し、これと適当な間隔を保持しつつ、安全を確認して進行すべき義務の存することは当然であるが、どの程度の間隔をもつて適当といえるか、又更に警音器を吹鳴して自転車搭乗者に警告を与え或いは減速して追抜きにでるべき義務が存するか否かは、両車の横の間隔その他その際の具体的状況に応じて定まるもので、一律には論じえない

昭和43年7月19日 広島高裁

仮に先行自転車が高齢者でふらつきがあるなら、話が変わる可能性がある。
ちょっと前も報道レベルですが、自転車を追い越しして事故が起きたケースで、過失運転致死傷ですが無罪判決ありましたね。
逆に民事だと、先行自転車が路側帯を通行していて、オートバイがセンターライン付近を時速20キロで追い越ししても、追い越し違反だとして過失になる。

自転車を追い越すときには、十分な側方間隔を取り、減速するというのが本来の法律(28条4項)。 今回は十分な側方距離を取っていたのでは?と思...

普通に考えれば2m以上は側方間隔を取っていたのでしょうけど、事故が起きた以上は、民事だと違反だとして過失になる。

28条4項には、具体的な側方間隔の規定がなく、一律に論じ得ないとなってますが、法律上は「前車や道路の状況に応じてできる限り安全な速度と方法」。
この規定、安全でなければ違反だと言えますが、違反の成立要件はいまいち明確とは言えない。

1、事故(非接触驚愕含む)の発生が要件なのか?
2、具体的客観的危険(急ブレーキや緊急回避行動など)の発生が要件なのか?
3、抽象的な危険(心理的な危険感)だけで足りるのか?

いまいち違反の成立要件はわかりません。
というのも、私が知る限り「道路交通法28条4項違反の容疑(刑事)」についての判例って見たことがなくて、業務上過失致死傷か過失運転致死傷の判例ばかり。
つまりは事故として発生している。
事故に至ってない違反はどうしているのかはまあまあ謎ですが、反則金を払えば刑事責任を負わないシステムなので、余計判例はない。

まあ、1は過失運転致死傷の範囲だと思うけど。

とりあえず、法律上の明確な側方間隔の規定はなく、よくいう1.5mについてはマナーの範囲と言える。

この規定についても、「法律上の明確な側方間隔の規定はない」として、車のドライバーに好き放題されたら自転車乗りとしては困る。
実際のところ、単に「近い」という理由だけでは違反にならない可能性が高いし。
法律上の明確な規定がない以上、単に近いことに文句つけても「いちゃもん」だと言われるだけ。

「法律上の明確な規定がないから」という理由で、18条1項を好き放題解釈するのと、何が違うんだろう?

強者と弱者ガー!とか、危険があるかないかガー!とか言い訳はできるけど、本質的なところを見ると、「法律上の明確な規定はない」として好き放題していることには違いはない。

結局、「法律上の明確な規定はない」なんてところを理由にすれば、それは他の条文でも同じであって、自らに跳ね返ってくるだけのこと。
安易に使うべき言葉だとは思わないけど、自分が「法律上の明確な規定はない」とセリフを使うにも関わらず、「同じセリフを使われるのは嫌」というのは筋が通らなくなる。
結局、自分がかわいいだけの人になりかねないと使う。

自分がするのはいいけど、されるのは嫌という発想はジャイアン的思考。
まあ、ある意味では人間の本質的要素かもしれないけど、警察官ですら見分けがつかない車両通行帯があったら、誤摘発の嵐になり非常上告の連発になることぐらいは理解出来そうな。
なぜ交通の方法に関する教則(道路交通法108条の28)であのような記載になっているかも考えて、疑問があるなら調べたりすりゃ理解出来そうなんだけどな。

法律解釈って、そんな程度でいいのかな?
同じように解釈されて跳ね返ってくるだけのこととしか思えないけど。
「罰則がないから」という理由付けも、18条1項のような交通ルールの基本には馴染まない。