PVアクセスランキング にほんブログ村

自転車の並進禁止について考える。

自転車は道路交通法上、並進は禁止されています。
より正確に書くと、道路標識により並進可能な場合以外ですが。

(軽車両の並進の禁止)
第十九条 軽車両は、軽車両が並進することとなる場合においては、他の軽車両と並進してはならない。

19条は車道での規定なので、歩道における並進や、路側帯と車道間における並進については規制の対象ではありません。
ただし、歩道や路側帯では歩行者の通行を妨害したら違反。

並進は権利?

自転車の並進が禁止されたのは、昭和39年の道路交通法改正。
これはジュネーブ条約加入がきっかけになっています。

16条(b)
自転車の運転者は状況により必要な場合は一列で通行しなければならず、また、国内の規則で定めた特別な場合を除くほか、車道では3台以上並列させて車道を進行してはならない。

ジュネーブ条約上、自転車の並進についてはそれぞれの国における規定を定めても構わないため、日本の場合は「原則として並進不可、標識により並進可能な場合のみ許可」になっています。
まあ、並進可の道路は日本には現存しないと言われてますが笑。

私自身、並進不可については何ら不満はありません。
並進を許容すべき派の意見については、何ら説得力を感じませんし。

一例。

いろんな人
いろんな人
自転車はおしゃべりしながら乗りたい!

管理人
管理人
オートバイは理屈の上では並進出来るけど、走行中におしゃべりするか?
信号待ちの停止中ならともかく。
読者様
読者様
子供と自転車の並進をすることで安全性も高まるし、コミュニケーションも取れる!
管理人
管理人
6歳以下、16インチ以下なら道路交通法上では自転車ではなく歩行者扱いな。
併進にならんだろ。
それ以上の年齢についても、歩道と車道間での「並進」は認められているし、何か不満なんか?
いろんな人
いろんな人
世界の多くの国は、自転車の並進を認めている!
管理人
管理人
よくこの話は聞くけどさ、200くらいの国があって、全ての国の道路交通法を把握してないから評価不能。

ママチャリもロードバイクも乗る身としては、正直なところ並進を許容することにメリットを感じません。
よく、このような意見も出ます。

いろんな人
いろんな人
川沿いのサイクリングロードですら並進を許可しないのはおかしい!

これが一番厄介な意見というか、わかってないなと感じること。
川沿いのサイクリングロードって、中には緊急用河川敷道路のことも普通にある。
緊急用河川敷道路の場合、道路法に基づく道路ではない「単なる私有地」。
道路交通法上は、道路(法2条1項1号)になりますが、私有地に公安委員会が交通規制(並進可)するのは無理がある。
というよりもあり得ない。

元々は災害時の物質運搬目的の道路を、サイクリストが勝手に使っているだけだし。

道路法に基づく自転車専用道路の場合なら、公安委員会が並進可能に出来るけど、道幅からみても並進すると道路中央からはみ出すのは必死。

(通行区分)
第十七条
4 車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。

なので並進可にすることはあり得ない。
一部の自己満足のために、道路中央からはみ出すことを許容することはあり得ない。

最近ちょっと色々調べている中で、もしかしたら自転車の並進を「原則禁止」にした理由って、これじゃないかと思いまして。
独自の考察になります。

並進禁止の理由

自転車の並進が原則禁止になったのは、昭和39年の道路交通法改正です。
それ以前も、都道府県レベルでは自転車の並進を禁止していた記録もありますが、それについては実効性に疑問あり。

で、ここからが独自考察。
道路交通法27条には、「追い付かれた車両の義務」があります。
追い付かれたら加速禁止(1項)、できる限り左側端に寄って譲れ(2項)という規定です。
この規定、現行法では軽車両には義務が課されていない

まあまあ今更感はある内容ですが、以前書いた記事。 回答が来ましたので。 自転車には道路交通法27条は適用外 ...

追い付かれた車両の義務については、ジュネーブ条約12条にも規定があります。

12条1項
運転者は、行き違うとき又は追い越されるときは、自己が進行する方向に適応した側の車道の端にできる限り寄らなければならない。
12条2項(b)
追い越されるときは、自己が進行する方向に適応した側の車道の端にできる限り寄り、加速しないでいること。

色々見た限りでは、ジュネーブ条約においてこの規定から自転車を除外しているわけではなさそうです。

昭和39年以前の道路交通法では、自転車も追い付かれた車両の義務がありました。

(通行の優先順位)
第十八条 車両相互の間の通行の 優先順位は、次の順序による。
一 自動車(自動二輪車及び軽 自動車を除く。)及びトロリーバス
二 自動二輪車及び軽自動車
三 原動機付自転車
四 軽車両

(進路を譲る義務)第二十七条 車両(道路運送法第 三条第二項第一号に掲げる一般乗合旅客自動車運送事業又は同条第三項第一号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリー バスを除く。)は、車両通行区分帯の設けられた道路を通行する場合を除き、第十八条に規定する通行の優先順位(以下「優先順位」という。)が先である車両に追いつかれ、か つ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、道路の左側に寄つてこれに進路を譲らなければならない。優先順位が同じであるか 又は後である車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引 き続き進行しようとするときも、同様とする。

さてここまででわかるかと思いますが、自転車が並進可能&追い付かれた車両の義務があるとすると、併進右自転車は後車に追い付かれた場合、できる限り左端に寄せる義務がありますから、並進を解除しなければならなくなる。

これは当然ですね。
自転車は車よりもはるかに遅いのは明白。
ジュネーブ条約上でも、12条の「追い付かれた車両の義務」から自転車が除外されていないし、16条にも「状況により必要な場合は一列で通行しなければならず」とあることを見ても、車が追い越しするのに自転車の並進が障害になっているなら、並進を解除する義務が生じる。

後ろから車が続々とやってくる状況においては、「並進可能」だとしても、やはり追い付かれた車両の義務が常に発生する。
なので事実上、並進可能なタイミングがほとんどなくなりません?

さらに言うと、昭和35年以前の道路交通取締法によると、同施行令にて追い越し方法がこうなっています。

第24条(追越の方法)
2、前項の場合においては、後車は、警音器、掛声その他の合図をして前車に警戒させ、交通の安全を確認した上で追い越さなければならない。

この時代、追い越しする車両はクラクションを鳴らす義務がありました。
ホントやかましい時代ですよね。
しかしうるさいため、昭和35年成立の道路交通法では、追い越し時にクラクションを鳴らす義務が滅亡。

道路交通法が騒音防止のため特に新たに加えた同法第五四条第二項本文の規定が無意味になり国民は再び警笛騒音の苦悩をなめることになる。

宇都宮簡裁 昭和38年(ろ)第40号

うるさくて国民が迷惑していたため、追い越し時の吹鳴義務は無くなりました。

しかしそれ以降の判例をみても、追い越し時に自転車に接触した事故(業務上過失致死傷罪)については、やたらと「警音器吹鳴義務違反」が出てきます。
昭和50年代の判例でも「警音器吹鳴義務違反」が出てきますが、「クラクションを鳴らして警告すべき業務上の注意義務を怠った過失」と出てきます。
要は事故った以上は、クラクションを鳴らしておけば事故は起きてないよね?という感じ。

ロードバイクに乗っているときに、後続車からクラクションを鳴らされることってありますよね。 クラクションの使用については、道路交通法では道路...

東京高裁の判例(業務上過失致死傷)では、50センチ幅で左右に振れた先行自転車を追い越ししたら、自転車が突如右に進路変更してきて事故になった。
不審な動きをしている自転車を見つけたのだから、クラクション鳴らして警告すべき業務上の注意義務があり、怠ったから有罪。

話を整理します。

仮に「自転車の並進が原則可能」で、かつ「自転車にも追い付かれた車両の義務」があるとします。
並進右自転車は、追い付かれた車両の義務として左側端に寄せて「譲る義務」が発生するわけです。

仮に並進自転車が追い付かれたにも関わらず、譲らない状況が起きた場合、クラクション鳴らして警告することは「27条に違反している自転車への警告」として許容されうる。

後ろから車が続々とやってきたら、「並進可能」といっても「追い付かれた車両の義務」から並進を解除しなければならなくなる。

続々と後続車がやってきたら、常に譲る義務があるため事実上併進不可能。
しかも譲らない自転車に対してクラクション鳴らして警告することは、違反とも言えない。
せっかく昭和35年に「追い越し時にクラクション鳴らして警告する義務」がなくなったのに、またクラクションの嵐になりかねない。

かといって、「自転車の並進が原則可能」&「自転車には追い付かれた車両の義務を課さない」のであれば、大渋滞の未来しか見えません。笑

これらを考えたら、「追い付かれた車両の義務」から自転車を除外し、さらに「並進は原則禁止」にしたほうが現実的だったのではないかと。
下手に「並進可能」にすると追い付かれた車両の義務から混乱を招くだけだし、「並進は禁止、追い付かれた車両の義務も無し、自転車は左側端通行」と決めたほうが自転車ユーザーも法律が分かりやすい。

並進可能にするなら、「追い付かれた車両の義務」はセットにならないと大渋滞の原因になるのは明白。
並進可能としても「追い付かれた車両の義務」がある以上、事実上併進不可能になるわけですが、ミラー装備が義務でもなく、免許制ではない自転車に複雑なルールを守らせることは期待しづらい。
なので、自転車を追い付かれた車両の義務から除外する代わりに、並進は原則禁止にすることが合理的だったのではないかなと推測します。

昭和30年代の判例見ていると、なんかやたらと自転車を追い越すときの事故が多い印象があります。
法律上、この時代には追い付かれた自転車は左端に寄せて譲る義務があったけど、自転車ユーザーはそんな細かいルールは守らないから事故が起きやすい。
このような時代背景と、法律上の規定、ジュネーブ条約加入を全て総合して考えたら、自転車の並進を原則禁止にする代わりに追い付かれた車両の義務から除外したのではないかなと。

ということで

「自転車の並進を認めるべき」という考え方は正直理解不能で、おしゃべりしながら乗りたいとかそんなクソ迷惑な理由でワガママ言うな!と言いたいところですが、並進を認めて欲しいなら、「追い付かれた車両の義務」は必須要件にしないと大迷惑です
自転車に乗っていて、前に並進自転車がいる場合、自転車ですら追い越し出来ないこともあるし。

自転車にも「追い付かれた車両の義務」を課すようにして、さらに「自転車の並進を許容」というならジュネーブ条約上でも問題ないと思いますが、並進したい理由が「おしゃべりしたい」なのであれば、追い付かれても「どうせ気がつかない」。
追い付かれて気がつかない自転車にクラクションを鳴らして賑やかになる未来しか見えませんな。

並進を認めるべきだ!というなら、追い付かれた車両の義務とセットであるべき。
権利を主張するなら当然のことと思いますが、なぜ昭和39年道路交通法改正にて、自転車が「追い付かれた車両の義務」から除外されたのかは、イマイチ理由はハッキリしません。
けどたぶん、並進を原則禁止にしたこととも関係しているのではないかなと考えます。

いろいろ調べたり判例や当時の法律を考えると、一種の飴と鞭みたいな理由で並進を原則禁止にしたのではないかなと。
つまり、こういうこと。

・並進は禁止
・追い付かれた車両の義務は対象外
・左側端通行義務(罰則なし)

並進を認めて欲しいなら、こうすればいいのでは?

・併進は原則許容
・自転車も追い付かれた車両の義務(27条)の義務を課す
・左側端通行義務(18条1項)にも罰則を課す

認めろ!と権利ばかり主張する人って視野が狭くなりがちですが、自転車乗りとしても、先行自転車が併進してノロノロしているのは迷惑です。
追い付かれたら譲る義務が発生するということにするなら、並進可能にしても構わないように思いますが、そもそも後続車がバンバン来たら併進可能なタイミング自体がないので、「原則禁止」であることは合理的としか言いようがなく。
並進したい人のため「だけ」の道路ではないし、並進可能にするなら追い付かれた車両の義務はセットじゃないと、深刻な通行妨害として「わざとノロノロ並進」が生まれるだけ。
わざと後続車をブロックして大渋滞を楽しむというオシャレな遊び方が合法になりかねません。
まあ、左側端通行義務に罰則がないことから、今時点でも「後続車をわざとブロックするしょーもない人」はいるのですが。笑。

言い方は悪いですが、並進可能にするならあらゆるパターンに対応する罰則がないと、クソ人間のおもちゃにされてしまうのですよ。
海外ではどうなのか知りませんが、ジャパニーズにはそういう輩が平然といますから。
しかも罰則作っても、自転車の違反に対しては赤切符→起訴というシステムである以上、滅多に自転車の違反を有罪にすることもありませんし、罰則作っても実効性が乏しい。

ちなみに海外で自転車の並進が認められている国において、自転車に「追い付かれた車両の義務」があるのかまでは調べません。
日本の道路の現状のみで検討しました。


Fulcrum – Wind 40 DB ロードホイールセット