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判例、ちょっと見直し。

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先日も書いた件。

 

すみません、横断歩道と自転車の判例、一部訂正。
ずいぶん前に、道路交通法38条と自転車についての判例を書いてますが、 重大なミスがあり一部訂正します。 訂正 上の記事の中で、名古屋地裁平成23年10月7日について、自転車に対して38条の義務を認めた!みたいに概略を書いていたのですが、すみ...

 

ご指摘頂いたので見直しをしてますが、確かに終盤力尽きて流し読みした判例については、読み方間違えていたものがありました。
本当にすみません。

 

こちらで挙げた、東京地裁の判例についても、ちょっと意味合いが違うため番外編に移動しました。

 

横断歩道の自転車通行と、38条の関係性。
こちらにまとめ直しました。 以後、追加は下記にしていきます。 先日このような記事を書いたのですが、 記事でも書いたように、横断歩道=歩行者のためのもの、自転車横断帯=自転車のものなので、基本的には横断歩道を通行する自転車に対しては適用外です...

 

番外編に移動

東京地裁平成29年7月5日の判例ですが、確かに横断歩道(厳密には違いますが)を横断した自転車の判例です。
ただし、そもそもの違反は38条2項の一時停止義務違反なので、ちょっと意味合いが違うため番外編に移動しました。

 

事故現場は信号機がない交差点で東西道路と南北道路が垂直に交わる交差点。

東西道路は車道全幅7.6mの片側1車線道路で、白色実線の中央線が設けられ、車道の南北には縁石に仕切られた幅員2.0mの歩道が設置されている。
南北道路の本件交差点南側には、車道全幅2.9mの一方通行道路で車道の東西には幅員1.5m、1.4mの路側帯が設けられ、本件交差点の北側は、車道全幅2.7mの一方通行道路で車道の東西には幅員1.5mの路側帯がそれぞれ設けられている。
東西道路には最高速度40キロの、南北道路には法定の速度制限の交通規制がされている。

4方向全てに横断歩道があります。

 

一応、判決文から図にしてみましたが、ちょっと確証が持てない部分があるので、信頼性は保証しません。

被告は、被告車を運転して東西道路を東から西に走行させていたところ、(中略)①地点において、前方にある信号機により交通整理のなされていない本件交差点及び対向車線の東側横断歩道付近を渋滞のため徐行している車両(以下、「甲車両」という。①地点からの距離は約29.1m)を認め、これ以上加速する必要がないと考え、アクセルペダルから足を離した。被告は、西日のため前方が見えにくい状況にあり、かつ、甲車両が視覚を遮っているために進路右方の見通しが悪かったことから、本件交差点を安全に通過するためには徐行や一時停止をしなければならなかったにもかかわらず、考え事をするなどし、ブレーキペダルを踏むことなく被告車を進行させた。被告は、②地点(①地点からの距離は20.1m)において、さらに進路左方の車両に気を取られたことにより、進路右方から横断してくる本件自転車には気づかずに、被告車を時速36ないし41キロで走行させ、③地点(②地点からの距離は15.4m)において、被告車の前部を(ア)地点にいる本件自転車の左側面部に衝突させてから何かにぶつかったと考えて被告車のブレーキペダルを踏み、これによって被告車は③地点から約10m進行した西側横断歩道上で停止した。
亡Bは、本件自転車を運転して東西道路を東から西に走行し、東西道路を北から南(被告からみて右から左)に横断しようと、本件交差点の東側横断歩道の北西端から交差点内側(西)に約1.5mの地点(<ア>地点)付近において、本件自転車に跨がったまま前輪を南に、後輪をやや南西に向けて停止し、手を挙げた。亡Bは、
東西道路を西から東に走行してきたタクシー(以下、「本件タクシー」という。)が減速し、西側横断歩道上を徐行したことから、挙げた手を下ろしてハンドルを握り、右足で地面を蹴って本件自転車を前進させながら顔を左に向けたものの、東西道路を東から西に走行してくる被告車には気づかず、顔を前に向き直したまま、右足で地面を数回蹴ってやや南西方向に向けて東西道路を横断走行し、(ウ)地点まで進行したところ、本件自転車の左側面部に被告車の前部が衝突し、これによって本件自転車は(エ)地点に、亡Bは(オ)地点に飛ばされて転倒した。

被告車が左側車両に気をとられていたともあるので、左側に停車中の車両があったのではないかと思うのですが、詳しくはわかりません。

 

裁判所の判示です。

ア 認定した事故態様によれば、被告の前方注視義務違反及び横断歩道での一時停止等義務違反(道路交通法38条1項、同2項)違反の程度は著しく、被告の過失は重大である。
他方、亡Bは、本件自転車を運転して東西道路を横断するにあたり、甲車両の存在によって東西道路の左方の見通しが悪い状況にあり、東西道路を東から西に走行する車両からも本件自転車の発見が容易でない状況にあったから、進路左方から進行してくる車両の有無及びその動静を確認する義務があったにもかかわらず、亡Bは、本件自転車を発進させながら顔を左に向けたものの、東西道路を左方から走行してくる被告車には気づかず、顔を前に向き直したまま東西道路を横断走行している。亡Bが左方の安全を十分に確認しながら東西道路を横断していれば、被告車をより早期に発見し、本件自転車を直ちに停止するなどして本件事故は避け得たと認められるから、亡Bには左方確認不十分の過失があったといわざるを得ない。

(中略)

これに対し原告は、亡Bが横断歩道の端から外側に2.15m離れた交差点の内側を、歩行者と同程度の時速4.95キロで本件自転車を走行させたから、本件自転車は横断歩道上を歩行する歩行者と同視すべきであると主張する。
しかし、亡Bは本件自転車を押して横断歩道を歩いていた(道路交通法2条3項により歩行者とされる)ものではない。仮に本件自転車の走行位置及び平均速度について原告らの主張によったとしても、本件自転車は横断歩道上ではなく、横断歩道の端から外側に2.15m離れた場所を走行していたこと、ドライブレコーダー画像上、本件自転車が発進後には加速し続けていると窺われることに照らせば、本件自転車について、横断歩道上を歩行する自転車に近い保護性が与えられるべきとは言えるものの、これと同一の保護が与えられるべきとまでは言えない。

 

東京地裁 平成29年7月5日

いろいろ疑問があるのです。

いろいろ疑問

①なぜ38条2項?

 

判示の中に「道路交通法38条2項違反の程度は著しく」とあります。

2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。

この規定、同一進行方向において横断歩道の前で停止している車両がいるときには、一時停止する義務を課してます。
要は一時停止しないで停止中の車両の前に出ることを禁止している。
「進路左方の車両に気を取られたことにより」とあるので、路駐車両があったのかもしれませんが、判決文に出てこない。
反対車線の車両(渋滞気味で徐行&停止)に対して、38条2項の一時停止義務を課しているようにも見えなくはない。

 

まず、ここが謎です。

②38条1項の違反

 

判決文の中で、「前方注視義務違反及び横断歩道での一時停止等義務違反(道路交通法38条1項、同2項)」とあります。
2項は一時停止義務ですが、1項前段は減速徐行義務、後段は一時停止義務。
どちらも横断歩道を見ていないとわかりませんから、前方注視義務はある。

 

「一時停止義務違反」としてますが、横断歩道を横断しようとする自転車に対しては義務が発生しなくても、「横断しようとする歩行者がいないことが明らかになるまでは減速徐行」ですよね。
対向車線が渋滞気味で、反対側歩道がよく見えない状況であれば、「横断しようとする歩行者がいないことが明らか」にはならない。
なので前段の義務が解除されないけど、そんな中36~41キロで走行したわけですから、前段の義務違反は成立する。

 

横断歩道を横断しようとする自転車に対し、38条1項前段の義務。
道路交通法38条は、横断歩道を横断する歩行者と自転車横断帯を横断する自転車に対する規定です。 質問を頂きましたが、後述しますが考え方を変えた方がいいかもしれません。 義務の発生点と除外規定 法律を理解しようとするときには、義務、義務の発生点...

 

渋滞気味で反対側歩道の状況がしっかり見えないなら、事実上として横断歩道の前で一時停止して覗き込むくらいじゃないと、反対側歩道に「横断しようとする歩行者」がいるかいないかはわからないわけです。

 

さらに判決文。

亡Bは本件自転車を押して横断歩道を歩いていた(道路交通法2条3項により歩行者とされる)ものではない。仮に本件自転車の走行位置及び平均速度について原告らの主張によったとしても、本件自転車は横断歩道上ではなく、横断歩道の端から外側に2.15m離れた場所を走行していたこと、ドライブレコーダー画像上、本件自転車が発進後には加速し続けていると窺われることに照らせば、本件自転車について、横断歩道上を歩行する自転車に近い保護性が与えられるべきとは言えるものの、これと同一の保護が与えられるべきとまでは言えない。

保護については、38条の義務対象外でも弱者保護義務はあるわけ。
そうすると、「横断歩道を横断する自転車」に対して38条1項の義務違反と明示したわけではないのかな?と思います。

 

ただまあ、民事の判例って厳格に道路交通法を適用するわけでもなくて、それこそこの判例のように、歩道通行自転車と道路外から車道に出る際に、38条の義務を流用した判例すらある。

 

すみません、横断歩道と自転車の判例、一部訂正。
ずいぶん前に、道路交通法38条と自転車についての判例を書いてますが、 重大なミスがあり一部訂正します。 訂正 上の記事の中で、名古屋地裁平成23年10月7日について、自転車に対して38条の義務を認めた!みたいに概略を書いていたのですが、すみ...

 

この判例については、盛大に読み違いしてしまい申し訳ありません。。。
しんで当然の読み違いなので、罵倒して頂いて構いません。
力尽きてキーワードだけピックアップするような愚行の結果です。

 

話が逸れましたが、東京地裁のこの判例については、横断歩道を横断する自転車と38条の関係性を明確に判示したわけでもないため、とりあえずこんなのもあるよぐらいに考えて頂いたほうがいいかと。

 

2項の違反があるなら、そもそも横断歩道を横断する自転車だろうと歩行者だろうと関係ないですし。

申し訳ありません

キーワードだけピックアップするような愚行の結果、誤解を生むような書き方で紹介してしまい、大変失礼しました。
きちんと取り上げてない概略だけの判例については、再点検します。

 

ただまあ、上の判例を読む限り38条2項の違反がどこに成立するのかはわかりません。
何かを見逃しているのか?

 

民事の判例って、道路交通法について厳格に解釈しているものと、そうでないものはハッキリします。
具体的にはこれなんかもそう。

 

自転車に対し、27条【追いつかれた車両の譲る義務】を認めた判例。
堅苦しい話が続いていますが、一つの参考になるかと思いまして。 自転車の場合、道路交通法27条の【追いつかれた車両の義務】は適用外です。 これは刑事事件として取り締ま利される対象ではないというだけで、民事では認めた判例もあります。 事例 判例...

 

原告も被告も、27条が適用されることには争ってないので、こうなる。
なので判例として価値が高いのは、原告と被告で「法解釈の争いがあり、裁判官が判示した判例」です。

 

まあ、裁判の当事者からすれば、過失割合がどうか?しか関係ないわけで、道路交通法マニアからすれば納得行かない判例は普通にあります。
民事は道路交通法違反を争っているわけではないので、道路交通法の義務がないことも民事では過失になりますし。

 

マニアの方、上判例はどう解釈すべきですかね。
図面だと、横断歩道近くに路駐車両があったのか?

 




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