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グレーチングの隙間にロードバイクのタイヤが嵌まって事故。損害賠償は?

以前、路肩にあるスリットにロードバイクのタイヤが嵌まって事故になった判例は紹介していますが、

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今回はニュースです。 ロードバイクで走っていると、左端に排水溝がある場所ってありますよね。 排水溝に嵌って落車したロードバイ...

この判例は路肩の溝に嵌まった事故。
今回の判例は、道路上の進行方向にあるグレーチングの隙間にロードバイクのタイヤが嵌まった事故です。

グレーチングの隙間にロードバイクのタイヤが

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※イメージであり事故現場とは関係ありません。

判例は京都地裁 平成26年11月6日。
金属製のグレーチング二枚の間に約2.5センチの隙間(本件隙間)があり、約2センチのロードバイクのタイヤが本件隙間に嵌まって転倒した事故です。
京都市が管理する道路ですが、道路の管理に瑕疵があったことは争っておらず、過失相殺が争点です。

認定事実

本件道路の形状は、概ね別紙のとおりであり、原告が自転車で進行していた北東から西にかけて、緩やかなカーブをなしている。本件事故現場は、北側と南側にいずれも路側帯があったほか、本件道路を斜めに横切る形で幅約70センチ、長さ約5.2mの水路があり、その水路上には、幅約70センチ、長さ約1mのグレーチングが数枚設置してあり、そのうち二枚の間に幅約2.5センチの本件隙間があった。

(中略)

原告の進行方向から見て、本件隙間の入り口は、別紙のとおり、本件道路の南側路側帯から北北西の方向に約138センチの場所にあり、本件自転車のハンドル幅は約48センチであった。

(中略)

本件自転車は、本件隙間に至る前には、(中略)すなわち本件道路の中央付近からやや左側を、上記矢印の方向で進行していたと認められ、本件道路の左端を走行していたものではないということができる。

原告(ロードバイク)の過失に関する判示です。

原告は、経験からしてロードバイクに熟知し、ロードバイクのタイヤ幅が狭いことを認識しており、本件道路も身近であり、グレーチングの存在も認識していたのであるから、本件隙間の存在を予見することが不可能とまではいえず、その存在に注意しながら自転車を運転すべき安全運転義務(道交法70条)を負うのにもかかわらず、これに反し、グレーチングや本件隙間に注意することなく進行していたといわざるを得ない(ただし、本件隙間の大きさからすると、原告にとっても、発見が容易であったとまではいえない。)。また、本件隙間に至る前には、本件道路の中央付近からやや左側を通行しており、いわゆるキープレフト原則に従う義務(道交法18条1項)及び交差点右折時の道路側端に沿って徐行する義務(同法34条3項)に反していたともいうことができる。

京都地裁 平成26年11月6日

以上の理由から、原告の過失を20%と認定しています。
被害者の家からすぐ近くの道路だったことも予見可能性に影響したと思いますが、左側端通行義務と右折方法違反を過失とした判例です。
これらは全て被告側の主張内容が通った形になります。

グレーチングの隙間

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正直なところグレーチングの隙間を瞬時に判断して回避するのはなかなか難しいですが、峠道とか行くと意味不明なところにグレーチングがあることもありますし、タイヤが細い自転車としては「ちゃんと管理してくれ」としか思わない案件。

こちらの判例では、原告の請求を棄却していますが、

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ずいぶん前に取り上げた記事ですが、岡山市の道路の路肩にある排水溝にロードバイクが挟まったということで、裁判になっている件を取り上げました。 ...

この判例では、事故現場が車両通行帯だったことから以下の判示をしています。

本件道路は、片側 2 車線の歩車道の区別のある道路であり、車両通行帯が設けられているから、自転車は道路の左側端から数えて 1 番目の車両通行帯を通行しなければならず(道路交通法 20 条1 項)、この規制に従えば、本件路肩部分の外側線に掛かっていない部分を自転車が継続的に走行することはなく、道路外の施設に出入りしたり、自転車の走行が許されている歩道に進入したりするために横断することが想定されるにとどまる。

そして、本件路肩部分と車両通行帯との間に段差等の物理的障害がないことなどに鑑みると、自動車に追い越される際の危険を低減したいなどの意図から自転車運転者が本件路肩部分を事実上走行する場合もあり得ることが想定されるが、前述のとおり、路肩は道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つためのものであって、本来的には車両等が恒常的ないし継続的に通行することが想定されたものではない。
そして、路肩には種々の形状・構造・種類のものがあり、本件路肩部分のような都市地域の道路の路肩には排水設備や滑りやすい金属製のふた等も多く設置されているのであって(弁論の全趣旨)、路肩は、自転車の運転手が車道、自転車道及び通行可能な歩道と同様の注意を払っていれば安全に走行できるような構造ないし形状となっていることが本来的あるいは絶対的に保証されているとは解し難い。

したがって、本件路肩部分は、自転車を含む車両運転者が通行するに際し、路面の状態に注意し、より慎重に運転することが求められる部分であるというべきである。

平成31年4月12日 広島高裁岡山支部

現場を見るかぎり、交差点手前で進行方向別通行区別があるから車両通行帯とした可能性もあるし、よくある民事訴訟あるあるで車両通行帯であることは争っていない可能性もありますが、このあたりの経緯はわかりません。
争いがない事実はそのまま認定されますから。
まあ、判例の読み方を理解していない人がトンデモ解釈してましたが。

グレーチング事故については、判例次第で全く扱いが違う結果になります。
けど、グレーチング事故の場合には、前方をよく見ていれば気がついて回避できたはずだとされることもあるので、タイヤが細い勢にはなかなかツラいところです。




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