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路側帯を通行する自転車は、どの程度の速度まで認められているのか?

自転車は路側帯を通行可能ですが、ちょっと前の記事についていろいろ質問を受けていたので。

ちょっと前に書いた記事について、質問を頂いたのですが。 このネタ、なんか荒れそうなのでアレなんですが。...

路側帯の定義と自転車

路側帯と路肩を混同すると話がおかしくなるので、まずは定義から確認します。

三の四 路側帯 歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。

要は歩道がない側の、車道外側線の外側のこと。

「歩行者のための場所」と定義しながらも、例外規定として自転車の通行を認めています。

(軽車両の路側帯通行)
第十七条の二 軽車両は、前条第一項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、道路の左側部分に設けられた路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる。
2 前項の場合において、軽車両は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。

歩道を通行する自転車については、「徐行」と63条の4第2項に規定があります。
路側帯については、「歩行者の通行を妨げないような速度と方法」としかないため、必ずしも徐行する必要はないと取れる。

けど、

・定義上、「歩行者のための場所」になっている
・自転車は通行可だが、あくまでも例外規定
・歩行者の通行を妨げることはご法度

これらから考えれば、歩行者が飛び出てきてもきちんと停止できる速度を求めているとも取れます。

そもそもロードバイクに乗り路側帯を通行する人がいるのか?という疑問もあります。
何らかの緊急回避的な意味合いを除けば、車道を通行するでしょうし。

これについてはあまりいい判例があるわけではないのですか、路側帯を時速50キロで通行してきたオートバイの判例はあります。

東京高裁 昭和60年3月18日

この判例は右直事故の判例で37条による優先規定に関するもの。
オートバイが路側帯を時速50キロで爆走し、対向右折車と衝突した事件です。
被告人=右折車両の運転手です。

状況は、オレンジの大型車が右折車両に進路を譲ったところ、路側帯を時速50キロで通行してきたオートバイと衝突。

なお、被告人は相当の注意を払っていた模様です。

路側帯が設けられている道路においては、路側帯を含めた道路が交わる部分を交差点ということ、道路交通法37条は路側帯を含む交差点通行車両全体についてその進行上の優先関係を規定していること、同法37条にいう車両等には軽車両を含むこと及び路側帯を通行する車両についても直進車優先が適用されることは原判決の判示するところである。従って、右折車は、路側帯を適法に通行する自転車等の軽車両の直進車の通行を妨げてはならないことは明らかである。

しかし、路側帯は主として歩行者の通行の用に共するために設けられているもの(ただし、歩行者の通行が禁止されている自動車専用道路の場合を除く。)であって、軽車両だけが、著しく歩行者の通行を妨げることになる場合を除いて、通行を許されているにすぎず、この場合においても軽車両は歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行しなければならないもの(同法17条の2第2項)とされているのである。ところで、路側帯の通行を許された軽車両とは、人又は動物の力により運転する車両に限られる(同法2条1項11号、16条2項)のであって、これらの車両は自動車や原動機付自転車と異なりその性質上低速のものであり、かかる軽車両だけが歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行することを許されているにすぎない路側帯は、本来高速の車両の通行を全く想定していないものと考えられる。もっとも、現実には法律上路側帯の通行を禁止されている原動機付自転車や自動二輪車が路側帯内を通行する事態が時にみられるのであり、このような現実を全く無視することはできないが、このような場合であっても原動機付自転車や自動二輪車の側では適宜速度を調節して進行するのが一般的であり、これらの車両が時速50キロメートルもの高速度で路側帯内を通行することは通常予想されないところといわなければならない。そうすると、このような異常な走行をする直進車については、交差点における直進車優先の規定の適用はなく、右折車はかかる直進車に対してまでその通行を妨げてはならない義務があるものとは解されない。

(中略)

右通行余地を自転車、自動二輪車等が進行してくるに備えブレーキペダルに右足をのせ左方を注視しながら時速5、6キロメートルで進行したところ、左斜め前方約12mの地点を対向して進行してくる自動二輪車(以下、被害車両という)を認めて急制動し、被告人車の先端がわずかに路側帯内に入った地点で停止したことが認められるのであって、被告人としては右通行余地を対向して進行してくる車両に対して相当の注意を払っていたものと認められる。そして右の程度の注意を払っていれば、路側帯内を適法に進行してくる歩行者や軽車両は勿論、原動機付自転車や自動二輪車が進行してくる場合であってもそれらが適宜速度を調節して進行してくる限り、それらとの衝突を回避することが十分可能であったと認められる。もっとも、右の程度の注意では被害車両の如く路側帯内を時速50キロメートルもの速度で進行してくる車両との衝突を回避できないけれども、これを以て被告人の過失とみることは相当ではない。すなわち、前説示どおり路側帯は主として歩行者の通行の用に共するために設けられているのであり、例外的に自転車等の軽車両が歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行することが許されているにすぎないのであって、本来高速の車両の通行を全く予定していないのである(以下略)

東京高裁 昭和60年3月18日

路側帯についての部分をピックアップします。

・路側帯は「歩行者の通行の場所」
・軽車両だけが歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行することを許されているにすぎない
・本来高速の車両の通行を全く想定していないもの

時速50キロで路側帯を通行するのは論外として、じゃあ自転車はどのくらいの速度で通行することが許されているのか?
「歩行者の妨害」をしなければ時速30キロ以上でもいいのか?
それとも歩行者の出現に備えて、常時すぐに停止できる速度を求めているのか?

自転車って取り締まりもさほどされてないこともあり、歩行者を現に妨げた(=事故)くらいしか問題にされてないこともあるので、このあたりはかなり曖昧なのが実状。

けど、仮に同じように自転車が時速50キロで爆走した場合に、「適法」に路側帯を通行するものとみなされるとは到底思えず。

ただしこの判例、意味を勘違いしちゃいけなくて。
被告人は路側帯から出てくる自転車を警戒して低速進行したけど、自動車を上回る時速50キロのオートバイを予見回避するのが無理という意味。
最大限注意義務を果たしても防げないという意味です。

ちなみに別判例ですが、このようなものがあります。

道路交通法第37条第1項所定の交差点における直進車の右折車に対する優先は、直進車が交差点に適法に入ったときだけに限るのであって、信号を無視して不法に交差点に入った場合には認められない。

昭和38年11月20日 東京高裁

※昭和46年道路交通法改正前は、37条に2項もありました。当時の1項は今の37条に相当。

結局のところ

17条の2でまあまあ曖昧にしているのは、「状況に応じて臨機応変に」とも取れる。
しかし、あくまでも自転車は車道が原則で路側帯は例外なことや、路側帯は歩行者の場所となっていることを総合的に見て考えると、ロードバイクが時速30キロ以上で走るようなことは許容してないと思う。
原付の法定速度よりははるかに下が上限じゃないかと。

せいぜい20キロ以下、状況次第では事実上徐行。
こんな感じじゃないかと思いますが、明確な指標はありません。

今後は例の電動キックボードも路側帯通行がOKになるけど、そもそも路側帯通行には向き・方向性があることをわかっていない自転車も多いわけで、きちんと伝えていかないとね。

路側帯通行は、左側路側帯しか通行できませんから。

特定電動キックボードですが、歩道通行時には時速6キロモードにする義務があるけど、路側帯通行時にはそのような制限はない。
特定電動キックボードは時速20キロまでしか出ないけど、自転車にはリミッターがないわけです。
路側帯を爆走するロードバイクがいるとは思えないけど、右折車は適法に路側帯を通行する直進自転車を優先する義務がある。

路側帯を時速40キロで直進するロードバイクがいた場合、それは「適法に路側帯を通行する自転車」になるのでしょうかね?
個人的には不法通行だと思うけど、自転車に対して甘い取り締まりをしてきた結果、あまりいい判例はありません。