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電動キックボードと二段階右折。実証実験と改正道路交通法を混同?

こういうのを見ると、根本的にわかってないんだろうなと。

先にまとめると、実証実験では法律の壁により二段階右折禁止にせざるを得なかった。
改正道路交通法では、電動キックボードのうち「特定小型原動機付自転車」に該当するものは二段階右折義務があります。
改正道路交通法は2年以内を目処に施行予定ですが、現在は未施行です。

電動キックボードと二段階右折の話

話がごちゃ混ぜになっているからわからない人が多いのだと思う。

上ツイートの件は「実証実験での取り扱い」。
改正道路交通法で可決された特定小型原動機付自転車については二段階右折が義務です。

なんでこういうことになっているのか?

電動キックボードって、元々は道路交通法上は「原付」。
原付だからナンバープレート必須、免許必須、ヘルメット必須なわけ。

このような法律の壁に対して、電動キックボードの事業者団体が「免許なし、ヘルメットなしで乗れる新しい法律区分を作って欲しい」と国に要望。
それを受けて、実証実験としてやっていたのがこれなのね。

Luupなどがやっているレンタルの電動キックボードは、実証実験です。

さて、実証実験では「二段階右折が禁止」され「小回り右折義務」があります。
はい、なぜでしょう?

実証実験の第二期では、「ヘルメット無しの実証実験」をしていたからです。
ここがややこしいけど、道路交通法上で原付に該当する電動キックボードについて、ヘルメット無しの実証実験をしたら「ヘルメット着用義務違反」になってしまう。
なので頭を働かせて、実証実験の電動キックボードについては「小型特殊自動車」扱いにする特例を設けた。
車扱いならヘルメット着用義務がないので苦肉の策です。

そして車扱いになってしまったため、二段階右折するとこれに違反しちゃうわけ。

(左折又は右折)
第三十四条
2 自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。
5 原動機付自転車は、第二項及び前項の規定にかかわらず、道路標識等により交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につき交差点の側端に沿つて通行すべきことが指定されている道路及び道路の左側部分(一方通行となつている道路にあつては、道路)に車両通行帯が三以上設けられているその他の道路(以下この項において「多通行帯道路」という。)において右折するとき(交通整理の行われている交差点において右折する場合に限る。)は、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。ただし、多通行帯道路において、交通整理の行われている交差点における原動機付自転車の右折につきあらかじめ道路の中央又は右側端に寄るべきことが道路標識等により指定されているときは、この限りでない。

車扱いする特例なので、右折するときは34条2項に従って小回り右折するしかなかったわけ。
これについて注意喚起したのがこれ。

この記事で取り上げた電動キックボードは、法整備前の実証実験のキックボードです。 令和4年に国会提出し可決した改正道路交通法では、二段階右折...

押して歩けば歩行者だから、無理に小回り右折せずに横断歩道を押して歩けば済む。

以上が実証実験の話。
つい最近報道で出た改正道路交通法では、時速20キロ以下の電動キックボードを「特定小型原動機付自転車」という新しい法律区分を作って、二段階右折義務にしています。

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免許不要で乗れる電動キックボードについて、改正道路交通法が可決されました。 わかるようでわかりづらい改正についてまとめておきます。 既存...

苦肉の策

苦肉の策として、実証実験では電動キックボードを「小型特殊自動車」にしてました。
なんでこんな回りくどい方法を取らないといけないのかというと、法律の壁です。

道路交通法関係はこう。

道路交通法 道路交通法施行令 道路交通法施行規則
区分 法律 政令 府令
作成者 国会 内閣 内閣

道路交通法の改正には国会の議決が必要だけど、施行令と施行規則は内閣が発することが可能。
実証実験するために法律を変えるのは事実上無理なので、施行令や施行規則でコントロールできる範囲でしか実証実験できない。

電動キックボードを小型特殊自動車扱いにしたのは確か「道路交通法施行規則」(府令)。
国会の議決無しに内閣が発することが許されているので、施行規則により「小型特殊自動車扱い」にして実証実験していたわけ。

車扱いになったからヘルメット着用義務がなくなるけど、車扱いだから二段階右折が禁止されてしまう。
しょうがないんです。
実証実験だから。

実証実験の結果を受けて、令和4年4月に改正道路交通法が可決。
なので新しくなった道路交通法では、特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードは、二段階右折義務があります。

ただし、改正道路交通法が施行されるのはまだ先です。
当面は実証実験継続なので、二段階右折禁止。

まとめると、実証実験では法律の壁により二段階右折禁止にせざるを得なかった。
改正道路交通法では、電動キックボードのうち「特定小型原動機付自転車」に該当するものは二段階右折義務があります。

期間限定の実証実験をするには、政令以下でコントロールできる範囲じゃないと無理なのね。
法律本体を弄るのは全てが決まってから。

だから。

電動キックボード問題はずっと追いかけてきましたが、一番最初の実証実験からきちんと意味を理解していないと、実証実験の話と改正道路交通法の話が混同した謎議論にしかなりません。

電動キックボードを批判的にみるなら、正しく情報を理解した上ですべきことだと思う。
この問題、それなりに法律の知識があり、ちゃんと情報を理解している人はいいとして、断片的にしか理解していない人の発する情報はお察し。

それこそ「有識者会議の内容と全然違う」とか言い出す人もいるけどさ、

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電動キックボードについて反対の声が「今さら」たくさん挙がってますよね。 警察庁の有識者会議が中間報告を発表したのは約1年前。 ...

速度以外は有識者会議の内容そのまんまだぞ笑。
いい加減すぎるし、なにも理解していないことがバレバレ。
デマ流してまで非難する人の気持ちは理解できないけど、ある種の人間性が出ちゃうのかもね。

あっ、この問題について反対する人の意見は尊重してます。
個人的には免許制については維持して欲しかったので。




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