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自転車と「特定小型」電動キックボードの歩道通行の話。

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令和4年に可決された改正道路交通法(未施行)によると、時速20キロまでしか出ない特定小型原動機付自転車(電動キックボード)は、以下の条件を満たすと歩道通行が可能になっています。

・自転車6キロ以下モードに切り替えたことが外見上明らかな場合(ランプによる表示)
・自転車通行可の標識がある歩道のみ
・歩行者への通行妨害は禁止

ちょっとこれについて。

 

※特定小型原動機付自転車のことをこの記事では「特定電動キックボード」と称します。

自転車と特定電動キックボードの歩道通行

自転車も一定の要件を満たした場合には歩道通行可能です。
特定電動キックボードと比較してみます。

 

<歩道通行の要件>

自転車 特定電動キックボード
車体の要件 普通自転車 時速6キロモードに切り替えたことが外見上明らかな場合
歩道通行の要件 ・自転車通行可の標識がある歩道

・13歳未満or70歳以上

・危険防止のためやむを得ない場合

「自転車通行可」の標識がある歩道のみ
禁止事項 歩行者の通行を妨げるときは一時停止義務 歩行者の通行を妨げるときは一時停止義務
歩道通行の速度 常時徐行義務 時速6キロ以下モード
根拠条文 63条の4第2項 新設17条の2第2項

 

「まとめ」電動キックボード法案、可決。
免許不要で乗れる電動キックボードについて、改正道路交通法が可決されました。 わかるようでわかりづらい改正についてまとめておきます。 既存の電動キックボードとのすみわけ 新しく道路交通法に規定された電動キックボードは、「特定小型原動機付自転車...

 

あまり知られていませんが、自転車が歩道を通行するときは歩行者の有無に関わらず徐行義務があります。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

※普通自転車通行指定部分はそれほど多くないので除外

 

さて自転車が歩道を通行するときの徐行。
立法当時の国会答弁では「時速4、5キロ」、最近の警察の考え方だと「時速6-8キロ」となっています。
徐行=10キロ以下ですが、歩道はあくまでも歩行者の通行のためにあることを考えると、一般的にいう徐行よりもさらに遅い速度と解釈されています。

 

なので、歩道を通行している自転車って、ほとんどの場合は「徐行義務違反」です。

 

特定電動キックボードは「時速6キロ以下に切り替えたことが外見上明らかな場合のみ」自転車通行可の標識がある歩道を通行することが可能です。
電動キックボードの場合、自転車と違いペダルがありませんので、速度を機械的に制御しやすい。

仮に特定電動キックボードの人が歩道通行のルールをきちんと守り6キロ以下で歩道を通行したら、自転車の違反と危険がよりクローズアップされるだけなんですね。

 

歩道でも時速15~20キロ近くで走っている自転車なんて何ら珍しくもない。
こちらでも取り上げましたが、歩行者が感じる危険はこれですよ(電動キックボード非利用者1100人のアンケート調査)。

 

電動キックボード、実証実験の事故、違反数が公表されてます。
私、電動キックボードの推進派ではないのですが笑、この問題についてはきちんと理解している人が少ないことが問題だと思う。 実証実験の第二期は「時速15キロしか出ない特定レンタル事業者の電動キックボードを、小型特殊自動車扱いすることによりヘルメッ...

 

・歩行中に、原付に危険を感じる人 48%、自転車に危険を感じる人71%、キックボードに危険を感じる人 48%

 

・車を運転中に、原付に危険を感じる人 59%、自転車に危険を感じる人70%、キックボードに危険を感じる人 61%

 

・バイク運転中に、原付に危険を感じる人 61%、自転車に危険を感じる人68%、キックボードに危険を感じる人 61%

 

・自転車運転中に、原付に危険を感じる人 50%、自転車に危険を感じる人62%、キックボードに危険を感じる人 49%

 

https://www.mlit.go.jp/common/001469846.pdf

歩行中 車を運転中 バイクを運転中 自転車を運転中
原付に危険を感じる 48% 59% 61% 50%
自転車に危険を感じる 71% 70% 68% 62%
キックボードに危険を感じる 48% 61% 61% 49%

自転車について危険を感じる歩行者がかなり多い。

 

特定電動キックボードは機械的に速度が制御可能。
自転車の速度制御は、乗り手のさじ加減次第。

 

もちろん、特定電動キックボードが「時速6キロモードに切り替えずに歩道を爆走」する懸念はあるけど、一応対策としては「外見上、ランプ表示によりどっちのモードなのかわかるようになっている」。
なので理屈の上では、歩道を通行する特定電動キックボードがモード切り替えしてない時点で取り締まり可能なはず。

 

特定電動キックボードがルールをきちんと守り歩道通行したら、自転車の徐行義務違反がより顕著に分かりやすくなるだけですな笑。
速度を制御したモビリティという点ではなかなか面白い。

 

まあ、特定電動キックボードがルールを守らないとカオスですが。

 

ちなみにシンガポールで電動キックボードの歩道通行が禁止された件。
調べてみると、シンガポールは「歩道通行は時速15キロ」だった様子。
日本は時速6キロ、モード切り替え(外見上明らかなことも必須要件)にしたわけだけど、歩道を全面禁止にしても守らない人は出てくる。
だから制限付きで解禁した方が、マシな可能性はあります。

 

時速20キロで歩道を違法通行されるよりも、時速6キロなら認めますよの方が治安は良くなる。

言い訳

「自転車は歩道通行時には徐行義務があり、目安は6-8キロ」というと、反発する自転車ユーザーもいます。

 

・車道は車がいて危ない
・そんな低速は現実的ではない
・歩行者に当たらなければいいじゃん(結果論)
・自転車専用道を作らない行政が悪い

 

どれも「歩道の徐行義務」を破る理由にはならず単なる逆ギレとしか思っていませんが、言い訳を重ねた結果、被害に遭うのは歩行者なんでね。
自転車専用道がないから歩行者を危険に曝してもいい理由にはならないし。
「歩道」なのに歩行者が危険に曝されているという珍事なんですよ。

 

「時速6キロモードで歩道通行した特定電動キックボード」と「歩道の徐行義務を果たさずに通行した自転車」が衝突した場合、過失割合はどうなるのやら。

 

ちなみに子供が乗る自転車については、6歳以下で16インチ以下の場合、道路交通法上は「小児用の車」として歩行者扱いになることがあります。
時速6キロモードというのが有効なのかは今後の様子を見ないとわかりませんが、物理的に速度を制御したモビリティという点はなかなか興味深い。

 




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