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いろいろ質問と回答と。

複数の方から車両通行帯関係で質問を頂いていたのですが、ご本人には回答しましたがついでなのでまとめておきます。

車両通行帯の話はこちらを。

メールで質問を頂いていた件なのですが、 確かにいろんな記事にとっ散らかっているのも事実なので、全部まとめます。 用語...

この記事は以前書いたものを全面的にリニューアルしてます。 以前、片側2車線道路において、自転車で第1車線の真ん中を通行して大騒動を起こした...

高速道路、自動車専用道路は除外し、一般道に限定します。

複数車線のトンネルは車両通行帯?

まずはこちらの方から。
複数の質問を頂いてましたが、一つだけ。

読者様
読者様
「複数車線でも車両通行帯ではない」を読みました。とても勉強になりますのでありがたいです!!いくつか質問なのですが、
車両通行帯としての要件は、公安委員会の上乗せ規制が必須のようなので我々が思っている車両通行帯はほとんどが車両境界線ということがわかりました。となると、

①通行帯ではないので片側二車線でもトンネルの中は基本的に追越し禁止ということでしょうか?(教習所では二車線はOKと教えている)

トンネル内は追い越し禁止ですが、車両通行帯がある場合には追い越し禁止の除外になっています。

(追越しを禁止する場所)
第三十条 車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
二 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)

実はこれ、だいぶ前に調べてみたのですが、確かにトンネル内が車両通行帯になっているケースは確認しています。
ただし、全部を調べることができなかったのと、そもそも一般道で複数車線のトンネルってどこにあったかな・・・というのが思い浮かばず、調査はやめました。

横須賀の国道16号、片側二車線になっている部分については、進路変更禁止(26条の2第3項、規制標示102の2)があるので車両通行帯だと理解できます。
進路変更禁止なのでそもそも追い越し禁止ですが。

交通規制基準をみると、トンネル内は進路変更禁止を設置するようにもなっています。

カーブ、勾配の急な坂、トンネル又はその付近等の道路で進路変更が特に危険な場所(109頁参照)

https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20211130.pdf

全ての複数車線のトンネルがどうなのか?はわかりませんが、たぶん、

・上乗せ規制が掛かっている車両通行帯
・上乗せ規制が掛かっていないけど車両通行帯
・車両通行帯ではない複数車線

3パターンあり得るのですが、そもそも一般道で複数車線のトンネル自体がそれほど多くはないですが、上乗せ規制が掛かっていない車両通行帯になっている可能性はあります。

車両通行帯の運用としてはレアケースかと。
たぶん、一般道のトンネル内とかそもそも取締してないからナアナアになっている可能性もありますが詳しくはわかりません。

追い付かれた車両の義務

読者様
読者様
27条2項は車両通行帯がある道路は適用外ですが、車両通行帯ではない片側二車線道路では義務があるとみなすのですか?(自転車の話ではなく)

追い付かれた車両の義務はこれ。

(他の車両に追いつかれた車両の義務)
第二十七条
2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。

これについてですが、理屈としては車両通行帯ではない片側二車線道路では義務があると言えます。
ただし、

かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては

例えば第一車線を通行していて後続車に追い付かれたとしても、第二車線があるので「道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合」に該当しないため、結局は義務の除外になります。
第二車線があるので、後続車が通行するのに十分な余地があるので。

第二車線が何らかの理由で渋滞し、第一車線を原付が通行していて後続車に追い付かれた場合には義務が発生する余地はあります。
例えば先の方で交差点の右折待ち車両が渋滞していて第二車線が渋滞している場合など。

けど、交差点手前=進行方向別通行区分(35条、車両通行帯)に関わるため、結局は義務が発生しないことがほとんど→複数車線では追い付かれた車両の義務を考える必要はない、とみなしていいんじゃないかと思われます。
限定された状況では原付に義務が発生しうる、程度の話じゃないかと。

なぜ車両通行帯?

最初の質問者さんの二つ目の質問。

読者様
読者様
②右車線に行くに連れて速い車が通行する、という多車線のルールは一般道においてほとんどの場所では該当しないことになりますか?
通行帯のある交差点直近だけこのルールがあっても無意味のような気がします。車両通行帯の設置が「上乗せ規制ありき」ならば、何故このようなルールがあるのか不可解に思いました。

車両通行帯ではないので、多車線で右レーンを走っている車を取締まりしない。というか取締まりをしたくないから車両通行帯として設定しないのかなとも思いました。
しかし、ただの車両境界線にしてもキープレフトの適用があるので

これについてですが、そもそも車両通行帯=18条1項以外の特別な通行方法を指示するための規制です。
片側二車線道路を車両通行帯として全線を指定した場合、第一通行帯は走行車線、第二通行帯は追い越し車線になります。

この場合、第二通行帯を通行できる要件は以下の場合のみになります(20条3項)。

①追い越しするとき
②右折するとき(交差点、道路外右折)
③進路変更禁止のイエローラインがありそのまま通行するとき

これらの除外規定が済んだら第一通行帯に戻る義務があるわけですが、要は頻繁に交差点が現れたり、道路外に右折することが想定される道路では走行車線と追い越し車線に分類するほうが走りにくい上に渋滞や混乱の原因になるからだと聞いてます(各警察署の交通規制課)。

なので何キロにも渡り交差点がなく、中央分離帯により道路外への右折が不可能になっているような場所じゃないと成り立たないため、一般道の複数車線をずっと車両通行帯にすることが不合理。

交差点手前だけを車両通行帯にするのは、進行方向別通行区分(35条)の設定が必要だからです。

ここを車両通行帯にして、さらに進行方向別通行区分を設置しないと混乱する。

車両通行帯=規制標示=公安委員会の決定が必要ですよね。
規制は4条に書いてあります。

(公安委員会の交通規制)
第四条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。

「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるとき」以外に交通規制をすることは違法になります。
なので規制標示である車両通行帯についても、必要最低限にしか設置しないらしい。

これについては以前も書いたように、一般道での原則としては「上乗せ規制がある場所のみ」と捉えて構いません。
トンネル内についてはレアケースがある可能性はあります。

車両通行帯についてはいい資料と判例が入手出来そうなので、入手したら別記事にします。

結局のところ、車のように車幅がある車両の場合、多車線道路では、18条1項(左側寄り通行義務)でも20条1項(第一通行帯通行義務)でも実質的には変わらないとも言えます。
18条1項のほうが曖昧感があるので、頻繁に交差点が現れたり道路外に右折することが想定される道路では自由度を持たせた運用なんじゃないかとも言えますが、詳しい理由についてはよくわからないのも本音です。
というのも、昭和46年道路交通法改正ではこのような改正を検討していました。

第二条第二項、第百十条の二第三項から第七項まで等の規定は、道路法の規定に基づいて道路の管理者が設置した車道中央線、車線境界線、車道外側線等の区画線を中央線、車両通行帯、路側帯等を表示する道路標示とみなすこととするとともに、車両通行帯の設置、法定の最高速度を越える最高速度の指定等、現在も道路の管理者の意見を聞かなければならないこととされているもののほか、通行の禁止、横断歩道の設置等についても道路の管理者の意見を聞かなければならないこととし、さらに、高速自動車国道または自動車専用道路における通行の禁止、追い越しの禁止等については、道路の管理者に協議しなければならないこととする等、道路の管理者等との関係について規定を整備しようとするものであります。

第65回国会 参議院 地方行政委員会 第16号 昭和46年5月13日

これにより道路交通法2条2項が新設。
標識令7条にもこれに対応した条文が出来たのですが、なぜか車線境界線(区画線)→車両通行帯(規制標示)とみなす改正だけが見送りになっている。
これがなぜなのかを調べているのですが、いい資料が見当たらないので何か発掘されたら紹介します。
このときに車線境界線(区画線)→車両通行帯(規制標示)とみなす改正も成立していれば複数車線=車両通行帯とみなして構わない法律上の根拠になるのですが、これがないからこういう自体が発生する。

さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。

最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日

道路交通法及び標識令だと、車両通行帯は公安委員会が意思決定しないと効力がないため、こういうミスが発生しうる。
たぶん昭和46年改正時の詳しい資料に理由があると思われますが、そもそも標識令って省令だから国会審議が不要。
だから探しても理由がよくわからない。

以前もどこかで書きましたが、車両通行帯は交通規制なので、そもそも取り締まる警察官が見分けることができないと意味がない。
そういう意味でも、一般道では原則として上乗せ規制が掛かっている場所限定とみなしていいみたい。

よく、見分けがつかないと言っては自転車が第一車線のど真ん中を走ることを正当化しようとする人もいますが、

車両通行帯については誤解が多く、間違った考えの人が多いのが実情。 見分けがつかないこと、18条1項には罰則がな...

単なる勉強不足なのでは?
なお、見分けがつかないなら18条1項と20条1項の両方を満たす位置を通行するしかないため、「第一車線の左側端」を通行する以外にはあり得ません。

実際のところ、判例上もそのようになっています。

本件事故現場は道路左側が2車線になっており、そのうち、少なくとも事故直前の時点にあっては、道路中央線から遠い車線、即ち道路左側から数えて1番目の車線(以下便宜「第1車線」という)上を被告のトラックが、道路中央線に近い車線、即ち道路左側から数えて2番目の車線(以下便宜「第2車線」という)の梢第1車線寄りの部分を原告が、いずれも同一方向に、殆ど近接した状態で併進したこと、被告は第1車線上の他車輛を追越すため後方を確認したが、その確認状態が杜撰で不十分であったため原告に気付かず、事故現場直前約13.8mの地点で第2車線に進路変更のための方向指示器を挙げて追越にかかり車体が約半分第2車線に出たところで直進してきた原告に接触したこと、しかし右の第1、第2車線は道路交通法第20条所定の車両通行帯ではないこと、即ち、右両車線の中央を仕切る境界線は道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第四(区画線の様式)(102)所定の車線境界線であって、道路管理者である建設省において便宜表示した記号にすぎず、之と若干まぎらわしい記号ではあるが、同命令別表第六(道路標示の様式)(109)1(1)所定の、公安委員会が危険防止のため設定表示した車両通行帯境界線ではないこと

(中略)

各種車両の交通頻繁な箇所では、最高速度時速30キロメートルの原動機付自転車は、同法18条の立法趣旨を尊重し、軽車両同様できるだけ第一車線上の道路左側端を通行して事故の発生を未然に防止すべきである。

福岡地裁小倉支部 昭和48年1月19日

車両通行帯がない片側二車線道路では、軽車両は18条に基づいて「第一車線の左端」とし、速度が遅い原付も同様としている。
最高裁においても、公安委員会の意思決定がなければ20条1項の車両通行帯ではないとしていますが、車両通行帯がない場合は18条1項に基づいて軽車両は左側端を走ることになってますし。

さいたま簡易裁判所は,平成23年4月21日,「被告人は,平成20年11月18日午後4時35分頃,埼玉県三郷市栄1丁目386番地2東京外環自動車道内回り31.7キロポスト付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転して,法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行した。」旨の事実を認定した上,道路交通法120条1項3号,20条1項本文,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金6000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成23年5月7日確定した。
しかしながら,一件記録によると,本件道路は,埼玉県公安委員会による車両通行帯とすることの意思決定がされておらず,道路交通法20条1項の「車両通行帯の設けられた道路」に該当しない。したがって,被告人が法定の車両通行帯以外の車両通行帯を通行したとはいえず,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。
そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。

最高裁判所第二小法廷 平成27年6月8日

最高裁判例がある中、意味不明なことを語り正当化しようとする人の心理はわかりません。
法律よりもマイルール重視の独自道路交通法の方々ですから。

18条1項には罰則がないことを理由に好き勝手に走るというなら、人間的にはクズだし違反になりますが罰則はありません。

ちなみに18条1項は軽車両について、「走行に不適な路肩を避けて左端に寄ること」とされています。
車道外側線は道路交通法上では何の規制効力もないことや、走行に不適な路肩=エプロン部や側溝ですから、車道外側線を基準に考えることに何ら法律根拠もないと言えます。

特に近年は、車道外側線と歩道の間隔が広い場合にはなるべく傾斜を無くしたり側溝を排除するなどの対策をして、自転車の通行に適した道路構造に変えていますから(国土交通省)、「車道外側線の外側を通行する義務はない」と主張する人がいたら単なる勉強不足かと。
もちろん、こういう構造の場合は車道外側線の外側を通行するのは危険なため、話が変わります。

車道外側線は道路標示ではなく区画線なので、道路交通法上は何ら効力はありません。

ちょっといろいろ調べている最中ですので、またいい資料と判例が入手したら別記事にします。




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