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この判例について。

こちらの判例について質問をいただきました。

横断歩道がなく、かつ横断禁止ではない道路の場合、民事上では車にもかなりの過失がつきます。 目安は歩行者:車=20:80。 と...

読者様
読者様
この判例について。
①横断歩行者が車道を横断開始した時の、車と被害者の距離
②車の速度
③ドライバーが横断歩行者の存在に気がついた地点と被害者の距離
これらを教えてください。

事故態様

正直なところ、出来ればご自身で判例を入手して読んで頂いたほうがいいかと思うのですが。

①横断歩行者が車道を横断開始した時の、車と被害者の距離

→明らかではありません。

この事故ですが、夜間、片側二車線道路(高速の入口込みだと三車線)の第1車線(高速の入口込みだと真ん中車線)を車が通行していた。
被害者は中央分離帯を越えて車道を横断開始しています。

「明らかではない」という意味ですが、
・中央分離帯上に被害者と同じくらいの高さの樹木がある
・事故現場付近は暗い
・反対車線側にはガソリンスタンドなどがあり、ガソリンスタンドの照明が逆光のような状況になるため中央分離帯付近(被害者が横断開始した付近)は影になる

これらの理由から、中央分離帯上に人間がいたとしても視認不可能と判断されています。
従って被害者がどの時点で横断開始したかについては「不明」です。

②車の速度

→60~70キロ(道路に制限速度は指定されていない)

被害者が吹き飛ばされた距離や、車の停止距離などから判断されています。
法定速度よりは越えていたけど、70キロよりは下という認定です。

③ドライバーが横断歩行者の存在に気がついた地点と被害者の距離

→記載はありません。

中央分離帯付近は、被害者の背丈と同じくらいの草木があり、かつ逆光なので人間がいたことを視認するのが不可能という判断であって、ドライバーからすると「突如車の前に歩行者が現れた」みたいな状況になっています。
そのため、被害者が車道を横断開始した時点でドライバーが発見したという前提で検討されています。

この事故、被害者が走って横断するように見えたとのことから、歩行者の速度を時速18キロ(成人の通常走行速度)、10.8キロ(ゆっくりジョギング)、4.3キロ(歩行速度)の3パターンについて検討しています。
それぞれの速度について、被害者が中央分離帯から衝突地点に至るまでの時間を計算できますよね。

被害者が車道を横断開始した時点でドライバーが発見したという想定をしています。

計算された時間(被害者が中央分離帯から衝突地点に到達するのに要する時間)について、例えば時速18キロだと衝突地点に到達するのに要する時間が1.16秒。
車が時速60キロで走行していたなら、1.16秒の間に進む距離は19.33m。
つまり歩行者が時速18キロ、車が時速60キロだとすると車が衝突地点手前19.33mにいたことになる。

時速60キロで走行する車の停止距離は32.75mなので、回避不可能となります。

歩行者の速度3パターンと、車の速度を60キロ想定と70キロ想定にして、計6パターンを計算しても回避不可能とされています。
(ライトの照射距離も検討されています)

いろんなパターンについて検討をした結果、回避可能性がなく無過失の立証(自賠法3条但し書き)があったので被害者側の請求を棄却しています。

歩道にいる歩行者が車道を向いてキョロキョロしてたら、普通に考えて横断開始することが予見できるので減速して様子を見る義務があります。
この判例は、要は「横断しようとする歩行者」がいることを予見する義務が否定されたので(状況からして視認不可能)、この時点で被害者には不利になってしまう。
直前直後横断を禁止している趣旨から考えても、歩行者が車の動静を見極めて横断開始する義務があるわけで。
刑事責任はドライバーが不起訴、民事責任は被害者100%となっています。

ていうよりも、判決文を探して読めばわかると思いますし、まずは探してみたらいかがですかね。

注意義務違反

損害賠償請求の場合、一般的には民法709条による不法行為責任になりますが、請求する側(被害者)が加害者の不法行為を立証する必要があります。

ただし車の場合、自賠法3条の規定により「自ら無過失を証明しない限りは賠償責任を負う」ことになります。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

弱者保護の観点から、自ら無過失の立証をしない限りは賠償責任を負うわけです。
上の判例については、事故の全責任は被害者側にあることになってしまうわけですが、一般的には裁判に行く前に示談交渉して話し合いで決まる。
裁判するよりも示談交渉で提示された過失割合で合意した方がいいケースもあるかと。

どうでもいいけど、これ。

(横断の禁止の場所)
第十三条 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。

直前直後横断を禁止しているということは、左右の確認等をしない限り「直前直後横断ではない」と言えないわけで、当たり前だけど歩行者にも確認義務、注意義務はあります。
ただまあ、13条には直接的な罰則規定がない(警察官の指示に従わない場合のみ罰則)。

まあ、民事責任としては横断歩道を横断する歩行者にも注意義務はあります。
事故回避義務って歩行者にも普通にあるんだけどな。

先日の記事について追記。 横断歩道事故で歩行者に過失 横断歩道事故の場合、赤信号無視以外なら「原則」は歩...

ちょっと話は変わります。
ちょっと前に自称YouTuberという人から「判決の詳細を教えて」とメールが来たのですが、判決の詳細は記事で書いているわけだし、何を知りたいのかすらわからないので突き放しましたが、YouTuberでネタにするのか知らないけど、ネタにするなら自分で探すのが筋なのでは。